ナヲコ先生の作品を購うべくイベントに行った話

※追記:タグ「ナヲコ」を設けました。

 今日は、表題の如くナヲコ先生の作品を求めに、久しぶりに同人誌即売会に行ってきました。

 ナヲコ先生の話題は当ブログでも、それ以前のMaIDERiAのサイト(出版局分離前)からやっていたので、読者の皆様は先刻ご承知の方が多いと思いますが、いわゆる成年コミック(の中でも扱う年代の比較的低めなもの)と呼ばれる漫画や、或いは「ショタ」と呼ばれる分野、最近は「百合」と呼ばれる分野など、幾つもの分野で活動されている漫画家の方です。で、小生は、成年コミックの方でナヲコ先生を知って作品をいささか集め、近年活躍の「百合」の作品も購入したり譲ってもらったりしましたが、「ショタ」の世界は全く足を踏み入れたことがありませんでした。
※小生は全くこの方面に不案内で、「ショタ」、正しくは「ショタコン」、更に語源を辿ると「正太郎コンプレックス」というそうですが、これは扱う年齢の相当に低い少年愛的なもの(通常少年愛といえば、思春期程度の少年を扱うようなイメージがあるので)のことだろうと、その程度の認識です。

 で、成年コミック(もっと言えば、アリス系というかロリ系というか)については、単行本に収録されたか否かを問わず元の雑誌・アンソロ本の類も集めたり、「百合」系も雑誌を何冊か手に入れていたのですが、「ショタ」は全く関心を抱かなかったこともあり、一冊も買ったことがありませんでした。それに、自分で集めなくても、膨大なやおいコレクションを誇るたんび氏に貸してもらえば済む話、ということもありましたし、実際数冊見せてもらったこともありました(「やおい」と「ショタ」がどういう関係なのか良く分からないのですが・・・年齢の差、でしょうか)。
 しかし、最近ネット上の情報で、「ショタスクラッチ」というショタ系同人誌イベントが開催され、その主宰の方がナヲコ先生と親しい方で、その縁からナヲコ先生のショタ系商業誌発表作品(全く単行本化されていません)を再録した同人誌を発行する、とのことが分かりました。しかもそのイベントには、どうやらナヲコ先生ご自身も参加されるようです。
 しからばここは行くしかありません。今までコミケの他、コスチュームカフェ(制服系)・帝国メイド倶楽部(メイド)・東京のりもの学会(鉄道他交通系)・ゲームマーケット(非電源系ゲーム)の各イベントに参加してきた(それも全部出展側で)小生ではありますが、ここは初めて普通の同人誌即売会に一般参加する決意を固めました。
 で、「少しのことも先達はあらまほしきものなり」と兼好法師も書いているくらいですので、やおいに詳しくナヲコ先生の作品の掲載雑誌もあらかた保有しているたんび氏の同道を乞いました。ただ、氏はその膨大な読書量(やおいに限らず)と鋭い感性から涵養された、高い見識と独特の価値観を持っているが故に、「一般的」なやおいだのショタだのという人々と異なる嗜好を有していると自己認識しておられます(詳細は氏のサイト参照)。要するに、当初氏は同道に消極的だったのですが、しかし本件のネタ的価値を認めたのか、最終的には同道を承諾してくれました。

 さて、以前に書きましたが、もしイベントにナヲコ先生がイベントに参加されるのでしたら、できれば単行本『DIFFERENT VIEW』にサインをしていただけないかとの年来の野心を小生は抱いていましたので、この「ショタスクラッチ」イベントはその絶好の好機とも思われました。ので、前夜鞄に『DIFFERENT VIEW』を入れて・・・という時、サインをお願いするのに手ぶらというのも失礼かなとふと思いつき、そこで何か「差し入れ」ということをすべきではないかと考えました。でも何にすればいいだろう?・・・1秒と掛からず案が浮かびました。『voiceful』を読んだ人ならば、100人が100人、同じことを考えたでしょうが。
 というわけで、イベント当日(今日)は、小生の普段の生活習慣にも似合わず早起きして、必要なものを途中で寄り道して仕入れ、イベント会場最寄り駅の浅草でたんび氏と合流する、はずだったのですが・・・。ここで入った電話連絡によると、氏は大寝坊してとても間に合わぬとのこと。爾後の用事もあるので参加は断念との由でした。残念。本だけ代行購入することに。

