車中点景

 折角直った(らしい)ので、何か書くことにします。このところ短い更新しかしなかった(できなかった)し。

 先日電車の中で、新書版サイズでソフトカバーな、分かりやすくいえばエロゲーのノベライズ(笑)によくありがちなサイズの書物にカバーをかけて熱心に読みふける中年女性の姿を目にしました。最初に考えたのは、やおい小説を読んでいるのではないかということでしたが、ふと挿絵が目に留まるとそれはこれまた随分と「萌え」系統の女の子の絵ばかりで、これはやおいじゃなさそうだと気がつきました。はてラノベの何かでしょうか。
 と、その女性がページをめくった折、見返しの表題が目に留まりました。
 『ガールズ★レボリューション』という本でした。

 何となく気になっていたので、帰宅してから調べてみたのですが、グーグルで検索したときアマゾンより上位に来ていた上掲セブンアンドワイの記事を読んで苦笑。何が苦笑といって、ここで書評? をしている内容が何ともはや。
まだ読んでないので百合度は未評価ですが、公式の紹介文を読む限りかなり百合度は高そうに見える。

まだ未読です。パラ読みしてみて……うーん、どうでしょうね。百合度は問題ないとは思うんですが。読んだらコメントします。
 読んでから書評書け! という根本的な指摘は、しかし敢えてここではスルーしておきましょう(一応、この内一人は読んでから再度書評書いているし)。何より問題は、いくら「百合」を標榜している小説だからといって、「百合度」なる一元的な尺度のみで本を評価してはばからないという、その単線的な価値観にあると思うのです。
 以前墨耽キ譚第11回で、ナヲコ先生の『voiceful』に触れた際、同書のアマゾンでの評価に関して「(「百合」の度合いが低いからといって)星を減らさないで欲しい。看板にとらわれて作品の判断にバイアスをかけるのは馬鹿げたこと」と書いたことがありましたが、「百合」作品を巡る評価がこのように「百合度」なるものばかりで計られてしまうとすれば、「百合」という分野の発展については悲観的な予測を立てることしか小生にはできません。なるほど「百合」という業界というか、ジャンルというものが、他のそれに比して相対的に未確立な状況にあるとすれば、或いは「百合」の基盤を固めるために敢えてそういった評価を前面に押し出しているのかもしれません。しかしそのようなテンプレートばかりを強調するのは、おそらく長期的な視点では合理性が低いのではないかと思うのです。

 まあ、「百合」素人の戯言はひとまず措いて。
 この『ガールズ★レボリューション』という書名でぐぐったら、出版元のサイトがひっかかりました。「JamPlus Novels」というところの第3弾の配本のようで、なるほど百合だけじゃなくやおいなども手がけているようですね。同時配本は・・・『シャナイ恋愛のじ・か・ん♥』こりゃやおいだな。で、もう一冊は・・・『メイド王子~プリンス・メイド~』・・・はあ。
旧華族に代々執事として仕える永倉家の長男たすくは、父親から執事とはなんたるかを叩きこまれてきたため人助けが趣味に。十四歳になったたすくはある日、松平グループの跡取り凛音お嬢様のメイドに抜擢させられてしまう。お館様のいいつけを受けて全寮制の聖セシーリア女学院へ。以来お嬢様を守るため七転八倒のメイド生活がはじまった。
 いやもう、このご時世、今更どんなメイドものが出てこようと、もうそれだけで云々するのは止めるべきであると思っておりますので、メイドだの執事だの云々に関してはこれ以上何も申しません。
 ただ、一つ気になるのは、学校の名前です。「聖セシーリア女学院」ってんですけど、「聖セシリア女子中学校・高等学校」という学校は実在しています。いいんでしょうか。実在の学校の方は全寮制ではありませんけど、女子校ではあります。

 全く余談ですが、最近はデザイナーズブランドだとかでいろいろな制服が増え、アニメやゲームに出てくる制服を「こんなん実在するかい」とか思ったらそれみたいな制服が本当に現れたりして油断のできない御時勢ですが、小生の個人的な評価では、聖セシリアの制服は「アニメっぽい」というか(関係者の皆様ご寛恕を)、かなり特徴あるデザインで面白いと思っております。
 学校の公式サイトに画像がありますが、ちと小さくて見にくいので、ここではイラストを紹介します。
 このイラストは、以前も紹介したことのある、ピザ萬釜戸氏のサイト(注:グロ画像のため18禁サイトです)の作品です(この画像は18禁ではないのでご安心を)。氏はイラストの説明でこの制服がどこの学校であるのか明示しておられませんが、これはどう見ても聖セシリアだろうと思います。ブレザーの白くて結構幅のある縁取りが、なんというか「アニメっぽさ」というか(笑)、独特の雰囲気を醸し出しています。最初見たときは何だこれ? と思いましたが、見慣れるとこれはこれでいいのではないかと思います。件の『メイド王子~プリンス・メイド~』表紙に見えるお嬢様の制服、灰色のセーラーですが、これが物語上の「聖セシーリア女学院」の制服であるならば、実在の聖セシリアの制服の方が、むしろ常識離れなデザインではないでしょうか。
 そろそろ衣替えの季節、またこの制服もお目にかかれることでしょう。
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by bokukoui | 2006-09-15 04:42 | 出来事 | Trackback | Comments(8)

