「6・30アキハバラ解放デモ」極私的総括 或いは「井ノ原春陽の憂鬱」

 昨日の記事の続き、つまり「6・30アキハバラ解放デモ」に関する小生の個人的な感想、イベント後に関係者と談話したことがら、などについて述べたいと思います。思うんですけどどうもなんだかなあ、というのが現在の心境です。

※追記:関連記事一覧

「6・30アキハバラ解放デモ」関連雑感
今日の秋葉原界隈~「6・30アキハバラ解放デモ」見学記
続「アキバ解放デモ」極私的総括 或いは「やらないか(ベルギーを)」
「アキハバラ解放デモ」関連の現況雑感

〇はじめに
 今回のデモは、昨日の記事に述べたとおり、デモ発起人たちの予測を大きく上回った人々が集まったという点では、予想し得なかったほどの大成功でした。「革非同」主導のこれまでのデモは十数人程度しか実際には来ていないわけですから、2,30倍に増えたわけです。
 一方現在、ネット上の評価をざっと見ると、バレンタイン粉砕やホワイトデー粉剤のデモが、ネタとしてまずまずトータルして悪くない評価を得てきたのとは対照的に、まあ罵倒が殺到という感があります。「痛いニュース」が一番良くこの状況を表しているでしょうか。
 このデモに対する批判といえば、何より小生自身が数日前にこのブログで述べておりますが、どうも批判されている理由が単にそれだけ(デモの主張が不明確等)とも思われないような感があります。

〇涼宮だけがハルヒじゃない、青春だけが春じゃない
 最初は、書きやすい細かいこと、ということで小生自身がデモを見ていて感じた違和感などついて一筆。
 以前のデモの際に、「革非同」古澤書記長の情宣テクニックが「芸」として向上したので、デモのパフォーマンスとしてのクオリティが向上したと書いた覚えがありますが、その点では今回のデモは退化していたと思います。勿論サウンドデモで焦点がはっきりしないというデモ自体の性格もあるのだろうと思いますが、またメガホンを握っておられたのが古澤書記長ではなかったのかもしれませんが(詳細未確認)、やはり気になりました。殊に小生が最も気になったのは、『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品(小生は全く触れたことがありませんが)のキャラクター名を情宣で連呼していたことです。特定の作品についてこのような行動をするのが好ましいことだとは思いません。
 小説のキャラクターは一つの"商品"であるという性格も持っているわけですし、また様々な「オタク」がみんな適当に集まってくる、というデモの趣旨にも適合的とは思われません。そしてまた小生個人の感としても、鉄道趣味界の中で傍流的なものにばかり興味を持っていて「鉄オタ」同士で話を通じさせること自体に時として難を覚えた経験のある者としては、今業界で一番流行っている(ですよね?)何かがこのような振舞を招くというのは、流行の同調圧力を嫌うはずの「オタク」の性格と照らしてもどうかと思ってしまったのです。格好つけた物言いをすれば、カルチャーの力関係の中で周縁に追いやられている「オタク」ではあるけれど、その中でも実は「中心―周縁」という構造が存在してしまっているんだよ、ということです。
 で、「朝比奈」と叫ぶデモ隊に「泰朝」ですかと突っ込みたくなりつつ、デモ隊を見ていた小生の頭に突然あるビジネスモデルが浮かびました。アニメやゲームの製作会社と契約してデモ隊を組織し、キャラの名前などを連呼しつつ秋葉原を練り歩く(笑)、というものです。或いは、デモに参加すると初回特典をつけるとかでデモ人員を募ってもいいかもしれません。・・・逆効果?

 もっとも、恐らく今回のデモが参加者の点で大成功を収めた理由は、この「ハルヒ」関係者の大量参入にあったのではないかと思います。一方的にイチャモンばかりつけるのは確かに失礼。「ハルヒ」方向から参加された方のご意見としては、こちらの「さかぽよすの記」さんの記事が大変詳細です。そしてこの記事が、なぜ今回のデモにこれだけの参加者があったのかを考える上で最も有力な手がかりを与えてくださるものと思います。
 また同時に注目すべきことは、この「さかぽよす」さんがデモ参加を決意するまでには、「デモ」「政治活動」といったものに抱いていた既成概念との折り合いをどうつけるかで悩まれていた、ということです。多くの「オタク」の人々(「共産趣味者」は多数派とはとても思えぬ)がこのようなイメージを持っていて、なおかつこの「ハルヒ」関係の方々のように何らかの折り合いをつけることが出来なかった場合、現在ネット上で見られるような今回のデモに対する「オタク」からの罵倒が浴びせられる、ということなのではないかとも思われます。
 そして「さかぽよす」さんが、今回のデモについて「今回のデモで私が得たことは、主要3団体である「革命的オタク主義者同盟」・「革命的萌え主義者同盟」・「革命的非モテ同盟」の存在を知ったこと。」と書かれていることは、今回のデモの新規参加層が今までの「革非同」のデモとは方向性がかなり異なっているのだということを示唆しているのだと思います。

