ヴィクトリア朝時代のメイド絵師(?)デュ・モーリエ

 昨夕から今日の午後まで20時間ぶっ通しで『英国絵入諷刺雑誌『パンチ』メイドさん的画像コレクション 1891~1900』の改定作業を行い、本日入稿してきました。これで夏コミには改訂版を皆さんのお眼にかけることができそうです。
 ですが、20時間連続作業で心身ともに疲労困憊しており、しかも明日は大学の卒論構想会にコメント要員として行かねばならなさそうで(他の院生の参加が少ないらしい)、早起きしなければなりませんので、「『メイド・鉄道・ミリタリーの微妙な関係』について考えてみる」シリーズと皆様へのコメントは更なる順延を余儀なくされる状況です。申し訳ありませんがご諒承ください。
 当面自分のボケた頭では論が進まなさそうなので、当ブログコメンテーター・ラーゲリ緒方氏がご自身のブログで展開されておられる「オタク」論を、代わりといってはなんですが、紹介させていただきます。

 ところで、入稿を焦ったあまり、『パンチ』画像集改訂版で盛り込もうと思っていた企画が一つ流れたので、とりあえずこの場で紹介して置きます(コミケ当日にはペーパーで補完するかも)。今回の改訂版では、柏書房の『ヴィクトリアン・パンチ』第7巻の資料編を利用して、サインから判明する範囲でイラストの作者を挙げておいたのですが、そのランキングです。英国を代表する絵入諷刺雑誌『パンチ』の、1891~1900年の間に載せられたメイドさん(のように見える)画像を最も多く書いていたのは誰だったのでしょうか。この10年分から蒐集したメイドさん(のように見える画像)の作者として、3点以上確認できた人物を以下に挙げます(急遽数えた暫定版なので正確な数字はまた機会を見て)。
1位:29点 G.デュ・モーリエ
2位:11点 J.B.パートリッジ
3位:7点 E.ホプキンズ
4位:6点 E.T.リード、L.レイヴン=ヒル、A.S.ボイド
7位:5点 J.レイトン
8位:4点 J.テニエル、E.J.ウィーラー、フィル・メイ、G.ブラウン
12位:3点 H.ファーニス、A.ホプキンズ、C.ハリスン
 以上のようになりました。
 見ての通り、首位のデュ・モーリエの作品点数が圧倒的です。しかもデュ・モーリエは1896年に亡くなっているので、画像を蒐集した10年間のうち半分ちょっとの期間しか作品を制作していないのです。もし彼が20世紀まで命永らえ、『パンチ』に描き続けることができたなら、その点数はおそらく50点近くにはなったことでしょう(そしてその分、彼の没後にメイドさん(のように見える)イラストを提供した画家は、作品を発表できなかったでしょう)。
 デュ・モーリエは女性の絵を得意としていたそうですので、彼が生きている間は、メイドさんでも貴婦人でも、女性が多く登場しそうな絵となるとデュ・モーリエの独擅場だったのでしょう。なので、「本格的ヴィクトリア朝風メイド漫画」を描きたい! という方は、デュ・モーリエの絵を模写して練習されると宜しいかと思います。その節には、夏コミで当サークルの『英国絵入諷刺雑誌『パンチ』メイドさん的画像コレクション1891~1900【改訂版】』をお求めいただければ幸いです(笑)。

 ちなみに「本格的ヴィクトリア朝風メイド漫画」を描いておられる漫画家の代表である森薫先生は、フィル・メイがお気に入りだそうですが、1900年までの段階ではフィル・メイの作品点数はそう多いとはいえなさそうです。『エマ』の時代のメイド、というか女性を描いた漫画の絵のスタンダードは、デュ・モーリエということなのではないかと思います。
 フィル・メイはかなり個性的な絵なので、もしかするとスタンダードとは言いにくかったのかも、と思います。もっとも絵を描かれる方からすれば、そういったところがまた魅力的に感じられる、というのは大いにありそうなことでしょうね。

 この件の詳細については、また後日改めて書くつもりですので、ご関心のある方はしばしお待ちください。
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by bokukoui | 2006-07-15 23:58 | 制服・メイド | Trackback | Comments(2)

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Commented by 労働収容所 at 2006-07-16 00:14 x
むむむ、一応それは「オタク論」のつもりではなくて単なる愚痴と言うか具体的なある人たちに対する当てこすりというか…
事実、何の代わりにもなっていないから良いのですが…

デュ・モーリエと言われても誰か分からず、Vigée Le Brunと混同しました。申し訳ない。
Commented by bokukoui at 2006-07-20 01:06
いやいや、ご謙遜なさらずとも。某OB氏の心胆を寒からしむるほどの効果は発揮しえたようですし。

トーマス・マンは
「詩人とは、自身を語ることがすなわち世界を語ることになる者のことである」
と言ったそうですが、貴殿を見ていると
「軍オタとは、自身を語ることがすなわち軍事を語ることになる者のことである」
などと思う今日この頃です。
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