 前置きが長くなりました。ここから当日のイベントレポです。
 「ショタスクラッチ」の一般入場開始は11時と聞いており、会場の都産貿台東館に着いたのはその10分くらい前でした。7階の会場に入場するための一般入場列は階段に沿って下まで続いており、小生の頃の到着でも2階と3階の間ぐらいで待機することとなりました。入場が始まったのは11時10分過ぎくらいだったかと思います。小生の会場入りは15分頃でした。
 会場は非常に混雑していました。今までこの会場に別イベントで来たこともありましたが、その時と比べ物にならないほどの混み具合です。そしてそれはイベント当局の方々にとっても同様だったらしく、11時半には入場時購入義務付けのパンフレットが完売してしまっていました。
 小生が非常に興味深く思ったのは(ショタに詳しい人には常識なのでしょうが)、来場者に男性が相当多かったことです。半分以上、7割? かなりが男で、年齢層もかなり広汎に渡っている感を受けました。やおい=腐女子、なんてイメージに引きずられていましたが、ここにやおいとショタの違いがあるでしょうか。

 この混雑の対応に、イベント当局の方は大童になっておられました。そのため、「イベント刊行物」であるところのナヲコ先生の総集編同人誌『ナキムシのうた』の頒布開始は遅らせざるを得なかったようです。それだけ、会場の混雑と熱気は大変なものでした。冗談でなく酸欠になりそうな気がしたくらいです。しかし、待たされるのが長い方が、期待はより高まるものでもあります(ある程度は)。ナヲコ先生の本の販売開始がいつか問い合わせる人も結構いました。
 「ショタスクラッチ」代表の方は松村直紀さんといい、ショタ方面の商業誌でも活躍しておられる方で、今回のナヲコ先生のショタ作品集発行の企画・実務をされた方でもあります。小生はこの件について詳細を調べるべく夏コミのときに松村さんのブースに押しかけたことがあったので、どの方が松村さんか分かりましたが、まさに「てんてこ舞い」という言葉を形にしたように飛び回っておられました。パンフレットの件といい、このイベントがそれだけ盛況だったということです。ショタに疎い小生は、この業界がこれほど賑わっていることをはじめて知り、なかなか興味深く感じました。
※ちなみに松村さんの名を小生が知ったのは、以前たんび氏が「ナヲコ先生が『松村直紀』という新ペンネームで描いたのではないか」と情報を寄せてくれたことがあり、慌てて調べていや別人だろうとなったのですが、ご両人の関係を知れば間違えるのもまたある程度合点がいきます。

 正午少し前、いよいよ頒布が始まりました。
 途端に大行列ができました。それまで会場内で、特にブースを見て回らず壁際などに佇んでいた人々(含小生)が少なからずいましたが、小生同様ナヲコ先生の本を目的にしてきた人々は相当多かったようです。行列に並ぶのが大嫌いで、これまで即売会で一度も並んだことがない(まあいつも売る方ばっかりだし)小生は、最初傍観して行列の人数を数えていましたが、百人ばかりまで数えたところで流石にやめ、自分も並ぶことにしました。ナヲコ先生の『ナキムシのうた』は豊富に用意されていたので、百人や二百人で完売することはないのですが、同時にナヲコ先生が以前出された同人誌が一点、同時に頒布されており、それはなくなりそうだったからです。
 行列はできましたが、しかし進みも早く、10分かそこらで小生も目的の『ナキムシのうた』と、旧刊の同人誌を手に入れることができました(後者はあと3,4冊になっていたので危なかった)。
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売り子の方は3人おられ、たまたま小生の列は松村さんでしたが、そこで小生はナヲコ先生が会場におられるかどうかを問いました。実は、ナヲコ先生も一緒に売り子をしておられたのでした。
 まだ行列が続いているので、この場での「野望」実現はやめにして、差し入れのみ進呈しました。『voiceful』読者の方なら既にご推測のつくとおり、いちご大福であります。余談ですが、「いちご大福」って登録商標なんだそうです。