 デモの「表現」としての側面について、シュプレヒコールの他に気になったのは、鉄道趣味者と思しき人々が段ボールで急造したと思しきプラカードの内容でした。小生は撮影しませんでしたが、昨日の記事でご紹介した「ジャブローの風の噂」さんの記事に掲載されているのでご参照下さい。
 正直この"主張"はツマランなあ、という感を受けます。これでは「鉄ヲタのたわごと」と言われて仕舞です。もうちょっと多くの人に訴えかけられるような、マニアを唸らせ一般人をへぇと思わせるような、そんな表現は出来なかったのでしょうか(先述のキャラ名コールへの違和感も同じことを感じます)。例えば秋葉原はかつての交通博物館の所在地の側です。「『交通博物館』の後継と称する『鉄道博物館』のJR東日本による自社宣伝機関化を阻止せよ!」とか、どうでしょう。交博なら普通の人にも有名だったわけで。

 とはいえ、以上のようないわば「技術的」側面は、もし機会を重ねれば改善されていく性格の問題ですので、問題としては楽観視していいものなのかもしれません。

〇「革非同」と「中核派」について
 ・・・中核派の活動家が、健康のことを考えてジョギングを始めました。やっているうちにすっかりはまってしまい、マラソン大会なんかにも出るようになりました。
 そこで友人がこう言いました。
 「今度、クロスカントリーをやってみないかい?」
 活動家の返答。
 「クロカンだけは勘弁、勘弁」
 ヨタ話はともかく、この冗談(出典:確かマル共連のどっか)で笑える人が少ない今のご時世、この「中核派」問題が今回のデモのネット上での非難を呼ぶ原因となったのかもしれません。現場の参加者はこのことをそれほど気にしなかったから「成功」と思ったのに、ネットで叩かれまくっている理由となったわけです。
 しかしそれだけに書きにくい問題ではあります。恐らくは「中核派」のような存在にいまや多くの人々は馴染みがなく、どういう人たちなのか想像できなくなっているために(ある意味)過剰な反応が起こったのではないかと思うのです。
 もう段々面倒になってきたのでいちいちリンクを張る気力が失せていますが、今回のデモに「中核派」が関っているのだと主張するネット上の声は枚挙に暇が無いようです。しかしでは、具体的に中核派の誰それがその場に居た、であるとか、古澤書記長の活動のこのようなところに中核派の影響が見て取れる、といった指摘は管見の限りではないようです。結局「なんとなく」なんですね。

 小生はこれまでの古澤書記長が行ってきたイベントで、書記長が知り合いだという中核派の方のお姿を見かけたことがあります。しかしこれは結局、個人的な交友関係に過ぎず、「中核派」と「革非同」という「組織的な関係」というものがあったとは到底想像しがたいものと見受けられました。そもそも「革非同」に"組織"なんて存在しないし(笑)。最近のイベントでは実はその方をお見掛けすることも無く、むしろ関係は薄れているのではないかと察せられます。
 おそらく重要なことは、その中核派氏がオタクだった(らしい)、ってことなんだと思います。党派的な話よりもそっちが関係の基盤であったのではないかと。中核派がいくら「ニセ左翼暴力集団」(by代々木)だからといって、その構成員個人とこのような関係を結ぶという場合もありうると思います。それは「オタク」であることの面白さ・奥深さを表しているエピソードとも思われますが、あいにくと多くの「オタク」の方はそのような可能性に思い至らず、「危険」と思われてしまったのでしょう。上にも述べましたが、今こういった政治的存在が身近でないことを思えば、ある程度は致し方なきことなのでしょう。なんとなく「一般社会」と「オタク」の関係にも少し似ている気もしますけど。
 興味深いといえば興味深いのが、古澤書記長と中核派の関連について、以前のデモの話などを引っ張り出して云々する言説は多々あるのに、このデモに賛助団体として堂々名前を出している「我々団」、外山恒一氏についてはあんまり気にしていないみたいですね。まあ、外山氏が投獄中で表に出てこれなかったこともあるのかもしれませんけど・・・。

