カテゴリ:漫画( 90 )

おもいがけない幸運・・・だったのか?

 ひょんなことから、ナヲコ先生の同人誌を、段ボールにひと箱ほども譲っていただきました。
 小生はこれまで、ナヲコ先生の商業刊行物こそせっせと追いかけてきたものの、同人誌は探すのが難しいこともあって、特に意識して集めてはいませんでした。もちろん、コミケに出展した際、ナヲコ先生が参加されていることを聞きつけた時は(それは比較的最近のことに過ぎないのですが。小生はカタログを買うことなく売り子のみで参加することが多かったので、そもそもナヲコ先生が出展しているか探すという発想がなかったのでした)、買いに行ったりもしましたが、それはほんの数点に過ぎません。
 で、90年代全体にまたがるナヲコ先生の同人誌を、今回幸いにも一箱譲っていただきました。小生は正直、「これでナヲコ先生の同人誌もほとんど集まっただろうな~」と楽観しておりました。

 しかし、送ってきていただいた箱を開け、もちろん今はまだ読んではいませんが、ざっと検品してみて、小生はどうも間違っていたらしいこと、認識が甘かったらしいことに気がつきました。
 ナヲコ先生の同人歴は、長く深く広く・・・

 譲っていただいたコレクション自体、コピー誌やゲスト参加本も含んでいて、相当にマニアックなものだと思ったのですが、どうもこれでもまだまだ完全というわけではなさそうな感じです。
 そんなわけで、もちろんこれを手に入れて大いに喜んでいるのですが、また同時に「パンドラの箱」を開けてしまったのではないかという予感にかすかな怖れを覚えないでもありません(笑)。もはや商業誌だけの追っかけともいえないわけで・・・
 ナヲコ先生の同人誌がこれだけまとめて手に入ったことは、まぎれもなく「おもいがけない幸運」です。が同時に、今開けてしまった同人誌を詰めた段ボール(パンドラの箱)を前に、少し呆然としていることも事実であります。


 ところで先日書いた百合アンソロジー『つぼみ』についてですが、書店の店頭で見たところ、表紙の作家陣のお名前がお二方ほど差し変わっておりました。・・・「百合な日々」さんの記事が詳しいのでそちらをご参照下さい。『なずなのねいろ』連載のみならず、百合や挿絵とナヲコ先生のご活躍の場が広がることはもとより喜ばしいことですが、ご無理をなさっていないかと心配申し上げます。
 こちらの真・業魔殿書庫さんの記事によると、5月に出る次号にはナヲコ先生の作品が載る予定とあるので、3ヶ月くらい待つことにしましょう。確か『百合姫』の頃にもこんなことが・・・しかし、こちらの記事によると、次回の作家陣(予定)もなかなかすごいことになっていますね。今度は『LO』が出張してきたみたいな。
 というわけで、数日前に書物にかなりの額の資金を突っ込んだこともあり、『つぼみ』は購入を見送ってしまったのですが、一面「百合な日々」さんが仰る「ナヲコ先生が登場されるまでこのアンソロジーが続くか・・・(註:後で記事を加筆修正したせいか、現在この記述は見あたらない。のんびり書いているのは考え物ですな)」という懸念も至極もっともと思え、やはり買うか迷うところです。

 そんなこんなで、先延ばしとなった『つぼみ』や、今月までお休みの『なずなのねいろ』のナヲコ分不足(?)を補うべく、この同人誌をぼつぼつ読んでいくのがいいのでしょうが、忙しいという現況を別にしても一つの問題に気づかざるを得ませんでした。
 ・・・ナヲコ先生の二次創作同人誌の出典がほとんど分かりません(苦笑)。小生はミニ四駆が最も盛んだった世代ではありませんでしたが、子供の頃を思い出せば、それなりに流行っていたかとは思います。でも、模型店に行ってもミニ四駆そっちのけで、田宮のミリタリー系だとか、ウォーターラインシリーズだとかの箱を開けては、中に入っている説明書の「実物解説」を読んでばっかりいたもんで・・・あと、鉄道模型もやってたのはもちろんですが、プラモ系と扱っているお店が違っていることが多いんですよね。規格もメーカーも違っているからか。
 閑話休題、しかし、元の作品を知らぬ徒輩がこれらの同人誌を読んでどんな感想を抱くのか、ということ自体を楽しんでいこうと思います。ナヲコ先生の(小生にとって)新しい絵が見られるだけで十二分な楽しみなわけですから。
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by bokukoui | 2009-02-13 23:16 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

今月のたのしみ~ナヲコ先生の新作情報など

 このブログにおいて、渋谷駅頭デハ5001の観察記と並んで(?)定番記事であるところの『月刊COMICリュウ』の話題ですが、先月発売号どころか12月発売号の感想も未だ書いていないのは、直接にはもちろん忙しかったり色々あったりしたからですが、もう一つの要因には、ナヲコ先生の連載『なずなのねいろ』が休載中ということもあります。ちょうどお話が、過去の話に区切りが付いて、そのあとの展開に悩まれているのではないかと勝手ながら推測申し上げます。今月発売号もお休みなのかな・・・?

 というわけで、ナヲコ先生の新作が毎月読めるという状況に狎れきって、ここ数ヶ月の寂しさが身にしみそうな気配だったのですが、なんと『リュウ』とは別にナヲコ先生の新作が出るという話を聞いて嬉しい驚きが。
 それは今月12日発売の、百合アンソロジー『つぼみ』(芳文社まんがタイムKRコミックス)です。現時点ではまだ出版社のサイトに表紙画像がないのですが(アマゾンにもなかった)、作家陣のお一人・きづきあきら先生のブログには表紙が載っているので(小さいけど)、ご興味のある方はどうぞ。
 で、このアンソロジーの作家陣ですが、やはり上掲ブログから引用させていただくと(五十音順・敬称略)、
宇河弘樹
大朋めがね
小川ひだり
きぎたつみ
きづきあきら / サトウナンキ
久遠あき
釣巻和
ナヲコ
はっとりみつる
星逢ひろ
水谷フーカ
宮内由香
森永みるく
吉富昭仁
吉成篤
 という、なんだかすごいことになっているような。
 あまり漫画には詳しくない小生ですが、「釣巻和・ナヲコ」という並びは『リュウ』そのまんまですね。また、ナヲコ先生の単行本『Differnt View』の収録作品の初出の多くは、ロリ系アンソロ『COMICアリスくらぶ』でしたが、その表紙はいつも森永みるく氏が描いていました。きづきあきら作品は『ヨイコノミライ』で強い衝撃を受けましたが、初の百合作品(サトウナンキ先生との共同作の由)ということで、どんな作品になるのでしょう。宮内由香先生の作品は、最初見た時ナヲコ先生に似た雰囲気だなあと思って、単行本も買いました。宮内作品の評価を巡って畏友たんび氏と議論を交わしたことが懐かしく思い出されます。
 というわけでいろいろと期待しつつ、発売を待ちます。季刊でこの百合アンソロジーは出す予定だそうで、長く続くといいですね。

 ところでナヲコ先生のブログには、
小説のカットのお仕事をしました。
告知のOKをいただきましたが、
ちゃんとした告知はまた…発売日などが決定したら
改めてお知らせいたします。
 とあるのですが、これが上のアンソロジーのことなのでしょうか。でも漫画のアンソロだから違うのかな? 百合漫画も小説挿絵もと、幅広くご活躍されているのでしたら、大変嬉しいことです。
※この挿絵の小説についてはこちらをご参照下さい。

 さて、今回百合アンソロジーの情報を知るに至ったのは、「はてなキーワード」の「ナヲコ」の項目でした。「はてな」というシステムは概して好きになれないのが正直なところですが、こと本件に関しては便利さを認めないわけにはいきません(mixi は不活発で)。だから「ナヲコ」でぐぐるとこのキーワードのページが先頭に来るんだろうな。
 そういうわけで、ナヲコ作品関連の情報収集だとか、『リュウ』の感想探しだとかに、時折このキーワードのページを覗いていたのですが、キーワード「ナヲコ」を使っている「はてな」日記の最近のものに、マンガ評論系ブログとして有名な、前に何度か読んだこともある、「たまごまごごはん」さんの記事が挙がっていまして、それ自体は別に驚くことではない(以前にもこのキーワードで引っかかったことがあったので)のですが、記事のタイトルにはちょっと度肝を抜かれました。

 「おしっこ」という性癖が、オタク界隈でさらりと語られることについて。
 いや、ナヲコ先生に「そんな」作品はなかったと思ったもので・・・記事の内容自体は大変興味深いもので、今はあまり自分の意見を書いている暇がないのが残念です。しかし、この議論の発端となった有村悠氏の「97年ごろには実物をいくつも見ています」というのは、何を指しているのか、それは気になります。
 前にその辺の雑誌を調べた記憶では、「いくつも」というほどあった感じはしないので。月角先生や一市裕納先生とか、描いてましたっけ? どころか、そういう雑誌で北御牧慶先生を紹介するという記事があったりして・・・

 閑話休題、ナヲコ先生は、この記事の末尾で、余談として、町田ひらく・大山田満月・みかんRの諸作家とともに、女性(男性も)がセラピー効果を得られるマンガといった位置づけで登場しています。成程。こんな記事を書いた者としても納得です。
 ちなみにここで紹介されている『未発表セレクション』所収のナヲコ作品は、「はてなキーワード」の「未収録作品」一覧の『COMICアリスコレクション vol.4 「しあわせとふしあわせ」 』の再録です。ですが、『未発表セレクション』の方が1ページ多いので、お探しの方はそちらがお勧めです。
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by bokukoui | 2009-02-02 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

