大学出版局2割引セール

 このところ当ブログで紹介した書物、『日本の軍事革命』『西日本鉄道百年史』『鉄道の地理学』・『交通地理学の方法と展開』は、実はすべていろいろな事情があっていただいた本で、さてこそ恩義に一端なりとも報いるべく、ブログ上に記事を物した次第でした。宣伝になったかは微妙ですが・・・。
 しかし、もらってばかりというわけには参りません。そこで今日は買った話。

 昨日、大学の書籍部に久しぶりに行ってみたところ、来月5日まで「~大学出版会(出版局)」の出した書物は2割引という、結構なセールをやっておりました。同じ期間中、岩波の単行本も15%引きだそうです(文庫や新書は対象外)。これ幸いと何点か購入しました。

前田裕子『水洗トイレの産業史
 去年出た本ですが、小生の指導教官が面白いと紹介してくれたこともあって以前買いに行った際、お値段4600円の表示を見て断念していたもので、ここぞとばかり購入。目次と最初の部分しか見ていませんが、TOTOを中心とする経営史にしてかつ生活に与えた影響をも論じているようですね。
 ちなみに指導教官はその時同時に村瀬敬子『冷たいおいしさの誕生 日本冷蔵庫100年(論創社)の名も挙げていたので、そっちは以前に買って読みました(2000円しない安さだったので)。なかなか面白かったものですが、期待が大きすぎたのかちょっとあっさりした読後感もありました(ブログには感想書いてませんね)。

橋本寿朗(武田晴人解題)
『戦間期の産業発展と産業組織 I 戦間期の造船工業
『戦間期の産業発展と産業組織 II 重化学工業化と独占
(東京大学出版会)

 五十代で亡くなられた故橋本寿朗教授の論文を、武田晴人先生が解題を付して編集されたもの。これも出た当初から買おう買おうと思っていたのですが、これまた何となく踏ん切りが付かずに手に入れないでいた本でした。書影は2巻、『重化学工業化と独占』の方です(1巻は紺色)。
 この『II 重化学工業化と独占』の方に、「『五大電力』体制の成立と電力市場の展開」という章がありますが、これは元々1976年に発表された論文でした。
 小生は以前、この2冊の解題を務められた武田先生のゼミに出ていたことがありましたが、その時は学生一人がある産業の分野を担当し、その分野の論文を調べて研究史を報告する、というものでした。小生は何となく(どういう経緯か覚えていない)電力業を担当することになり、電力業史に関する論文や書物のリストを作り、すべてではありませんが主なものを読みました(確か全部で百点近くあった)。その詳細ははしょりますが、めちゃくちゃ大雑把に言えば、金融資本と電力業の関係について、松島春海による金融資本の電力業支配説が1960年代に唱えられ、それを批判して研究史の方向を変えた一つのきっかけがこの橋本論文でした。その路線を引き継いで、電力業は金融資本から自立していた、という現在の通説を確立したのが、こないだ紹介した『西日本鉄道百年史』の執筆もされていた橘川武郎先生です(ちなみにこのブログで過去に日本電力業の歴史に関する話を書いた際、戦時中の電力業の国家管理について「長い回り道」と指摘した出典元は橘川説です。橘川説は電力業について、国家権力や金融資本からの自律性を高く評価するところに眼目があります)。
 といった話をゼミでしたところ、武田先生の講評は、橋本論文の評価が君の説明では今一つ弱いから、きちんと読み直すように、とのことでした。その時は、小生は橋本論文の意義がよく分かっていなかったんですね。

 ですが、この時に電力業の歴史を勉強したことがきっかけで、それまで迷走していた修論の題目が決まって、何とか博士課程に進むことが出来たもので、個人的に思い出深い論文でした。そして鈍い小生もさすがに、今となってみると武田先生のご指摘の意味が、いくらかは分かってきた気がします。

武田晴人『仕事と日本人』(ちくま新書)

 そこで武田先生の新刊を買った、というわけではなく、これは院生仲間が絶賛していたので、本書の前身ともいえるかも知れない『日本人の経済観念』を以前面白く読んだことでもあるし(岩波現代文庫に入ってたんですね。小生が持っているのは古い単行本版)、と購入した次第。
 いま筑摩書房のサイトを探すべく検索してみましたが、既にかなり書評も多く、新聞にも取り上げられているようです。しかし産経新聞のこのネット書評は・・・いや、本文自体は何の問題もないと思うのですが、たまたま、小生が見た際の広告が、大変皮肉なことになっていて。


 あと、こんなんも買いました。岩波が15%引きだったので。

大澤真幸編『アキハバラ発 〈00年代〉への問い

 洋泉社のアキバ事件本は以前買って読み、ブログに感想を記しました。また、先日の古澤克大書記長プロデュースのイベントに出演されていた増山麗奈さんが発行の中心のお一人である雑誌『ロスジェネ』の、秋葉原通り魔事件別冊は、随分前にこれまた買って読んだのですが、感想を記しておりませんね。
 いろいろ忙しいのですが、自分が出くわした秋葉原通り魔事件についての書物は、なるべく読んで感想を書くようにしたいと思います。

 さて、まだまだ欲しい本はあったのですが、例え2割引でも大学出版会の本というのはそもそも値付けが高いので、結局3冊だけで予算に達してしまいました。セールは来月頭までやっているそうなので、何とか資金繰りをつけて、もう少し本を集められればと思っています。
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by bokukoui | 2009-02-10 22:34 | 書物 | Trackback | Comments(0)

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