 行列がはけるまでしばし待ちます。大体頒布開始から三十分くらいで一応列は消えたかと思います。
 意を決して、手の空いたと見えたナヲコ先生に『DIFFERENT VIEW』を差し出して、サインをお願いします。大変ありがたいことに、ナヲコ先生は快諾してくださいました。持ってきた本が99年発行の『DIFFERENT VIEW』であったことに少し驚かれたようでした。或いはショタイベントにロリ系を持ってきたからでしょうか(でも「悩んで学んで」の最後の2ページはショタ漫画では!?)。
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 こうして、小生の念願はめでたく達成されました。
 数年前のコミケで、ナヲコ先生のお姿を見かけたことがありましたが、場所の違いもあったのでしょうけれど、何となくその時よりお元気な様子に見受けられ、嬉しく思いました。作品創作の方にもそのような方向性が表れることを心より祈念しております。
 相変わらず会場はごった返していたので、この後のこともあるし、なるべく手短にご挨拶だけして撤収しました。

 まことに充実したひと時でした。
 ナヲコ先生と、松村さんはじめその作品集発行やイベント運営に尽力された方々に、心より謝意を陳べる次第です。

 さて、帰宅後『ナキムシのうた』を読みましたので、以下にその書評を書くのが筋なのですが・・・
 同書はサイズも大きければページ数も140ページくらいあって、相当に読み応えがありました。収められている作品のタイムスパンも長期にわたっていますし、また作者による作品解説なども充実しているのは嬉しいことです。それだけ内容が豊富ですから、読む方も気合が要ります。
 書評ということについては、やはり小生のショタへの見識が皆無に等しいせいか、まだうまく表現できそうにありません。本書を読むことで、『DIFFERENT VIEW』(及びその系統の作品)や『voiceful』をより深く読むことができるということはすぐ感じましたが、或いはそれは順序としては逆であるのかもしれないという疑念も浮かびます。いずれにせよ、副読本的に読んでしまうにはあまりにももったいない話ではあると思いますが、また同時にロリだショタだ百合だと分類して個別に論ずることにあまり意味がなさそうだということもまたこれまで感じてきたことでした。要するにどういう角度で見ればいいのかまだ良く分からないということです。まだ分からないという状況は、それはそれで楽しいものではあるのですが。そしてそれだけの読み方の可能性を抱いた作品群を送り出した作家がいるということは、とても嬉しいことであると思うのです。
 分からないといえば、何故自分がナヲコ先生の作品にこれだけこだわっているのかもやはり良く分かりません。カマヤン氏の場合ほど明快には。それもまた、本書を読んでいくことで、少しは分かるようになるのかもしれない、と期待しています。

 しかし、何もこの総集編同人誌について書かないのも悔しい(笑)ので、小生の知識の蓄積のある地理的分野という視角から『ナキムシのうた』収録の書き下ろし表題作を分析してみましょう。
 この作品は、主人公が両親の昔勤めていた旅館を数年ぶりに再訪し、かつて同居していた少年と再会する物語なのですが、その旅館が「Y温泉」の「F旅館」と書かれています。また別のコマで「明日の夜はM湖の方行くって」と台詞があることから、近所に湖があるようです。
 ナヲコ先生が『DIFFERENT VIEW』の中で「初期の作品のキャラ名は某市の地名をたくさん使ってあります」と書いておられますが、もちろんそれは札幌市のこと。この「ナキムシのうた」冒頭の風景描写も、どことなく北国の空気を感じさせます。というわけで、おそらく北海道であろうと見当をつけ、湖の名前を手がかりに物語の舞台を探してみようと、小生は地図を手に取ったのでした。
 ・・・で、おそらく、この物語の舞台のモデルになっているのは、摩周湖から程遠からぬ養老牛温泉の「旅館藤や」ではないかと思うのですが、どうでしょうか。小生は渡道したことはありませんが、いつか機会があれば行ってみたいものです。木崎湖に行くよりもきっと心に温かな空気が染み渡りそうです。

※当ブログその他の墨公委による関連コンテンツへのリンク
MaIDERiA出版局墨耽キ譚 第11回森薫『エマ』中括←途中でナヲコ先生の作品についてかなり議論。
・当ブログ内「ナヲコ先生のサイン本を購う」←『voiceful』を買った時に、それに関連して色々と。
MaIDERiA出版局今週の一冊 第87回←書評ではないですが、『DIFFERENT VIEW』を題材に一筆。
MaIDERiA出版局西の方で見た巫女とかメイドとかその他思い出すこと←ほんのちょっとだけですが。
・当ブログ内「カマヤン氏(&ナヲコ先生)の作品との出会いについての思い出」←これもちょこっとだけ。

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by bokukoui | 2006-10-29 23:57 | 漫画