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筆不精者の雑彙

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今日の東急デハ5001号の状況(69) 東横線渋谷駅移転記念でやや分量多め

 首都圏ではメディアで結構報じられていたので周知と思いますが、一月前の3月16日に東急東横線の渋谷駅が地下に移転し、東京メトロ副都心線との直通運転を開始、同線を介して東横線と西武池袋線・東武東上線がつながるという大きな変化がありました。東急にとっては前身の東京横浜電鉄が1927年にターミナルを置いて以来、さらに遡れば玉川電鉄が1907年に渋谷まで開業して以来の長きに亘って起点だった渋谷が、発展的解消とはいえ事実上中間駅となったことには、いささかの感慨を持ちます。ま、厳密に言えば、玉電は一時、天現寺橋まで路線を延長していたから、渋谷駅がターミナル(起点)でなくなっていた時代はありましたが・・・。
 で、東横線渋谷駅移転やヒカリエ開業にともどまらず、引き続き銀座線渋谷駅移転や高層ビル建設などの渋谷の再開発計画は目白押しだそうで、それ自体は基本的に結構としても、その中でこのデハ5001号はどうなるのか、慎重に見ていきたいと思います。
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 というわけで、新年度初の調査に赴きました。平日の昼過ぎでしたが人は多く、修学旅行生らしい中学生の集団や、外国の人々、何かの「街の声」の取材に来ているらしいテレビ局、スクランブル交差点を行き交う宣伝トラックや右翼の街宣車など、相変わらず賑わっています。



 それでは例の如く、車体の前の方から見ていきましょう。
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車体前面の手すり付近

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車体前面のワイパー取付台座附近

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車体前面下部の尾灯

 前面に大きな変化はないようですが、尾灯周辺の痛みがやや酷くなっているようです。

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運転台扉の手すり(上)附近

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運転台扉の手すり(下)附近

 ここの手すりは、下側の傷が大きくなっているように見えます。

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運転台寄りドアの周辺

 ドア回りは元から痛みの激しい分、最近の変化はあまり目に付きませんでしたが、下の方にまた傷が増えていたようです。

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運転台寄りドアの戸袋窓周辺

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上掲写真の右下に見える傷を接写

 戸袋窓も痛みの大きい場所で、特に向かって左下が酷いのですが、幸い今回はそれほどの変化が見られなかったので、右下周辺を中心に。下の写真のやや大きい傷の他にも、この窓の下の車体には小さな傷がいくつかあります。

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運転台から2枚目の窓の下辺

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運転台から2枚目の窓の右下

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同じ窓の下の車体

 運転台の方から2枚目の窓周辺です。この窓も戸袋窓に次いで傷が目立ち、錆が流れ出ています。車体の下部の方にも横長のひび割れができていたのは前回お伝えした通りですが、心なしか少しひびが広がっている気もします。

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シールが貼り付けられていた車番

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除去しておきました

 車番のところにシールを貼り付けていた不逞の輩がいたようです。ので剥がして、手持ちのタオルで拭いておきましたが、この車輌の掃除はちゃんとなされているのでしょうか。行政がしないのならば、そろそろ有志団体を立ち上げて、とも思いますが、この車輌設置の経緯が経緯だけに、区長の思いつきの尻ぬぐいを押しつけられるだけではないかというフンマンも湧いてきます。

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運転台から3枚目の窓の下辺

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運転台から3枚目の窓の右辺

 さらに右側の窓に目を移します。戸袋窓意外の窓周りも次第に痛んできています。この窓の下側の車体には、何やら白い汚れが付いたままになっていますが、良い写真がないのでそれは省略させていただきます。

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運転台から4枚目の窓の下の車体
(この写真はクリックすると拡大表示します)

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運転台から4枚目の窓の左辺

 運転台から4枚目、車端部寄りのドアの向かって左側の窓周辺です。この窓周辺は先程と違い、窓の下の車体に傷が目立つ箇所です。前回と比べ新たに大きな傷ができているわけではないですが、個々の傷はやはり着実に大きくなっています。窓周り自体は他の窓よりはマシな方かと思いますが、しかしひび割れが出てきていることは上に掲げた通りです。

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車端部寄りのドア周辺(1)

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車端部寄りのドア周辺(2)

