お気楽アメリカ紀行(12)~ヴェニス これが本当のネオ・ヴェネツィア

 当初の予想以上に時間がかかりましたが、漸くアメリカ旅行記も完結です。旅行記の他の記事は以下を参照。

 (1)オレンジエンパイア鉄道博物館への道
 (2)オレンジエンパイア鉄道博物館・その1
 (3)オレンジエンパイア鉄道博物館・その2
 (4)パームスプリングスのロープウェイ
 (5)パットン将軍記念博物館
 (6)フェニックスからセドナを経て
 (7)フラッグスタッフからグランドキャニオンへ
 (8)プレーンズ・オブ・フェイム(アリゾナ分館)I
 (9)プレーンズ・オブ・フェイム(アリゾナ分館)II
 (10)フーヴァーダムを経てラスヴェガスへ
 (11)デス・ヴァレー国立公園
 (12)ヴェニス これが本当のネオ・ヴェネツィア(この記事です)

 遂に旅行も最終日となります。飛行機が飛び立つまでにいくらか時間がありますが、そう時間のかかるところを観光している余裕もありません。また当然のことながらレンタカーを返しに行く手間もあります。
 で、小生の希望により、場所的にも空港に近く好都合なヴェニス Venice を見に行くこととなりました。この街はその名の通り、イタリアのヴェネツィアを模して運河が掘られた街で、今から百年ばかり前にタバコ産業で財を成したアボット・キニー Abbot Kinney なる人物が開発したものだそうです。海岸には遊覧用の桟橋(19世紀にイギリスでブライトンはじめ各地に作られたというものと同類なのでしょう)も設けられ、運河にはゴンドラが浮かべられて観光客で賑わうと同時に、この地域の土地は住宅として販売されて人口が増加、発展してとうとう街の名前も正式に Venice になってしまったんだとか。
 以前も述べたとおり、かつてロサンゼルス一帯にはパシフィック・エレクトリックというアメリカ最大級(=世界最大級)の電鉄会社が存在しており、この会社の経営は日本の電鉄にも影響を与えたのではないかと思いますが、そのPEがロサンゼルスとこのヴェニスとを電車で結んでいました。その路線は「ヴェニス・ショートライン」といい、その名(「短絡線」)の通り速達運転も行っていたそうで、電鉄会社も結構力を入れていたようです。詳細は先日の記事でもご紹介しましたが、こちらのサイトをご参照下さい。
 小生は日本の電鉄業史をいろいろ漁っているうちに、技術のみならず経営全般にアメリカの影響が強いんじゃないか、沿線住宅開発もアメリカの影響であって、イギリスの田園都市(ガーデン・シティ)はほとんど名前しか関係してないんじゃないか、という疑問を抱くようになりました。カリフォルニアのヴェニスは、直接電鉄会社が開発した土地ではありませんが、アメリカで電鉄会社が活発な経営をしていた時代に電車によって大都市と結ばれた場所に観光地や住宅を作っていたという点では、何か参考になるかもしれない、ということで行ってみたかった次第です。海沿いに観光地を作るというのも、日本の電鉄にも例があることですし。まああと、以前もネタにした覚えがあるけど、「ネオ・ヴェネツィアは実在したんだよ」とオタク方面の方々を韜晦するネタにも使えそうだし、という下心も少しありました(笑)。
 かつて電鉄沿線に出来た住宅地はいろいろあったようですが、その後ロサンゼルスが自動車社会になって電鉄が滅亡してしまってからそういった住宅地はスラムと化してしまった例が多いそうです。しかしヴェニスは今でもガイドブックに載っているくらいで安全そうだし、場所も空港に近いし、というわけでH氏とK氏もご賛同くださいました。

 というわけで朝食を済ませ、高速道路を北上してヴェニスに至ります。ヴェニス附近の航空写真はこちら。碁盤目に巡らされた運河がお分かりいただけようかと思います。
 一方通行の道が多く、一旦巨大なヨットハーバーのあたりまで行ってから戻ってくる形になります。土曜日の午前中という時間でしたが、沿道には立派で綺麗な住宅(日本語のマンション的なものが多い)が立ち並び、ジョギングする人の姿も結構見え、比較的富裕で治安も良いのだろうと思われます。
 で、いよいよヴェニスの中心と見られる地域に到達したので、どこかに車を停めてあたりを散策してみようということになります。しかし余り幅の広くない道にはびっしりと自動車が停められており、なかなか停める場所が見つかりません。しかし一箇所、並んでいた車の途切れた場所があり、そこに停めて車を降りました。
 以下、ヴェニスの風景をご紹介します。写真はクリックすると拡大表示します。
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ヴェニス(@カリフォルニア)の風景 鴨もいて長閑

