池袋で犬を食い白酒を呑んだ話・つづき 白酒飲み比べ談

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犬の炒め物@大宝 池袋北口店
(別にグロ画像だから小さいんじゃなくて、単に写真が呆けているのがばれるから)

 よろず世間とはズレている(トチ狂っている)当ブログですので、1年以上前の話題の続きを書くことぐらいはあたり前です。
 というわけで、当ブログの過去記事「池袋の「中華街」で白酒(中国焼酎)を呑み犬を食う話など」の続きというか補遺の話を。また関連する記事として「爆発!? する中国製「燕京ビール」を池袋で愛飲してた話」なんてのもありますのでそちらもどうぞ。




 以前、犬のスープの話を書いたところ、物好きにもご関心を示して下さった方がおられまして、そして更に1年余の時を経て上掲リンク先のとびさんと近日犬食会が催されることとなりましたが、それに関連して、スープ以外にも犬料理がある、というのが巻頭の写真です。犬の炒め物ですね。
 ぱっと見は普通の中華料理に見えます。食べてみても、肉は実に柔らかでなかなか旨く、特に抵抗を感じるような味ではなかったと思います。ただ、確かにスープのと通じる独特の香りがあります。物の本によれば、中国ではこの特徴から犬肉を「香肉」と呼ぶそうで、なるほどと納得しますが、人によっては香りというより「臭み」と思う方もおられるかも知れません。個人的感想では羊肉と比べれば「臭み」より「香り」に近いのではないか、とも思いますが・・・。羊が好きな人なら犬だって、と思います。
 ま、あんまり自分の感覚が一般的とは思えないのでこれを推しはしませんが、料理同士で比べれば、スープよりは炒め物の方が香りが感じにくく、こちらの方が抵抗が少ないのではないかと。

 先にリンクした「鳩の切り売り・量り売り」のとびさんの記事では、犬の話ついでに蚕のサナギを食う話も出てきます。これも実は過去に池袋で何度か試してみました。
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蚕のサナギの串焼き@大宝 池袋北口店
(これは人によってはグロ画像扱いかと小さめにしております)

 で、これはやはり、旨いものとは思われないのが正直なところです。「プチッと噛んで中から生臭い汁がドロッ」ということはないですが、外の殻が歯に引っかかって残る感じがするし、そのプチッ・ドロッを避けるためかややパサつくようなものでもあったかと。品と料理法を吟味すればもっと旨いんでしょうかねえ・・・?

 更に白酒の話ですが、小生は今年、白酒を呑みすぎて階段から落っこちて救急車で運ばれる一大不祥事を起こして以来、白酒は自粛しております。あまり詳細は語りませんが、アルコール度数が高い割に翌日に響かないこともあれば、精神的に緊張していたりストレスが溜まっていると碌でもないことになる、その振幅がとりわけ大きい飲み物だろうとは感じました。
 でも、また呑める調子になれば呑みたいと思ってもいるわけで、どれだけ反省してないんだよと呆れられそうではあります。実際、小生に関し「アル中疑惑」がアジトクラスタ周辺で囁かれたこともありましたが、不祥事後相当長期に亘り完全に禁酒していて特に抵抗もなかったこと、自宅では全く呑まないこと、酒を飲んでいてもいなくても暴言に変わりはないこと(!)などからその疑いは晴れた模様です。
 それでも敢えて白酒について語りたいのは、小生が酒について、ブランドごとの味の違いを味わい分け、あれやこれやと探求してみたい、という思いに駆られた酒は、白酒が初めてだったからです。

 小生は日本酒を飲むと悪酔いした経験しかないのですが、まあ呑むというだけなら人とつきあって(一人で呑むという発想は小生にはありません)いろいろと呑んできました。ですが、ワインにせよ焼酎にせよ、どうもこれといって、微妙なブランドの差を味わい分けてどうこう、という境地には至りませんでした。それだけのいいものを呑む機会がなかっただけかも知れませんが(笑)
 然るに、白酒についてはそうではなかったんですね。何か波長がよく合ったとしか思えません。自分でも不思議に思っています。

 そんなわけで昨年の某日、旧友のたんび氏が来訪した折、白酒を3種類飲み比べてみたことがありました。
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白酒いろいろ 左から紅星二鍋頭、汾酒、瀘州老窖酒
(これは飲み終わってから撮った写真なので空瓶です)

 上の写真の三種のうち、紅星二鍋頭と汾酒は池袋で求め、瀘州老窖酒はいつぞや人生初のバーに行った際に呑んだものを、その後単身呑みに行った同道者が譲ってきてくれたものです。バーに来る客が中国の白酒を注文することは考えにくいですし、白酒は香りが強いのでカクテルにも向かなさそうだし、あっても確かに使い道がなさそうです。

