後輩が「日本が中国に支配されたらエロゲーが出来なくなる」と思って田母神氏のデモに行ったそうです

 本記事は「後輩が『鳩山首相を暗殺して歴史に名を残したい』と電話してきました」の続篇です。
 ・・・(T/O)で済ませたいのですが、一応ちょいと補足しておきます。



 もっとも、事実上(T/O)で内容がないので、特に物好きで性格のねじけた方のみどうぞ。


 最近ブログ更新もすっかりしていないのは、用事の減らぬ割に思いっきり不調で、三日に一日くらいはベッドの中から出られず布団を抱きしめながら人類が滅亡すればいいのに、などと思っているからでして、稼働できた日も午前中は動けないことが珍しくありません。あと特に午前中は、消化器の膨満感も酷いことが多く、ブログのネタは実はいっぱいあるのですが、全く形になっておりません(頭の中にアウトラインは出来ていても)。
 そんな次第で放置も一月に近い本日、ふとアクセス数を調べると異常に多いのです。アクセス解析を見るとツイッターから妙に多く来ているようです。何事やあらんと探ってみたところ、如上の「後輩が『鳩山首相を暗殺して歴史に名を残したい』と電話してきました」の記事が a_park なる方のツイッター上で取り上げられていたようでした(ブログを「はてな」にお持ちのようです)。
「駄目だね。中岡艮一も佐郷屋留雄も教科書に載ってないよ。安重根は載ってるけど」よい返しだ / こういう風に世界観が偏向した形で固まっちゃった人はたぶん死ぬまで"生き辛さ"をずっと感じてそうでやるせない / 筆不精者の雑彙 : 後輩が「鳩山… http://htn.to/P4u2E
4:35 PM Dec 12th
「後輩が「鳩山首相を暗殺して歴史に名を残したい」と電話してきました」というタイトルの破壊力は凄いわ http://bit.ly/g0DXW8
4:39 PM Dec 12th
 で、どうもこれが複数の方に引用され、当ブログにしては多数のアクセスの元になったようです。
 斯様な事象にご関心を持って下さる方が少なからずおられることに感謝し、問題の記事の主人公・A君の近況を一筆しておきます。これは先月発作的に一度書きかけて、あとでやや冷静になって馬鹿馬鹿しくなり、お蔵入りしたものの再利用です。


 で、それは先月のある日曜日の夜、件の、小生の中学・高校(一貫校)・大学を通じての後輩で、しかも中学と大学では所属するサークルでの後輩でもあり、鉄道・ミリタリーを嗜み、近年は狭義の「アキバ系」オタク趣味(特にAugust)に傾倒している、重度の「非コミュ」であり、現在司法浪人中でフリーター状態のA君から久しぶりに電話がかかってきました。
 彼はこう言いました。

「この週末デモに行ったんですけど、そこで立て続けにマスコミの取材を受けたんです。デモの参加者が大勢いたのに、なんで自分ばっかり取材されたのでしょううか。わたしはそんなに見た目が変ですか?」

 「うん変だよ」と脊髄反射で答えそうになりましたが、ぐっとこらえます。実際問題、彼はある種の「非コミュ」の人にあるような、話し方や振る舞いの独特さがある程度あります。ただ、デモの群衆の中で、取材陣が一目で気づくほど目立つとは思えませんが。
 それはそれとして、彼がデモのようなことに関心があるとは、これまでの長いつきあいでも初耳でしたから、小生はそのデモが何なのか好奇心を抱き、何のデモに行ったのか問いただしました。

「横浜であった、田母神さんのデモです。尖閣問題の」

 流石に小生は二の句が継げませんでしたが、ややあって、彼にこう言いました。

墨公委「君は小生のブログを読んでいるね」
A君「はい」
墨公委「であれば、曲がりなりにも史学科の院生である小生が、田母神氏をどう思っているかは知っていよう」
A君「はあ」
墨公委「で、君はその田母神のデモに行ったということについて、こともあろうに小生に相談するのだ」
A君「はあ、でも他に相談できる人もいないので。それとこれとは別ですし」

 参考までに、当ブログの田母神氏に関する記事を以下に列挙します。

アパグループ『謀略に!翻弄された近現代 誇れる国、日本。』瞥見
『諸君!』秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」
秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 続き」
『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 蛇足的まとめ
『諸君!』秦郁彦・西尾幹二対談評への西尾氏のコメントについて
田母神俊雄出演の「笑っていいとも」を見てしまった
「建国記念の日」に思う 「条件付き愛情」的な「愛国心」

