「オタク」が「恋愛資本主義」と「近代」をもっと楽しく語るための一提言

 バイトで帰りが遅くなったため更新が遅れております。

 で、数日前の記事その続きのような記事に関し、「革命的非モテ同盟」のfurukatsu氏よりコメントをいただきましたので、そのコメント中で氏が示されていた記事「近代批判としての非モテ」などを読んで、若干の意見を述べさせていただこうかと思います。

 とはいえ、この記事だけ一読してもどう評価すべきかいまいち小生は判断しかねたため、furukatsu氏のブログのほぼ全文を読むと共に、氏がコメント欄で積極的な論争を展開しておられたイカフライ氏のブログ「今宵,バーボンハウスで」ならびにナツ氏のブログ「★電脳ポトラッチ」を拝読した結果、小生が上掲「近代批判としての非モテ」を読んだ時に感じた違和感について、既に充分以上の議論が展開されていることが分かりました。もっとも端的な箇所を以下に引用させていただきます。出典は「★電脳ポトラッチ」さんの「それってポストモダンなの?」のコメント欄です。引用に際し一部を省略しています。
投稿者 : furukatsu at 2006年12月09日 02:48

とりあえず、近代批判としてポストモダンな考えを用いるというテクニックが使えるんじゃないかなぁ? 程度に考えていました。
いや、正直、私はポストモダンの思想がまったくわからないんで、そんな気がする程度の話しなんですが。

うーん、よくよく考えてみると、恋愛を否定するという部分に関して、恋愛を脱構築するとかでポストモダンな部分を援用しようとしているのかな。
いや、ポストモダンは良くわからないんですが。

投稿者 : lablues at 2006年12月12日 17:25

 私は単なる傍観者なわけですが、この手の議論が繰り返されるたび、とくに抱いてもいなかったいわゆる非モテな人に対する冷たい憎悪というか、悪感情がどんどん育ってしまって、困ります。

 furukatsuさんはポストモダンって言葉を使ってみたかっただけという事でいいんでしょうか? 「まったくわからないが、そんな気がする」って、すごすぎます。いったいなんなんだこの人は。
 もうちょっと補足すれば、議論がいささか唐突で、挙げられているここの議論の連関や、議論の前提が良く分からないということです。
 更に言えば、この「近代批判としての非モテ」において小生が奇異に思ったのは、「経済と政治という分野に加えて、男女関係という分野について恋愛至上主義という思想を踏まえ論じる」とfurukatsu氏は論を提起され、経済についてはマルクスとか、政治についてはウェーバーの名前を挙げておられます。しかるに男女関係については先学の名を挙げておられない。そして「政治、経済については、多くの思想家や学者がその問題を指摘してきた。しかし、男女関係、つまり非モテについては言及されてこなかった」と論を結ばれています。

 そりゃないよ。

 男女関係について、そしてこれを基盤として成立した近代家族について、社会史が如何に多くの豊富な成果を挙げてきたかは、今更喋々するほどのことでもないと思います。小生がまず思いつくのは、フィリップ・アリエスとかフランスのアナール派あたりですが(この以前の記事で名前を挙げた福井憲彦『「新しい歴史学」とは何か』は、アナール派の日本への紹介の代表的な文献です。絶版だけど)、日本でも研究はゴマンと(ちと大袈裟か)あります。
 以前コメント欄でも書きましたが、近代家族の研究は近年とみに盛んですし、これこそが家族とは愛情によって形成されるという「恋愛至上主義」の大元であって、しかもその発展は資本主義の発展と深い相関関係にあります。
 これ以上具体的な解説は小生の知識の底の浅さが発覚するから敢えてしません。是非ご自分で研究されることをお勧めします。
※余談ですが、「非モテ」論壇で近代家族論の援用をあまり見ないのはなぜなのでしょうか。

 小生にはfurukatsu氏のこれら言論活動がネタなのかマジなのか分かりません。その点は上に引用したブログのコメント欄でも指摘されています。しかしどちらであろうとも、仕込みにひと手間かけることで、ネタは切れ味を増し、議論の真剣さは深まるでしょう。
 で、ネタだろうとベタだろうと、という観点でfurukatsu氏にご提案したい方法論がもう一つあり、議論に際しては文献を引用すると味わいが増します。失礼ながら「革命的非モテ同盟」がネット上のリンク以外の引用をされているのは、クラウゼヴィッツ一行の他はギャルゲー(台詞と作者のインタビュー)しかないように見受けられます。これでは革命的衝撃を読者に与えることはできません。ネタをやるなら大仰であればあるほど面白いし、マジでやるなら典拠をはっきりさせることは大切。どっちにしてもやって損はないと思います。
 furukatsu氏のブログ中登場する思想家? でもっとも名前が多いのが本田透、というのもやはり「ネタ」にせよ「ベタ」にせよいただけません(出現回数6、ちなみにマルクスは3)。折角「ほんだ」を登場させるなら、中核派の方ともご交流がおありのようですし、ここは「ほんだ」は「ほんだ」でも本多延嘉書記長を登場させるというのも一案ではないかと思います。