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Commented by 任意労働収容所 at 2006-09-15 12:43 x
少女セクトの時はセクトという単語だけで嬉しくなってしまい題名買いしましたが、考えてみると「なんとかレボリューション」という単語に反応して題名買いしたことはありません。単語の意味からすれば、「セクト」なんかよりも革命の方がずっと素敵なんですが、食傷気味なんでしょうか。
この記事をぱっと見たときに「きらりん☆レボリューション」の話かと勘違いしましたが、それはどうでもいいとして、世界史の授業も「1789年はフレンチ☆レボリューションが始まった年とされています」とかやればバカっぽくていいのではないかと妄想しました。

「綺羅凛革命」の方が題名として絶対に上だな。
Commented by たんび(bonniefish) at 2006-09-15 15:44 x
その『メイド王子』のご主人様が男、という類の801作品は枚挙に暇が無く、小説の単行本だけでも十指に余るのでして・・・。改めて自分が読んでいるジャンルの醜悪な狂乱ぶりに嘆息するばかりです。まあさすがに執事ものの方がよほど多いのですが、これとて安堵すべき事象であるとも思えず・・・。
Commented by ゆん at 2006-09-15 20:11 x
聖セシリア女子って、うちの近くのガッコですな。でも覚えがないです。あそこらへんでは、桜美林の制服のインパクトが強いので、忘れているだけかもしれません。
Commented by 某氏 at 2006-09-15 22:45 x
 セシリアとセシーリア位でそんな事を言っていたら、恵泉女学園(本物)と、恵泉女学院(※某エロゲ)は一体……。しかも、後者はプロテスタントからカトリックへ改宗するという、悪魔に魂を売る行為をやってますし。

※流石にやばい事に発売後に気づいたのか、通常版その他では名前が変わっています。
Commented by Lenazo at 2006-09-16 03:19 x
どうも。
私の知る限りでは、ナヲコ「voiceful」とほぼ全く同一の図式で藤枝雅も非難の対象に晒されているようですね。百合姫は百合度なる珍奇な概念では語れない、比較的まともな作家が多いだけに、ジャンル維持のためにも良心的なシナリオを作れる漫画家が干されない環境を維持してもらいたいものです。まあ、あの雑誌に関してはCHI-RAN氏にアブないところ背負い込んでもらった方がパワーバランスはいい気がしますけど・滝汗笑
私もそろそろ修羅場です。
Commented by bokukoui at 2006-09-17 15:08
多くの方が本記事に種々のコメントを寄せてくださって、まことに有難い限りです。

>緒方氏
「綺羅凛革命」という本があるのかと思って検索してしまいました。
ところで鉄道趣味者としては、ここは「インダストリアル☆レボリューション」という同人誌でも作るべきなのでしょうか。フルトンのクラーモント号もスティーヴンソンのロケット号も擬人化。飛び杼もミュール紡績機も擬人化。ジェニータンハァハァ
・・・難易度高そうだ。

>たんび氏
やおい小説の場合で、使用人も主人も男なら、「メイド」なんて言葉を使わないで普通に従僕萌えとして書ければいいように思うのですが、どうなのでしょう。
クリスティ後期の作品における、名探偵ポアロと従僕ジョージの関係をやおい的に解釈する、なんて発想ならありだと思うのですが。クリスティ=腐女子説。
Commented by bokukoui at 2006-09-17 15:36
>ゆん様
桜美林はスカートの裾のラインなど、インパクトは確かに強いですね。上掲ピザ萬釜戸氏も、桜美林の絵を描いておられますし。
(http://mandeid.pie.st/pizza/gazo/pic/oubi.html)
聖セシリアも結構インパクトはあると思うのですが、人数が桜美林より少ないので知られていないのかもしれません(桜美林:千人弱、セシリア:800人弱)。個人的には、多摩地区はセーラーが少なくて残念です。目に付くのは大妻多摩と森村でしょうか。

>某氏様
記念すべき初コメントありがとうございます。鉄道ネタでもゲーム・歴史でもなく、ギャルゲーの話題で書き込んでくださった漢気に敬意を表します。
ところでご指摘のギャルゲーについて小生は何も知りませんが、学校の宗旨と生徒の信仰とは別問題とはいえ、いっそそれなら、改宗した校長を校長室の窓から生徒会が窓外放出する、といった展開のゲームを望みたいところです。学校内宗教戦争。
・・・あ、故中島らもに家庭内宗教戦争のネタがあったな。
Commented by bokukoui at 2006-09-17 15:36
>Lenazo様
なるほど、ナヲコ先生だけではなかったのですね。
「百合」はジャンルとしてまだ割りと発展途上の印象があるので、何でもやり放題のようでいて、発展途上国のナショナリズムみたいな性格もあるのかもしれません。長期的には、狭い「百合」の枠組みに縛られない作品世界を展開することで興味深い作品も増えるでしょうし、漫画家に新たな活躍の場も生まれますし、また逆に「百合」に興味を持つ読者も増えると思うので、『百合姫』編集部が目先の読者の意見にとらわれない方針を貫いてくれることを期待します。
修羅場で体調を崩されませぬよう。
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