2006年 08月 07日 ( 1 )

人の書評を書評する

 いろいろ煮詰まっている状況は変わらないのですが、といって愚痴ばかり書くわけにも行きませんので、何か書こうと思うのですが、しかし一から長々と自力で書く気力が無いので、人様の記事を紹介することでお茶を濁させていただきます。

 それは、2ちゃんの801板(笑)で、森薫『エマ』の書評があったというものです。もちろんこれはたんび氏にご教示いただいたものです。出典はこちら
当初、本格ブリティッシュロマンというコピーに惹かれ、私は貴女に出会いました。
GUIDE→GAID や Jones→Jounse とひどい誤字の多い貴女でしたが、
外向きにドアが開いたり、19世紀末に車を乗り回したりと時代考証がいい加減な貴女でしたが、
ムーミンに鼻がついたようなキャラの顔と、帆船の絵がひどい貴女でしたが、
まあ漫画だからとそんな瑣事は見なかったことにして私は貴女の描く穏やかに進むストーリーにほれ込んでおりました。
優柔不断な長男、意地っ張りな次男、気の弱い末弟、傍若無人なインドの貴公子。
どれも私のいけない心をくすぐってやみませんでした。
そして何よりも長男のパパ×執事という組み合わせで
私のおじいさま萌えに灯をともしてくれたのは貴女です。

そして最終巻。
あの展開で最終巻という事に、まず疑問を感じざるを得ませんでした。
きっと貴女なりの大胆で、素敵な終わり方があるのだろうと納得させながら頁をめくります。
そして不安になりながらページの少なくなる中、ふつふつと嫌な予感は迫って参りました。
一方的に婚約破棄された彼女の立場はどうなるのですか?
あの能天気な長男はあれで幸せ幸せでよかったですね。
せめて恋仇である女同士の対決はあって然るべきではないのでしょうか?
あなたは、自分の大好きな主人公を幸せにしたかっただけなんですね。

さようなら、森薫先生。
結局貴女も、貴女自身が軽蔑するその辺りにあるなんちゃってメイド漫画と大差なく、残念でした。
イギリス萌え=本格 と履き違えてるその姿にできれば早く気づいてほしいです。
渋いパパとおひげの執事だけは冥土の土産に貰っていきますね。
 801の人も読んでいたというところが面白いのですが、我々が対談で述べていたことと共通する面があるのも気になる点です。
 ところで、そんなことは置いておいて、そういえば森先生の船の絵はあんまり注意して見てこなかったなあと思い、書棚から引っ張り出して見直してみましたが、なるほどこれは問題ありますね。19世紀末に外輪船はちょっと(川蒸気なら別)と思いますし、ヤードとかバウ・スプリットとかも変な感じで、あと旗が違いますね。商船旗は国旗と同じ国が多いですが(日本も、つうか日本は商船旗を国旗にしちゃったようなもんですな)、七つの海を制覇した英国商船の旗は、国旗とはちょっと違います(こちら参照)。
 そういえば鉄道に関しても、以前書き忘れたこととして、グレート・ノーザンのような幹線は19世紀当時から複線だったということがあります(あと19世紀末なら信号用の電信柱が線路際に立っているような・・・)。英国の鉄道は最初から大資本を投下して、高架橋や切通しを使った頑丈な線路を作り、今尚ほとんどそのままで200キロ運転をしていたりするので、その点原形をとどめぬ程改良工事をやってきた日本とは違いますね。

 ところで、やおい読みの人は、カップリングとかにこだわったりするようですから、やはりキャラクターに注目する度合いが高いのではないかと思います。その点、上掲の対談でも多少触れたところですが、森先生にとってキャラクターとは、おそらく自分の描きたい状況で使うコマの一つに過ぎないのではないか(描きたい細部描写を生かすために、スト-リーもキャラクターも従属させてしまう)と思われるので、キャラクターにこだわる読み手にとっては、そもそも食い合わせが悪いのではないかと思うのです。
 また、この2ちゃんの書評の末尾、「結局貴女も、貴女自身が軽蔑するその辺りにあるなんちゃってメイド漫画と大差なく、残念でした。/イギリス萌え=本格 と履き違えてるその姿にできれば早く気づいてほしいです。」という指摘はなかなか興味深いものですが、「イギリス萌え=本格 と履き違えてる」のは森先生ご当人以上に、『エマ』を称揚し最近の「メイド喫茶」を批難する、少なからぬ「メイド趣味」の連中により適切にあてはまろうかと思います。「『メイド』が出てればいいんだ!」的ノリ自体は、森薫作品も「なんちゃってメイド漫画」も同じといえば同じなのですが、「メイド」の意味やこだわりの点ではかなり齟齬があって、そこは差異を認めた方がいいように思います(この2ちゃんの書評者が何を求めているかが実はよく分からないのですが、おそらくキャラクターにこだわる人としては森薫作品も「なんちゃってメイド漫画」もダメだ、と言いたいのでしょう)。まあこのことも、ある程度は以前拙稿で触れたわけですが。

 もうちょっと話を広げる余地はあるのですが、精神的体力的限界並びに無線LANが気温と湿度のせいかあまりに頻々と叛乱を起こすので、この辺でおしまい。
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by bokukoui | 2006-08-07 23:59 | 制服・メイド | Trackback | Comments(0)