「象の鼻パーク」の現況・転車台の保存状況を見る

 急速に夏めいて参りましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。小生は例年の如く暑さで倒れ、順調に論文も仕事も遅れ、友人との約束もキャンセルし、頭が痛いのでネットも碌に見ない、ひたすら横になっているという日々を送っております。当ブログも更新が停滞し、またどういう訳かここ十日ほどは来訪者もがくんと減少しております。そんなこんなでコメント返信も遅れて申し訳ありません。

 それはそれとして、少々前のことですが、横浜で開港150周年を期して整備された「象の鼻パーク」に行ってきましたので、一応その写真を以下に紹介しておきます。「象の鼻パーク」は横浜の港で最初に埠頭が設けられ、その形から「象の鼻」という名が付いたのですが、その後の港の拡張整備で使われなくなり、最近まで倉庫(その倉庫も霞ヶ浦で海軍の航空隊が使っていたというもので、それはそれで保存価値があったと思うのですが・・・)が建っていました。その倉庫を撤去して跡地を公園として整備しようとしたら、関東大震災以前の港の遺構が出てきて、急遽それを整備して公園の一部として保存することになった、という経緯があります。
 その遺構とは、貨物を運ぶためのトロッコの線路と転車台で、発掘されたその遺構の模様は、当ブログでも過去に以下の記事でお伝えしました。

 「象の鼻パーク」の転車台と軌道跡見学記
 「象の鼻パーク」の転車台と軌道跡について 補足情報・異説など

 で、これら遺構と公園の整備が終わって、去る6月2日の開港記念日に公開されていたようですが、なかなか尋ねる機会がなく、先日ようやく行って参りましたので、以下にご紹介。
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遊歩道(旧貨物線の高架)から見下ろす「象の花パーク」
(この写真はクリックすると拡大表示します)

 綺麗な公園になっています。周辺には遺構の歴史を伝える看板や、なにやら飾りの板のようなものが立っていますが、一部の板には側面に横浜の近代化に貢献した人の写真と略歴が表示されています。
 で、この公園の真ん中にある、ポールで囲まれたガラス張りになっているところが、転車台のあったところです。震災の瓦礫で嵩上げされる前の、低い水準にあった転車台はそのままにして、上にガラスを張って見せています。なかなか凝った試みで、近代遺跡保存の方法としてはなかなか意欲的なものと思います。
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同じく遊歩道から見下ろした転車台とカバーのガラス

 それでは、地面から様子を見てみましょう。
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「象の花パーク」の転車台とその覆いのガラス
(この写真はクリックすると拡大表示します)

 発掘状況公開時のレポに写真を載せておきましたが、発見された転車台は4基ありました。その4基すべての上にガラスが張られています。海側から順に、転車台に鉄のテーブルが載った状態・テーブルのハッチを開けてある状態・テーブルを半分に切断してある状態・テーブルをとりのけて滑車や軸、土台の煉瓦を見せている状態、ととりどりになっています。数が多いのを有効に活用してありますね。
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ガラス越しに見る転車台(1)

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ガラス越しに見る転車台(2)

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ガラス越しに見る転車台(2)

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ガラス越しに見る転車台(4)

 ガラス越しの様子が分かりにくいのは転向や機材の性能、撮影者の腕もありますが、そもそも硝子が厚いので良くは見えないのです。上を人が通る以上はやむを得ないことだとは思いますが。年に一度くらい、例えば開港記念日あたりに、ガラスの蓋を外して点検がてら一般公開、なんてことが出来れば尚望ましいとことと思います。
 ところで、外した鉄のターンテーブル(転車台の回転部分)はどうなったのかと言いますと、公園の一角に公開展示されていました。
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外に展示されているターンテーブル
(この写真はクリックすると拡大表示します)

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同上 土台や腕の様子もよく分かる
(この写真はクリックすると拡大表示します)

 屋外の野ざらし展示で大丈夫かとも思いますが、まあ瓦礫で埋められてしまうまで数十年間露天で使われていたターンテーブルですから、当分は大丈夫でしょう。
 ところで半分に切断した鉄の回転部分の残り半分はどこに行ったんでしょうか。まさか捨てた訳じゃないと思いますが・・・何かで読んだところでは、グラインダーで削ると火花の飛び方から材質が鋳物か錬鉄か判別できるそうで、その詳細も知りたいところです。折角切断までしたんだから。

 とまあ、なかなか費用も手間もかけたであろう意欲的な展示と思いますが、その肝心の転車台に関する案内板はこのようになっていました。
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「象の花パーク」の転車台に関する案内板
(この写真はクリックすると拡大表示します)

 細かいところですが、「鉄軌道の幅員は1.06m」というのはちょっと変かと。本来、これは3フィート6インチ=1067ミリのことなので、四捨五入したら1.07の方が近い・・・というか、最後の桁まで書けば(出来ればフィートポンド法の値もつけて)いいと思うのですが。また、「車軸幅」というのも意味が不明です。車軸の幅ではなく車輪相互の間隔とでもしないとおかしいでしょう。大正時代頃の長軸台車なら車軸が長い、なんてマニアにしか分からないツッコミはともかく、英語表記も"the width of general railroad axies in Japan"なんてしなくても、"Japanese standard gauge"とでもすれば良いと思いますが、いかがでしょうか。英語に詳しい方のご意見を乞う次第です。

 とまあ、多少の問題はなくもないですが、近代の遺産をこのような形で公園の中に取り込んで保存できたことは、近代遺産の保存活用の一例として大変重要で意義深いことと思います。今後の保存活動の良き先例となればと願ってやみません。
 今年の夏は開港150周年ということで、この周辺ではそれを記念したさまざまな展示やイベントなどが行われています。お時間のある方は一つ、手頃な夏のお出かけ先としていかがでしょうか。なおその会場では、開港150周年記念イベントのキャラクターとして賛否両論(「否」の方が多かったか・・・?)あった「たねまる」のグッズが大量に売られていますので、「ゆるキャラ」好きの方は是非。「ゆるキャラ」界の著名人(?)である彦根の「ひこにゃん」とのコラボレーショングッズもいっぱいあり、どういう関係かと思えば横浜開港の条約を結んだのは井伊直弼だからということのようです。納得できそうで何か変な気もしますが、これまた「ゆるキャラ」ファンには見逃せないでしょう。
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by bokukoui | 2009-07-26 20:27 | 鉄道(歴史方面)