2月1日に思う

 2月1日といえば中学受験の山場なわけで、受験生も学校当局も塾関係者もてんやわんやの一日であったかと思います。小生の旧友にもこれに関っている人もおり、きっと朝から受験生督励に出かけたことでしょう。カマヤン氏もきっと。また今日は受験生を迎え入れた中学校の先生方は採点に追われたことでしょう。最近は即日結果発表、なんて学校も多いようですし。
 で、それと直接関係はないのですが、小生も今日は半日採点業務に従事しておりました。といっても大学入試の模試ですが。大学入試の方はこれからが本番ですね。センターで合格決めて浮かれてる人も結構いるでしょうけど。

 小生が採点をやっていたのは某予備校の東大模試の日本史で、無論全問記述式なのでなかなか大変で、といっても短答式のそれに単純にマルバツをつけるよりはある意味楽しい? 仕事ではあります。あんまり細かいことを書くと個人情報保護とか何とかに触れそうですが、しかし採点者がどのように考えているかを真面目に書くこと自体は、おそらく受験生の利益に適うことであり、ひいては某予備校の模試の信頼度を損なうこともないだろうと判断して、以下に一筆。

 なにせ記述大問4つ(平均して各200字程度)という試験なので、採点する方も結構手間がかかります。特に最初はえらく時間がかかるのですが、慣れてくるとどんどんスピードアップし、思ったより早く片付きました。で、この「慣れる」というのがどういうことなのかとしばし考えた時に、以下のことを思いました。
 模試の性格によるところも大きいとは思いますが、結局この試験でいい点が取れるかどうかは、出題者の意図に適った答案を作成できるかということがポイントになっているわけで、正確な事実を多く並べただけでは得点にならないのです。で、受験生の答案を色々読んでいると、結構ここで外している答案が多いなあということに気がつきます。その外し方に一定のパターンがあり、それを飲み込むと採点業務がぐっとスピードアップするのではないか、まあそのように考えたわけです。
 いわば出題者の求めたことと解答者の答えたこととの間の齟齬を読み取って評価するのが、この仕事の内容ということになりましょうか。

 畢竟、試験問題に解答を書くのも、かなり特殊な形態とはいえコミュニケーション能力の一つであることには変わりがないということなのでしょう。
 先日「東京大学オタク物語」その5を書いて、受験能力と「オタク」との間に相関関係があるために、中学受験を経た中高一貫男子校にはオタクが多く、いわゆる「スクールカースト」で低位におかれやすいといわれるオタクな人々が比較的そういった状況に置かれにくいのではないか、ということを書きました。まあ、スクールカースト自体がそんなに固まった概念ではないのではありますけど、コミュニケーション能力がそれとかなり愉快関係があるだろう、ということは、まずおおむねこの言葉について何事かを述べた人々の間で共通する認識であろうかと思います。小生もそうではないかなと思います。
 で、受験というプロセスは、もっとも一般的な意味(なかなか難しい定義づけですが、クラスの中で人気者になれるようなコミュニケーション能力、くらいの意味です)での「コミュニケーション能力」をやや苦手とするような人でも生きやすい環境を与えてくれる可能性を示してくれるものではないか、なんてことを思いつつ「東京大学オタク物語」を書いていたのですが、しかしまあ受験も広い意味ではコミュニケーションに他ならないのだなということを、採点しつつ思ったのでした。

 はてなキーワードの「スクールカースト」の項目には、人気に直接影響を与えるのは「自己主張能力」であって「相互共感能力」ではない、ということが欠かれていますが、まあ両方とも広い意味ではコミュニケーションであると思いますけど、確かにコミュニケーションのやり方にも幾つかの方針があり、自己主張に傾斜したものと相手の出方をより多く伺うやり方と、その違いはあるでしょう。
 で、入試というのは、その相手の出方を伺うようなタイプのコミュニケーション能力との親和性が高く、従って「成績の良い」人というのはそのようなコミュニケーション方針を取るがために、一般的な「スクールカースト」において優位な地位を占めにくい、ということはあるのかもしれませんね。入試というシステムは、こうやって人間のタイプ分け、というとあまりにも乱暴なので、もうちょっと恰好つけて言えば、文化的ハビトゥスの相違で人間を振るい分けるという役割もあるのかもしれません。

 ・・・とは書いてみたけれど、自分の周囲の人間を思うと例外が一杯いるような気もしてきました(笑)。まあ、その程度の思いつきに過ぎません。
 その程度なのに半日も書くのにかかってどうするんだとへこむのでした。
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by bokukoui | 2007-02-01 23:57 | 思い付き