次号の発売日も迫る『月刊COMICリュウ』1月号雑感

 毎度ながら、次号の発売日ぎりぎりにならないと書けないこのシリーズです。

・ナヲコ「なずなのねいろ」 
 素晴らしいものを素晴らしいと受け止めることは、実はとても難しい。そんなお話。・・・長かった回想篇も、シームレスに(?)現在へと繋がってきました。眞さんの前でおめかしして「エヘッ」と照れるなずなの表情がとても可愛いです。しかし、単に「可愛い」の一言では済まされない微妙な何かを、なずなと眞さんの間に感じてもしまうのは、小生が前世紀以来のナヲコ先生の読者だから(コアマガジンの単行本を読んでいるから)、というだけではないはずです。
 このところページ数が少なくて寂しいのですが、次回はお休みらしいです。年末年始の楽しみが一つ減りました。

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回のお題はイギリス海軍の戦列艦ヴィクトリー。・・・んー、これは木造でメカかどうか疑問だし螺子なんか使ってるのかと(備品や艤装品を含めれば使ってるでしょう)思う人も結構いたのではないかと推測しますが、しかし何より、こんなに有名な教科書に載っているようなものが登場とは、ネタ切れでないかと心配になってしまいます。速水先生に限ってそんなことはないと思いますが。
 ちなみに、今回のコラムで速水先生オススメの映画『マスター&コマンダー』、小生も以前評判を聞いてDVDを買いましたが・・・爾来数年、未だにシュリンクすら剥がしておりません。

・小石川ふに「ゆるユルにゃ-!!」
 タイトルページで津軽三味線をかかえたなずな、そしてその後方でおびえるヨークたちネコ娘。・・・大丈夫、津軽三味線の材料は犬の皮だそうで(?)。小石川先生がこんなことをするに至った経緯はナヲコ先生のサイト参照。
 本題の方は、ヨークが双子ネコをお供に旅に出て一転、と思いきやなにも変わってないような(笑)。チキンラーメンを生のまま齧るのが好きな小生としては、ひたすら「ぽりぽりぽりぽりぽり(以下数十回続く)」と「チキンにゃーメン」を齧っているところは、微笑まずにはいられません。
 
・大野ツトム「ネム×ダン」
 これまでもなかなか面白いと思ってきた本作ですが、今回は特に冴えていた感が。途中で止まることなく、最後まで笑いっぱなしのような読後感でした。続きが楽しみだなあ、と思ったら、大野ツトム氏は次号から光瀬龍原作・押井守脚色「夕ばえ作戦」を連載するそうで(宣伝に5ページも使う力の入れよう、なのか単にページが余ったのか)、「ネム×ダン」はしばらくお休みのようで。
 いよいよ編集長の趣味?全開のSF漫画雑誌になりつつある感じもして、それはそれで一向構わないのですが、『リュウ』ではオリジナル作品で結構面白い漫画を描いていた漫画家さんが、原作つきになった途端に大暴投をやらかした先例もあるので――どなたの作品かは申しませんが――なんだかちょっと心配な気もしてくるのでした。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 繰り返しますが、どなたの作品かは申しません。ええ。
 で、おそらくは本来の漫画の鑑賞方法とは多分ずれた視点から、(一部)読者をハラハラドキドキさせているであろう本作ですが、今回は人見知りの女の子が心を開く様子を描いていて、一読安心。
 さらに間違った鑑賞法ですが、本作中に登場していた路面電車は屋根がシングルルーフなのがいただけない。大正時代ならやはり二重屋根でないと。1107と車番が描いてありますが、この番号の東京市電の電車は実在して、旧東京電車鉄道251形→東京鉄道1101形として20両作られたそうです。このグループは、大正10年に車庫の火事で3両が失われ、そして震災で残った車輌もほぼ全滅しましたが、たった1両生き残ったのが1107号だったそうな。
 で、大正14年に番号改正があって、別な車輌がこの番号を・・・え、もういいですか?

・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
 夢二はどこまでもダメ人間。
 それにしても、このご時世扱いの難しそうな題材を果敢に取り込むとは、原作者・大塚英志ならではと言うべきか、『リュウ』の読者は"大人"なのか。

・西川魯介「ヴンダーカンマー」
 シリアス路線かと思ったら、一転、何の脈絡もなく一同はアフリカ戦線に出張して、砂漠の発掘を。なんだか『インディー・ジョーンズ』みたいですな。
 やられ役雑魚キャラ扱いのマチルダ嬢哀れ。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 サエコさんの病気見舞いに女中のヤイさんが・・・というお話。こういうキャラクターのお話を、「ツンデレ」なんてありきたりの言葉で括ってしまうのは、何とももったいないことです。

・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
 突然ニューヨークに飛ばされた主人公タケヒロ君・・・と、早速金融恐慌ネタとは仕事がお早い。しかし株式取引所周辺は、妖怪や幽霊ぐらい幾らいてもおかしくないような空間ですので、実はそれほど笑うべきネタでもないのかも知れません。

・とり・みき&唐沢なをき「とりから往復書簡」f0030574_20311169.jpg
 『リュウ』の2周年パーティーでのくじ引きばなし。ここでナヲコ先生と小石川ふに先生が出会って上述のようなことになったわけですが、それはそれとして、何でもメイドさんがパーティーのアシスタントだったそうな。
 で、とり・唐沢両氏のメイドさんの絵など見比べていたりしたのですが、左に引用した唐沢氏描くコマの、左側のメイドさんがドロワーズなんだか「はいてない」んだかパッと見は微妙な感じ(笑)。よく見るとドロワーズだと分かりますが。

・平尾アウリ「まんがの作り方」
 中学生で漫画家デビューした川口さん、なぜ一度は引退したかというと・・・
 ネットって怖いですね。「数年前の私はそうして終わったのさ」と言い切ってる時の川口さんの表情がいいです。

・天蓬元帥「ちょいあ!」
 先々号の感想で、「岡山といえばママカリもいいですが、大手饅頭は外せない」と書いたら、今月号で本当に大手饅頭が登場してびっくり。これが荷物の底になって平たく潰れたり、カビが生えたのを蒸し直して食べたりという展開になったら、単行本買います。

・安堂維子里「Fusion」
 この作者の方は、これまで『リュウ』に何度か読み切りを書かれていたかと思いますが、これまで感想で取り上げたことがなかったですね。さらりと読めてしまって反って強く印象に残らなかったようなところがありましたが、本作は取り分けよかったと思います。
 もっとも、途中まで読んでいて、銀茄子氏「生殖の礎」(リンク先は一応成年向けなのでその旨ご注意下さい)を思い出して、もっと違った結末を勝手に予測してしまっただけ、印象が強くなったのかも知れませんが。

・京極夏彦/樋口彰彦「ルー=ガルー」
 先月書いたように単行本を購入。今月号でお話がいよいよ核心に入り、連続殺人事件と死体からの臓器持ち去りの意味が示唆されます。一方終わりが近づいてきたような寂しさも・・・。
 このタイミングで単行本を読んでおいてちょうど良かったですね。ストーリーも絵もいいだけに、取っつきにくさで知名度が上がらない作品なのかな、とも思います。設定が入り組んでいるだけに、単行本で読んだ方が楽しみやすい作品なのかも知れません。というわけで、小生の好みで「いつも夢いっぱい」の都築さんが表紙の2巻を挙げておきました。単行本の感想は・・・書くのが大変なので将来目標ということで。大体ナヲコ先生の『からだのきもち』『なずなのねいろ(1)』の感想すらまだ書いていないので・・・

・吾妻ひでお/中塚圭骸「吾妻ひでおの失踪入門」
 ブラコンとして著名な精神科医・香山リカ氏の弟で、ハルシオン依存の歯科医・中塚圭骸氏が吾妻ひでお先生と対談的な何かを繰り広げるコーナーですが、吾妻師匠の偉大さ故か中塚氏が順調に社会復帰し、娘さんも生まれたという話が数号前に出ておりました。
 その中塚氏、今号で曰くは「子どもができた」とお姉さんに電話を入れたら「ブチッと切られた」。どうも香山氏のブラコンとは、「僕(註:中塚氏)を自分(註:香山氏)のもうひとつの人格と捉えて、破滅願望の安全弁にしていたみたいなの」だそうです。それが子どもができるということで、依存対象に出来なくなったのかな。
 てなわけで、中塚氏はお姉さんに、今後は<若貴の関係>だと言われてしまいます。
――若貴(笑)。
圭骸「今後の付き合いは冠婚葬祭のみ。で、事務所も解散するからって。姉ちゃ
(註:「ん」脱か)来年で引退したいみたいなの」
吾妻「せっかくの緑の丘が、みるみるグランドキャニオンに」
圭骸「そう、なんか在宅失踪な感じ」
 吾妻先生、グランドキャニオンは実は結構緑が多いです――って突っ込むのはそこじゃないですね。香山リカ来年引退。ほんまかいな。


 まだ触れていない作品も数多くありますが、一々書いているときりがありませんので(完成前に次の発売日が・・・)この辺でおしまい。今月号は、特に外れが少なくて、読んでいて大変充実した印象がありました。今後もこのクオリティを維持していって欲しいと切に願う次第。
 しかし、いつも本誌を買っていた本郷三丁目の書店が、先月から『リュウ』置かなくなったんだよね・・・大丈夫かな。
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by bokukoui | 2008-12-17 23:53 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

