レックスHDの話続き・愉快なDVDからギャルゲーのアイディアを得る

 先日2回に渡って話題にした(こちらこちら)、焼肉の「牛角」をはじめとする外食産業とコンビニ「am/pm」、高級スーパー「成城石井」を経営するレックスホールディングスについて、MBO以降の展開についての報道が出ていました。

 コンビニ再編 エーエム・ピーエムの運命

 要するに「同HD傘下のコンビニ大手のエーエム・ピーエム・ジャパンと高級スーパーの成城石井の売却話がまことしやかに流れている」ということですね。出典がゲンダイネットなので眉唾といえば眉唾ですが(苦笑)、しかし以前の記事の材料提供者から得ていた情報と突き合わせても、ごくごく当然というところかと思われます。
 一時の勢いで規模を拡大してみたものの、結局「西山商店」を脱却する企業統治を編成できなかった以上、事業を絞り込む方向で再編するというのは当然でしょう。am/pmはどうなるか分かりませんが、成城石井に関しては買い手は必ず現れるでしょうし、値段も相当なものがつくはずで、ファンドも事前にそれを見越しての出資だった公算は低くないように思います。

 で、前回は件の会社の経営理念? を語った小冊子を肴にしましたが、今宵は別のグッズを題材に一席。といっても実は以前に書いたことの焼き直しに過ぎないのですが。
 レックスHDの外食事業を営むレインズインターナショナルは、半期に一度「パートナーズフォーラム」というものを開いて、全社員を一堂に集め、各店舗の取り組みの中で特に優れたものを発表させて表彰するというイベントです。小生が上掲記事で見たというDVDはこの「パートナーズフォーラム」の模様を記録した2枚組DVDなのでした。リンク先の2004年は東京ベイNKホールが会場だったようですが、小生が見たものは横浜アリーナを借り切ってというものでした。凄い規模ですね。
 あ、そうそう、レックスグループではアルバイトのことを「パートナー」と称します。ので、このイベントをもっと一般的に分かりやすい表現に直せば、「アルバイト日本一決定戦」というところになろうかと思います。これは「牛角」「温野菜」「土間土間」などのレインズ系各店舗のアルバイト(パートナー)が、店舗ごとに売上向上などの目標を定め、それを達成した店舗が自分たちの取り組みをプレゼンする、というものです。

 昔小生は、マルチまがい商法の大手として悪名高いAmwayの宣伝ビデオを見たことがあります。あれはあれで、そのネズミ講的性格を巧みに押し隠して新規メンバーを勧誘するテクニックや、その勧誘に説得力をつけるために登場する「成功者」の姿など、見ていて頭を抱えたくなる局面も多かった反面、突き放してみれば説得術の一つのマニュアルとしてはそれなりに興味深くもありました。その技術の使う方向が思いっきり間違ってますが。
 アムウェイで思い出しましたが、「成功者」の姿を売り込んで人々を勧誘するアムウェイの姿を最も巧みに戯画化して描き出した伝説のサイト「うえのはるきのほめぱげ」はまだ残っているんですね。

※追記:その後、「うえのはるきのほめぱげ」は残念ながら消えてしまいましたが、形を変えて復活しました。こちらを参照→伝説のサイト「うえのはるきのほめぱげ」ツイッターで復活!?~レッツビギンやで! ポジティブや!!

 しかし、アムビデオ鑑賞の経験を持つ小生にとっても、このレインズインターナショナルの「パートナーズフォーラム」DVD鑑賞は精神的に辛いものでした。
 目標を定めそれに向かって適切な方法論を検討し、実現に向かって努力する。そのこと自体は全く結構なことです。しかしこのフォーラムの画像を見てみるに、目標設定にもその達成手段についても、合理的な説明が全くといっていいほどされておらず、ただただ自分たちの熱意を絶叫と号泣と共に連呼していく姿ばかりがどこまでも続いていくのです。
 「宗教的」とでもその熱狂は形容すべきなのでしょうか。小生は見ていて辛くなり、屡々鑑賞を中断せざるを得ませんでした。正直言ってアムウェイよりきつかったです。社会的には、在庫を抱え込んで経済的に困窮する危険性があり、周囲との人間関係を破壊する恐れのある、マルチまがいのアムウェイの方が危険なはずなんですけどね。

