「ロリコン」の人は何歳が好きなのか、「ショタ」も好きなのか

 二日ほど続けて書いて鉄道旅行記を完結させましたが、しかしここ数日のアクセス数が結構多いのはやはりそのせいではなく、ナヲコ先生に関する記事と「ショタスクラッチ」レポのせいかなあと思われます。
 そして、寝すごして当日「ショタスクラッチ」来なかったたんび氏が、逸早く氏のブログにてナヲコ先生のショタ系作品に関する評論をアップされておられるのを読みまして、対談相手を務めた身として氏の分析になるほどと思わされるところが多々あります。しかしまた、小生がナヲコ先生の作品に惹かれている理由がたんび氏のそれと同じではないという感も深くした次第です。
 たんび氏のご指摘のうち、「「体温」への希求」という点については、小生も読んでいて画面の余白から温度が伝わってきそうな感覚を抱くことは間々ありましたので、賛同すると単純に言えればいいのですが、ただ、感じさせる「温度」は「体温」に限らないだけの余白の広がりを持っているのがナヲコ作品の特徴なのではないか、そのようにも感じていますので、なかなか論じるのが難しいところです。

 で、まだまだこのことの内容に深く入り込んで論ずる準備がないので、もうちょっと簡単に取り付ける疑問点から少しづつ考えて見ようかと思い、かかる表題を掲げてみました。
 そもそもこのようなことに考えが及んだきっかけが、「ショタスクラッチ」レポで記し、ゆんさんにコメントされた、来場者の男女比のことです。小生、「ショタ」は「やおい」の低年齢化版のようなものかと思っていたので、であれば腐女子と俗称されるように女性陣が多数を占めるものと思っていたのです。そうしたらあにはからんや男の方がずっと多い。
 となると、これは以前たんび氏が記されていたこと(リンク先「『やおいにはまるのは受け身な男性が多いのでは』との意見があるがコメントは?」参照)だったのですが、「ショタ」は「ロリ」の代用品という場合もあるのではないか(特に最近)、という見方をした方がいいのかな? と思ったのです。

 ただそれもすんなりとは納得できないような気もするのです。先ほど扱うキャラクターの年齢で「やおい」と「ショタ」とを分ければいいと簡単に考えていたために実際のイベントの状況に違和感を抱いたわけですし。
 「ショタスクラッチ」のカタログに掲載された、ぶどううりくすこ氏執筆のエッセイ「ショタのゆりかご」に「ショタ」の語源が当時の資料(アニメ雑誌)つきで掲載されています(全4回の第1回だそうですが)。それによりますと、「ショタコン」発祥のきっかけは、「とりあえず、ロリコンの逆パターンを示すための言葉として」生まれたものだそうです。ただ、それを生むきっかけとなった投稿欄のやり取りの中で既に論者同士の間のズレが生じていたらしく、そこからロリコンの対抗概念であったショタコンが自律的な概念になっていく・・・ということなのでしょうか。だとすれば、ロリの代用品としてショタイベントに男どもが押し寄せていたというのは、ちょっと何だかな、ということかもしれません。
 ともあれ、一応「ショタ」と「ロリ」は対であったことは確かなようです。

 さて、ではこの両者の関係を考えようと思ったのですが、そもそも「ロリ」だって一体何歳を指すのでしょう? 語源のナボコフの小説に遡れば12歳ですが、いちいちそこまで考えている人も少ないような。或いは「児童ポルノ法」制定に関連して、児童虐待某氏のはずが援助交際取締へと捻じ曲げられていったことも周知の通りです。
 要するに人によって違っているのです。『はじめてのおるすばん』に「ロリ萌え~」とか言ってるオタクと、児童虐待も援助交際も同じ法律で「取締」まればよいと考えている政治家と、外見が「キモい」人に「ロリコン」とレッテルを貼る女子高生(おばちゃんでもよくいるな)と、諸々の話者によって勝手に解釈されてしまっています。そこら辺を除いて、「ロリ」だと自分で自認している人が、一体何歳の女の子を好きなのか、男の子=ショタでも可なのか、そういうのが分かる資料があれば、「ロリ」にひところ関心を持っていた小生が「ショタ」を見る上でも役に立つでしょうし、いやそもそも結構「萌え」だの「オタク」だのの議論にも資するでしょう。
 で、そのような資料が、あるのです。どこまで参考になるかは結構微妙ですが(笑)
 出典は、今は亡き(当たり前だ)少女専門誌『Alice Club』(コアマガジン)1998年5月号の「読者生意見」と題されたアンケートの集計です。アンケートの応募総数は103通に達しており、そこそこ数的には揃っています。また、サンプル層も、『Alice Club』を読んで投稿しようという層ですから、「少女愛」に一定以上のこだわりを抱いていると自認する層を集めたとは言えると思います。
 で、その方々が何歳の女の子が好きか答えた結果が以下の通り。
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 調査に当たっては、某研究室のご厚意により(名前は明かせませんが)所蔵されている『Alice Club』を利用することができました。
 で、出典が出典ですので、扇情的なタイトルをつければ「ロリコン百人に聞きました~あなたは何歳が好き?」というところでしょうか。
 結論は、12歳を頂点に正規分布に結構近い? 感じで分布しているということになります。裾野は上下ともそれなりに延びていますね。

