富岡製糸場見学記(3)

 昨日に引き続き製糸場内の見学についてです。今日は糸繰りを行っていた建物を中心に。

 2号館・3号館を見学した後、繭の倉庫と直角に立つ、糸繰りを行っていた建物の内部を見学させていただきます。
 まず、2号館の2階から繭倉庫と繰糸場とを同時に収めた写真がこちら。右手が倉庫、中央が繰糸場です。屋根が2段になっていますね。
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 この繰糸場も木骨煉瓦造りですが、中はこのようになっています。
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 立派な木材で組まれた屋根の小屋組みが見事です。
 この建物では繰糸が行われていました。もうちょっと厳密に言えば、富岡製糸場建設当時は、この建物で繭を煮てそこから糸を取り出すまで、工女さんが一貫して行っていました。その場面の絵なり写真なりは、皆さんも教科書などでご覧になったことがあるのではないでしょうか。その後製糸機械の進歩により、繭を煮る工程は別の建物で行い、煮た繭をロープウェイかモノレールみたいな機械でこの建物まで運んできて、糸を繰る工程のみするようになっていたそうです。上の写真の下の方に写っている黄色いバケットが、繭を運んでくる装置です。
 とまれ、この工場では長らく繭を煮ており、その後も煮た繭を扱っていたわけですから、建物の中は蒸気が立ち上り、相当に湿気っぽかったでしょう。にもかかわらず、木材で組んだ梁がびくともしていないのは立派なもので、この秘訣は丹念なペンキ塗りを行っていたことにあるようです。
 窓が大きく明るい建物ですが、これはもちろん電灯のない昔の建物だったからで、窓は直されている箇所も多いですが、昔を偲ばせます。最初は窓のガラスもフランスから持ち込んだものだそうで、一部現存しているようです。昔のガラスは平面性が悪いので、窓の向こうが少しゆがんで見えるのも、今となっては味わいのように感じられます。
 窓越しに一枚写真を撮ってみましたが、ガラスのゆがみがお分かりいただけるでしょうか。
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 さて、これら煉瓦造りの建物は、模範工場として1872(明治5)年に創業した時に建てられたものですが、その後官営富岡製糸場は三井に払い下げられ、さらに原合名会社の手に移り、最後は片倉製糸(現片倉工業)の所有となります。こうして所有者が変わったのち、生産拡大のために工場を増設しています。そちらの中の写真を以下に示します。 
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 こちらは窓がふさがれたりして暗く、フラッシュを焚いて撮りましたがやや見難いのはご勘弁を。
 官営模範工場と比べると屋根も低く、万事安上がりになっている感じがしますね。しかし、昔の日本の工場としては、こちらの方がより「典型的」なものであったとは言えそうです。これら後から建てられた建物の外見を以下に示します。
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 さて、創業当時の煉瓦造りの建物は、これまで紹介したものの他にもあり、工場の南側に開業当初のお雇い外国人技術者が住んでいて、その名にちなんで「ブリューナ館」と呼ばれる建物が残されています。最後にこの工場を管理していた片倉製糸紡績会社は、この工場内に女工さん向けの教育施設である片倉富岡高等学園を設けましたが、ブリューナ館は改造されてその学校の建物として使われていたそうです。学校に転用するに当たって煉瓦の壁を何箇所か取り払って扉に付け替えたようで、昨日の記事に書いた、煉瓦の壁を食い込ませていた柱の溝を板でふさいだ箇所というのはこの建物に多く見られます。この話を聞いて、見学者一同は柱をぽこぽこ叩き「あ、ここは壁を撤去したんだ」などと喜んでおりました。
 なお、この学校の研究生が作ったという、当時の制服が展示されていたので早速写真に収めましたが、残念ながらガラスケースが映りこむという失敗をやってしまいました。何とか見えなくはないので、腕のなさを晒すことではありますが、以下にその写真を示します。
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 特に二枚目が酷い写りで申し訳ありません。スカートはボックスプリーツみたいに見えますが・・・
 小生がこの写真を撮っていると、この一行の引率役である指導教官のS先生がニヤニヤしながら「やっぱ制服は撮るんだね」などと発言します。小生の制服趣味がゼミ中に知れ渡っているためですが、そも発覚のきっかけはS先生のゼミ中の発言にあったわけで・・・まあ、その話はいつか機会があれば。
 この次は、ブリューナ館の地下室を見学したのですが、もういい加減長いのでこれ以降の話は明日にします。次回で完結予定。
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by bokukoui | 2006-06-29 23:24 | 歴史雑談 | Trackback | Comments(0)

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