日露戦争終結106周年記念企画 PCゲーム『日露戦争』長春・旅順・ウラジオストック最速攻略記

 10月14日はいわずと知れた鉄道記念日ですが、実は日露戦争のポーツマス条約の批准された日(ロシアの批准した日で、日本は10日に批准)だそうで、つまり日露戦争が正式に終結した日ともいえます。
 というわけで、それを記念して如上の企画を考えました。まあ、10年近くも前のゲームの攻略法を書いてどうするんだと自分でも思いますが、今でも入手は可能なようですし、日露戦争を扱ったコンピュータゲームはいまだにないようですから、そんな世間とずれているところが当ブログの特質だろうということでひとつ。

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ジェネラル・サポート社のゲーム『日露戦争』の陸戦マップ画面
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 さて、まずゲームの概要を紹介しますと、・・・まあメーカーのジェネラルサポートのサイトをご参照いただくか、無闇と詳しい Wikipedia の記事を見るとかしていただければ概要はお分かり戴けようかと思います。このゲームでプレイヤーは日本政府と陸海軍を指揮し(ということは明治天皇?)、ロシア軍と戦います。ゲームは1ステージが半月で、その中に様々なフェイズが含まれています。
 で、このゲームは結構やることが多く、まず戦闘前に徴税や内外債発行で戦費を調達し、それで陸軍を動員し、軍艦を建造・購入・修理し、弾薬を生産します。それから海戦を戦って制海権を確保できたら、輸送船で陸軍を大陸に運び、ロシア軍と戦います。海軍の軍艦の大部分は開戦前に揃えられていますが、陸軍は一部しか動員が済んでいません。この動員が非常に大事で、例えば主力である歩兵師団は動員を下命してから動員完結まで2ヶ月(4ステージ)もかかり、それから輸送船で戦場に運ばねばなりません。先を考えてお金を使い、陸軍を動員しないといけないのです。
 さらにその陸軍をどこに振り分けるかも、よく考えなければなりません。日本軍は史実通り、朝鮮半島から進軍する第1軍・遼東半島の先の方から満州の中心部を目指す第2軍・旅順攻略を目指す第3軍・第1軍と第2軍の間を埋める第4軍・韓国から沿海州方面を伺う韓国駐留軍の5つに分かれています。第2軍と第4軍は海城で合流し、さらに第1軍も遼陽で合流して満州軍となります。第3軍は旅順を、韓国駐留軍はウラジオストックをそれぞれ陥落させたら、満州軍へ合流するように移動しますが、攻略するまではいったん各軍に配置した部隊を配置転換することは出来ません(満州軍に配属した部隊を旅順やウラジオに振り向けることは出来ません)。なので、先々のことを考えて部隊を配置しなければなりません。
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『日露戦争』に於ける各軍の進軍方向
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 そんなわけで、グラフィックやBGMは前世紀のゲームと変わらず、率直に言って操作性はあんまりユーザーフレンドリーでもないし、マニュアルが矢鱈と細かくてしかもそれをある程度ちゃんと読まないと意味が分からない、なかなか取っつきにくいゲームですが、予算をやりくりしながら動員をし、先のことを考えながら部隊や補給物資を用意する、そういう地味なところが好きな人には好きなゲームだろうと思います。
 現在でもダウンロード版が購入できるようなので、ご関心のある方はどうぞ。グラフィックの素っ気なさや操作性の微妙な不親切さが気にならなければ、結構お勧めです。

 さて、以下はプレイ経験ある人向けの、攻略法的な話になります。
 このゲームで最終的に勝利するには、二つの方法があります。一つはポーツマス会議を開くことで、鉄嶺まで陸軍が進出し且つ海軍がバルチック艦隊を撃破してロジェストウェンスキー提督を戦死・捕虜とするか、陸軍が四平街まで進出するかすれば、会議を開くことが出来ます。もう一つは、陸軍が長春まで進軍することで、そうすると日本軍が大勝利をおさめることになります。
 で、ポーツマス会議で大勝利の条件を達成するには、あらかじめ旅順とウラジオを陥落させ、樺太を占領しておくなど諸条件を整える必要があって面倒なので、長春までひたすら突っ走る方が話は簡単です。このゲーム、旅順は無理に攻略しなくても、旅順艦隊は大概全力出撃してくるので、それを撃滅すれば制海権の心配はありません。金州に監視の兵を1個師団置いておけば充分です(置かないとルール上第2軍が北進できません)。ウラジオの方も海軍は戦艦を1隻回しておけば大丈夫ですし、沿海州方面のロシア軍が朝鮮まで南下してくるのには時間がかかるので(序盤は大概動かない)、やはり監視の兵を多少置いておけば大丈夫でしょう。
 そんなこのゲームの攻略法をまとめたサイトに、以下のところがあります。

