バックラッシュとチマ・チョゴリ

 こちらのキャンペーンブログをはじめとする、その筋で多大な期待と共に発売が待たれていた、双風社『バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』を、今日大学生協の書籍部に行った折に購入しました。昨今の無茶なジェンダーフリーやフェミニズムへのバッシング(フェミニズム――といってもいろいろあるわけですが――に批判されるべき点は重々あるにせよ、バッシングと建設的批判は全く別個のものです)に疑問を抱いている小生としても、一読してみたい本ではありましたので、迷わず購入。もっとも、バックラッシュ(反動)についての本を読む前に、ちゃんとしたフェミニズムの本をもっと読んでおかなければと思うのですが・・・個人的にはメイドさんとか郊外電車とかと密接な関係を持つと踏んでいる近代家族論には関心があり、それに関する本は多少読んだのですが。
 思えば大学の教養課程で、江原由美子先生の授業を受けたのが「ジェンダー」との出会いであったかな(高校までにあまり聞いた覚えがない)。昔から運動(無論フィジカルな運動であって学生運動とか市民運動に非ず)が苦手で「男らしく」なかった小生にとって、フェミニズムやジェンダー論は大変興味深い学問でした。だから「男らしい」とは見做されないマニアやオタクのような人々(男性が多数を占める趣味分野だからといって、その趣味に没頭している人間が「男らしい」と見做されるかは別問題である。鉄道趣味者は殆ど男しかいないが、「男らしい」と「賞賛」されることは絶対にない)にとって、フェミニズムって耳を傾ける価値のある思想だと思ったのですが、どうも昨今はバックラッシュな発言をするオタが少なからず見出されるのは不可思議というか興味深い、しかしなんだかなあと思わずにはいられないことです。
 それはともかく、その後瀬地山角・上野千鶴子両先生の授業に出席し、どちらも近代家族論を授業で扱っており、そこで近代家族について得た知見は、その後近代史について考える上で折々手がかりを与えてくれました。

 さて、東大本郷書籍部に、『バックラッシュ!』はかなり多く出荷されていたようです。小生が気付いた範囲内では、新刊コーナーや社会学の棚など3箇所に平積みもしくは表紙が見える状態で積まれており、店頭に積まれている冊数だけでも20冊は下らない、という状況でした。
 さすが上野千鶴子がいる東大、問題関心も高い・・・訳じゃないだろうな、一般論としては。もっと有体に言えば、東大の男の少なからぬ部分には、かなり保守的な女性観を抱いている者が少なくないように思われる節があるのです。まああんまり具体例を書いて個人攻撃になるのも良くないし、女性受けを良くするために「私は女性を尊ぶ“フェミニスト”ですよー」と宣伝しているなどと二重の意味で間違った印象を読者の皆様に与えるのも本意ではないので、この辺にしておきますが、それでも、上野千鶴子の授業に出た後輩が、単位を取っておきながら何一つ、そう、何一つ自分の女性観を改めなかったという身近な実例が小生の心に投げかけた暗雲が、余計なことと知りつつもかかる一文をものさせずにはいられなかったのです。

 とまれ、本書は読みやすそうなので早々に片付け、出来れば感想の一つもブログにアップしたいものです。

 話を戻しますが、上記のように本郷の書籍部では『バックラッシュ!』をあちこちに積んでいましたが、そのうち一箇所では隣にこんな本を置いてあったのです。

 韓東賢『チマ・チョゴリ制服の民族誌
        その誕生と朝鮮学校の女性たち』

 これも惹きつけられずにはおられない表題の本で、ちょっと前に気付いて表題を見て購入を検討しておりましたので、これも機会だと手にとって見るとこれが実に丹念な調査研究と見え、これは自称制服マニアとしては買うべきだろうなと思い、『バックラッシュ!』と纏め買い。後で気がついたのですが、出版社が同じだから並べてあったんですね。
 この本で惹きつけられるのが表紙のデザインで、写真ではなくイラスト、それも絵画的なそれではなくて、輪郭線をはっきり描いて制服の特徴を分かりやすく示すという、小生としては惹かれる、しかし研究書としてはかなり珍しい表紙です。一体この絵の絵師は誰なのでしょう、買ってから本文をぱらぱらめくって調べてみました。

 ・・・なんですとぅ!! 『東京女子高制服図鑑』の森伸之氏だと! 確かにこの絵は図鑑チックであったが・・・
 この本はホンモノだ。

 実は小生、朝鮮学校に通う女生徒のチマ・チョゴリを生で見たことがありません。とやかくのことがあって、あまり着なくなってしまっているのかもしれませんし(この辺は本書を読めば分かるでしょうが)、単に小生の通う沿線に朝鮮学校に通う人が少ないからかもしれません。それだけに今まで制服としてあまり意識したことはなかのですが、本書を読んで勉強してみたいところです。
 見た目、昔の大正浪漫的女学生スタイルと通じなくもないかも、と思いますが、あんまり「萌え」方面の絵師がチョゴリ絵を描いたという実例は聞きませんね・・・チャイナドレスのキャラは時々いるけど、チョゴリ着たキャラが出てくるアニメや漫画やゲームもあまり聞かないし。そこら辺もまた面白くもあります。
 前にもネタにしたような記憶がありますが、「ピザ釜萬戸」さんというサイト(グロ絵もあるサイトなのでご諒承ください)で、チマ・チョゴリを着た「元気な韓国っ娘を描いてみました。コレで見事に在日認定されましたw 横の「マンセー」のせいかな?」という経験談が記されており、チョゴリの絵を描いただけで在日認定されるというのも酷い話であります。
 大体、リンク先の絵を良く見れば、この絵は韓国・朝鮮の人が描いた絵じゃない、ってすぐ分かりそうなものなのに。
 背負っている太極旗のデザインが間違っているのです(笑)
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by bokukoui | 2006-07-03 23:56 | 書物 | Trackback | Comments(4)

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Commented by 労働収容所 at 2006-07-04 01:09 x
在日認定されるようではまだまだ日本人。ところで鴻巣などではそろそろ在日と言えば在日ブラジル人を指すようになっているのではないかと推察する今日この頃です。
チョゴリについては私の話は日本人としては「異常値」を示す可能性が高いので何も言いません。
A井氏についてはそっとしておいてあげてはどうかと思わなくも有りません。上野千鶴子の講義に出て大和の話だけ聞いて帰って来た希有な人材として。
Commented by 某後輩 at 2006-07-04 17:16 x
らーげり>
ちょwwwそれ太田市www
うちは群馬県じゃないぞヽ(`Д´)ノウワァァァン

#もっとも駅前で騒がしい未成年集団がいるなぁと思ったら南米系日系人だったことは何度かありましたが。K本の事例が気になります。
Commented by 小手鞠萌 at 2006-07-04 20:11 x
とりあえず、二つとも図書館で予約しときました(笑)。
Commented by bokukoui at 2006-07-07 19:25
>ラーゲリ緒方氏
「在日認定されるようではまだまだ日本人」というのはそうですね。貴殿の仰るとおり、在日の実態は日本人以外の何者でもないわけで。
ところで、某氏についはそっとしておくので、名前も挙げない方が(苦笑)

>某後輩氏
大宮以北は「北関東」の一語でくくってしまいたくなります。そんなに実態に外れてもいなさそうだし。

>小手鞠さん
東京の図書館は石原センセイが『バックラッシュ!』購入予算を出してくれない可能性がありますので、自らお求めになっては如何でしょう(苦笑)
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