 車端部寄りのドア回りです。ここは前から傷の多いところの分、最近の変化はそれほどないように思われますが、戸袋側の(2)の方は少し傷が増え、またゴムの痛みも大きくなっているようです。このようなゴムのものは、金属製の部分にもまして保守が難しいところではあろうと思いますが、かといって対策も難しそうです。今でも出入り口のドアとして使っている以上は、実用品として定期的に交換するのが筋でしょうか。

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車端部寄り戸袋窓の下の車体
(この写真はクリックすると拡大表示します)

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車端部寄り戸袋窓の左下

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車端部寄り戸袋窓の左側

 人の待ち合わせの場になっていることが最も多く、そのためか痛みも酷い車端部寄り戸袋窓周辺の状況です。全体の状況は一番上の画像の通りですが、最も大きい左下角の剥がれは去年より少し大きくなっています。他はそれほど変化はないように見て取れますが、屋根からの雨水が流れ落ちる辺りの汚れはさすがに酷くなっているようです。

 妻面の方に移りましょう。
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妻面向かって左の窓周り

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妻面の貫通扉の左下

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車端部の梯子段の一つ

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割れた車端部側のフットライト

 妻面も待ち合わせのメッカというべき場所で、昼間に全体像を撮るのは困難です。こちらも着実に痛みが増えているように見受けられます。
 また、車体を載せている台座には、いくつかフットライトのようなものが仕込まれているのですが、これのうち車端部に一番近いのが割れていることに気づきました。今まであまり注目してこなかったので(5001の車体そのものではないから)いつから割れていたのかはよく分かりませんが、2011年頃には少なくとも割れてはいなかったように思われます。もっとも、正面のライトはずっと以前に壊れてしまっていますし、夜に通りかかってもこのライトが付いていたのを見た覚えはあまりありません。前照灯は点いていますが。これもまた、当局の計画倒れの象徴ということでしょうか。

 最後に、裏側の様子を。
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衝立の隙間から覗いた車体の裏面

 ここはいつもゴミが散乱していますが、毎回ゴミの種類が違うので、定期的に掃除はしているのか、或いはゴミの一時置き場になっているのでしょうか。

 さて、車内の展示の様子を見てみましょう。
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4月の展示「大正・昭和の渋谷(白根記念渋谷郷土博物館・文学館提供)」

 これまでもまま見られた、歴史的な写真の展示を、この時は行っていました。

 ところで小生は、実はこの一月ほど前にも、冒頭で述べた東横線渋谷駅の移転直前の状況を伺い知るべく渋谷で途中下車しておりまして、その際にデハ5001号の中もちょっと覗いて来ました。この頃は、首都圏のメディアでは渋谷駅の話がちょこちょこ取り上げられており、やはり著名な地だけに鉄道趣味者以外の関心も広く惹いていたようです。渋谷駅移転前後の写真は立派なものがネット上でも他にいろいろあるでしょうから略しますが、そういった取材や鉄道マニアのみならず、若い女性がタブレットを掲げて駅の模様を撮っていたりもして、沿線の利用者からの注目も大きかったわけですね。
 となりますと、東横線旧渋谷駅で長きに亘り活躍していた旧5000系ですから、これはもしかしたら関連した展示でもしているんじゃないかと期待したからです。東急は私鉄ファンの間でも注目度の高い会社だと思いますので、ちょっと募集をかければ沿線のマニアから「青ガエルと渋谷駅」というお題の写真を集めることができたように思われます。
 ですが、3月14日(移転前々日)の5001号の展示は、こんなのでした。
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「TOKYO 渋谷 LOVERS PHOTOGRAPHERS 第1回展示【変貌する渋谷展】」
(2013.3.14. 撮影)

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「TOKYO 渋谷 LOVERS PHOTOGRAPHERS とは?」
(2013.3.14. 撮影)

 この展示会について、下の写真に掲げられた趣旨説明? を以下に書き起こしておきます。
TOKYO 渋谷
LOVERS PHOTOGRAPHERS とは?