 「えろっち鍋」さん内「日露戦争覚え書き (攻略 ジェネラルサポート GS) 」

 こちらは、主に2ちゃんねるで検討された攻略法をまとめたのではないかと思われますが、この中に「長春18ターン」というページがあります。これがひたすら長春に向けて突っ走り、最速18ステージ(ターンは間違い)で大勝利する作戦です。このゲームは1ステージ半月で、1904年2月に開戦するので、史実よりも1年近く早く1904年10月下旬には戦争が終わってしまうことになります。
 で、これが最速大勝利を得る方法であることは間違いないのですが、旅順を落とさないと何だか勝った気がしませんし、せっかくウラジオストックもマップにあるのだから、出来ればこれも攻略して、地図上を日章旗で埋めたい・・・ってこのゲームのグラフィックは地味なので、拠点を占領しても旗が揚がるわけではないのですが、とにかく長春だけでなく旅順・ウラジオも陥落させて完全大勝利を目指したいものです。

 そこでしばし攻略を試みたところ、最速18ステージより僅か1ステージだけ時間をかければ、長春・旅順・ウラジオストックすべてを攻略可能であることが判明しました。他にこんなことを書いている人もいなさそうなので、何かの参考に、以下にその作戦を書いておきます。 

 旅順とウラジオを攻略する上で問題なのは、この両拠点が堅固な要塞になっていて、要塞には厄介な重砲が配置されていることです。重砲には重砲、ということで日本軍にも攻城のための重砲部隊がありますが、これは1個旅団しかありません。逆に重砲があれば、結構インチキな方法で要塞は落とせてしまうのですが・・・先に挙げた「えろっち鍋」さんとこにも「旅順攻略」のところにその方法が書いてありますが、これを更に磨き上げて1個師団+重砲旅団で1ステージで落としてしまう方法を、以前に労働収容所組合氏こと Study Hard 氏もしくは @Im_Weltkriege 氏がブログに書かれていましたので、それもご紹介しておきます。「旅順はおちるね」
 で、さすがにここまで露骨な裏技は封印するとしても、日本軍の重砲は1部隊しかないので、旅順とウラジオ両方に回すことはできません。しかし、実際のところロシア軍の要塞は重砲なしで陥落させることができますし、むしろ重砲は野戦に回してロシア軍の兵力を削るのに使った方が楽だろうと思います。
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陥落寸前のウラジオストック要塞

 重砲なしで要塞を攻略する方法は、先述のサイトの「陸戦指南」に書いてあるのと大筋は同じです。もうちょっと詳しく書くと、コンピュータの操作するロシア軍は最右翼・右翼・中央・左翼・最左翼・本営(予備)の6兵団に、基本的に均等に総兵力を割り振ります。しかし日本軍が一点突破を狙って一箇所に兵力を集中させると、その集中させる兵団の正面にロシア軍は全兵力の半数を集め、残りの4箇所と予備に1割づつを割り振ります。十分な兵力があればそれで押し切ってもよいのですが、一方日本軍が兵力を大きく2箇所に集めると、ロシア側はそれに対応して2箇所に全兵力の25%を、残りの3箇所と予備に12.5%づつ配分します。コンピュータなので中間は基本的にありません。なので日本軍が手作業で微妙な兵力配分にすると、「日本軍の2割を以てロシア軍の1割を攻撃する」とか、「60%で25%を攻撃する」ということができます。
 野戦の基本はこれですが、要塞も同じ方法で攻略できます。といって、もちろん要塞そのものに肉弾攻撃をかけるわけではありません。さすがに要塞には通用しません。しかし重砲に支援されたロシア軍はしばしば要塞から出てきます。日本軍の兵力が優勢ですとロシア軍は勝手に退却してしまい、要塞に籠もってしまうことがありますが、攻撃されない夜間に接敵して昼間退却すると、たいがい釣れます。要するに要塞の外に引っ張り出して通常の陸戦と同じ方法でやればいいわけです。要塞外でもロシア軍を攻撃する際、ロシア要塞の重砲攻撃を一度受けますが、日本軍としてはそれで敗走しない程度の兵力を集めておけば大丈夫です。こうすれば、籠城側より多少多い程度の兵力があれば1ステージで要塞を攻略できます。
 また重砲旅団がなくても、代わりに砲兵旅団を送り込めば火力としては十分です。というか、重砲40門の重砲旅団の火力より野砲108門の砲兵旅団の方が火力は大きくなります。重砲のように一方的に砲撃することはもちろんできませんが。