 本多書記長は1975年に革マル派のテロにより非業の最期を遂げられましたが、その日はなんということか、かの三大白色テロルのひとつ・ホワイトデーである3月14日だったのです。
 で、製菓資本がホワイトデーという白色テロルに訴えたのは、諸説あるみたいですが、このテロルの数年後だったようです。
 というわけで、3月14日に
3.14に集え同志よ!
 今を遡ること30年前、反動勢力の白色テロルはまず卑劣なる反革命カクマルの手を用いて同志本多を虐殺した。
 カクマルが反動独占資本と結託していることは明らかである。
 なんとなれば、このテロルから数年を経ずして反動資本家どもは3.14を「ホワイトデー」などと称して白色テロルの記念日に仕立て上げたではないか!
 同志諸君、今こそ決起の時。反動どもの白けた脳髄に革命の鉄槌を下すのだ!!!
 なんてビラはどうでしょうか。革マル派が襲ってきても責任は取りませんけど。
 それにしても、嫌な偶然です。

 最後に、furukatsu氏が拙文に寄せてくださったコメントによりますと「秋葉原にオタクが多く、オタクには非モテが多いという予測の下」闘争ないし街頭パフォーマンスの舞台として秋葉原を選ばれたということに関して。
 氏はご自身が「オタク」であるかどうかについて明確な断言をされておられないように見受けられますが、オタク=秋葉原という発想を抱かれたということ、美少女ゲームの引用をされておられるということなどからして、やはりご自身が「オタク」なのではないかと察せられます。
 小生は以前「オタク」「マニア」について駄弁を弄したことはありましたが、大雑把に言えば情報を集積することを楽しむという点では似たようなものなのだろうと思っています。
 で、ここ数日二冊の本について延々と冗長極まりない書評めいたものを記したことから思ったのですが、「マニア」とか「オタク」という類の人間には物事をなすのに向いた手法があり、それはやはり多くの事例をコレクションして楽しむ帰納法的な方法論なのではないかと思うのです。その手法は、まず理論ありきで単純明快に割り切ってしまう方法よりも一見あやふやで分かりにくく見えますが、そもそも「オタ」「マニア」のように少数派とされがちな存在にとっては自己の立場を有利ならしめるという観点からも有効なように思われます。あんまり理論先行で単純な割りきりばかりしていると、こと「オタク」「マニア」にとっては自分の首を絞めることになるのではないかと。

 ま、とにかく、いろいろネタを仕込んでおくと楽しいし便利なんじゃないかと思う次第です。
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by bokukoui | 2006-12-21 23:59 | 思い付き | Trackback | Comments(2)

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Commented by furukatsu at 2006-12-26 03:01 x
うーん、確かに、色々図書館でネタを仕込んできます。近代家族論からのアプローチ、またはジェンダー論からのアプローチというのは重要な示唆を与えてくれそうな予感がします。
と、その前にゼミ論があるんですが(笑)

しかし、核マルを敵にまわすのは恐いです。いや、いっそのこと、前進社にかくまってもらいますか・・・?(笑)
Commented by bokukoui at 2006-12-27 01:00
12・24はお疲れ様でした。
近代家族論については小生も更に研鑽を積みたいと思っております。

ネタ云々ですが、軍事史について西欧の軍事革命と日本との比較をされるのでしたら、『軍事史学』などに掲載された久保田正志氏の論文が参考になろうかと思います。
ついでに、久保田氏は小生や労働収容所組合氏、某後輩氏らの所属する東大戦史研の大御所であらせられます。もし軍事に関連する話題を心置きなく語り合いたいのでしたら、2ちゃん軍事板関係者もいるインカレの当研究会
(http://tokyo_univ_whr_club.at.infoseek.co.jp/)
まで是非どうぞ(←逆オルグしてみる)。

忌憚なく言えば、オタクとの親和性は中核派より革マル派の方が高いような気がします(笑)。機関誌を『新世紀』と改題して「エヴァオタか」といわれたくらいですから。
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