「浦嶋嶺至 画業20周年トークイベント」レポ続き

 急に冷え込んだせいか、先週来調子が思わしくなく、そういう時に限っていろいろ用事が積み重なり、仕舞に寝てるんだか起きてるんだか分からんような状況になっておりましたが(多分風邪を引いていたんだろうと今に思う)、何とか回復してきたので、いい加減放って置きすぎた「『浦嶋嶺至(礼仁) 画業20周年トークイベント』に三峯徹画伯を拝む」の続きを書きたいと思います。
 前回の記事では、浦嶋氏のイベント「全身エロ漫画家宣言!!」の前半部分、エロマンガ雑誌への投稿者として一部筋で著名な三峯(みつみね)徹画伯が登場して、トークを行ったところまで書きました。この記事ではその続きとして、マンガ家のゲストである田中圭一氏・ふくしま政美氏が登場して語られた内容を、かいつまんで述べたいと思います。メモがそれほどきちんとしていないので、トークのレポというより「名言録」みたいな感じになると思いますが・・・。
 なお、諸般の事情により、記事の日付が実際の更新日とずれております。ご諒承下さい。

f0030574_5334676.jpg というわけで、第2部?の三峯氏のコーナーが終わって、今度は第3部?か、田中圭一氏が登場します。浦嶋氏は、田中氏の劇画村塾以来のファンだそうで、一時期は田中氏のアシスタントをしていたこともあったとか。
 全くどうでもいい話ですが、小生は『月刊COMICリュウ』を愛読し、またとり・みき/唐沢なをき『とりから往復書簡』単行本買って読むほどだったもので、田中圭一氏と聞くと同誌2007年11月号(単行本1巻)で唐沢なをき氏が描かれていた田中氏の肖像(←)が浮かんだのですが・・・登場した田中氏は、スーツに身を包んだ、にこやかな感じの方でした。そうそう、永山薫さんを見送って楽屋を覗いた昼間たかし氏が、「楽屋の面子があまりにも濃く、田中さんだけスーツを着ていて一番普通に見えた」なんてことを仰ってましたっけ。でも「普通」なのは見た目だけということがすぐに分かります。

 白夜書房の『トラウママガジン』の内幕話などから始まったトーク、浦嶋氏が「田中さんはまともにサラリーマンやってるのに、描く漫画はいつもひどい」などと振ったあたりからヒートアップしてきます。
田中氏「mixiの日記が最近滞っているが、日記を書いていると、ネタの水準を上げなければと思って書く間隔が開く。もっと下品に!

田中氏「オナニー楽しいじゃないですか」
浦嶋氏「だから嫁と別れた」
田中氏「嫁は飽きるけどオナニーは飽きない。
 でも広井王子は毎日ストーリープレイか」
浦嶋氏「この人、毎日どうカッコいいオナニーするかしか考えてないんじゃないの」
田中氏「オナニーはやめちゃいかん。前立腺もちんちんも萎縮するので、毎日毎日毎日・・・」
 広井王子ネタは別の人だったかも知れません。

「オススメのオカズは」と聞かれたところ、
田中氏「過去の良かったセックスを思い出して、相手を2分おきくらいに変えて。同じ人だと飽きるんで」
ナベ氏「高度な技術ですね」

 そのへんからオナニー話が延々と。あまりに下品に付き(笑)こと細かには記しませんが、
「最高齢でオナニー記録を狙えば」
「いつでも前のめりに、自涜死」←旧漢字がゴシック体で出ないのが残念
「棺桶の中に入る時はナニを握った状態で」
「棺桶の開口部は上下逆で」

 いや、色々ありました。「馬の交尾を見て興奮した男女がことに及ぶ」筈のAVが、馬の交尾の方が遥かに迫力があって、人間のそれがつまらなく見えた話(ビデオ自体、馬の方が時間が長くなってたとか)だとかも。
浦嶋氏「田中さんと家近いので、『呑もうか』とよく話はするが、機会がなくて」
田中氏社交辞令ですから
 とまれかくあれ、田中氏の下品なヒドい話に場が大いに盛り上がり、ここで休憩に。

 そして第4部?の、ふくしま政美先生の登場です。これが今日のメインなのか、浦嶋氏は「ふくしま先生を呼べたことで満足」みたいなことを仰っていたかと。浦嶋氏は一時ふくしま先生の下でアシスタントをしていた由。
 ゲストも入れ替わり、竹熊健太郎氏と宇田川岳夫氏が登場します。小生が生で竹熊氏を見たのは今日が最初でした。宇田川氏については全く知りませんでしたが、サブカル研究家にしてふくしま先生の熱心なファンだそうで、詳しくはウィキペディアはてなキーワード(両方でカバーしている情報が違っているので、両方見ることを推奨)をご参照下さい。
 さて、小生は、ふくしま政美先生についてはそれこそ「お名前はかねがね」という感じで、作品についてはよく知りません。このような徒輩がレポを書くというのもおこがましいことですが、なるべくメモに忠実に書き起こして、ふくしま先生の言葉を皆さんにお伝えできればと思います。知識不足で間違った書き方をしている箇所がありましたら、ご指摘いただければ幸いです。

 まず壇上に竹熊氏と宇田川氏が登場し、竹熊氏が大塚英志や昔話などします。あの、「おたく」という言葉を生み出した『漫画ブリッコ』の中森明夫のコラム(後で大塚編集長と揉めて打ち切り)の後を継いだのが竹熊氏でしたが、氏はそこで大塚氏のロリコン中心路線に対抗してふくしま作品を紹介し、それが縁で宇田川氏と縁が出来たんだとか。当時はオタクもサブカルもシームレスだった、と振り返ります。
 で、この日来ていた観衆の多くもふくしま先生目当てだったのでしょうか。いよいよふくしま先生の登場という場面で、宇田川氏が音頭を取って「人間、自由!!」のコール。ちなみに昼間氏も、わざわざ物販のふくしま政美Tシャツを買ってその場で着込み、絶叫しておりました。
 かくて野球帽をかぶったふくしま政美先生が登場。
 この状況の写真が、阿佐ヶ谷ロフトイベント写真館の2008年11月の所に載ってます。cgiのため上手く直接リンクを張れないのが残念。写真をここに引用したらさすがに問題な気もしますし・・・こっそり写真に直リンしておきますが、この写真では壇上左から夜羽音先生・浦嶋氏・竹熊氏・ふくしま先生・宇田川氏・ナベ氏の順に並んでいます。

竹熊氏「まさかふくしま先生が復活するとは思わなかった。クイックジャパンの大泉実成『消えたマンガ家』(ふくしま政美も登場)が当たった。その当時はふくしま先生の連絡先が分からなかった。その後、ふくしま先生が復活。
 それは、ロフトの夜羽音のイベントで、浦嶋氏が『ふくしま先生が行方不明』という話をしていたら、会場内から『ここにいるぞバカヤロー!!』とふくしま先生が登場し、夜羽音が泣いた」
宇田川氏先生が復活したのではない。先生は常に輝いていて、我々の目が見えなかっただけ
竹熊氏「オタク歴は自分も長いが、宇田川氏ほど趣味の幅が広く濃い人はいない。ふくしま先生復活の直接のきっかけは大泉氏だが、下地を作ったのが宇田川氏」
浦嶋氏「そのお陰でえらい目にあった。パンドラの箱を開けてしまった」
竹熊氏「原作を安請け合いして後悔した。ふくしま先生のパワーにはじかれてしまう(註:竹熊氏のブログ記事参照。面白いので是非ご一読を)」

宇田川氏「雑誌『漫画エロトピア』は、創刊当初にふくしま先生の「女犯坊」を載せ、復活後の作品「暴乳拳」も載せて、連載終了直後休刊した。『エロトピア』は政美に始まり政美に終わった。
 ふくしま先生の無意識は時代の先端のところを突いている。現在『漫画サンデー』での「女犯坊」の連載は一年以上続いていて、奇跡。いつ終わるか終わるかとスリルがあった」
ふくしま先生「まあ最後の挑戦だね、週刊は」
宇田川氏「その辺のベテランで、自分で描いてる人、いるんでしょうか」
夜羽音先生「絶対この人は(自分で描いてる)、という人でも下絵しか描いてないことは多い。やはり週刊のクオリティを維持するのには、一人では無理」
宇田川氏「昔、ふくしま先生はランニングをしていて、『漫画は足腰で描くものだ』と言っていた」
ふくしま先生「おっぱいや尻はきれいな線でないと、抱きたいと感じられなくなる。一本の線で勝負しなきゃいけない(途中で止まったりしてはダメ)」

竹熊氏「ふくしま先生から見て浦嶋氏は?」
浦嶋氏「聞かないで下さいよ」
ふくしま先生「これは大変だ、と思った」
浦嶋氏「まずペンの持ち方から違うと言われた。
 自分は誰の弟子にもなったことがなかったので、誰かにつきたかった。(復活したふくしま先生にアシスタントに行ってから)10年経って、根無し草にならなくて良かったと思う」
ふくしま先生「まあ結局、直らなかったな。でもよく20年やってきた」
浦嶋氏「自分らの世代は、師匠を持たずにプロになったので、自分らの世代は漫画の大きな歴史に属したいという気持ちがあった。それを感じるのがデビューして10年後か20年後か、自分は10年でできて幸運だった。自分はショックが大きすぎ、ふくしま先生の所に行ってからしばらく漫画が描けなかった」

 しばし話が脱線し、アシ話に。山本直樹のアシスタントについて、
浦嶋氏「俺は君(夜羽音先生)がアシに入ったから、(山本直樹が)アシを使うの嫌になったと聞いてるぞ」
夜羽音先生「それは本当。今はマック1台で描いてる。十年前のソフトのまま」
竹熊氏「山本氏は、古いコンピュータで描いて、ドットが出ているようでないと嫌らしい」
宇田川氏「ふくしま先生退屈してます(笑)。先生はアナログにこだわるそうで」
ふくしま先生「ペンはさくら、あと開明墨汁。墨汁の匂いがたまらない。蓋を開けた瞬間、今日もやるぞ、と思う。原稿用紙はすべて画用紙」

 ここでふくしま先生が影響を受けたという劇画家や、弟子筋の方々の話が出たのですが、小生がこの方面に疎いせいであまり上手くメモが出来ていないのですが・・・ふくしま先生は真崎守のアシスタントをされたことがあり、「コマ割りを教えてもらった。死ぬ人は横長のコマ、生きる人は縦長にコマ割する」のだそうです。
 また、ここでいっしょにアシスタントしていた(?)のが宮西計三で、その弟子が松文館の貴志元則だとか、そんな話もあったかと思います。