愛する渋谷を写真で表現するには、
私、所幸則が自分一人の目線、
コンセプトで取り組むだけより、
自分とは違うコンセプトを持って、
いろいろな表現スタイルで
渋谷を表現しようとする
複数の作家が必要ではないか。
同じ対象を捉えようとする写真家達
によって写された、
より濃厚な渋谷を沢山の人に見て欲しい。
なにより自分自身が見たいのかもしれません。
TOKYO 渋谷
LOVERS PHOTOGRAPHERS
これはそうして生まれた集団です。
主宰 所幸則
 というわけで、「変貌する渋谷」といっても、特段東横線の駅移転と関係しているわけではないようです。むしろ、以前から時折5001号周辺で見られた、「渋谷芸術祭」「渋谷パラダイス」の系譜に連なるもののようです。
 これははなはだ懸念されることのように小生には思われました。というのも、東横線渋谷駅移転は、現在進められている渋谷周辺の再開発の一環といえるわけで、それに際してデハ5001号のこのような使われ方は、今後の再開発の中でこの車輌をどう活用するのかということが見えていない状況証拠ではないかと疑われるからです。再開発にはもちろん、百貨店ビルの建て直しを進める東急が大きな役割を果たすことになるはずですが、そんな動きとはこの車輌がすっかり切り離されている状況ではないかと。もちろん、東急の側が関心を示さないということも、幾ら東急車輌を売却したとはいえ、技術的基盤によって立つはずの企業としては嘆かわしい限りです。
 となると、今後の再開発の進展次第では、当初の目的を何ら達成しなかったこの5001号が解体撤去の可能性も考えられそうです。こと、東急がもう気にしていないことは明らかですし、この車輌を管理している「地元」も関係を強化しようとしているようでもなさそうですし。

 そして正直、先述の「渋谷芸術祭」にしても、この種の行政主体の「アート」振興というのはあまり期待できないような気もするのですが・・・以前もそんなことを当ブログに書いたりしましたが、こと渋谷の場合は、当ブログの記事で報じたように、茶道のような「日本の伝統」で教育をすると言い出したり、あと詩吟についても同じようなことをやっているという噂もあり、商店街も有名な「センター街」の名を「バスケットボールストリート」なる意味不明な名前を付けて全く定着していなかったり(これは「スポーツ振興」からオリンピック招致も関係あるのか?)、というより不安視をさせられる「実績」ばかりが次々と思い浮かんでしまいます。
 渋谷の街には確かに他にはない魅力があったのですが、「安全・安心」の名の下にそれをことごとく拭い去って、お役所的な「健全な若者」像を押しつけてみたところで、町の振興になるとも思えません。再開発して東急とJRが巨大な駅ビルを作り、その中でお客を循環させてればいいんじゃないかという、やけっぱちな発想も浮かんできてしまいます。それにしても、5001の将来は明るくなりませんが。

 なお、展示の一角にはこんな張り紙が増えていました。
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熊本電鉄に残る5000系の紹介と5000系の側構を表した図

 上の写真の出典はちょっと分かりませんが、下は多分宮田道一氏の本ではないかと思われます。氏の尽力でもとはこの車輌が保存されたのではないかと思うのですが、今や・・・。
 なおこれまでの事例に鑑みて、これらの掲示をしたのはおそらく、直接この車輌の管理にあたっている渋谷区シルバー人材センターの方で、当局ではなかろうと思われます。明るい材料はこれぐらいでしょうか。

 せっかくの、渋谷の交通網の節目となる時節を期しての取材でしたが、どうも考えることは前向きにはなりませんでした。それだからこそ、今後とも5001号については注視が必要と考えます。
Commented by めかちゅーん at 2013-04-26 22:56 x
結局、渋谷のデハ5001というのは所詮、Always三丁目の夕日のような消耗品としてのノスタルジーでしかなかったのでしょうか?

少なくとも関係各所のデハに対する仕打ちを見ると、そんな感じがします。
Commented by bokukoui at 2013-04-27 23:39
そうですね、技術的な歴史上の意義ということについて渋谷区当局は考えているとは思えません。この点に関しては、東急グループの見識こそもっとも疑われることですが。
敢えていえば、渋谷の魅力はむしろ若者向けの未来志向にあるのであって、そもそもノスタルジーに走る時点で終わっていたのかも知れません。
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by bokukoui | 2013-04-16 23:59 | [特設]東急デハ5001号問題 | Comments(2)