革命防衛隊マオちゃん

 「マオちゃん」は漢字で書いたらもちろん「毛ちゃん」なのだ。
 ・・・しかし、赤松健原作のお馬鹿アニメ『陸上防衛隊まおちゃん』を覚えている人ももはや少ないかもしれません。一般に評判はあまり良くなかった(かなり悪かった?)ようですが小生は結構面白く見ていました。何故面白かったかといえば、当時は同時多発テロからイラク戦争へと至る途中の時期で、海上自衛隊のインド洋派遣だなんだで世情騒がしく、その同時代のメッセージを無理やり深読みすると中々面白いアニメでした。多分今DVD借りて見ても、少しも面白くないと思います。やはり深夜アニメは一期一会。

 以上は話の枕で、本題ですがマオちゃん、もとい毛沢東関連の展示会に行ってきました。というのも、渋谷から大学に歩いていく途中にこんなポスターを見かけたのです。
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  「文化大革命時代のポスター展 あの過ぎ去った紅海洋(あか)の時代

 実に魅力的なタイトルの展示会です。
 しかし、以前に気がついてからなかなか行く機会を逸しつづけ、先日今日限りであるということを知り、本日用事の合間を縫って足早に見てきました。
 ごくごくささやかな展示会でしたが、足早に見てしまうのはもったいないくらい興味深い展示でした。文化大革命の当時の熱狂を伝えるポスターを今見直すと、人間が「正義」というものを確信した時に起きることの恐ろしさ、何かにすがりついてしまうこと(しかしもはやそれ自体が「正義」と化している)の愚かさ、その破滅的な威力、そういったものを感じずにはおられません。小生としてはこれを、「中国のことだから」「共産主義のことだから」と全く無関係に突き放すのはちと詰らんかと思います。別にわが国で文革を礼賛した知識人が過去にいたというようなことではなくて、誰の心にも文革的な何かが眠っていないとも限らない、そんな気がするからです。

 という真面目な感想とはまた別に、ポスターはそれ自体で結構楽しかったりもします。毛沢東の頭がどう表現されているか、林彪のげじげじ眉はどうなのか、江青の男装姿が一番萌えるのはどのポスターか(「江青」が変換候補にないとは、さすが米帝独占資本のIME)。
 何故か岡田真澄氏の遺影が飾られていると思ったらスターリンの肖像でした。文革当時の中国はスターリン批判以後のフルシチョフ路線を修正主義と批判していましたので、スターリンの肖像はずっと掲げられっぱなしだったとか。ニクソンとフルシチョフが同じポスターで一緒にやっつけられたりしているのも面白いところです
 その一方で、資本家とその手先以外の世界の人民には連帯を呼びかけており、そういったポスターには日本人民も登場しています。が、その日本人民の姿はハチマキ締めてメガネを掛けている・・・そのステロタイプを修正してくれるまでは連帯は留保、とか思ってしまいます。

 ポスターは黒と赤などあまり色使いの多くないものが中心で、それだけに構図の鮮やかさなどで見せていて、その抽象化ぶりが鑑賞する時の見所だと思います。一方、絵画のほうは矢鱈と色使いがあざやかで、妙に明るい顔の人民がいっぱいいて、ああそういえばエホバの証人の宣伝パンフ『ものみの塔』なんかの絵もちょっと似てるなあ、とか考えてしまいました。そういった文革時代のフルカラーの画集を会場で販売していて(値段が2000円ほどしたので購入はためらってしまいましたが)、その中に「祖国大好き」とか何とか言う題名で、実に肉付きのよい幼児がカードで言葉を覚えている絵があって、そこでは「祖国」と書かれた国土をあしらったカードを幼児が持ってにっこりしている(積んである山札の一番上には「天安門」とあったように思う)のでして、教育基本法改正について些か考えずにはおられませんでした。

 画集は手が出なかったので、代わりにポスターの複製を一枚買ってきました。マオちゃん、もとい毛沢東の顔を中心に、ハートマークの中に「忠」の字が染め抜かれ、周りを向日葵が囲んでいるという「敬祝毛主席万寿無疆」ポスターです。展示会場にあった説明文を以下に引用します。
「謹んで毛主席の長寿を祝う」
文革時の典型的なポスター。
最後の四文字「万寿無疆」は、昔は皇帝の長寿を祝う言葉で、天子以外には用いないものであった。毛沢東は自らの誕生日を祝わないと言っていたが、文革の時、皇帝の色である黄色と万寿無疆を用いることを黙認した。
ハート形の中に忠という文字をあしらい、毛沢東に対する心からの忠誠を表わし、また下方にはいくつものひまわりをおいて、人民は太陽である毛沢東にむいて、いつも敬愛していることを示している。
 このポスターの複製を買い込んだはいいものの、さて部屋のどこに張りましょうか。とりあえず試しに、大英帝国戦争博物館製キッチナーの志願兵募集ポスター(これを見て入隊した人の多くが昨日書いたみたいなことになったんだよなあ・・・)の横に張ってみました。
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 右手に帝国主義者キッチナー、左手に共産主義者毛沢東。
 まあバランスは取れているか(どこが)
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by bokukoui | 2006-07-02 23:39 | 歴史雑談 | Trackback | Comments(5)

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Commented by 労働収容所 at 2006-07-03 00:34 x
ただひたすらに無念。
Commented by bokukoui at 2006-07-04 00:47
なんでしたらポスター譲渡いたしますが・・・
Commented by 労働収容所 at 2006-07-04 01:02 x
これでポスターを貰ってしまっては次に同じ事を繰り返すでしょう。お気持ちだけ受け取っておきます。
Commented by 某後輩 at 2006-07-04 17:20 x
マオちゃん3世は北の正男御大に引けをとらないイカした青年のようです。
http://chinabbs.seesaa.net/article/14130482.html

現代に生きる毛語録(第3世代)
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/05/html/d31511.html
Commented by bokukoui at 2006-07-05 01:29
>某後輩氏
いつもながら興味深い情報ありがとうございます。
蒋介石総統のご子孫と毛沢東主席の末裔が、かたやイケメンビジネスマンなのに、かたや電波デブになってしまったのは、多分ご先祖の妻の選び方に決め手があったのではないかと思います。
だって宋美齢と江青ですよ? 勝負あったって感じじゃないですか(まあ江青は後妻だけど)。
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