浦嶋氏「先生はいつから紙とペンをインクで描いたんですか」
ふくしま先生「マイナスゼロだよ。前世から」(台詞のママ)
 実際には2~3歳からだと思う、とのことでした。
 その後虫プロの『COM』に応募して佳作1位に2回なったのに入選しない。変だと思って理由を聞いたところ、手塚は劇画が嫌い、入選者は出来レースだという。後年手塚に会ったのでこの時のことを聞いたところ「そんなこと言ってない」
 また、横山まさみちにも下手と言われたことがあり、これも後年パーティで会ったら「そんなこと言ってない」
宇田川氏「他のマンガ家に警戒される、ふくしま先生はそんなマンガ家だった」
ふくしま先生絵で人を驚かせたい、絵しかない」
 更に続く話では、ふくしま先生は酒と女が好きで、昔は原稿料を貰ったらトルコ(国名に非ず)に行ったとか何とか・・・

夜羽音先生「手塚の話だが、あの人は人間ちっちゃいんでは。何にでも嫉妬した」
竹熊氏「人間ちっちゃかったけど、政治的に新人を潰そうとはしなかった。作品で勝負しようとした。子供っぽい。口癖が『ぼくもこれくらいは描ける』」
ふくしま先生「手塚の1ページ大の絵は耐えられないが、同じような丸っこい絵でも、ちば先生は上手い。
 でも今見れば手塚先生が一番だな」
(壇上の一同、ずっこける)
宇田川氏「考えてみれば、手塚もよく中断していた。(ふくしま先生と手塚は)同じじゃないですか」

ふくしま先生「時代には合わせなきゃいけない」
竹熊氏「そこも手塚と似てますね」
宇田川氏「「女犯坊」、今描いていてどうですか」
ふくしま先生楽しいね。今の編集部なくして「女犯坊」はなかった。このタイトル自体、大手じゃダメ。
 だけどいつまでも「女犯坊」じゃないだろう、連載は今年で終わり。来年は新しいキャラクターで。原点に帰ろうかと。劇画の原点に」

 こうして、ふくしま政美先生のトークは終わりました。
 更にその後、格闘に詳しい方が登場して、オフレコで濃い格闘話を展開したり(○○○の□□□□□が×××に△△△△してるとか)、映像方面のギー藤田・岩崎友彦両氏が登場したりとまだまだイベントは続くのですが、もう小生がフォローできる範囲を超えてますし、実際時間の都合でまもなく帰ってしまいましたので、小生のレポはこの辺で終了させていただきます。
 浦嶋氏が「20年やってればこれだけの人と会えるということを示したかった」と仰っていたかと思いますが、全くその通りで、それぞれのゲスト一人づつでもイベント出来そうな面々でした。それだけ密度が濃いというか、もったいないような気も・・・しかし、これほどコストパフォーマンスの良いロフトのイベントも、そうはなさそうですね。お目当ての三峯画伯以外のゲストの話も面白く、自分の幅も広がった感じでした。
 いやもう、満腹、満腹。
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by bokukoui | 2008-12-09 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

「浦嶋嶺至(礼仁) 画業20周年トークイベント」に三峯徹画伯を拝む

 エキサイトブログは、ネームカードなるものを貼り付けるとアクセス解析機能がついてくるのですが(あんまり詳しいものではないです)、それには毎月の検索ワードランキング(上位10位までだけど)が表示される機能があります。このブログでは、昨年7月からだったか、この機能によって月々如何なる検索ワードでこのブログに人が来ていたのかというデータが集積されています。
 で、それによると、先月までの一年半近くの期間、ただ一月を除いてことごとく当ブログの検索ワード一位は三峯徹でした。
 このブログで三峯画伯について書いた記事は、多分「エロマンガ界に激震走る~遂にあの論争に終止符しかなかったと思いますが、この記事は大手のサイトに次から次へと引用されたらしくアクセス数がどえらいことになり、今でもその影響が残っているようで、画伯の名声恐るべしであります。もっともあの記事自体は結構適当に書いたものなんだけど・・・タイトルが良かったんでしょうかね。

 さて、三峯画伯が何者かは、上掲の記事及び非公式ファンサイトに詳しいのでそちらに譲りますが、エロマンガ雑誌に十数年にわたって「独特な」画風のイラスト投稿を続けた結果、編集部や読者から尊崇される「業界の座敷童」的存在という、何ともその魅力を表現しづらい偉人です。
 で、その偉人が、なんでもロフトのイベントに登場されるという情報を聞きつけ、これは一度ご尊顔を拝さねばと思い、先週そのイベントに駆けつけた次第でした。三峯画伯は、最近は幾つかの同人誌即売会などにも登場されていると聞き及んでいましたが、そちらに足を運ぶ機会がありませんでしたので。
 そのイベントとは、以下のようなものでした。
「全身エロ漫画家宣言!!」
浦嶋嶺至・画業20周年トークイベントを開催します。
http://justfitweb.com/event/

【日時】
2008年11月27日【木】
開場 18:00/開始 19:00

【場所】
阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/index.html

【Carge (入場料)】
900円 [飲食代別]

【ゲスト】
山本夜羽音(漫画家)
田中圭一(漫画家)
ふくしま政美(劇画家)
永山薫(エロ漫画評論家『エロマンガ・スタディーズ』)
ギー藤田(銭金ビンボー映画監督)
岩崎友彦(『えび天』金監督)
三峯徹(ハガキ投稿神職人)
他、飛び入り有。

【進行補佐】
バッドガイ☆ナベ(面白漫画倶楽部)

◎おみやげあり(当日限定同人誌・予定)
★浦嶋嶺至制作のふくしま政美・三峯徹Tシャツ等、物販あり。
詳細・情報については随時こちらで。
http://blog.livedoor.jp/urashima_area41/archives/cat_50026839.html
 上記データは主に、永山薫さんのブログから拝借しました。永山さんがご出演されるというのも、このイベントを見に行った理由です。
 浦嶋嶺至(礼仁)先生に関して、小生は「お名前はかねがね」という感じで、ご著書も一冊は持っていたと思うのですが・・・部屋が混沌で見つかりません(苦笑)。お名前を最初に見たのは、高校の頃、エロマンガ雑誌の同人誌紹介コーナーで「現在休筆中の浦島礼仁先生の作品が読めるのは同人誌だけ!」とあった時だったと思います。

 永山さんのブログの「席を確保できないと思うので、お早めに」という言葉に従って、小生は会場間もなく18時過ぎに阿佐ヶ谷ロフトに向かいましたが、その時点では10人くらいしかいなかったような。入場料が格安900円の上、同人誌のおみやげ付きとは類のない太っ腹なイベントで、それだけ人が来るだろうなと思ったら、出足は遅かったようです。開始時刻までには40人くらいだったか、更にその後増えて、ほぼ満員近くまで行ったと思います。
 で、ぼちぼち増えてきた人の中に昼間たかし氏を発見。氏とはこれまで何度かお会いする機会があったのですが、ふとしたことで氏と小生の間に思いがけない縁? があったということが判明、お互いびっくりしました。ご挨拶。氏は永山氏と同道して来られた由。リンク先のブログにありますが、児童ポルノ法案に関する動きが、一旦緩んだと思ったらまた急に動いているようです。リンク先の記事にあるように、氏はその前途にかなり悲観的でした。そうならざるを得ない事情は小生もある程度察知しておりましたが・・・。
 また、氏にフィルムセンターで行われている亀井文夫の上映会のことを教えていただきます。戦前の軍隊の報道映画的なものもありますが、個人的には「東京電灯の宣伝映画」が大変気になります。誰か行きませんか?

 それはともかく、おみやげ同人誌はこちら。
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浦嶋嶺至イベントおみやげ同人誌(表紙)

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浦嶋嶺至イベントおみやげ同人誌(裏表紙)

 向かって左が今回発行の、浦嶋氏のデビュー以前の作品を集めたもの(約150ページ)で、右はデビュー後の1992年に出された同人誌(約130ページ)です。小生は浦嶋氏の作品にさほど馴染んでいたわけではないので適切な表現かは自信がありませんが、あれだけの絵を描く人でも、最初はこんなんだったのか――と、思わずにはいられませんでしたが、創作を続ける積み重ねということについて、些かの感慨にふけりました。それにしても、これ2冊だけで900円分の元は取ったのではないかと思わせるほどで、太っ腹な企画なこと。

 開始がちょっと遅れているな、と思ったら、進行役のバッドガイ☆ナベ氏が仕事で遅れているとの由。そのため進行役抜きで、浦嶋氏と夜羽音先生・永山さんが壇上に上がり、15分遅れでイベントは始まりました。(敬称の使い分けに深い意味はありません)
 なお今回は、メモも割と適当ですし、小生の知識の限界からそもそもうまく書き起こせないことも多いので、その辺の限界はご諒承下さい。なにせ自分で自分がメモした字が読めない有様なので(苦笑)

 浦嶋氏はネタとしていろんな画像を仕込んできていて、それを大写しにしながらイベントは進みます。まずは掴みとして、先日麻生首相が秋葉原で演説した際、夜羽音先生が「とっとと解散しる!!!」とプラカードを掲げていた画像を肴に、話は始まりました。振られた夜羽音先生、「話せば短いけど・・・」と語るところに拠れば、前の日に呑んでいて勢いでそういうことになり、その日は15分で秋葉原の喫茶店にて描いた由。で、麻生総理の前で騒いでいた「自称オタク」は自民党青年部なんだとか。
 「ウラ取れてんの?」と突っ込む永山さんに「取れてる」と断言する夜羽音先生。3000円の居酒屋で麻生と呑んだのも青年部と主張します。

 てなあたりから乾杯になり、第1部?に。浦嶋氏がデビューした20年前の話題などが語られます。夜羽音先生が「88年といえばエロ同人誌が大ブレイクした頃」と応えると、浦嶋氏は88年に白夜書房の出した『ホットミルク』のアンソロ本、『熱血!! まんが塾』というのを持参されていました。