 さて、日本軍の総兵力は歩兵師団・後備旅団・機関銃隊が各13個、騎兵旅団と砲兵旅団が各2個、重砲旅団が1個あります。それぞれの詳細や動員にかかる時間は無闇と詳しい Wikipedia に書いてあるとおりですが、これをバランスよく動員して最短で長春・旅順・ウラジオを攻略する方法を考えてみます。
 で、兵力を送り込む方面は第1軍~第4軍と韓国駐留軍の5つあります。1・2・4軍はバランスよく進撃しないと海城や遼陽を落とせないし、第3軍が金州を占領しないと第2軍は進撃できません。初期の兵力はすでに動員されている3個師団ですから、早期攻略を目指してもこの5方面中3つにしか当てられません。第1軍には最低1個師団を送り込まないと敗北してしまいますし、残り2個師団は第2軍・第3軍に回すのが早期攻略には不可欠です。となると、第4軍と韓国駐留軍を開戦後動員した部隊で如何にして早く進撃させるか、となります。
 第1ステージに動員した師団が動員完結するのは4ステージ後なので、この時に動員した師団を単純に韓国駐留軍に振り向けると、第5ステージ動員完結・第6ステージ仁川上陸・第7ステージソウル到着、となってウラジオ攻略は最速で第20ステージになってしまいます。
 そこで、「長春18ターン」の方法を使い、第1ステージに2ステージで動員完結する騎兵旅団を動員し、これを韓国駐留軍の先兵に使います。このため第4軍は、第1ステージに動員した歩兵師団の動員完結まで進撃を始められないので、長春18ステージ攻略より1ステージ遅くなってしまうわけです。
 その後の動員は、バランスを考えつつ、歩兵師団は動員に時間がかかるので2ステージで済む機関銃隊を適宜利用していけば、19ステージ(1904年11月上旬)に長春・旅順・ウラジオストックすべてを攻略することができます。
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第19ステージ(1904年11月上旬)に長春・旅順・ウラジオストックを攻略
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 小生の場合、第1軍に2個師団と2個機関銃隊(序盤、2個師団めが間に合わない状況でロシア軍1個シベリア軍団と対峙する必要があるので、初期に機関銃隊を動員)、第2軍に3個師団と1個砲兵旅団・2個機関銃隊(重砲旅団を使いたいが時間も費用もかかり、重砲が戦場に到着する前にロシア軍西部集団の反撃を招くので砲兵旅団を動員)、第3軍に2個師団と重砲旅団(旅順は19ステージまでに落とすのであれば時間の余裕があるので、重砲をこちらに回した)、第4軍に1個師団と6個機関銃隊(これも2個目の師団の動員が海城攻略までに間に合わないので機関銃隊を動員)、韓国駐屯軍に4個師団と1個後備旅団さらに砲兵・騎兵各1個旅団と3個機関銃隊、樺太攻略に2個旅団を動員しました。機関銃隊は動員に4ステージかかる歩兵師団や6ステージかかる後備旅団と異なり、わずか2ステージですむ一方、2個機関銃隊でだいたい後備旅団1個と同じくらいの火力があるので、これを有効に活用するのがポイントのようです。
 ただし、最速攻略をリロードなしで実現するのは、奇蹟的な幸運が必要でしょう。なにせ、海が荒れて1ステージ部隊の揚陸が遅れるだけでこの計画は失敗してしまいますので。あと、ロシア軍の西部集団・中央集団や沿海州集団が積極的に南下をどんどんしてきたりしても、対応できなくなるだろうと思います。