 で、アムウェイに比べてレインズの「パートナーズフォーラム」が持つ嫌な感じを考えるに、アムは個々の構成員は個人事業主(ディストリビューター)として位置づけられるのに対し、レインズのそれは店舗単位の集団で行動しているからではないかと思い至りました。
 先ほど紹介した「うえのはるきのほめぱげ」に、アムウェイに勧誘されて入った暴走族が儲からないことに気がついて辞めてしまう話があります。アムの場合、こうして脱落した人間は脱落なかった人々から「成功という夢への道を諦めた落伍者」と馬鹿にされるでしょうが(はたから見てどっちが馬鹿かは別として)、とにかく、辞めて損切りをすることはある程度可能です。
 で、レインズの場合は如何、と考えるに、「パートナーズフォーラム」DVDを見ていると、舞台上でプレゼンをする店舗の人々のプレゼン前・後の姿が納められているのですが、プレゼン前にはスクラムを組んで気勢をあげ、後には抱き合って涙を流しています。プレゼン中では店舗のアルバイトたちの「一致団結」「仲間と共に」という言葉が連呼されます(で、DVDの演出は思いっきり『プロジェクトX』調)。
 もちろんアムウェイの方も、定期的にミーティングを開いて「成功」の魅力を注入し、脱落者が出にくいようにしていることは事実です。ただアムはマルチまがい商法というその性格上、人間関係のつながりが垂直的に編成されるのに対し、レインズの場合は店舗という形で水平的に編成されるという相違点があり、そこがおそらく集団への依存心をより強いものにしているのではないかと思います。

 あともう一つ、プレゼンする人々が「お金のために働くのではない!」と強調し、仲間との連隊と目標達成によって得られた人間的成長、のようなことを矢鱈と強調するのを見ていると、これも以前に書いたことと同じですが、新興宗教や自己啓発を連想させるような手法で従業員の精神を動員し、彼らの労働力を賃金水準以上に搾取する戦術という側面があるのであろうと思います。これが、そういった戦術である、という認識のもとに行われているのか、行っている経営陣もこの方法に自ら酔いしれているのかそこら辺は分かりませんが。
 こうなると、あまりにベタすぎて失笑が漏れてくるとはいえ、物質的な「成功」を目標に含んでいるアムウェイの方が、ある意味「まとも」に見えてくるような気さえします。アメリカ的個人主義、なのでしょうか(Amwayは American way の略)。もっともレインズ・レックスの創始者・経営者である西山氏は、以前の記事(こちらこちら)で紹介した小冊子によると、マクドナルドでの就業経験で現在の外食産業という事業に目覚めたらしいので、或いはアメリカ的経営術もレインズの方針に影響しているのかもしれませんが。しかしだとすると、アメリカと日本の悪いところを掛け合わせたような・・・なんてね。

 でまあ、こんなことばかり考えていても鬱々とするばかりですので、DVDを見ながら考えたヨタ話が以下。
 店長(社員)が中心となって店員(バイト)を団結させ、ライバルたちを倒して日本一(世界一)に輝く・・・というストーリーは、まんまゲーム化できるんじゃないか、と考えたのであります。で、飲食店経営をゲームにするなら、ここはやっぱ美少女+可愛い制服路線で行けばいいのではないかと(笑)。これはいわば「調教」ゲームです。しかりありきたりなSM系調教ゲームではありません。そういう調教ではご主人様と奴隷の二人きりの世界をとことん突き詰めるのが普通ですが、この場合は店舗経営の効率化のために洗脳するという点が加わり、複数の店員間の団結を図らせねばならないという点がより複雑なマネジメントを要求します。しかもこれと必ずしも両立しない、特定の女の子と仲良くなるという個人的目的をも同時に追い求めるとなると、ますます面白くなるでしょう。
 というわけで、『Pia! キャロットへようこそ』とか『ショコラ』とかの続篇を作る際に、「パートナーズフォーラム」を参考にしては如何、と思ったのでありました。すべての目標を上手く同時に達成させると、「パートナーズフォーラム」で満場の聴衆を前に女の子に告白してもらえる、とか。
 いやまあ、小生が知らないだけで、既にこういうの実際あるのかもしれませんが。昔酒井シズエ翁もこんなネタやっておられますし。

 と、一見下らないこと(いや本当に下らないことだけど)を考えたわけですが、しかし自分がオーナーならともかく、チェーン店の一店舗の場合店長の裁量でメニューを増やしたりするようなことはやりにくそうで、ゲーム的に言えば「いじれるパラメータ」が店員の時給の他には士気くらいしかない、ということがあるのかなあと思っても見たりするわけです。
 そしてまた、「パートナーズフォーラム」を見てこういうネタをすぐ思いついてしまうほど、いわば熱血少年漫画的世界を地でやっているということの可笑しくも物悲しき状況について、現実とフィクションの区別がついていないのは一体誰なのかと思ったりもするのでした。

※この駄文作成中繋いでいた音楽
※リンク切れに付画像差し替え


※追記:その後レックスホールディングスの事業は解体され、am/pm はファミリーマートに吸収されて商標は消滅し、成城石井は三菱系のファンドに譲渡されました。同社自体も居酒屋などを経営するコロワイド社に買収され、その子会社となってしまっています。
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by bokukoui | 2006-12-11 23:58 | 時事漫言 | Trackback | Comments(0)

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