浦嶋氏「これを見ると、あまり上手くない。これを見て、自分もデビューしようと画策した。表紙は新貝田鉄也郎さんでクオリティが高い」
夜羽音先生「新貝田さんはあこがれ。いろんな絵が描ける」
永山さん「この頃の人は今でも結構現役。この本では・・・しのざき嶺、もりやねこ、・・・出世頭は唯登詩樹、森山塔も当然ここにいるし、西秋ぐりんも。西秋ぐりんは最近教育関係の仕事をしていて、息子の塾の教材に出ていてびっくりした」

 てなあたりで漸くバッドガイ☆ナベ氏登場。
 浦嶋氏はまた、この当時の同人誌をいろいろと取り出して解説。が、小生には固有名詞がなかなか把握しきれず、昼間さんにお伺いを立て続けました。詳しくはそんな人間のメモよりも、浦嶋氏の回想録「西崎まりのに花束を。-浦嶋嶺至、朋友への手紙-」をご参照下さい。貴重な歴史的証言と思います。
 一つトーク中で印象に残ったところを挙げれば、松原香織氏の作品について浦嶋氏は、「ハードなエロの作品に衝撃を受けた。一時はその絵を真似していた。客に受けるにはどういう絵か、という時のヒントになった」と述べておられました。こうして絵柄を変え、ラムちゃん本『十月革命』でブレイクした経緯は上掲リンク先参照。
 なお、成功の要因の一つとして、浦嶋氏は創作同人の経験から得た編集テクニックをエロ同人に持ち込んだことを挙げておられました。それまでのエロ描いていた野郎共は、そんなところまで気にしなかったのだそうです。女性の同人作家はデザインなど考えていたそうで、これは画期的だったようです。

 とまあ、いろいろ繰り出された同人誌について夜羽音先生が一言。
夜羽音先生「15年前、20年前という同人誌を見せて貰ったが、今の『萌え絵』は当時の絵に一回転して戻ってきているのではないか」
浦嶋氏「元々『ロリコンまんが』から始まったのだから、帰ってくるのはやりここになる」

 そして、同人誌紹介の最後には、「うたたねひろゆきがコミケの新刊を落とし、お詫びとして友人に配った20部限定コピー誌」という驚くべきお宝が。浦嶋氏は一時、ガイナックス方面などとも交友があったそうです。(詳しくは「西崎まりのに花束を」参照)

 更にこの間、ゲストでさだこーじ氏が登場し、そして、いよいよ第2部?「ファンの側から」ということで、三峯徹画伯が登場します。
 ジャンボ鶴田のテーマに乗って三峯画伯登場。以下、画伯のお言葉はなるべく忠実にメモから書き起こすように努めたいと思います。

浦嶋氏「ところで、投稿歴は?」
三峯画伯「19年。来年で20年になる」
浦嶋氏「では来年イベントを(笑)」

※追記(2009.11.10.):ほんとに翌年、そのイベントが開かれていたそうです。

浦嶋氏「『さよなら絶望先生』のアニメに三峯さんの絵が出ていたが、何か話はあったのか」
三峯画伯「何も連絡はなかった」
浦嶋氏三峯徹はパブリックドメインですね。アニメに出ていた初音ミクの絵は贋作らしいが」
三峯画伯「コピー誌のを変えて作ったのかな?」
浦嶋氏「最初あの絵を見て思ったのは、三峯さんはパソコン使わないから、あの塗りはおかしいと」

浦嶋氏「ひところは毎月百通投稿していたと聞きますが」
三峯画伯今は20冊くらい。投稿費より雑誌代が大変」

浦嶋氏「名前の読み方は?」
三峯画伯「関東の人は『みつみね』だが、関西の人は『みみね』と読んでいる傾向があった」
浦嶋氏「名前の由来を。自分は嫁(註:結城らんな=『ホットミルク』の投書欄の偉い人)から聞いているが」
三峯画伯「バイトしてた会社が『三峯(みつみね)産業』というところだったので」
浦嶋氏「だから自分も、三峯Tシャツには『ミツミネ』と書いていた。『みみね』が広まったのは、伊藤剛氏が評論でそう書いたせいではないか」
永山さん「あいつが犯人か」
三峯画伯「まあ、どっちでも・・・」
ナベ氏「すると『みみね』Tシャツが出るかも」
浦嶋氏「大阪版として作るか」
三峯画伯「『三峯(みつみね)』はエロ、『三峰(みみね)』はその他で行こうかと。でも皆、言いたい方で言ってるので」

 うーん、このブログで以前報じた「みつみね」「みみね」の使い分けは、まだあまり世間(?)に浸透していなかったのでしょうか。

永山さん三峯さんの存在は都市伝説ですからね。エロマンガ雑誌が創刊して、三峯さんの投稿が来たら編集部が安心するという」
浦嶋氏「献本してくれればいいのに」
三峯画伯「昔は何冊かありましたよ」
(会場驚く)

永山さん「斉藤O子さんが(三峯画伯について)言われてましたよ、『上手くなるな』
浦嶋氏「嫁と話したんだけど、本人を前に何だけど、『三峯さん最近枯れてきたね』
 しかし違いが分かる俺も何だと(笑)」
三峯画伯「自分もそう感じる。昔の絵を見るとパワーを感じる。今よりちゃんと描いてるなあ、と

三峯画伯「今後も時間のある限り投稿は続けたい」
浦嶋氏「復刊ドットコムで三峯画集の声もあるそうで。(註:発見できませんでした)
 投稿はコピーとか取ってるんですか?」
三峯画伯「いや、取ってないです」
浦嶋氏「では、誰にも三峯さんの投稿の全容は分からない・・・」

浦嶋氏「本人を前に言うといい気にさせちゃうけど、自分はポップ・アーティストとしての三峯徹を高く評価している。僕は、何十年か後には、三峯徹は日本のアウトサイダーアートの第一人者になると思う。誉め過ぎちゃダメだけど。
 ウィキペディアにあった『三峯徹』の項目を削除した奴は正直許せない。分野がハガキ投稿というだけで、やっていることはアート。削除理由で経済効果がないとかいうが、ウィキペディアの項目には(経済効果の少ない人は)いっぱいいる。それに自分は三峯Tシャツを作った。Vipperどもよりよっぽどすごいのに」

 ちなみに、浦嶋氏が削除されたことを怒っているWikipediaの「三峯徹」の項目ですが、そのページを画像に取り込んだものが小生のHDD中から発掘されましたので、以下に掲げます。この画像はクリックすると元の大きさになります。
f0030574_3453620.jpg
 ファイルのプロパティによると、この画像は2007年3月28日に取得されたもののようです。何でわざわざWebページを画像にして取り込んだのかといえば、この記事で「みつみね」という所を強調する細工をしたかったからでしょうね。それが思わぬ文化的遺産?になったわけで。

 この他、三峯画伯に惚れ込んで芸名もそこから一文字取ったらしい?AV女優・峰なゆかが、自分のブログで三峯画伯のことを熱く語っていた(リンク先はアダルトコンテンツに類するものもあるので諒解の上ご利用下さい)という件なども話題に上りました。
 しかしなにぶんゲストが大勢なもので、三峯画伯のトークは大体この辺で終了。その後、田中圭一氏やふくしま政美先生などのさらなる大物ゲストがご登場され、阿佐ヶ谷ロフトは混沌の度を加えるのですが、そのことはもう他日の記事に回させていただきます。この週末中には出来るかな・・・?

※追記:週末とは行きませんでしたが、続篇はこちらへどうぞ。

※更に追記(2010.10.16.):三峯画伯がなんと「タモリ倶楽部」に登場。その番組を見た感想などはこちらへ
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by bokukoui | 2008-12-04 23:57 | 漫画 | Trackback | Comments(4)

やっと『月刊COMICリュウ』12月号雑感

 そろそろ次の号の発売日が近づいてきましたので、論文作業が忙しくなる前に片付けておきましょう。今月号は、今夏からといいつつようやっと連載が始まった、鶴田謙二『さすらいエマノン』が表紙でなかなか格好良し。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 引き続き回想篇。前号で示唆された眞さんとなずなの関係について描かれています。そろそろ次当たりからは現在に戻るのかな? なずなが三味線を弾くには、最初のきっかけとなった父、再び弾くきっかけとなった叔父がいたわけですが、今度は年下の他人である伊賀君が関わった時にどんなことになるのでしょうか・・・しかし、マジで伊賀君の名前を忘れかけていて焦りました。
 それはそれとして、幼少なずなのセーラー服姿がとても可愛いのですが、かわいいと単純に言ってしまうには胸の痛む美しさなのでありました。

 多忙で色紙プレゼントに応募できなかったのが無念・・・

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回はロシアものではありませんでした。オリンパスのペンEEという、昔流行ったハーフサイズ(普通のカメラと較べ半分のフィルムですませるので、画質は粗いが節約になる)のカメラ。速水氏は今でも現用だとか。
 鉄道の写真集を見ていたら、吉川文夫氏が「一頃安いのでハーフサイズを使ったが、今見ると箸にも棒にもかからない」とかこき下ろされていた印象がありましたが、固定焦点で簡単に扱え、セレン電池で消耗品もなく、今でも使える。なるほど、ロシアもの好き速水氏のお眼鏡に適いそうなメカではあります。 

・黄島点心「くままごと」
 今回は二本立て。一本目の「種を蒔くこぐま」は多分、大熊が登場しない初作品では。今回は二本とも「食品安全」関係なのか・・・いやまあ、そういう社会性とこの漫画の面白さは別に関係ないと思いますが。