 で、それぞれのお酒のアウトラインを紹介すると、紅星二鍋頭は北京あたりでもっともポピュラーなブランドで、二鍋頭という酒(2回蒸留するからこの名前があるそうな)もその地域でよく飲まれているものだそうです。白酒はその香りによって分類されますが、二鍋頭は清香型という、比較的あっさりした香りのものだそうです。度数は56度あります。
 その中でも、この紅星ブランドは普及品らしく、この小瓶(100ml)は池袋で250円かそこらで売っていたと思います(中国じゃ50円くらいらしいですが)。一般的な500ml 瓶の場合は、池袋では680円で売ってたっけかな? 池袋の中華料理店では、安いところで1000円、高いと2000円、平均1500円くらいで供されています。

 汾酒は古くから白酒の代表として知られ、山西省で産するそうです。これも清香型で、度数は45度くらいだったかな? 白酒は毛沢東のおかげで茅台酒が有名になりましたが、それ以前はこちらの方が有名だったようです。戦前に書かれた青木正児『華国風味』では、酒の話で白酒を取り上げた際、汾酒を代表として名前を紹介する(他に名前は出てこなかったような)一方、茅台の名は出てきません。
 汾酒にもピンからキリまであるそうですが、これは池袋で一瓶1600円くらいで売っていた、比較的お安いものです。

 瀘州老窖は四川省の有名ブランドで、この中では最高級です。四川省には有名な白酒が多く、茅台以前から高級酒として名を馳せていた五粮液が代表ですが、瀘州老窖もそれに並ぶブランドだそうです。香りとしては濃香型という香りの強いタイプに属し、度数は52度です。値段は貰い物なのでよく分かりませんが、調べてみると一瓶8000円前後はするようです。
 池袋でこれを置いている店を見たことはありませんが、同等の五粮液が1万円前後であることからすれば、店で飲んだらやはりそれくらいはするのでしょう。

 さて、これを二人で飲み比べてみましたが・・・極めて当然のことながら、「味は値段に比例する」という結論が出ました。もっとも値段だけで見かけ倒しということがないのは結構なことです。
 中国では中秋の贈り物に月餅を贈るそうですが、それが賄賂となっている場合が多いそうで、中には初手から賄賂向けなのか、無闇と高い(日本円で何千円とかする)ような月餅もあるそうです。そういうのが旨いのかというと、実際に食べる機会のあった日本人の経験談では、クソまずい上にお腹を壊したとか何とか・・・。

 白酒くらい度数が高いと、味というよりはむしろ香りの違いになります。その香りについて、日本人で白酒を呑んだ経験のある方の少なからぬ方々が、「臭い」「セメダインみたい」といいます(「セメダイン」はとびさんの記事中に出てくる表現ですが、偶然にも出張で中国に行った友人も同じ表現をしていました)。
 で、この中では紅星二鍋頭の香りというか臭いが、まあそう言われても仕方のないようなところではあります。アルコールの蒸気と一緒に、どっと強い香りが鼻に抜けるので、慣れないとこれだけで「うっ」となってしまうでしょう。小生はいい加減慣れたのですが、やはりもうちょっと高い酒を呑むと違いがはっきり分かるので、どうせたまにしか呑まないなら、その方がいいかなとは思います(笑)。
 これが汾酒になりますと、「臭い」よりは「香り」になっているんじゃないかと思います。やはり一瓶680円と1600円の差ははっきりしていました。
 そして、それが瀘州老窖になると、素晴らしい香り、といっていいと思います。「馥郁」という漢語を実感できるというか。アルコールの度数は半端なく高い(52度)のですが、香りの良さで呑めてしまうという感じです。それはそれで危険かも知れませんが・・・ま、高いからそんな呑めないよね(苦笑)。

 音痴の小生がこんな比喩を使うのも何ですが、それぞれの酒の香りを音楽にたとえるならば、紅星二鍋頭の香りというか臭いの衝撃は、ジャイアンのコンサートばりに「ホゲェ~!」と鼻に襲いかかります。汾酒はこれと比べるとちゃんと香りになっている、勢いある軍楽手の進軍ラッパというところでしょうか。これが瀘州老窖になると、オーケストラの演奏の如く複雑な香りが層をなして感じられる、というところです。

 さて、白酒の話などはまだあるのですが、とりあえず今日はここまで。また心置きなく呑める日が来るまで、実物は触れずに情報収集に努めることとしましょう。論文の査読が通ったら五粮液呑もうと思っています。
 そして、本記事中でご紹介した「鳩の切り売り・量り売り」のとびさんと、今週土曜日に犬を食する会を池袋で開くことになりましたので、こちらのサイトを読まれてご関心を持たれた方がおられましたら、ご参加も歓迎しております。小生まで適宜ご連絡下さい。

※追記:この会の顛末についてはこちらの記事をご参照下さい
「池袋で犬を食いそびれて餅を食った話」

※更に追記:更なる犬を食う話はこちらに。
羊串狗肉 東京で犬を食う話・続き~楽々屋@池袋、故郷味@御徒町
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by bokukoui | 2011-11-17 21:58 | 食物