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同じく濠端の風景 綺麗な住宅地

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運河に架かる人道橋

 写真で見て分かるとおりの綺麗な庭を整備するため、週末の午前中から庭いじりに精を出している住人の方も見受けられます。挨拶を交わしつつ運河沿いの歩道を歩きます。
 これまで通ってきた、例えば高級保養・住宅地であるパームスプリングスなんかのような自動車による住宅地は、道路が広く、道路に面した住宅の庭も広く、住宅相互の間隔も広かったものですが、ここは割と道も狭く区画も広くなく、日本の住宅地により似ている感じがします。ヴェニスをヴェニスたらしめている運河から離れて住宅地内部に入り込むと、よりそんな気がしました。運河沿い以外の住宅地の情景を以下に。
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住宅の間の路地 路地を抜けた先が運河を渡る人道橋

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道も狭く、住宅が櫛比している
手前のポールは運河に架けられた橋に自動車が進入するのを抑止するためのもの

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電柱(木製)が立ち並び、電線が交錯

 というわけで、自動車による郊外と異なった住宅地の状況を楽しんできました。この住宅地は今でもそれなりに高級な住宅街なのか観光客も来るのか(停まっている車からすると中の中~上程度とはH氏の見立て)、環境維持を呼びかける看板が各地に立てられていました。ちょっとピンボケなのはご容赦を。
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ヴェニス地域の看板

 車に戻って、空港(そばのレンタカー事務所)を目指しつつ、満タン返しのためガソリンスタンドを探します。その途中、幹線道路に沿って、妙に広い植え込みや駐車場になっている細長い道路沿いの空地などがあり、もしかしてPEの線路の跡だったのかもしれません。また、道路の舗装の下から昔の踏切(?)のレールが顔を出している箇所もあり、よく調べて探せば昔の鉄道の名残りは色々発見できたのかもしれません。又の機会には・・・。

 かくしてレンタカー会社に戻って車を返却します。ところがここでごたごたが。一つは料金計算が間違って多く請求されていたことですが、これはH氏の抗議により無事修正。
 それは片付きましたが、問題はもう一つ。ワイパーに挟まっていたという封筒を渡されます。それは駐車違反の罰金の支払命令書でした。さっきのヴェニスで駐車違反の切符を切られていたのです。読んでみれば、道路沿いで一箇所だけ車が停まっていなかったのも道理、そこはどうもバス停だったらしいのです。それらしい表示があったとは気がつかなかったのですが・・・。罰金270ドル。高くついた見学でした。時間を見ると駐車して10分経つか経たないかのうちに既に切符を切られています。なるほどこれだけまめに警察が巡回しているということは、ヴェニス地区の治安は良好なのでしょうね。
 もう飛行機の時間が迫っているので、罰金を現地で支払うことは諦め(電話でする方法があるとガイドブックにあったのですが、うまく行きませんでした)、飛行機に乗ることとします。結局、後日日本からインターネット経由で支払う方法をH氏が試し、無事支払うことができました。

 以上、たいへん充実した旅行でした。おまけ人員だったくせに、H氏やK氏を差し置いて一番満喫していた感がなくもありません(苦笑)。アメリカではレンタカーの威力は絶大で、企画発案者H氏のお蔭で効率よく様々なものを見て廻ることが出来ました。何はともあれご両人に感謝。いろいろ見聞して、趣味的のみならず研究がらみで考えていたことにもいい刺激になりました。

 帰りの飛行機も当然大韓航空で、ロサンゼルス空港を飛び立った飛行機からはロサンゼルスの海沿いの景色がよく見えます。ヴェニスはすぐそばにヨットハーバーがあるお蔭で、上空からでも場所がすぐに特定できました。我々が「あそこで駐車違反したんだなあ」と感慨に耽っているうちに飛行機は高度を上げ、日本へと向かっていったのでした。

 おしまい。
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by bokukoui | 2007-06-19 23:58 | 出来事 | Trackback | Comments(0)

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