鉄道博物館@大宮 開館前に見せてもらったの記(後篇)

 昨日の記事、鉄道博物館@大宮 開館前に見せてもらったの記(前篇)の続きです。

 昨日はなんか妙なテンションで気負い立ってしまい、今日は反動で呆然と一日を過ごしてしまいました。なかなかV字回復とは行きませんで、正直昨日の書き込みを後悔せぬでもないですが、しかし内容が時期限定モノでもあるし、ざっと続きをアップしておきたいと思います。

 前篇でも述べましたが、展示車輌の詳細については鉄道博物館のサイトに一覧があるのでそちらをご参照下さい。どれも綺麗に磨かれて公開を待つばかりになっていましたが、昨日に引き続き一つご紹介。
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一等展望車マイテ39

 昔の特急列車の最後尾につながれていた展望車です。特急列車に愛称がついた1929年以降ならば、展望台を囲っている柵の真ん中に「富士」や「つばめ」などと列車名を入れたテールマークを取り付けるのが本来ですが、実際開館の時には何か取り付けるらしいです。
 かつて大塚英志・杉浦守『オクタゴニアン』の書評をブログに書いた者としては一つ、意表を突いて「オクタゴニアン」のテールマークを希望したいところですが、なんでも博物館に「オクタゴニアン」の実際のマークが所蔵されているとか。更に言えば、今回鉄道博物館はお召し列車に使われた御料車を何両も展示車輌に加えましたが、その中には実際の「オクタゴニアン」の展望車だった10号御料車も含まれています。
 となれば、『オクタゴニアン』2巻発売時には是非大塚英志先生をこの鉄道博物館にお招きして記念イベントを・・・と思ったりもしたのですが、しかしいつになったら2巻が出るのかいな。

 話を戻します。
 上の写真で、車体とホームの間の隙間がアクリル板でふさがれている(光の加減で光っています)のが分かるかと思います。子供の来館を考えて、このような安全対策にはだいぶ気を配ったようです。海外の博物館じゃこんなのは見られない、と評していた人がおりました。ま、旧交通博物館が古い建物のせいでエレベーターもなく、ましてバリアフリーなど概念自体なかったものですから、そのようなところは念入りなのでしょう。

 他にも鉄道ファンの方々が廃車後の保存活動をしてこのたび目出度く博物館入りとなったキハ41000形気動車や、車体を輸送のために二つに切断したのを巧みに接合したことが新聞記事でも報道されたオハ31形客車を見るにつけ、渋谷駅頭に無惨な姿を晒している東急デハ5000形5001号のことが悔やまれてなりません。実際、鉄道博物館の展示パネルの中で、国鉄の新性能電車の第一陣として通勤輸送に活躍した101系電車の傍らに立てられたものは、以下のようにちゃんとデハ5000形を含む私鉄の車両についても触れていたのです。
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国電101系の傍らの展示パネル(写真の出来が悪くすみません)
左列上から小田急2200形、営団300形、東急5000形 右は小田急3000形(SE車)

 まあこのパネルの内容も些か国鉄中心史観に過ぎるという気もしますが、しかしそれでも5000には触れているわけで、それだけ同車の意義が大きかったということの証左であります。切断したオハ31の復元の際の継ぎ目は、だいぶ探した(笑)けれど見つからなかったほどきちんと継ぎ合わされており、さてこそ5001もいつか・・・、と思ってしまうのです。
 なおこの写真で分かるように、パネルには最近の駅の表示同様、英語・中国語・韓国語が併記されており、フランスやドイツで英語表示のない展示に悩んだという経験者の方々から、好評価を得ていました。
 ちなみに展示パネルの一つ、貨車に関するものには以下のような付箋が・・・。
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 なんと言っても鉄道博物館ですから、いつぞやの「大鉄道博覧会」(ブログでちょっと触れました)のようなことはないよう、万全を期していると思います。

 とまあ、交通博物館に比してかなり車輌の実物展示が充実した鉄道博物館ですが、しかしひとつ画龍点睛を欠く憾みがありまして、それは展示されている新幹線車輌が東北・上越新幹線用の200系ということです。つまり、東海道新幹線開業時に開発された0系がいないんですね。交通博物館にも先頭部分のカットモデルしかありませんでした(これは鉄博でも展示されている)が、JR東日本の博物館という性格ゆえの問題が出てしまったようにも思います(あ、でも青梅から持ってくれば・・・)。
 ただ勿論、この点は鉄道博物館当局も認識していて、近日廃車が予定されているJR西日本の車輌(これは開業当初製造のものではありませんが)など、譲り受けることは検討しているようです。0系のない日本の鉄道博物館は考えられないので、是非早期の導入を期待したいところです。あと将来的には、ケチなことを言わず500系も。「世界最速」の国際的アピール度を踏まえて。

 一通り車輌を見学して、2階に上がります。2階は大部分吹き抜けで、車輌展示を上から見下ろす回廊になっています。その回廊を生かして、実に膨大な日本の鉄道の年表が作られています。海外事情や私鉄・バスの動向なども押さえてあって、また模型展示とも組み合わされていて、感心しました。
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2階の歴史年表

