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よりぬき「筆不精者の雑彙」
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タクシーの無い国はあるか
今日はさる先生にお願いして読書会をしておりましたが、そのお題の本がこちら。
佐藤芳彦『空港と鉄道 アクセスの向上をめざして』 成山堂書店「交通ブックス」の一冊です。 表題の通り、近年世界的に増えているといわれる空港へのアクセスの手段としての鉄道について、日本の事例すべて、海外の主な事例、それぞれを紹介しつつ述べた本です。巻末には世界の空港アクセス鉄道を網羅した膨大な一覧表があって、資料としても使えます(が、空港アクセス鉄道が世界的に色々作られているので、決して古い本ではないですが、載っていないものもある由)。 公共交通機関という括りに入れられる点では似たような(そしてマニア層も結構かぶっている・笑)鉄道と航空ですが、実はかなり異なったシステムで運営されていて(別に鉄道が線状で飛行機が点と点を結ぶ、みたいな単純なハードの話ではなく、如何にして切符を発行するかというような乗客に輸送サーヴィスを供するまでのシステム)、それは飛行機が最近まで特別な人の特別な時の乗り物であって鉄道ほど身近で日常的ではなかったことに由来するのだろうと思われますが、この異なったシステムを結びつける空港アクセス鉄道の難しさについて察することができ、その点が大変興味深かったです。それだけ小生が航空に疎いということですが。 もっとも、読書会参加者から色々と出た指摘では、歴史的経緯が碌に触れられていないとか、著者が鉄道関係者であるため航空に関する記述にやや不満が残るとか、そういった問題点が出されました。小生の感想では、そもそも薄い交通ブックスの中に、日本と世界の個別事例(本書の第2章と第3章)を盛り込もうとするのはちょっと無理があったんではないか、個別事例の列挙は巻末の表に任せ、「空港アクセス鉄道とは何か」という一般論に的を絞って、その行論上必要な事例を触れればよかったのではないかと思います。 更に個別事例紹介の問題点として、著者の方がJR東日本のパリ事務所に勤務されていたためか、第3章の世界の個別事例がヨーロッパ中心で、欧州の他はアジアしかなく、アメリカの事例が一つもないのは流石に問題かと。航空交通は世界一盛んで、自動車社会の進みぶりも世界一で、しかしそこで敢えて空港に鉄道を敷こうというアメリカの例(事例自体は結構数がある)の意味は、ヨーロッパやアジアとは全然異なった性格のものでしょうから。 という話の本題を途中から逸れて、盛り上がったのがタクシーの話。 最初は某国の空港で雲助にボッタくられかけたなんてところから、空港アクセスに関してはタクシーも多い(パリのシャルル・ド・ゴールは、鉄道もバスもあるけれど、半分近い旅客はタクシーを利用しているんだとか)よねという話になり、そこでハタと気づいたのは、鉄道について論じる際、比較対象としてバスに航空機、自家用車やトラックなんかはよく思い浮かべるけど、タクシーはあんまり扱われなかった(日本史の近代交通史で出てくるのは昭和初期の「円タク」の話ぐらいか)ということでした。 タクシーが扱われにくいのは、他の公共交通の補助的な存在と思われがちなこと、零細な事業者(「個人」タクシー)が多く産業として把握しづらいこと、法的規制や公式統計と実態との乖離が大きいこと(他の交通機関よりは)、などの理由が考えられそうです。しかしここで見方を変えてみれば、世界中に鉄道の無い国なんて幾つもあるし、国内に飛行機やバスの便が碌々ないような国も少なくありません。しかしタクシーは、そんな国でも存在する近代的交通機関(つまり馬車だのラクダのキャラバンなんぞは却下)といえ、つまり世界中の交通事情を比較分析する上で最も普遍的な近代的交通機関ではないか、そのようなことが話題に上ったのでした。 実際、碌にバスもないような中東やアフリカの国では、都市間の移動にもタクシーが使われていたりするらしいとか。 しかし上に書いたような事情でタクシーの研究というのは難しく、殊に法制度史はまだしも利用者の側から見た国際比較、なんてのはかなり難しそうです。 なにせ資料が集めにくいからこれはもう現地に行って乗ってみるしかないわけで(ついでに言えばタクシーは一国内でもかなり地域差が大きい交通機関です)、仮に「世界のタクシー」という本を出すとしたら著者の選定にはかなり難航しそうです。鉄道やバスや船や飛行機のマニアは世界中ゴマンといるけど、自動車のマニアも大勢いるけれど、タクシーマニア(それも使われている車ではなく、交通機関としての性格を研究している人)というのはあんまり聞いたことが無いなあ・・・。 案外『地球の歩き方』のような旅行ガイドの、ありとあらゆるヴァージョンを集めて「タクシー」の項目を読み比べる、なんてのが手っ取り早いかもしれません。 と、そこまで話をしていて最後に出た疑問。 おそらく他のどんな交通機関よりも、世界中どんな国でも広く見られるだろうという点で「普遍的」と思われるタクシーですが、そのタクシーが現在存在しない国は存在するのか、という疑問です。 現時点で唯一出てきた候補は、国内の自由で個人的な移動が最も制約されていそうな国、ということで、やっぱり我らが将軍様の共和国、ということになりました・・・。 どなたか「北朝鮮のタクシー事情」をご存じないでしょうか。 Tags:書籍・漫画等感想 とんとタクシーの話は聞きませんね。月刊論調を読む限りでは。 なんならレインボー通商の社長にでも聞いてみるとよろしいのでは。 共和国に行った人の旅行記を読んでも、差回された車が「タクシー」と呼びうるものなのかかなり疑問なんですよね。レインボー通商には参考文献もあるかな? 将軍様の思し召しで産科の帰りに赤ちゃんを寒い思いさせちゃ逝けないってのでタクシーを用意したって話を夕方のニュースの北朝鮮コーナーでやってました。支配階級向けにはタクシーはあるんじゃないでしょうか。むろん外国人には利用できないわけでしょうけど。 >憑かれた大学隠棲氏
支配階級だったら自分の車を持ってそうですが・・・支配階級用貸出自動車、ハイヤーみたいなもんなんでしょうか(タクシーとハイヤーも区別微妙だけど)。
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