我が覗き趣味

 怪しいタイトルですが、別段下半身な話題を扱うというわけではありません。

 電車の中でぼうっと立っているとき、そばにいる人が本を読んでいることがあります。電車の中ですから大概は文庫本で、さらに多くの場合カバーをかけています。それを横から覗いて、この人が読んでいる文庫はどういう本だろう、と推測するのが癖なのです。
 岩波文庫は分かりやすいです。栞の紐が付いている新潮も簡単。多くは頁のヘッダー部分を見て見当をつけます。本文の文字が矢鱈と太かったり、振り仮名が多かったりすればライトノベルでしょう。ゴチック強調が多かったりすると軽い本だなと分かります。
 読んでいる人間の人相風体と照らし合わせるとまた面白さが増します。時代小説やミステリは安定した需要があります。代表例は司馬遼太郎とかでしょうか。電車の中、という状況からして軽い実用・雑学っぽい本も多いですね。レーベルで言えば、知的な人は読みそうにない三笠書房の「知的生き方文庫」なんかが挙げられましょう。かと思えば真面目な大学生風の男が「萌え単」を読んでいることもあったりして面白いです。
 以前、地下鉄半蔵門線に乗っていた時、神保町の駅で乗り込んできたセーラー服の中学生(制服からするに共立女子)が、岩波ジュニア新書の『図書館へ行こう』を一生懸命読んでいたのを見たことがあります。こういう情景はしみじみしますね。強者としては『家畜人ヤプー』を読んでいた人もいました(しかも女性)。とまあ、興味の尽きない文化状況の観察なので、なかなかやめられません。

 話はここからが本題です。
 本日、初バイトに出かけるため、山手線に乗っておりました時のこと。
 60は過ぎたと思われる背広を着た爺さんが、カバーをした文庫本を一見真面目そうに読んでおりました。

 「えっ、嘘だったの?」
 驚愕する奈緒子は秀樹に強引に唇を奪われた・・・
 「だめよ、だめっ・・・夫を裏切ることなんて・・・」

(以下めんどいんで略。どうせみんな同じだし)

 官能小説でした。
 そんなもん電車の中で読むなよ、という以前にお盛んですなあと感心しました。
 なお、しばし観察を続けるうちに、老人は新宿で電車を降りましたが、その際文庫に挟まっていた広告の小冊子を取り出して栞代わりに挟みました。そこにはこう書いてありました。
 「ナポレオン文庫 今月の新刊」
 フランス書院がナポレオン文庫というレーベルをやっていたのは随分前のはずでしたから、これは古書店で購入したものと思われます。ケチだな。

 あれ? 結局下半身のネタになっちまったな。まあいいか。
 ところで、三笠書房とフランス書院は、今でも同じビルの中に同居しているのでしょうか。
[PR]

by bokukoui | 2006-01-04 23:22 | 出来事