 今回のデモのレポートや、この「中核派」との関係について触れた文章の中で、管見の中ではもっとも冷静な分析で読んでいて首肯するところの多かったレポートは、「世界の中心で左右をヲチするノケモノ」さんの「6.30アキハバラ解放デモ観察記」であると思います。特に、このデモについて「gdgdのカオスであったからこそ、少なくとも参加者たちが作り出した空間だけは、狭くとも「祝祭的」であり、デモというよりはパレードであり、行進はフィエスタであった。」というご指摘は、まことに簡にして要を得た表現と感心した次第です。
 小生が思うには、このデモが焦点が無くて「gdgd」だったためにどう評価していいか元々意味不明気味だったところに、「中核派」の一言で天秤が一気に叩きへと傾き、後は叩きが"世論"になったからネット上の論調がそうなったんだろうと思います。
 話を戻しますと、この「左右を・・・」さんの記事ではこのデモの政治性、殊に「ぶっちゃければ「革非同」代表のid:furukatsu氏」のそれについて懸念が表明されております。こういった疑問を提示されるのは、古澤書記長の思想的なバックボーンや方向性というものが、実は「革非同」の活動ではあんまり見えてこなかったということがあるだろうと思います。で、今回小生はデモ後に古澤書記長を酒を飲みながら延々と問い詰めて一定の知見を得ましたので、それを以下に述べたいと思います。
 ただその前に少しお断りを。今回のデモは「三派連合」ということになっていますので、古澤書記長ばかりを以ってデモの代表と見做すことは公正ではありません。しかし小生はその他の方のことは良く存じ上げませんので、扱っている話柄に限界があるということをご承知下さい。
 ついでにそれと関連して。「左右を・・・」さんの記事の分析は納得できる面も多いですが、「主催者=マジ活動、参加者=洒落」と単純に二分できるものではないと思います。「主催者」内部の意見自体がそもそも何がしかの政治的方向性で一致を見ているわけでなし、そしてまた(上で紹介した「ハルヒ」関連の方のブログに伺われるように)参加者の側もみんながみんな洒落というわけでもなさそうだからです。

 済みませんが、気力体力の限界により続きは別記事に。
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by bokukoui | 2007-07-01 23:57 | 出来事 | Trackback | Comments(8)

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Commented by 労働収容所組合 at 2007-07-02 04:40 x
あの自堕落な中核派の活動家が自身の健康のことなんか考えるかというのが笑いどころですね。
確かに隠棲氏のブログのコメント欄に逆のことを書いてみたんですがスルーされましたし……

どういう人ってまあ、このご時世ではハルヒ厨よりはマシですしね。
牧口先生も愚者に馬鹿にされるのは光栄と言うておられますし、ネット上という人間の愚かしさが凝縮された場所で非難されるのは何ら痛くもないということでよろしいのではないでしょうか。ネット上での地位を得たいならば知りませんが。
Commented by SPADE16 at 2007-07-02 12:44 x
私は見学はしませんでしたが、なぜこんなばか騒ぎに対して肯定的な考えが持てるのか。オタクの基本は知識と技術!どちらも持たない、持とうとしない烏合の衆から秋葉原を解放せよ!当然「深く静かに」。
Commented by plummet at 2007-07-02 20:53 x
>それを以下に述べたいと思います。
>済みませんが、気力体力の限界により続きは別記事に。

そんなオチ!?(;´Д`)
Commented by 労働収容所組合 at 2007-07-03 02:10 x
plummet氏のエントリを拝見して、炎上業界も意外と狭いなあと思いました。
ご報告まで。
Commented by plummet at 2007-07-03 03:20 x
報告されますた。
が、なんのことかさっぱり(;´Д`)コメント欄にでも誰か知ってる人いましたか。つーか炎上業界って一体
Commented by Lenazo at 2007-07-03 07:06 x
ハルヒで「ダブルウィッシュ」を出すあたりは、さすが墨公委さんですね。
スズミヤファンの人たちが、小田急多摩線・はるひ野駅をジャックする日を楽しみにしております…
Commented by bokukoui at 2007-07-04 23:23
>ラーゲリ氏
隠棲氏のとこに書かれてたけど、「厨を憎んでオタを憎まず」というところで。
無論、牧口先生のお言葉に異論のあろう筈がございません。

にしても、随分いろんなところに情報網をお持ちなんですね。教団の情報省?

>SPADE16氏
全くそうです。
もっとも、「知識や技術」を磨くには、相応の人との交流関係を持つことが有益な場合が多いとは思いますが。
Commented by bokukoui at 2007-07-04 23:28
>plummet さま
どうも遅筆で申し訳ありません。
何がしか小生の書いたことがご参考になりましたら幸甚です。

>Lenazo さま
"井ノ原春陽の憂鬱"で検索して一件も引っ掛からなかった時には、「よしネタに使える」と思った反面、少し哀れでもありました。
はるひ野駅が開業したのは、そういえば『W-Wish』の放送期間中だったと思うのですが、やっぱりその時も碌に話題にならず、いとあはれでありました。
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