 以上、誰が読みたがるのか書いた人間にも謎な企画でしたが、とりあえず史実より1年近くも速く、史実より圧倒的な勝利を挙げてみてまず思ったことは、「この世界では戸水寛人が『ウラル以東割譲!!』とか叫んであだ名が『ウラル博士』になってるだろうなあ」ということでした。

 ちなみに戸水が対露強硬論を唱えていたことは、「七博士意見書」などで日本史の教科書にも載っていますが、日露戦後の戸水がどうなったかは教科書に書いてありません。実はその後の戸水は、インチキ投資話の誇大広告にその名を貸し、世間の顰蹙を買った・・・という話はちゃんと Wikipedia の戸水の項目にも載ってますね。やはり小生と同じく小川功『虚構ビジネス・モデル 観光・鉱業・金融の大正バブル史』(日本経済評論社)を読んでいた人がいたようです。小生も同書を読みましたが、まずなにより大正時代のインチキ会社の話が滅茶苦茶面白いです。経済史の学問上、このような泡沫会社をどう位置づけるかはなかなか難しいのではありますが、とにかく読んで面白い本です。日本最初のトロリーバスを走らせた「日本無軌道電車」という会社は電車以上に会社の経営が無軌道だったとか、経済史を学ぶ人以外にも、ちょっと素直でない歴史好きにもお勧めの本です。
 話が例によってとっちらかっていますが、とにかく一見地味そうだけど面白いものは世の中探せば結構あるということで。
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by bokukoui | 2011-10-14 23:59 | 歴史雑談 | Trackback | Comments(4)

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Commented by MiG28 at 2011-10-31 23:53 x
私が何年か前にプレイした時は、韓国駐屯軍は牽制程度に止め、「日露戦争覚書」の旅順攻略法を使って重砲旅団を満州軍に早期合流させ、バルチック艦隊来襲前に大勝利達成、という流れだったような気がします。
しかし大勝利の講和条件が賠償金12億に北樺太割譲、おまけに沿海州の利権獲得というのは、後世に色々禍根を残しそうで何とも。
Commented by bokukoui at 2011-11-01 23:58
その方法が、いちばん一般的な攻略法だろうと思います。なので、違うことをやってみたかったわけで。

もし日本がこんな大勝利を収めたら、ロシア革命にプラスに働くのか逆なのか、などと考えてもきりがありませんが、まあ戸水の行動が「ウラル博士」だというのは当たりそうな気がします(笑) このゲームの大勝利でも、戸水の主張した講和条件を下回ってるんですよね。
Commented by kk8998982 at 2016-04-23 14:27 x
「無闇やたらと詳しいWikipedia」の記事を増やした「張本人」の私が通ります…(笑)
「裏技」を使って、旅順、ウラジオストク両要塞陥落(バルチック艦隊は「カムラン湾」でお昼寝、因みに、両要塞攻略に重砲旅団は使用せず)四平街陥落、樺太全島占領でポーツマス講和会議で「全ての条件を飲ませて大勝利」は、やった事がありますが、「最小ターンで完全勝利」はやった事がないですね…(^_^;)
参考になりました…m(_ _)m
Commented by bokukoui at 2016-05-09 10:29
>kk8998982さま
コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして失礼致しました。
あの詳細なウィキペディアの項目を執筆された方のお目に本記事が留まりましたとは、光栄です。面白がっていただければ嬉しいです。
小生もポーツマス講和の最大条件はやってみたことがありますが、あれはロジェストウェンスキーを撃破しないと賠償金の最大額が取れないと思い込んでました。ご教示ありがとうございます。
それにしても、十数年経ても新たな発見があるとは、『日露戦争』はなんとも素敵なゲームですね。
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