「メイド・鉄道・ミリタリーの微妙な関係」について考えてみる

 先日ちょっと触れた、森薫先生のインタビュー【メイド・鉄道・ミリタリーの微妙な関係】に関して、この全ての趣味を一応兼業していると称する者として、簡単に一筆したいと思います。
 まず、該当部分を引用。
森:メイドオタクも鉄道オタクもミリタリーオタクも、みんな同じですよ。こだわりの質が同じなんです。この路線にはこの列車は走っていない! とか、中途半端な考証の作品があると「キー!」とか言ったりして。

――メイド萌えではなく、メイドオタク。

森:メイドオタクはミリタリーオタクとかとかぶってるんです。戦車好きがメイドも好きだったりするから。メイドさんに火器や銃器を持たせたがる人も多いんです。細部のパーツにこだわるのも好きで、単純に可愛いのも好き。あと、女の子も好き。
ミリタリーオタクとか鉄道オタクって、固いもの好きなわりには軟派な一面もあって、たとえば可愛い女の子に野戦服着せてみたいとか、鬱屈した欲望があったりするんで。

――それはメイド萌えとは別種のものなんでしょうか。

森:萌えってのはたぶんすごく大雑把な言い方で、萌えの中にも別の言葉に言い替えられる非常に細かいニュアンスがあると思うんです。でも気持ちは同じじゃないでしょうか。
 これらの趣味的活動に関する話題については、これまでも多少触れてきましたので、それを踏まえつつ、なるべく重ならないように何か書いていきましょう。今回だけでは終わらないので、何回かかけてゆっくり書いていくつもりです。

 まず、森先生のご意見に関し、逐条的な論評を試みます。
 鉄道や軍事の趣味者について「こだわりの質が同じ」点は全く同意します。しかし、それと無造作に「メイドオタク」をくくってしまうのには疑問を感じざるを得ません。先月の頭に長々と駄文を弄したりもしましたが、「メイドオタク」とされる人々の大部分は、史実のヴィクトリア朝に対してそれほど探究心を持たず、自分たちの妄想を都合よく刺激してくれる作品など(アニメやゲームだけでなく、「メイド」喫茶でもコスプレでもよい)に関わることが、その「メイド」関連の活動の中心となっているのではないでしょうか。後者のような活動自体を批判するつもりは毛頭ありませんが、前者と同じように括ってしまうのは問題があると言わざるを得ません。
 これは同人活動の状況から感じられた印象です。「メイド」系同人誌の状況について小生の知る範囲では、「帝国メイド倶楽部」に参加しているサークルの中で史実の研究に的を絞っているサークルはごく少なく、またコミケの「メイド」関連分野がもっぱら「創作少年」に分類されていることなどから鑑みても、現在の「メイド」趣味者のこだわりが「中途半端な考証の作品があると「キー!」とか言ったり」するようなものとは異なっているのではないかと思うのです。

 今急遽、昨夏のコミケカタログ(昨冬のは手元にないので)を繰ってみたところ、メイドの史実系研究を行っているサークルは、「創作少年」の幾つかのサークル以外には無いようです。
 コスプレやレストラン制服・「メイド」喫茶本サークルがいくつか「評論」ジャンルに見出されますが、カタログから読み取れる範囲では史実のメイドを扱っているようなサークルは発見できません。おそらく翔影館さんの撤退を最後にこのジャンルからは消えたものと思われます。また、「歴史」ジャンルでヴィクトリア朝を扱っているサークルも無いようです。(「創作少女」にあるのかもしれませんが、論を立てる上ではあったところで同じです)。
 結局、「創作少年」の間借りをしてメイド考証サークルが場所を与えられているということは、趣味の対象として向けられる視角は、鉄道や軍事と比べ「メイド」へのそれの性格が異なっていると言えるのではないかと思います。ついでに言えば、「創作少年」ジャンルで考証系として有名なサークルはSPQRさん震空館さんだと思いますが(実は他に知らない)、どちらのサークルさんも出されているものを拝見するに、考証だけではなく創作ということにも熱意を注いでおられるように見受けられます。ジャンルや元々活動しておられたサークルの経歴を漏れ伺うに、創作へもご関心があるのは当然と思われます。

 というわけで、小生の仕切るMaIDERiA出版局は、日本唯一(?)の、創作を一切排除した純粋歴史系「メイド」(含制服)サークルなのです。えっへん。
 ・・・自慢するようなことじゃないですけど。

 この話題、明日も続けます。
[PR]

by bokukoui | 2006-07-10 23:58 | 思い付き | Comments(4)

Commented by 労働収容所 at 2006-07-11 00:40 x
それじゃあどうしますか。東大戦史研も日本唯一(自称)の創作を一切排除した純粋歴史系軍事サークルにしますか。あれ、もうなってるかな?
火葬戦記が好きな人は…(公式には)いないね!
Commented by bokukoui at 2006-07-12 01:13
>(公式には)
・・・。
Commented by S竹 at 2006-07-12 09:16 x
私のことは火葬戦記収集者だという”ことに”しておいてください。
あっ、A井氏はどうなるのだろう。
Commented by bokukoui at 2006-07-14 00:55
>S竹氏
おひさです。
A井氏は自称(元)佐藤大輔愛好者だそうです。(元)がつく所に氏の苦悩と業界の混迷が感じられます。