 年齢の区切りが結構微妙なのですが、これはもともとのアンケートがこのような選択肢になっていたことによります。多少誘導尋問めいている感なきにしもあらずですが。ただ、このアンケートは複数回答可なので、仮に年齢を細分化しても、或いは10~11歳とかをまとめて2歳づつの刻みにしても、大きな変化は生じないだろうと思われますが。
 で、この結果に関して編集部は以下のような解説を付しています。
 圧倒的支持が高かったのは11~13歳。その周辺年齢も思いの外、高かった。読者層は幅広いということがここで改めて認識された。読者層が幅広いということ=性指向の深遠さを感じさせるということ。大人年齢でも対象になる読者も少なからずいる。
 この結果を編集部は「幅広い」と評していますね。実際、この後の投稿した読者のコメントを見ると、大人の女性にはまた魅力があると(面白いことに、成年女性の場合は「精神的」な魅力を強調しているものが多い)述べているものが幾つも目に付きます。
 ところが対照的に、少年も可としている「ロリコン」な人はごく少ないですね。これについては、編集部のコメントと読者のコメントをまとめてご紹介しましょう。
 さて、新しいテーマ(!?)、少女と少年の魅力の違いとは? これについても読者から幾つか意見を頂いているので紹介しよう。「13歳以下の美少年という難しい条件付きで・・・、そのくらいの男のコの方がアレもかわいいし、抵抗なく受け入れられる」(千葉県/23歳)、「個人的には10歳前後。魅力の違いは感じません。好きなものは好き。ただ、性欲を感じるのは男の子の方が強いかも。女の子は汚しちゃいけないような気がして」(愛知県/24歳)、「特に少女愛じゃないけど、少年愛の自覚は19歳のとき。少女と少年、どこが違うんでしょうね。あえて言えば全部違う」(神奈川県/20歳)など。うーん、集計上は全体に占める絶対数がかなり少ないっていう結果なんですが、意外と趣の深い意見なんかもありますねぇ。これは難しいかも。
 と、編集部はコメントを避けているような感じもあります。
 とはいえ、全103通のうち、「少年」に入れたのが4票だけという点からすれば、やはり――少なくともこの時代の「ロリコン」な人たちについて言えば――「ロリ」と「ショタ」はどちらかといえば区別が明確なものだったのでしょうか。「代用品」になるような近接した関係ではなかったというように、この結果からは読み取れます。

 ただ、ここで注意すべきことは、『Alice Club』が総合的な少女趣味誌で、漫画という類のコンテンツは同誌において決して最重要な地位に置かれているのではないように感じられることです。せいぜいがとこ、いわゆる「二次元」コンテンツは、様々な分野の中の one of them に過ぎないということです。このことが、アニメ界の話題から発し、漫画を中心とした世界で主に語られてきたような感のある(というほど小生はこの分野を知っているわけではありませんが)「ショタ」を、「ロリ」と対置するときの問題となるのかもしれません。
 そして、「ロリ」と「ショタ」が漫画の世界でもし相互に代用品的機能を果たしうる状況が現在ある程度存在しているとするならば、そのような変化が生じた際に、「ロリ」だの「ショタ」なのから失われた何がしかがあるのかもしれない、そのようなことも漠然と考えます。ありきたりな方向に持っていってしまうと、近年の「萌え」だの「オタク」だの「腐女子」だのの世間での認知度が向上したことが、かえって「ロリ」「ショタ」の元来持っていたはずの意味合いを薄めてしまったのかもしれない、まあそのようなことです。

 とまあ、色々書けば書くほどかえって問題は拡散するばかりですが、読者の皆様が何か思いつく刺激になれば幸いです、ということで本稿を無理やり締めくくることと致します。
 折角の資料を充分に生かせなかった感もありますが、まだアリクラには色々ネタが眠っていそうなので、ブログのネタに詰ったら機会を見てまた紹介してみたいと思います。

※追記:アリクラで小ネタ一つ書きました。
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by bokukoui | 2006-11-01 23:59 | 思い付き