・とり・みき/唐沢なをき「とりから往復書簡」
 愛猫家の唐沢なをき氏が動物ネタを振ったのに対し、とり氏

「どいつもこいつも あいつもそいつも いしかわじゅんも
 飼ってる犬猫のことになると えんえんえんえん デレデレデレデレ しやがって」


 わりと共感。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 前号は一体何をやらかしたのかと思いましたが、やはり途中で落っことしていた模様。本題から外れた大暴投だった前号の、後半が今回載っていましたが、通して読めば結構いい話・・・やっぱ大暴投だ。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 なぜか知らねど2ちゃんリュウスレで評判の悪い本作、小生は大好きなんですが。
 で、今号もトンデモ幼稚園シリーズ。肝心の宇宙人はあんまり登場しないし、ひところのホームコメディ的方向からも変わって、さてこの先はどうなるのか? 幼稚園児をこういう風に描くこと自体になにがしか抵抗感を覚える人がいる(2ちゃんのスレでは『園じぇる』を例に挙げていたのがいたけど、???)ようなことには、少し驚きました。本作はそういう視点ではないように思うのですが、どんなものでしょう。

・大野ツトム「ネム×ダン」
 考えてみれば今までこの作品の感想を書いたことがなかったような。
 たまきひさお「トランス・ヴィーナス」と好一対? な作品です。遠く宇宙の向こうからやってきた宇宙人(的存在)が地球人に取り付いて、毎回これまた宇宙の果てからやってくる怪しい連中をやっつける、という枠は両作品とも同じで、取り付くキャラクターと取り付かれるキャラクターの性別が逆になっている(たまたまでしょうが)ためますます一対感があります。本作は取り付くのが男で取り付かれるのが女の子(めがねっこ)。で、どっちも面白いのが嬉しいところです。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 ありきたりの材料(シチュエーション)を、ごく正統的な方法(ストーリー)で調理したものであったとしても、丁寧な仕事を積み重ねれば、それは芳醇な味わいをもたらすのであります。
 恰もこのお話中で、ヤイさんが作る肉じゃがの如く。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 新参者にはネタが分からんところが多すぎるけど、もはやそんなことはどうでもいい作品ではあります。単行本は火星人刑事のようなことにはならないといいなあ・・・いや、もう既になっているのか。しかしそれを踏まえて「ぱんつじゃなければありがたくないもん」の台詞を考えると、斯界の先達としての余裕が感じられます。

・安彦良和「麗島夢譚」
 久しぶりにお話の続きが。台湾で暴れ回るオランダ兵、なんてのを読まされた日には、またぞろ Europa Universalis 2 なぞがやりたくなってきますが、時間がありませぬ。
 ところで、宮本武蔵は本作中どう見てもボケキャラのような・・・こういう描き方はあんまりない気がして、それもまたよし。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 巻頭カラー。単行本発売おめでとうございます。しかし正直、カラーでのキャラクターの顔色が、妖(あやかし)の猫娘はともかくも、小学生男子諸君のそれがちょっと不景気な感じが・・・猫娘だけでなく、彼らの可愛らしさも本作の魅力と思うだけにちょっと残念。お話の方は前号編仕立てで、次号が楽しみです。

・梶尾慎治/鶴田謙二「さすらいエマノン」
 巻末カラーでオールカラー。扉絵に出て来る都電の廃車体の魅力的なこと。戦前製ながら都電ほぼ全廃頃まで更新しつつ働いていた古豪1000形(1052とナンバーも描いてある)。塗装の褪色した表現もまた美しい(廃物が美しいというのも変な話ですが)。しかし都電末期の黄色+赤帯の褪色というよりも、緑っぽいので旧塗装だったように見えますね。これのポスターが欲しいので特典に・・・ならんな。
 え? 都電はどうでもいいからエマノンはどうしたのかって? 今回はオールカラーで8ページしかなくて(うち2ページは見開きエマノン)話は全然進んでいないんだから、「これはっ!」という一齣をためつすがめつ鑑賞というのでいいんではないかと。

・京極夏彦/樋口彰彦「ルー=ガルー」
 今号は休載でしたが、いなくなって初めて分かるありがたさ、と申しましょうか、やはりこれが本誌の看板なんだろうと改めて感じ、単行本を買い込みました・・・が、忙しくてまだ読んでいないという次第。

・横尾公敏「ロボット残党兵」
 アクセス解析をしたらここからリンクが張られていたのですが、もちろんご紹介いただいたのは大変有難いことと思っておりますけれど、元の記事からそのような引用のされ方をされるとちょっと微妙な気もします。

・「ちみもりを短篇集 SF編」(別冊付録)
 ゼオライマーのちみもりを氏の、デビュー作も含むらしい80年代の旧作を6本に、あさりよしとお氏との対談を収めるA5の小冊子。
 内容は、嗚呼栄光の80年代って感じです。ロボットが女の子を襲ってどうしたこうしたとか。しかし、これら短編の初出は書いていないのですが、多分『レモンピープル』とか『プチアップルパイ』とかですよね・・・早い話がエロマンガ雑誌に載せていた作品を別冊に付けているわけで、うーん大した編集部。ナヲコ先生の旧作を集めた単行本出したんですから、ついでに『DIFFERENT VIEW』も復刊してください。


 まだ読んで思ったことは幾らもあるのですが、あまり長くなりすぎると書くのも読むのも大変になりますのでこの辺で。
 しかし今回の別冊付録には驚きました。面白く読ませては貰いましたが、『リュウ』編集部はやはりエロへのこだわりがあるのでしょうか。もうこうなったら、年に一回『裏・COMICリュウ』とでも題して、今の連載陣でエロマンガ雑誌を出したらどうかと思います。きっと読者層が大きく拡大・・・しないかね、やっぱ。そっち方面の実績のある方もさりながら、エロというお題を出されたらどう切り返してくるのか、是非読んでみたい作家さんも多い雑誌ではありますが。

※追記:その後『リュウ』が附録で『リュウH』なる別冊を出しました。
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by bokukoui | 2008-11-17 23:53 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

簡単に『月刊COMICリュウ』11月号雑感

 いろいろ忙しいのですが、また次の号が出そうなので、手短に。
 今回は新創刊2周年特集(小生が本誌を買い始めて1年ともなるわけですが)、ということで付録がいろいろついているのですが、そちらは我が琴線に触れるところなく・・・ま、本誌について以下簡単に。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 なずな回想編も大詰めでしょうか。なずなの、父から引き継いだ天性の音に心揺れる花梨さん。そしてようやく、なずなが叔父の眞さんに、密かに三味線の手ほどきをしていたことの繋がりが見えてきました。花梨さんと眞さんの繋がりはいよいよ妖しさを増してきましたが・・・
 幼少なずなが三味線を弾いているシーンで、三味線の「カンカン」という音の書き文字が、マジックで大胆に書いてあって、しかもわざと(でしょう)文字を塗り残してあるあたり、なずなの荒削りな音が伝わってくる感じです。

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回もロシアメカ、アントノフAn-2。戦後の1947年初飛行の単発複葉機、万能の軽輸送機です。ポーランドで1991年まで作っていたとは・・・地上を見やすくするのか、ちょっと変わった風防が可愛いです。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 大正なのに扉の絵がT-34/85・・・。いきなり後日談状態で、おまけにペン入れ怪しいページもあったり、そして途中で終わっているような・・・。女の子の絵はラフでも、T-34はきちんとペン入れしてるのはどういうことか。
 いきなり心配になってきました。

・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
 エプロン+和服の女給さんに目が奪われた読者は決して小生のみではないはず(ホテルの従業員なら「女中」でいい気もしますが)。それはそれとして、震災の中で夢二は幻想モードに入り込んでアレなシーンになっております。

・石黒正数「響子と父さん」
 いよいよ石黒作品再登場。微妙な距離感を堪能。とはいえ現状では「ネムルバカ」ほど印象が強くないのですが、シリーズを今後重ねて魅力も深まることを期待します。

・ちみもりお/ワタリユウ「冥王計画ゼオライマーΩ」
 新連載。何でも昔のロボットアニメの復活というか続編みたいなものらしいのですが、ロボット系を受け付けない小生としては如何とも評価しがたいところです。とりあえず女の子はとても可愛らしく、初回から触手まがいに絡め取られるなど、見所も。
 で、何で受け付けないのに感想を書いているのかといえば、ナヲコ先生の『からだのきもち』のあとがきで、編集が「ゼオライマーも出したし」、だからナヲコ先生のエロ作品集も出しましょう、という文脈で出てきたので気になったので・・・正直関連は分からん(笑)

・安彦良和「『麗島夢譚』事始」
 エッセイ漫画としても面白かったのですが、次回から連載再開らしく、喜ばしいことです。それにしても、博多から筑肥線経由で平戸に行ったら、そりゃ時間かかりますわな。

・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
 祝隔月連載決定(それにしても、月刊連載の漫画と同じくらい、隔月や不定期の連載があるのではないかと・・・)。一気に読まされるパワーの点では、本誌でも随一の作品と思います。「純愛も 行き着く先は肉欲なのよ」ってなもんで。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 扉絵を見た瞬間、ヤイさんの幼少時代の話かと一瞬思いました(笑)。駄菓子屋のバアさんがいい味を出しています。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 今回は本来のストーリーに戻って一安心。「ノーパナイザー」ってのは、目にも止まらぬ速さで女性のぱんつ(下着の方)を脱がす奇怪な技を使う輩、という意味だと思っていたら、ちゃんと本来の? 意味があったんですね。

・魔夜峰央「黄昏マンガ家ミーちゃんのSFですよ」
 「クレプスキュール」が一応終わったので、今度はエッセイ漫画。『リュウ』編集部はSF好きが多いんでしょうか。コマ割りがひたすら横にだけ区切っています。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 幼稚園ネタが引き続き。ある意味『LO』よりいかれてます。

・つばな「第七女子会彷徨」
 今回も二本立て。もしかするとこれはすごい作品なのかもしれない、と思うようになりました。今回は特に、死んだ人の意識をデータ化して「天国」を作ってしまう話が特に。

