(エロ)マンガと鉄道の話など~長月みそか篇(2)・政令指定都市の夢

 昨日の続きです。

 バイトで忙しく、夜中に長々更新している暇がない都合上、昨日の記事は中途半端なところできってしまいました。大体表題にある鉄道の話をまだしていませんでした。
 で、この長月みそか『HR』は鉄道に関し端倪すべからざる描写があるのです。
 このマンガの中心的キャラクターは、梶井素子・中原千夜・田山ハナの三人の女の子ですが、その一人の素子ちゃんがどうも鉄道マニアらしい、という稀に見る設定がなされておりまして。
 先年は酒井順子氏の『女子と鉄道』が世に問われ、また最近小生はくりはら田園鉄道にて廃線予定路線巡りをするおばあさんに出会ったりしましたが、まだ女子中学生というのは聞いたことがありません。キャラクターの性格を奇矯な方向で立たせようとするのではない本作のような作品で、鉄道マニア女子中学生という設定がなされたことに小生は深く感銘を受けました。
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『HR』所収「一般教養」より(p.95)

 他にも幾つか素子ちゃんの鉄道ネタがありますので、気になった鉄道趣味者諸君は直ちに書店へ。
 もっとも、他のキャラクター(男子も女子も)には恋のエピソードが、多寡はあるにせよ出てくるのに対し、素子ちゃんにはあんまりそういう話が出てこないのです。ある意味妥当な設定なのかもしれませんが・・・。

 『あ でい いんざ らいふ』『HR』共通の舞台になっている中学校の名前は「山葉第二中学校」だし(『HR』p.26の誤植はご愛嬌)、『あ でい ~』の登場人物の名前は「本田」「川崎」「鈴木」だし、長月氏のサイトを拝見すると■Favorites■に二輪があるし、オートバイはお好きな方なのだと思われますが、鉄道についても何かご関心があるのでしょうか。成る程本文中にはほとんど出てこないのですが、『HR』カバー裏見返しの、都電荒川線の雑司ヶ谷電停の情景(修学旅行の一齣、という設定かな?)はなかなか素晴らしいものと思います(今まで多少漫画を読んできて、メカものの中でも自動車やオートバイをこだわって描かれる作家さんが、鉄道を描くとアレな出来になるという実例をいくつか目にしたりしてきただけに)し、昨日の記事に引用した地図に出てくる鉄道にも、作品の本文自体には何の関係もないのに、わざわざこんな注記があったりして、
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これからも何か出てくるのかもしれないと気になります。

 というわけでまた地図の話に戻ってきてしまったのですが、これだけ精緻な地図を作ったとなるとモデルになる街があるのかな? と思ってしまうのは人情であります。
 で、山葉第二中がどこにあるかを探る手がかりが本文中にあります。修学旅行の話の「最後の晩餐」(p.97)の一齣目をよーく見ると、
 「12:30→|→18:00ごろ解散」
 と、修学旅行の時間割が書いてあります。「まっくろ」(p.102)の記述からして、この移動は全てバスです。途中で休憩を挟むでしょうし、またこういうのは大体時間に余裕を見ておくもので、更に学校に着いてから、先生がお約束の「家に帰るまでが修学旅行です」と訓話を垂れる時間(笑)も見込む必要がありますので、実質移動時間は4時間あるかどうか。となれば、高速道路の利用を考えても(もっとも趣旨から行ってあまりぶっ飛ばすとも思えません)、東京からの移動距離は300キロに届かない程度と推測されます。
 一方、「駅間がみぢかい」というのは」JRでなくて地方私鉄なのでしょうが、まあ短い駅間といっても1キロやそこらはあるでしょうから、この地図中の松田川は結構広い川ということになります。また、スケートの描写や、冬に雪の描写がなかったことからすると、北の方ではなさそうです。

 以上の条件を全て総合すると、答は大体絞られてくるわけで、小生が思うにこれは

 浜松

 が怪しいのではないかと思います。何せ、ヤマハもホンダもスズキもあるもんなあ(笑)
 ということは、あの地図中の鉄道のモデルは遠州鉄道だったのか!?
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遠州鉄道 新浜松駅 2007.1.19.墨公委撮影

 遠州鉄道にも、昔は支線があったんですよね。今はないけど。 

 ところで浜松といえば、『苺ましまろ』の舞台としても有名ですね(祝5巻発売決定)。
 この4月に、浜松はめでたく政令指定都市に移行いたしました。ですが、「環境と共生するクラスター型都市」という都市ビジョンがなんなのかよく分かりません。「クラスター」と「水」が結びつけば、たちまちインチキ水商売の臭いがしてくるし、「クラスター爆弾」といえばまことに物騒で始末の悪い兵器です。
 ここはひとつ市のビジョンとして、『苺ましまろ』や『HR』のような作品を全面的にプッシュし、学校を舞台にしたマンガの聖地を目指しましょう。そんなことをして何の意味があるのかって? 決まってるじゃないですか。浜松市の仇敵・静岡市を撃破するためです。静岡は、浜松に差をつけるべく強引な合併策で一足先に政令指定都市になりおおせました。静岡はその際に清水市を併呑し、あのキャラクターを掌中に収めたではないですか。

 ちびまる子ちゃんを。

 ・・・やっぱ無理かね。

 最後にちょっと余談。
 『あ でい~』のあとがきで、長月氏は「短足・胴長・スレンダー」な中学生のスタイルが好きだと書かれています。そのせいなのかどうなのか、『HR』におけるバスガイドさんや生徒会長のような「巨乳」設定のキャラクターが、あんまり巨乳に感じられない気がします。特にバスガイドさんについては巨乳ネタで四コマ描いているにも関らず、一瞥した時に「あ、巨乳キャラだ」とすぐに認識できなかったんですよね。なので四コマとしてはちょっとすべっちゃった感もするのが、かえって面白くも感じられました。
 もちろんそれは長月氏の画力の限界などと偉そうに指摘したいのではなく、それだけ長月氏は自分の好きな世界をより魅力的に描くような、特異な才能をお持ちなのだろうなということです。巨乳と千夜に言われた(p.96)生徒会長で言えば、115ページの立ち絵でも胸は目立たない代わりに、両足の微妙な間隔がもたらしたO脚みたいなスマートじゃない姿が、かえって他の作家の絵ではなかなか出てこないであろう独特な魅力をもたらしているように感じるのです。
 まあ、マンガに対し小生の目はちっとも肥えてませんので、いささか見当外れなのかもしれませんが・・・。

 他にもネタがあるので、「(エロ)マンガと鉄道の話など」は続きを書くかもしれません。
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by bokukoui | 2007-04-06 23:59 | 漫画