「生きた靖国の神様」

 先日、このところ会っていない研究室でかつて一緒だった友人から手紙が送られてきて、はじめてこのような施設の開設を知りました。準備作業に関っていたようです。

 しょうけい館(戦傷病者史料館)

 靖国や昭和館のすぐ近傍です。3月21日開館だそうで、関心のある向きは是非どうぞ。

 ところで、表題の言葉は『日本残酷物語5』から引用したものです。1923年に戦傷病者(当時の言葉で言えば「廃兵」)たちが恩給などの待遇改善を求めて示威運動を行った時の、プラカードの文句の一つだそうです。運動の結果改善はされましたが、それでも同書によれば戦後も「五体健全な旧軍人の恩給額が、傷痍軍人のそれをはるかに上回っている」とあります(この本は「物語」であり、どこまで事実関係が正確かは分かりかねますが)。
 ともあれ、「靖国」と比べると戦傷病者、傷痍軍人は余り語られてこなかったように思われます。それは、実も蓋もないことを言えば、死んでしまった人ならば生きている者が勝手に何をどう「追悼」や「顕彰」しようと文句を言いに来る心配はありませんが、傷痍軍人は今ここに生きている人々であったから――のように思われてなりません。そして、傷痍軍人の史料館が今頃になって開館するのも、生きている存在であった傷痍軍人がほぼ過去のものとなってしまうような時期となったから、なのではないかと思いたくもなるのです。
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by bokukoui | 2006-03-05 23:59 | 歴史雑談