 田母神氏は自衛隊官僚としてはなかなか優秀だそうで、もしかするとある種のタレントの才能にも恵まれているかも知れませんが、歴史について言っていることは全て世迷いごとです。
 余談ですが、上掲記事中の西尾幹二先生についての箇所が一部、今月西尾先生が出版されるという「ブログ論壇本」(ブログを本にするそうです)に引用されるそうで、小生にも一冊下さるそうです。小生は西尾先生の所説への批判しか書かなかったのに、お心の広さとまめさにはいたみいります。やはり論壇でファンの多い方はそういうものなのでしょう。出版社からかくかくしかじかなので、論者の一人としてプロフィールを載せたい、との連絡が来まして、小生はほいほい本名と肩書きを書いて送り返しましたので、小生の個人情報にご関心のある方は本屋で立ち読みでもして下さい(笑)

 閑話休題、そんなわけで「田母神氏もいる中国批判デモ@横浜」(詳細は小生もよく知りませんが、「立ち上がれ日本」が関わっていたとか聞いた覚えもあります)に行った(しかも二週も続けて)などと、しれっと小生に対し話すA君に、小生は少なからず不快感を覚えました。思想信条は無論自由ですが、それを開陳する場合、相手と状況やそれに応じた説明の手法は配慮するべきものでしょう。・・・まあ、それが出来ないから、A君はいろいろ大変なのですが、周りに相談できる人がいなくなるのもまた道理であります。
 で、小生は彼になぜそんなデモに行ったか、その理由を聞き出しました。小生の口調が険しくなったせいか、A君もなにやら拗ねた調子です。

A君「尖閣諸島の事件の流出画像見て、思うところがあったからです」
墨公委「思うところとは何ですか」
A君「それは、察して下さい」
墨公委「分かりません。説明して下さい」
A君「だから、察して下さい。分からないならいいですよ」
墨公委「あなたは田母神のデモに行った件について小生に相談するという、そのこと自体が小生の感情を察しようとすらしていないことと考えられます。なのにあなたは自分の感情については察せよという。これは不合理です。そのような態度では、今後あなたのご相談に乗ることは出来ません」
A君「・・・。それは、・・・」

 切り口上の小生に、A君は少し口ごもってから、はっきりこう言いました。



「日本が中国に支配されたら、
エロゲーが出来なくなるじゃないですか!」


 小生はこの発言を聞いてから、なんと返事をしたか覚えがありません。
 思い出そうとする小生の頭の中を、「夜明け前よりシナチョンな」などと意味不明なフレーズがぐるぐる回るばかりです。ただ、彼の口調が全く「ネタ」や「冗談」でなかったことのみを、覚えているのです。

 さて、問題意識と対応手段との間にここまでの飛躍を経ているのは流石に極端にしても、しかしその特異さが、ある種の困難さに陥ってしまった人間の、結果的により自分を不利にしかしないような思想や行動に走ってしまう、そんな現象をよりよく描き出してくれるかもしれない、とは思います。そしてこの事例は特に、「オタク」的な界隈で起こるそのような現象について、示唆するところは少なくないと考えます。とはいえ、その辺の話は前回の記事に書いてしまっていますので、特に付け加えることはありません。付け加えることができないのは、小生はA君の「生き辛さ」を引き起こしている事情をもう少し詳しく知ってはいますが、流石に今ここに書くのははばかられることだからでもあります。
 とはいえ、半年足らずの間でも、斯様に状況は良からぬ方向に進展したのであって、残念ながらA君の「生き辛さ」を緩和する良い方法はあまり思いつかないのです。しかもそれは、医療や福祉をいくら充実させても限定的な対症療法にしかならなさそうで、そしてこれは繰り返しておきますが、「オタク」的文化は彼のその「生き辛さ」を昇華させるのに、あまり役には立っていないようなのです。

 最後に、前回の記事紹介して下さったツイッター記事について、前回の記事でもその所説を紹介した、A君と小生の共通の知人でもある、労働収容所組合 / Im_Weltkriege / Study Hard 氏が、ツィッター上で述べた感想をご紹介して、締めくくりに代えさせていただきます。a_park 氏のツイートをリツイートしてから、労働収容所組合氏はこう述べます。
どこかで聞いたような話だと思ったら、そこで聞いた話だった。
4:52 PM Dec 12th
一つだけ言いたいのは、彼の周りの人はもっと"生き辛さ"を感じるということです。(被害者の方の証言)
5:04 PM Dec 12th
やはり本物と付き合うのが重要です。そうすれば愚痴しか出てきません。
5:17 PM Dec 12th
ペーパーテストが生み出す万に一つの悲劇。それがAさんなのである。
5:49 PM Dec 12th
 然れば本記事もまた愚痴に等しいものではありましょう。少しは「公益性」を持たせようとはしてみましたが、それとて愚痴を覆い隠さんとするものかもしれません。でもやはり、これだけいがらっぽい気持ちになったのであれば、せめてそれを「神の与え給うた試練」とでもしなければ、あまりに索漠たるものであります。その神が何かはともかくとして。
[PR]

by bokukoui | 2010-12-12 23:59 | 出来事