続「メイド・鉄道・ミリタリーの微妙な関係」について考えてみる

 昨日の記事の続きで、引き続き森薫先生のインタビュー【メイド・鉄道・ミリタリーの微妙な関係】について考えて行きたいと思います。

 まずは引き続き、逐条的な話を。
メイドオタクはミリタリーオタクとかとかぶってるんです。戦車好きがメイドも好きだったりするから。メイドさんに火器や銃器を持たせたがる人も多いんです。」という指摘に関して、これは恐らくかなり妥当なものであろうと小生も同意します。
 昨日の記事では、「メイド」属性な人々の多くについてその趣味へのアプローチは鉄道・軍事の趣味者と異なるのではないかと述べましたが、今日は一転して「メイドオタクはミリタリーオタクとかとかぶってる」という指摘に賛意を表している。これは矛盾しているように思われる読者の方も多いと思います。
 しかし、これはどういうことかといえば、「戦車好き」で「メイドも好き」な人がいたとした場合(そういう人が大勢いること自体は確かだと思います)、彼らの趣味対象へのアプローチが戦車へのそれとメイドへのそれとで異なっている、そういうことです。
 そういった人々の「メイド」趣味は多くの場合、軍事に向けられるよりもより「ネタ」的な盛り上がりを重視する傾向があるように思われるのです(このことは、「メイド」衣裳を着けたドールでゲームをする「めいどはんまー」に参加されている方々のサイトを見て思った感想でもあります。それほど網羅的に見たわけでもありませんが・・・)。

 引き続き森先生の発言を引用すれば、「細部のパーツにこだわるのも好きで、単純に可愛いのも好き。あと、女の子も好き。」とありますが、細部にこだわるのは確かにマニアな人々の通例であります。また、兵器などへの細部へのこだわりはフェティシズムに通じるものもありそうで、そこら辺で「単純に可愛いのも好き」なのと繋がってくるのかもしれませんが、この部分での森先生の論旨展開はちょっと分かりかねます。
 細部へのこだわりといえば、MaIDERiA出版局対談企画「墨耽キ譚」(先日更新しました)でこれまで縷々語ってきたとおり、森先生の特徴でもあるように思います。それだけに森先生が、「メイド」趣味と鉄道や軍事との近親性を説かれるのは至極合理的で、また一見同じ人がやっている実例も多いのですが、しかし見た目よりは断絶が大きいのではないかと思います。

 さっきの「ネタ」的なものをより強く求めるのでは、ということから論を発展させれば、軍事などの場合マニアは自分が如何にその対象について知っているのか、ということが彼らの語りの中心になりますが、「メイド」の場合は自分がどれだけメイドが好きか、ということを熱く語る方が語りの中心になるのではないか、そんな風に感じるのです。
 鉄道趣味者はしばしば、一般人がディーゼルカーを指して「電車」と言った時、鬼の首を取ったようにその間違いを責め立てるという性癖を持っています(中学生位に多い・笑)。さらに多い例として、軍事趣味者の場合、一般人(含マスコミ)が「装甲車」「歩兵戦闘車」を「戦車」と呼んだ時や、「軍艦」と同じつもりで「戦艦」と言ったりした時に、鬼の(以下略)。
 一方、「メイド」属性の人がコスプレ喫茶の衣裳や漫画・ゲームの「メイド」の衣裳にいちゃもんをつけるケースはそれよりも多いとも思われないし、また仮につけたとしても、これも先月初めの当ブログで書いた(追記:その後編集してこちらに再録)ごとく、考証よりも自分の妄想に合わないという理由でスカートの長さに文句をつけている場合が多いように思うのです。そして何より、より「正しく」いちゃもんをつけるために勉強しようという意欲が、「メイド」趣味には鉄道・軍事に比して乏しいように思われるのです。
 要するに、森先生は「メイド」の裾野が広がった点を評価しておられ、それはある程度もっともだとは思うのですが、実は「メイド」の広がった裾野の多くは「ネタ」としてのメイドであり、鉄道や軍事に関心を抱く人々のような「ベタ」さが乏しいのではないか、そう考える次第です。

 なお、「女の子が好き」なのは鉄道や軍事が好きな連中に限った話ではないので、ちょっと如何なものかと思います。ただ、これは森先生の次の発言にも続く話題と思われるので、明日引き続き考えることにしたいと思います。
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by bokukoui | 2006-07-11 23:57 | 思い付き | Trackback | Comments(5)

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Commented by SPADE16 at 2006-07-12 01:00 x
なんというか、執着あるいは愛情を語るとき、そこに性的なものを含んでいるかどうかをあらかじめ定義せずに、自分の主張に沿うように都合よく定義していることが、オタクあるいは趣味を論ずるときに多くはないか。
先日のインフラを愛する~のくだりなんて特に。
(加筆予定)
Commented by bokukoui at 2006-07-12 01:08
久しぶりにご指摘どうもです。
確かに性的なアプローチは重要であるにもかかわらず、そこを避けて論じてきたことは多いですね。それは個人的にそれについて語りにくいという事情があったにせよ、論として立てるときに重大な欠陥となっていたことは反省点です。
しかし、明日は流石にそれについて触れざるを得ないだろうと思いますので、引き続きご意見をいただければ幸いです。
Commented by SPADE16 at 2006-07-12 01:50 x
いえいえ、貴公が、ではなく。世の中、ひいてはオタクを語ろうとする人達の論が、であってですよ。
しかし、一般的なオタクの戦闘力(?)が知識であるのに対して、メイド好きの戦闘力が思い入れの強さであるとすれば、メイド好きとはオタクの本質である「収集」からもっとも離れた存在ではなかろうか?
今現在、オタク=メイド喫茶とか行く人との認識は決して少なくは無いのに、メイド好き=(大多数が)知識の収集に興味が無く、もっぱら自らの妄想に執着する人種=(ある意味での)非オタク、となるこの不可思議な感覚!
Commented by 労働収容所 at 2006-07-12 02:04 x
知識即ネタになればすべては合一されますか。つまりスターリンジョークでしょうか。いや、何かがおかしい。
ところで装甲列車を電車と呼んだ場合は一体どこから突っ込みが来るのでしょうか。興味津々です。
ま、私もミリオタの端くれとして「可愛い女の子を縦深配備したい」という屈折した欲望を露にしてみるとします。ちなみに、可愛さと性別は実はどうでも良いです。
Commented by bokukoui at 2006-07-17 01:35
>スペード16氏
「氏(注:岡田斗司夫)がおたくの病理的側面をあえて見ないのは戦略であるかも知れないが、しばしばそれが一面的な印象を与える。例えば岡田氏はおたくの本質である「セクシュアリティ」の問題について、充分に触れているとはいえない。もっともこの点は、多くのおたく論が取り逃がしがちな側面でもあり、岡田氏ひとりの非というわけではないのだが。」(斎藤環『戦闘美少女の精神分析』p.26)
どうも以前からご指摘のような傾向はあったようですね。そして性的なものに触れたら『電波男』になったのだとしたら・・・合掌。

とまれ、「オタク」の本質が既に「収集」ではなくなりつつあるのかもしれません。その点で、「メイドオタク」は時代の先端なのかもしれませんけど。

>ラーゲリ緒方氏
小生は「可愛い女の子でテルシオ(スペイン式方陣)を組みたい」という屈折した欲望があります。この欲望が嵩じると、女子高の運動会の開会式を盗撮して捕まったりするので注意が必要です。
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