「メイド服」販売のキャンディフルーツが『パンチ』のメイドを衣裳化

 すっかり同人から遠ざかって久しい小生ではありますが、その昔こんな同人誌を出しておりました。

f0030574_4453461.jpg『英国絵入諷刺雑誌
『パンチ』メイドさん的画像コレクション
1891~1900』

 今MaIDERiA出版局のサイトが表示不能状態なので(問い合わせしてますが返事が来ません)、とりあえず表紙の写真を左に示しておきます。
 で、この同人誌は、19世紀英国を代表する雑誌『パンチ』の19世紀末十年分から、「メイド」らしく見えた画像をひたすら集めた資料集です。この改訂版は2006年夏に発行(当ブログのこちらの記事のリンクを辿っていただければ、編集の過程がお分かりいただけようかと思います)しまして、改訂に際し画像のキャプションの翻訳に英文学者・小池滋先生のご助言をいただくという、およそ同人誌には贅沢なことをした、小生としても思い入れの深い、出来映えも自信ある一冊です。もっとも、これだけのことをしたもんで、結局後が続かなかったんですけど(苦笑)

 さて、しばらく前に、「メイド服販売」を行っておられる衣裳メーカー・キャンディフルーツの方から、突然メールが来ました。
 その内容をかいつまんでご紹介しますと、「貴殿が発行された『英国絵入諷刺雑誌『パンチ』メイドさん的画像コレクション 1891~1900』に掲載されていたメイド服を実際に作ってみたので、出典として同人誌の名前を挙げて宜しいか?」というものでした。
 率直に言って、自分の作ったものにこんな反応があったということは、心が月面宙返りくらい捻くれている小生でも、素直に嬉しいものです。ので早速OKしましたが、その『パンチ』の挿絵を元に開発されたというメイド服は以下のリンク先をご覧下さい。
史実に基づいて忠実にキャンフルが作ってみたロングメイド服♪専用エプロンもセットです♪ヴィクトリアンメイド服

クラシカルなメイドさんに憧れるかた必見!すさまじくエレガントなメイド服の登場です♪
イギリス、ヴィクトリア朝時代に貴族の家に雇われていた女中たち☆その当時の風刺画集を資料としてキャンフルが少し現代アレンジを加えてつくりました超自信作のロングメイド服です★
なんといってもエプロンのVの字カットがすっごく綺麗なシルエット♪
これは実際に着てみて、全国のメイドのみなさまにも実感していただきたいです。♪
もちろんワンピースにもこだわりまして、胸元には広いピンタックが横向きに縫われていてさりげなくもしっかりとアクセントになっています♪
Vカットのエプロンからチラッと見えるピンタックが締まります★そして肩に2重のプリーツひだが付いていて、パフスリーブとは全く違ったボリュームのあるお袖となっています♪
 ホントは写真を引用できたら良いんですけど、流石にそれは遠慮しておきます。
 で、キャンディフルーツさんのサイトを拝見すると、やはり色とりどりでスカートも短い「メイド服」の方がバリエーションも多いようです。そんな中に、より当時に近いスタイルの衣裳も参入することで、コスプレ衣装という表現の世界がより一層豊かになれば、と思います。この「ヴィクトリアンメイド服」が一人でも多くの方の手に渡ればと思いますが、やはり同時にこれが売れて第2弾の「歴史的」スタイルのものが登場したら、それはそれで嬉しいことです。
 同人誌発行当時、「コスプレの参考にもなりますよ」などと来場者にセールストークで売り込んでいた者としては、今回のことは我が意を得たり、というところで、大変嬉しく思う次第です。小生の同人誌に目を留め、このような企画を実行して下さった、キャンディフルーツの関係者の方に心より御礼申し上げる次第です。

 ところで、リンク先にも画像がありますが、そのキャンディフルーツ「ヴィクトリアンメイド服」の元になった『パンチ』の漫画とは、以下のものです。同人誌の頁をデジカメで取り込んで掲げておきます。
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『英国絵入諷刺雑誌『パンチ』メイドさん的画像コレクション 1891~1900【改訂版】』
p.54より 原典は1898年1月22日付『パンチ』 作画は J.B.Partridge(1861-1945)
(この画像はクリックすると拡大表示します)

 拡大表示するとキャプションの英文が読めると思いますが、一応以下に書き出して、拙訳も蛇足ですが付しておきます。このキャプションはわかりやすい方なので、自力で訳したものです。
Grandpapa. "WELL, LITTLE LADY, WILL YOU GIVE ME A LOCK OF THAT PRETTY HAIR OF YOUR?"
Marjory. "YES,GRANDPA'; BUT"―(hesitating)―"I DON'T FINK ONE OF LOCK WOULD BE ENOUGH, WOULD IT?"


(拙訳)
祖父「可愛い子や、お前の綺麗な髪をひと房もらえないかのう」
マージョリー「はい、おじい様。でも―(口ごもって)―ひと房で充分なの?」


 ・・・さて、ここで終わっておけばいいのですが、数年ぶりに同人誌を見返していて、上掲画像をつくづく眺めているうちに、小生はハタとあることに気付いて愕然としました。

「立っている女性は、どうもキャップを付けていないように見える」

 ということはですね・・・メイドじゃないんじゃないかと。キャンディフルーツさんがこの服を採用したのは、肩の辺りがフリル状で賑やかだからだろうと思いますが、メイドにしちゃ派手ですよね。同人誌の他に採録した画像を見ても、似たようなのが見当たりません。つまり、女性の前に女の子が立っているを、女性がエプロンしているのと見間違えたんじゃないかと・・・。
 もっともエプロンじゃないとすると、では女性の服の胸当ては何だということになり、胸当てがV字型になっているエプロンを着けたメイドやウェイトレスの画像は幾つもありますので、エプロンの下が女の子で隠れているのをパートリッジが(やや)適当に描いたのだとは思いたいところです。
 まあその、元はといえば文献調査2日・翻訳編集3日で作った同人誌ですので、多少の粗はご海容いただきたく・・・ヴィクトリア時代の衣裳には間違いないし、お下がりを貰うメイドさんはよくあったはずで。

 どうもオチがすっきり行かないのが我が人生。
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by bokukoui | 2010-12-13 23:59 | 制服・メイド | Comments(2)

Commented by 久我 at 2010-12-14 20:37 x
すごいです! 歴史的な事件ではないでしょうか(笑)
懐かしいですし、あの本はとてもいい本で、気に入っています。

女性の手の位置がメイドっぽいですし、ナースかもしれませんね。
Commented by bokukoui at 2010-12-17 00:06
コメントありがとうございます。
久我さんから「メイドっぽい」というお言葉をいただけてほっとしました(笑)
ナースか、或いはガヴァネスの可能性もあるのかな? とも後でちょっと思いました(あ、でもガヴァネスはエプロンしなさそうですね)。

「史料に基づいた」という点が、コスプレ衣装屋さんの商品でも「売り」になったら、それは結構新しいことかもしれませんね。