 見学時間の都合上、あんまり細かく見ることが出来なかったのは残念でした。また来ましょう。
 もっとも膨大な年表だけあって、やはりここにも付箋が。
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 やはりマニアの眼は厳しいですからね。それにしても、これだけの展示を作るという作業の大変さがしのばれます。

 2階には、これも一つの目玉である、巨大なHOゲージの鉄道模型レイアウト(ジオラマ)があります。当面は混雑を予想して入替制にするとか。ひな壇状になった観客席が設けられています。模型の方はほぼ完成しており、車輌も試験走行していましたが、まだ中に人が入って仕上げの作業をしていました。
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まだ作業中の模型レイアウト

 ちなみに写真中の矢印の先のビルは、明らかにJR東日本本社ビルですね(笑)。折角だから解体された旧国鉄のビルだとか、或いは他のJR 各社の本社ビルも建ててはどうかと思ったり。

 2階の残りの部分には、特別展のための部屋があります。開館当初は新幹線についての特別展をするそうですが、ちょっと覗いてみたところ、新幹線の前頭部の非常用連結器をしまって置く所のカバーが一つ置かれていただけで、これからという状態でした。
 確かその並びには図書室もあったと思いますが、これも準備中で今回は見学できませんでした。また倉庫の確かまたその並びにあって、一部外から見えるようになっており、交通博物館で見た覚えのある品物や模型などが垣間見えました。 

 敷地の一番北側は、主に子供向けに鉄道の技術に関する体験コーナーを多く設けた3階建ての棟があり、体験学習的なことができるようになっています。カーヴを曲がるのために鉄道車輪の踏面が円錐台形になっていることを実見できるコーナーなどなかなか面白く、またここは側を走るJRの線路もよく見え、実物と展示とを一望に収められます。
 で、側を走る線路が複々線だったので、小生と同道の鉄道趣味者一同、「あ、複々線だから東北本線と高崎線だな」「分岐するのはまだ先なんだね」と愚かな会話をしておりました。鉄道博物館から見える複々線の線路は、高崎線と川越線ですのでお間違えなきよう(それにしても何年鉄道趣味やってるんだと・・・)。

 再び1階に下りてきて、準備中のお土産・軽食コーナーの横を通り過ぎます。ちょうど我々の見学の頃、お土産コーナーに商品が搬入され始めていたようでした。
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商品搬入中のお土産コーナー

 上の写真でも「TOMY」のロゴが分かるかと思いますが、どうもプラレールをはじめとする玩具ばかりのように見受けられ、折角なのだからオリジナルのグッズだとか、或いはもっと「博物館」の名に相応しいようなものも置けばなどと思いますが、きっとその辺は当日までに配慮されているだろうことと思います。

 さらに1階には、運転のシミュレーターが一室に並んでいます。山手線の205系や新幹線などもありますが、やはり話題を集めているのは、世界初とも言われる蒸気機関車の本格的シミュレーターでしょう。
 もちろん見学の我々は実際に触ることは出来ませんでしたが、ちょうど案内係の方々が取扱を研修している場に居合わせ、開館前にシミュレーターのシステムを起動する操作を行っているのを見ることが出来ました。で、システム起動時に何か耳慣れた音が・・・。これらのシミュレーターは、Windows XP で動いていたのでした。NTではないようで。
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XPで動いている蒸機シミュレーター(ブレはご寛恕の程)


 順番は逆になりますが、最後に本来の出入口(既報の如くSuica対応の自動改札あり)を一旦出て、それからまた最初に入った運営側のスペースへと戻って、見学は終了となりました。
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正面入口の前で某氏を記念撮影 後ろではなお作業中

 入口がタッチ式の自動改札であることがお分かりいただけようかと思います。
※上掲写真の某氏は小生と一緒に見学した一人で、当ブログのこちらの記事に登場する某氏と同一人物です。

 見学はおよそ2時間でしたが、それだけの時間をかけても駈足だったというのが率直な印象です。つまりそれだけ見応えがあるということで、丁寧に見れば、或いはシミュレーターや体験コーナーなどをやってみたりすれば、一日じっくり楽しめるだけのボリュームがあると思います。また車輌の下側を見せるなど、見せ方の工夫も色々と凝らされており、なるほど「子供連れ」「鉄道好き以外の人々」に訴求するところはそれなりにあろうかと思います。子供連れで来るにはちと入館料が・・・という気はしなくもありませんが。
 以前小生がこのブログで何度か述べた(これとかこれとか)懸念、つまり「JR東日本博物館」になってしまうのでは、とか、博物館より遊園地に近くなってしまうのでは、図書室の資料の公開はどうなるのか、といった懸念が払拭されたわけではありませんが、しかしここは館長さんの「これは第一期工事である」というお言葉を信じ、第二期工事が行われるくらいに繁栄することを願う次第です。

 鉄道博物館の開館は10月14日の日曜日ですが、何人ぐらいの人が来るのでしょうね。
 交通博物館の閉館の時には約1万4千人が訪れ、また鉄道博物館の隣の大宮工場が一般公開する日は3万人も来るそうです。開館初日は3万人、或いはそれ以上でしょうか? いずれにせよ、新交通システムのニューシャトルがパンクすることは目に見えていますので、臨時バスを出す可能性もありますが、健脚の方は大宮から歩いた方が宜しかろうと思われます。
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by bokukoui | 2007-10-05 22:34 | 鉄道(その他)