アサミ・マート『木造迷宮』~建築学的にこれってあるの???

 引き続き『月刊COMICリュウ』、というか、リュウコミックスの話をば。


アサミ・マート『木造迷宮』

 「三文作家」の独り者「ボク」(おっさん)が、一軒家で割烹着姿の女中さん「ヤイさん」と暮らす、そんな日常をしみじみと描いた作品。
 この漫画を、『COMICリュウ』を小生が最初に買い込んだ昨年11月号で見かけたことが、同誌定期購読の一つのきっかけとなったことは間違いありません。この辺のことはだいぶ前に、酒井シズエ翁主催の「新春メイドさん放談2008」の中で縷々喋ってますので、あんまり繰り返すことはありません。
 小生一読して、絵がなんともほんわかとしていいなあと思い、また身辺の小さな出来事を丁寧に描くそのお話(お話というほど起伏があるわけではないのですが、それもまたよし)もまた感じ入り、コミックス発売前にアサミ・マート氏の同人誌まで買い込んだくらいでした。編集部は、雑誌連載時も、或いは単行本の帯でもそうなんですが、「日本の正しい女中(メイド)さん」と銘打ってたりしますが、いわゆる「メイド」ものとはかなり傾向が違っていると思います。こちらのしばたたかひろ氏のレビュー中にある通り、「けたたましい萌えに疲れてしまったという人」に向いた、「メイド」萌えにむしろ同調しない層にこそ受けるのではないかと思います。

 で、コミックスも発売後間もなく購入しました。そして一読して、絵や描かれた世界の雰囲気の良さはもちろん楽しめたのですが、が・・・九仞の功を一簣に虧くというと大げさかもしれませんけど、ちょっと引っかかるところが出来てしまったのでした。
 それは何かといいますと。



 以下は『木造迷宮』コミックスに載っている、「ダンナさん」と「ヤイさん」が暮らす家の間取り図です。
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 んー、こりゃちょっと妙じゃないかい?
 畳の線が引いてあるので、まあ畳といっても京間や田舎間や団地サイズなどいろんな規格がありますが、大体1.8×0.9メートルくらいとすると・・・廊下の幅、2メートルはあるんじゃないでしょうか(特に2階)。階段の幅も2メートル以上ありそうで、これでは「女中さん」の和式家屋というより「メイド」なお屋敷に近そうです(笑)
 更に気にかかるのが、縁側が家の構造の内側に入り込んでいることです。これは普通外側に出るものではないでしょうか。しかもその結果、1階と2階で同じように6畳間なんか並べると、廊下の位置がずれてしまっています。これでは通し柱が立てられないんじゃ・・・!?
 他にも、奥行き1.8メートルの本棚とか、漫画本文と丁寧に付き合わせて読むと矛盾しているところとか、いろいろ興味深い? 点があります。お暇な方はそういう読み方も出来ますのでどうぞ。まあ、小生は建築については素人同然ですので、お詳しい方のご指摘がいただければ嬉しく存じます。

 え? そんな細かいところ突っつきまわすなって? ヤイさんの割烹着姿に萌えてりゃいいだろうって? それが普通の見方だろうかと小生も思いますが、しかし小生が思うに、『木造迷宮』という作品の魅力は、キャラクターだけではなくて、それを取り巻く世界の中にむしろあるように感じられるのです。二人が暮らす家はそれだけ重要なファクターなわけで、もっと丁寧に検討して欲しかったなあ・・・と思った次第。
 小生は本業で日本近代史における電鉄業なぞやってるため、その兼業である住宅にも些かの興味を持ち、昔の家の間取り図が載ってるような本を何点か持ってます。そんなのを読んでいたから、こんな感想を抱いてしまったんでしょうね。こういった手の本については、また機を見てご紹介したいと思います。

 それにしても、結局は割烹着の女中さんより図面の方が「萌える」というのは、それはそれで問題があるのかな・・・いや、決して同志は少なくない(多くも無いけど)と思うのですが、どうでしょう。

※追記:2巻の感想はこちらへどうぞ。関連する(余計な)ネタがいろいろです。

※更に追記:「こういった手の本」=戦前の住宅建て方ガイド本についてはこちらへ

※更に更に追記:『木造迷宮』4巻と別館の感想はこちらへ。間取り図ネタに新展開。
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by bokukoui | 2008-07-12 23:31 | 漫画