森薫『エマ』7巻入手・その他英国関連文献など今月の書籍状況

 機械の不調などにより更新がやや思うに任せず、若干ストレスがたまったりしております。

 さて、いよいよ森薫先生の『エマ』が完結し、先日最終巻の7巻が発売され、小生も入手しました。「購入」でなく「入手」なのは、これはもともとたんび氏が購入したモノだった所、昨日たんび氏宅で氏の慰労麻雀大会が開催され、しかし何故か小生が勝利を収め、その他の件もあわせ氏と諸々精算となった折小銭がなくて端数が払えず、たまたま『エマ』の額がちょうどそれに合っていたため、物納と称し小生が取得したという次第であります。
 最後の局で聴牌した大三元を上がっておれば『プ~ねこ』も物納だったでしょうがそうはうまくいかず。
 で、帰りの電車で『エマ』最終巻を読んだのですが・・・

 感想などはまた後日にさせてください。
 一つだけ、編集当局は大変的確な決断をされているのではないかとは思いました。

 先月末に『図解 メイド』が出て以来、『エマ』7巻を取得するまで、振り返ると何か異常な調子で本を買っていたような気がして、ちょっと積んでみました。 
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 既に積読本が三十冊はあるというのに我ながら何なんだか。図書館で読んだことがあって、たまたま見つけたので手元に置いておこうと思って買った物もあるので、全部が未読というわけではないし、漫画はすぐ読めたし、新書もそれほどはかからないのですが・・・でもちょっと資金繰り的にも置き場所的にも危機的な状況を惹起しております。そんなに本を買いたくなるほどストレスに満ち満ちている訳でもない、と思うのですが・・・
 え? クレフェルト『補給戦』復刊? こりゃ即買いですな。

 上掲写真に新井潤美『階級にとりつかれた人びと』という本が写っていますが、 この本も買って初めてまともに読みました。現在の我々の視点からすれば、貴族より下層中産階級の話の方が興味深いところで、なかなか面白く読了しました。
 そこで、随分昔に古本屋で買ったまま積んでおいた、下層中産階級に関する本があったな・・・と思い、書架から発掘してきて、今読んでいます。『イギリス下層中産階級の社会史』という論文集の翻訳書です。原書が『階級にとりつかれた人びと』の参考文献に挙げられていることは言うまでもありません。
 これが読んでみるとなかなかどうして面白く、実に示唆されるところの多い論文集でした。直接使用人の話はあまり出てこないし、下層中産階級はそれほど使用人を雇えていたわけでもないのですが、もうそんなことはどうでもいい、ってくらい面白いのです。まあ、これは小生が最近近郊住宅の歴史に些か関心を抱いているせいでもあるからなのですが。
 一箇所、引用してみます。リチャード・N・プライス執筆の第3章「ジンゴイズムと下層中産階級の愛国心 1870-1900年」の末尾です。ジンゴイズム jingoism とは、本書の訳注によれば、「一般に、偏狭な愛国主義や盲目的主戦論、対外強硬論を表す言葉」(同書p.85)です。
 ・・・さらにジンゴイズムはあることがらの結果にほかならなかった。というのは、彼ら(引用注:下層中産階級。事務員などホワイトカラーの下層が中心)が愛国主義的訴えに引きつけられたのは、社会のこの部分に存在した緊張や問題によってだからである。こうした階層にとって、愛国主義は、決してならず者の最後の隠れ家ではなく、品位の高さの究極的な主張であった。それは、つかのまのものではあれ、品位の高さの獲得やそれにもとづく道徳に向けられた強烈な経済的、社会的、文化的攻勢への1つの応酬であった。人びとはそれによって、単に直接的な意味で群集や勝利者に対して「帰属」できただけでなく、私心のない責務、自己犠牲、および従順(それらは事務員に必要な美徳である)を強調する価値観にも帰属することができたのである。そして、そこでは社会的上位者のものと考えられた信念や価値観との、希薄とはいえ、少なからぬ一体化が可能となった。手短にいえば、愛国主義は、一定の人びとの社会的地位の不安定さに対する対応策を提供したのであった。すなわちそれは、恐れつつも、どう統制してよいのかいまだに分からない諸力や圧力を理解しようと「暗中模索している・・・滑稽で取るに足りぬ人びと*」の社会的地位の不安定さへの対応策の1つだったのである。
(同書pp.108-109)
* (原注)Bullock, Shan F., Robert Thorne, The Story of a London Clerk, T.Werner Laurie, London, 1907.(2nd edn. 1909) p.11
 なるほど、道理でヴィクトリア朝ものが流行るわけ、なのか?
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by bokukoui | 2006-05-27 23:59 | 書物