・天蓬元帥「ちょいあ!」
 『電撃大王』だとか『まんがタイムきらら』だとかの掲載でも違和感のない作品だけに、個人的にはあまり注目しておらず、殊にガスマスクをいつも装着していたガス子がガスマスクを取ってただの美少女になってしまったのは遺憾だと思っていましたが、今回久々にガスマスク姿が見られたのは良し。あとどうでもいいお国自慢ネタもよかったのではと。岡山といえばママカリもいいですが、大手饅頭は外せない。


 駆け足で見てきましたが、今回も基本的には満足の内容。次回はやっとこさ『さすらいエマノン』掲載ということで期待大です。
 それにしても、今号の『ゼオライマー』だとか、付録の出淵裕『機神幻想ルーンマスカー』だとか、大暮維人『BURN-UP EXCESS&W』だとか、ひとむかし或いはそれ以上前の漫画を、復刊させたり続編を出したり、そういうのが『リュウ』周りは多い気がします。そのお陰でナヲコ先生の作品も、未収録作品が単行本化されたので文句のないところですが、市場の飽和というか成熟がこういった方針を採らせているのでしょうか。
 で、小生がふと思ったのが、

『COMICリュウ』の商売敵は復刊ドットコム

 ではないかと。実際、ナヲコ先生の単行本未収録作品集は復刊ドットコムで要望されて、結構票集まってましたからね。
 或いはむしろ逆に捉えるべきかもしれません。復刊交渉開始の目安である100票まで行かなくても、この分ならいけそう、というのを漫画を扱っている出版社が先に目をつけて交渉すれば、復刊ドットコムよりも或いは手早くやりやすいかもしれない、そんなことをふと思いました。フリーライダー的やり方ですけど、本気で出すならノウハウのある方が、漫画雑誌を定期刊行しレーベルも持ってる方が、有利でしょう。なんだか野党のよい政策を丸呑みして、実行したら自分の手柄面する自民党みたいですが。
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by bokukoui | 2008-10-13 23:55 | 漫画 | Trackback | Comments(4)

11月号も出たのに『月刊COMICリュウ』10月号雑感

 いろいろトラブル続きだった電子機器関係の環境も、憑かれた大学隠棲氏のご指導のおかげでかなり使えるようになりました。まだ細々といろいろ残っておりますが、そして部屋そのものの環境はむしろ混沌度が増しているのですが、これで作業効率は大きく改善されたものと思います。ただしこれまで効率低かった分の(体調もあるが)ツケはまだだいぶたまっておりますので・・・再来月には学会報告もあるし、なかなか気の休まる暇がありません。

 そんなわけで、今月発売の『COMICリュウ』もまだ読んでいないのですが、先月号の感想が速水螺旋人「螺子の囁き」の鉄道ネタについてしか書いておりませんでしたので、今回こそ簡単に感想をば。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 引き続きなずなの幼少時代回想篇。両親と別れ義母と姉(半分だけ血縁)のもとに引き取られたなずなが描かれます。義母が姉の花梨さんに、なずなに三味線を教えるよう命じます。
 「・・・はい・・・/・・・ねぇ、お母さん」
 「先生と呼びなさい」
 「おかあさん / おとうさんはどうしてこないの? どうして撫菜ちゃんを迎えにこないの・・・?」
 複雑な人と人との関係の中で、三味線との関係もまた様々に絡まって展開しています。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 今月号はこれまでのストーリーと全く何の関係もなく、「瀬戸内海の西の方のちょっと信じられないすごい話大会」と題して、某県のコワ~い話を4つ紹介。いやあ、大分某県教育界(教育ネタ以外も1つあるけど)あなおそろし。しかし単行本化の際、この話どうするんでしょうか(あ、だからなかなか単行本が出ないのか)。
 ところで、このような噂話をもっともらしく広める効果的な手法は、過剰なほどしつこく「この話はフィクションです」と繰り返すことなんですね。「建前上フィクションです。」「フィクションです 信じないでね。」「やばいくらいフィクションです。」「何度も言うけどフィクションですから」・・・そして巻末の目次についている著者ひとことコーナーで「ここだけの話だが、実はフィクションというワケでもないんだ。」

・とり・みき&唐沢なをき「とりから往復書簡」

 単行本が出たので早速購入。最初からのネタが分かって大いに満足。単行本は執筆者によってページの印刷の色を変えてある凝りようですが、単色の雑誌版の方が読みやすい気もします。パッとページを開いた一瞬、とり・みきか唐沢なをきか、どっちの絵かわからない、そこがいいとも思います。もちろん編集部の気合いはひしひしと伝わってくるのですが。
 ところで今号の漫画では、とり・みき氏が「唐沢なをきが描いたとり・みきの自画像(唐草風呂敷のあれ)」を描くという実にややこしいコマが。単行本の帯の写真の元の絵を描いた時のシーンですね。

・黄島点心「くままごと」
 こぐまどもの名前が次第に判明してきて楽しみが増えました。ですが、「ツィッギー・ハィッギー」ってどう発音するんだ。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 「アンファン・テリブル」な幼稚園。実に「教育的」な保母さん。毎度ながら「酷い」漫画でした。(誉めてます)

・つばな「第七女子会彷徨」
 2本立て。このシリーズ、以前掲載されたときは印象に残らなかったのですが、今回はなかなか。特に「私達の顔は個人情報の塊! 顔隠し君大発売」の方が。それにしてもめんどくさい世の中になったなあ。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 今回は新キャラ・狛犬姉弟(当然犬耳)が登場。弟が妹に見えてなりません。狛犬の化けた姿が、袴を膝で括ってあるのに頭身が低いので、ちょうちんブルマ状態なのもまた良し。
 ところで、いけ氏はサンセットゲームズでTRPGの仕事もされているのか・・・。

・魔夜峰央「クレプスキュール」
 今回で一応最終回、単行本化との由。いかにも続きそうな終わり方なだけに、是非第2部に続いて欲しいですね。隔月掲載でしたが、1話がその分長く、さらに濃度も高い作品でしたので、大変読みでがあったいい作品でした。

・五十嵐浩一「REVIVE!」
 前回のレポで、「各話同士のつながりが迷走している」という感想を書きましたが、なんと今回で最終回に。もうちょっと展開して、まとめて欲しかった感があります。

・坂木原レム「フルイドラット」
 扉絵が・・・なんといいますか。ミズキ-サイネンとアルミ-マリカの関係を並行して読んでみるのもまた楽し。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 顔見せ乳見せだった前回(第1回)と違い、今回はちゃんとお話が。お嬢様が、野球をやっていた青年(見合い相手・銀行家子息)の阿呆さ加減に激怒して、自ら野球チーム結成に乗り出します。なかなか面白いですね(原作の筋か、漫画の良さかどっちが大きいかは分かりませんが)。体育会系は明治時代から暑苦しかったのですね(小生は「体育会系はなぜ暑苦しいのか」という歴史研究を卒論でやろうとして挫折したことがある)。それにしても、この作品の設定の2年後は金融恐慌ですが、件の銀行家は無事だったのでしょうか。
 ところで、この原作小説はアニメ化されるそうですが、スカートの長さが短すぎますね。膝が見えるなんて、はしたなくってよ。この点は漫画の方がちゃんとしてますね(挿絵は未確認)。

・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
 以前別な騎崎サブゼロ氏作画で連載が始まったものの、その方の健康問題で中断、仕切り直しだそうです。大塚英志原作の漫画といえば、小生が読んだことがあるのは『オクタゴニアン』だけですね。あれも面白かったのですが、続きは・・・。
 それはさておき、これも大正です。ひらりん氏の作品は、以前連載されていた「のろい屋しまい」がありましたが、それと比べると絵の感じも少し変わって、読みやすくなっています。「のろい屋」はどうもページ内に情報を詰め込みすぎの傾向があって、もちろんそれが面白いこともあるのですが、往々作品の幹が見失われ、一読「ん?」となることがありましたが、今回はそのようなこともなく。
 袋を被った怪しい男の登場に『オクタゴニアン』を思い出しました。次回が楽しみです。

 
 早いとこ山積する所用に目鼻をつけ、今月発売の号にも取りかかりたいものです。
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by bokukoui | 2008-09-25 22:01 | 漫画 | Trackback | Comments(4)

エロマンガのことなど・女性が面白がったエロマンガの一例

 暑さ負けしそうです。去年の状況よりはマシですが・・・それでいていろいろ用事に追われ、なかなか大変です。ちなみに小生、今年に入って使う機械という機械が挙動不審になり、今我が家に残された最後のネット使用可能機械を使ってネットを時々見ていますが、この機械も次第に怪しくなり、IEは始終落ちまくっています。機械も暑さ負けか。

 そんな日々でネットも碌に見ておりませんが、ふと見た有村悠氏のブログの最新の記事に深い感銘を受け、何がしか一筆物したい気分になりました。

 男女でエロマンガについて楽しく語り合うためには

 感銘を受けた点は多岐に渡り、そうそう簡単には書けません。
 勿論至極単純に「面白い」話題ではありますが、多分小生がこの記事を単に「うん、面白い」と読み流さず、ここで一筆ものそうと思ったのは、有村氏の峻厳な態度に感ずるところがあったからだと思っています。何よりこの有村氏の記事中最も衝撃的であろう注釈2の内容については、本文の論旨上は書く必要は必ずしもないはずです。それでもそれを書かなければならない、と有村氏は決断された、そういった自分(の嗜好すること)への厳しさが、読者に(殊に小生のようないい加減な人間に)少なからぬ衝撃を齎すのです。

