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ウェイトレスが袴なファミレス「馬車道」が特定規模電気事業者(PPS)になっていた

 このブログ、元々制服やらメイドやらを扱う同人サークルのサイトのコンテンツだったはずなのに、同人を休業してサイト本体も消滅して、すっかり鉄道史と電力業史と鍋焼うどんのブログになっておりましたが、久しぶりに制服系ファミレスの話題・・・なのか?

 で、タイトルそのまんまなのですが、ウェイトレスさんが袴に矢絣の「はいからさん」スタイルで有名な、埼玉を衷心に展開しているファミレス「馬車道」グループが、なんと電力会社になっていた!? という、まあそれだけのことなのですが、驚きました。

 昨年の原発事故以来、発送電分離やら電力自由化やらが一時世間を賑わせましたが、実のところ90年代末以降着実に電力業の自由化は進められており、一般に「電力会社」といって思いつく、いわゆる10電力以外に、いくつもの電気事業者が新たに誕生しました(10電力以外にも電源開発とか原電とか公営発電事業とかもありましたが)。
 かくて登場したのが、特定規模電気事業者(PPS)と呼ばれるものです。従来の10電力は一般電気事業者といい、定められた営業区域内のすべての需用家に供給できる(需要家から要求があったら供給義務がある)のに対し、PPSとは一定規模以上の需用家(今は50kW以上)に限って供給する事業者です。一般事業者に対し競争相手を導入することで、電気料金低下につなげようという狙いですが、戦前の「電力戦」みたいに一つの工場へ2社が送電線を引き合う、というような愚行はせず、PPSは一般電気事業者が従来持っていた送電線で電気を託送することで供給するのが原則です。電気は自社で発電所を作る場合もありますし、市場で仕入れることもあります。
 で、市場で電気を売る方を専門にやっているのが、卸売の電気事業者で、昔から電発と原電という超大手がありましたが、特に最近話題になっているのが独立発電事業者(IPP)です。これも電力自由化で登場した業態で、こんな感じで小売部門と卸売部門とで、従来の一般事業者による独占を崩す仕組みは生まれています。

 さて、PPS最大手のエネットを挙げるまでもなく、PPSとかに進出する企業として多いのは、やはりガスや石油など元々エネルギー関係の会社です。そして製鉄や製紙のような、電力をたくさん消費し自家発電を大規模に行っているような製造業もあります。商社もいろいろ取り組んでいるようで、外国で燃料を買い付けるのは得意そうですね。
 というわけで、なんやかんやで現在PPSは54社もあるそうです。こちらの資源エネルギー庁のサイトの一覧表をご覧下さい。自由化で新たに事業を興した会社も多いですが、だいたい上に挙げたようなエネルギー系・製造業・商社の関係企業が目につきますね。

 しかし。
 この一覧表の41番は。
41  事業者名:株式会社馬車道

   所在地:埼玉県熊谷市万吉2950番地1

   事業開始予定日:平成23年4月1日
 同名の会社かと一瞬思いましたが、検索したら所在地にはファミレスの馬車道の本社と工場がありました。うーん、意外な業務展開ですね。

 馬車道のPPS進出についてはネット上にも情報が乏しく、何しろ馬車道の公式サイトにすら記述が見当たらないのですが、一つだけ、エネルギー情報局というサイトに記述があるのを見つけました。
株式会社馬車道

2011年1月11日PPS登録。馬車道は関東地域で160店舗(09年9月現在)を展開しており、自社関連施設への供給が中心となるも模様。

しかしながら、震災によりJEPX価格が上昇しており、事業開始を見送り。
 ということなのだそうです。なお、JEPXというのは電力の卸売市場のことです。
 うーん、それにしても間の悪いことですね。PPSに登録されたものの、直後に震災で事業開始先送り。だから、馬車道の公式サイトを見ても関係する記事が発見できなかったのだと思います。

 ところで、このエネルギー情報局さんの記述からすると、馬車道はファミレスの店舗で使う電気を安く供給しようとPPSに進出したもののようですが、外食産業のコストで電力がそこまで大きいのかなとちょっと不思議に思いました。それならもっと先に、より大きな外食チェーンが進出しても良さそうなものです。外食産業のコストはやはり、原材料費と人件費で、店舗の維持費(家賃とか償却とか)や什器の費用も大きそうですが、電気は更にその下ぐらいで・・・いやもちろん、安くできればそれに越したことはありませんが、それこそグループ全体でどこかのPPSと契約して電気をまとめ買いすれば、それなりに安くできそうな気もします。結局どこにPPS進出のインセンティヴがあったのでしょうか。
 先ほど事業者所在地を紹介しましたが、その住所でぐぐってみると、馬車道の本社工場以外にも周辺はたくさんの工場が立地しているので、もしかしたら店舗以外にもそういった工場向けに何かやろうという構想があったのかも知れません。この辺、ビジネスモデルについてご存じの方がおられましたら、是非ご教示いただければと思います。
 とはいえ震災による電力事情の激変からすると、このままお蔵入り事業になってしまいそうな気もしますが・・・。

 というわけで、制服マニアには周知のファミレス・馬車道が、意外な新業態に進出しようとしていたというお話でした。
 このことに気づいた時、小生の脳裏には、紫の矢絣と袴を身にまとい、ブーツを履いた「はいからさんが行く」スタイルのすみれ女史が、給電司令所でモニターを監視しながら電話を握りしめ、「今日の寒さではきっと、現在フェア中の『あつあつビーフシチューハンバーグセット』が出るに違いない! オーブンのフル稼働に備え、全ボイラーを点火せよ!」などと指令を出している場面が、浮かばずにはいられませんでした。

※2012.4.19.追記
 この話をツイッター上でもさわりを紹介したところ、予想外に多くの方の関心を惹いたようで、ありがたい限りです。その反響のうち、流れ去るには惜しいものを一つ記録させていただきます。当ブログでも以前、著書『速水螺旋人の馬車馬大作戦』『靴ずれ戦線』を紹介した、速水螺旋人先生のツイッターです。
Хаями Расэндзин@東京練馬@RASENJIN
馬車道の発電所は意味もなく湯気を噴出するスチームパンクマシンであって欲しい。それに群がるはいからさんスタイルの娘さんたち。飛び交う号令と復唱。急を告げるベル。よくわからないクランクやカム。
2012年4月19日 - 1:24
 螺旋人先生には是非、このスチームパンクなイラストを・・・!

※2012.9.26.追記
 何とこの、「はいからさん発電所」ネタをイラストにして下さった方が!

 「證詞の百合花」より:「馬車道発電所」

 ありがたい限りです。ぜひご覧下さい。


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by bokukoui | 2012-04-18 23:59 | 制服・メイド | Trackback(1) | Comments(0)

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Tracked from 障害報告@webry at 2012-04-21 14:59
タイトル : ここは酷い混浴の公衆浴場ですね
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