 ただ、エロマンガの話をする上では、その峻厳さがちょっと話を単純化しすぎてしまっている面もあるかもしれない、とも感じました。
 そりゃあもちろんエロマンガは「男性の場合かなりの割合でオナニーに結びつく」ものですが、といってそれを「バイブやローター」と同じようなオナニーツールと規定してしまうのも厳しすぎやしないかと思うのです。上掲記事のコメント欄で有村氏は、「エロ漫画がポルノグラフィである以上、描線も肉体や表情のデフォルメもコマ割りもネームもシチュエーションも、すべてがエロと緊密に連動している、否、エロのためにこそ存在していると考えるべき」と書かれています。しかし、オナニー用具としては、エロマンガはそもそも、いわば夾雑物が入っているものともいえます。そこが面白いところであり、だから話の種にもなりやすい(少なくともオナホールの話よりかは)となるのではないかと。で、なるほど夾雑物ではあるけれど、案外そっちがエロマンガの「らしさ」を生み出しているとも思われるのです。 
 思うに、その夾雑物のお蔭で、ずばりオナニーの話をすることが恥ずかしかったりしても、間接的な形で話ができるので、かえって話題に性的なことを載せる上ではやりやすいのではないかと思います。有村氏はそれは誤魔化しだ、と仰るかもしれませんが、すべてのコミュニケーションが原理的に突き詰めねばならないものでもないと思うのです(ちょっと大げさな言い方ですが・・・)。
 とまあ多少の文句はつけてみましたが、小生は永山薫氏の『エロマンガ・スタディーズ』の、多分熱心な部類に入る読者だけに(?)、すべてが「エロのために存在」というほど一元的に割り切るのに抵抗感があったもので。それだけ有村氏の姿勢が峻厳なものなのだと思います。

 それはそれとして、以前、「ロリコン」の話題を、雑誌『Alice Club』を題材にして書いたりした小生としては、いわゆる狭義の「ロリコン」と、いわゆる二次元で「ロリ」云々というのとは、結構断絶があるんではないかと漠然と思っていました。それだけに有村氏の「性癖」については、一度お会いしてお話を伺ってみたいとも感じた次第。

 最後に、有村氏の記事にコメントするだけというのも偉そうなので、個人的経験をば。
 ずいぶん以前のことですが、小生に「エロマンガなるモノを見たいぞよ」と仰った女性がおられましたので、小生蔵書中から比較的とっつきやすそうなのを数点選んでお目にかけたことがあります。その時のラインナップは、確か加賀美ふみを・町田ひらくあたりを中心に、田沼雄一郎『SEASON』とか、長月みそか『あ でい いん ざ らいふ』とかLO系若干、無難そうなホットミルク系、参考までにカマヤン先生あたりも出しておきました。流石に、もりしげだの氏賀Y太だの栗田勇午だのは出しませんでした(苦笑)。基本的には絵が可愛いことを基準に選んだ覚えがあります。
 で、一番好評を博し、彼女が借りて持って帰っていったのは、ぢたま某『気分2』『気分22』でありました。主人公の奈美ちゃんの一途さが魅力的、とのことで。なるほど、女性視点からのそういう読みもあるんですね。
 なお、『気分2』シリーズを女性に見せても、ぢたま某先生最高傑作といえど『聖なる行水』は、目に付かないところに仕舞い込んでおいたことは言うまでもありません。
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by bokukoui | 2008-08-13 23:56 | 漫画 | Trackback | Comments(8)

今更ながら『月刊COMICリュウ』9月号雑感

 ゴタゴタ忙しくしたり、暑さでのびたりしているうちに、気がつけば八月も十日を過ぎていました。
 で、ふと思い出したのですが、先月「『月刊COMICリュウ』10ヶ月分まとめて感想」なんて記事を書いたあと、19日にナヲコ先生の単行本共々『月刊COMICリュウ』の9月号を買って読んだのに感想を書いていませんでしたね。折角カテゴリ作ったのにこれはいけません。そこで・・・と思ったのですが、その後少々考えた結果、カテゴリよりタグの方が記事一覧が出てくる分使い勝手がよいのではないかと考え、タグに切り替えることにしました。ついでに、という言い方もなんですが、「ナヲコ」先生のタグも作りました。ナヲコ先生の単行本も勿論読んだ以上は感想を書くべきなのですが、それはかえって非常に難しいことなので、いつか精神的余裕が出来たとき、ということで。

 ところで先日友人に、「お前のブログは長すぎるから読む人が少ないんだ」と言われたので、その友人に学んで極力短く書くように、今回はやってみましょう。かえって難しいんですけど。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 なずなの秘密がいよいよ明らかに・・・なるのは次号のようです。ブリキの太鼓ならぬ三味線、なんて想像が(三味線を自作した場合、皮は何が使いやすいでしょう? 近所の猫をアレするわけにはいかなさそうで)。
 回想シーンでわずかに登場するなずなのお母さんの表情と台詞(の沈黙)が、印象に残りました。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 初回巻頭カラー。初回ということで何か違う方向にはっちゃけていますが、次回はちゃんと野球するそうです(笑)。セーラー服は最初体操着的に導入されたようなので、セーラーと袴が混在しているのはなかなか宜しいことと思います。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 いつもにもまして濃いめ。徳間の雑誌で「崖の上の放尿(ホニョ) もらさなくてよかった」という小ネタも冴えてますが、やはりアレなおっさんキャラがこの作品の愉しみ。今回のメインゲストキャラである「国恥記念日」と大書したパンツをはいたおっさんも強烈。今回限りにするのは勿体ない。

・宮部みゆき/中平正彦「ドリームバスター」
 『リュウ』を1年近く読み続けて、やっと本作の作品世界を少しは掴めるようになったかも。新展開で久しぶりのリエコ登場も、成長しているようで成長していない、人に期待されるということに舞い上がってしまう、そんなところに胸が痛みます。

・西川魯介「ヴンダーカンマー」
 ますますシリアス路線に転換し、今回はコメディ要素なし。それはそれとして、カッセ少尉のかぶっている鉄兜はちょっと欲しい。あの石炭バケツ形ヘルメットに「安全第一」と書いてあるのですが、緑十字のところが鉄十字(パテ十字)になっているのです。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 男の子たちの可愛いらしさもまたよし。小生ショタのたしなみはありませんけど。

・あさりよしとお/鶴田謙二/たまきひさお/加藤直之「追悼野田昌宏」
 SFにはとんと疎い小生ではありますが、野田氏のお名前は聞いたことがありました。SF売り場の「近辺」は結構うろうろしてましたから。パイオニアの方が74歳ということは、斯界も成熟したのだとも捉えられましょう。
 ところで鶴田先生、『エマノン』の続きは如何相成ったのでしょうか?

・アサミ・マート「木造迷宮」
 対抗心を燃やすヤイさんの表情が素晴らしいです。幼時のヤイさんの絵も二コマとけちらずに描かれるのを希望。
 結局このような表情を引き立てるには、道具立てはありきたりであることがむしろ望ましいのかも知れません。しかしけん玉の資料を捜す前に、家屋に関する資料を・・・(まだ根に持ってる) 

・魔夜峰央「クレプスキュール」
 毎度思うのですが、笑うシーンとシリアスなシーンとの配分や構成が絶妙なんだなーと感心。ところで次回も掲載なのは嬉しいのですが、もしかして終わり? と心配の方が先に立ってしまいます。

・永井朋裕「うちんちゅ!」
 宇宙人との異世界遭遇を織り込んだホームコメディ、と思っていましたが、実は男オタクの妄想をもっとも煮詰めたという点では本誌随一の危険なマンガかも知れません。

・坂木原レム「フルイドラット」
 ミズキさんの飾らない「色気」と、アイドルの人工的な「かわいさ」との対比に感心。

・五十嵐浩一「REVIVE!」
 秋葉原通り魔事件を早速作品中に取り込んでいます。7月19日発売の雑誌のマンガで間に合うものなんですね。
 このマンガ、一話一話は結構面白いんですけど、連載としては話がどっちに向かっているのか時々分からなくなります。一話完結って訳じゃなさそうだし。

・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
 別に何か特定の作品を指して言っているわけではないつもりですが、作者が一人疾走してしまっていて、読者は呆然と口を開けたままその走っていく様子を眺めているだけ、なんて漫画が折々ありませんか。長期連載を途中から読んだりしたときはやむを得ない面もありますが、初回から読んでも時としてあるのではないかと思います。
 なんて話をしたのは本作がそうだと言いたいのではなく、全く逆で、一読即引っ張り込まれる、そのスピード感がたまらないと感じた次第。
 ところで作者の方の名前に見覚えがあったのですが、やっとさっき園田健一『GUN SMITH CATS』のアシスタントだったと思い出しました。久しぶりにガンスミを引っ張り出して、あとがきコーナーの田巻氏の絵を見ると、ソノケンがこう注釈していました。
 「彼は“雑誌ブレイカー”らしい」
 ・・・『リュウ』は大丈夫だよね?

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回のお題は「コングリーヴロケット」。ナポレオン戦争の頃イギリス軍が使っていたロケット兵器ですね。小生はどっちかというと「コングレーヴロケット」だと思ってました。
 で、このロケットはまあそれなりに有名と思うのですが、今回のこのコラムの目玉はむしろ、コングリーヴロケットのモデルになったインドのマイソール王国のロケット。これは見たことがなかった。安定棒が竹だったんですね。竹の棒に黒色火薬を詰めた木筒をくっつけた、ロケット花火の親玉というわけ。
 同じ時代の日本では、黒色火薬の扱い自体は慣れていたし、竹の工作もお手の物だったのに、こういうものは開発しませんでした。やはり平和が何より。
 ところでこのロケット、運動エネルギーで対象を破壊するというより放火用だったんでしょうか。ウェリントンはロケット兵器を好まず、都市を焼き払うくらいにしか使えないが幸い使う機会がない、とか言ってたと何かで読んだ覚えが。といって推進薬と炸薬を別にするほど凝っていたのか、機会があれば調べてみよう。

※追記:炸薬の話ではないですが、ロケットの余談はこちら参照。

・読者返信用はがき
 今月はちゃんと「螺子の囁き」になってました(笑)

 さて、まだまだ触れたいことはあれど、やはり短く書くことは難しいなあということに気付いたもので、今月分はこの辺で。畏友の境地に達するのは、小生には難しそうです。
 なお、来月号と同時に『とりから往復書簡』の単行本が出るそうで、これは買うかも。
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by bokukoui | 2008-08-11 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(4)