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「新春メイドさん放談2006」にいただいたコメントについて

 一昨日昨日の話題を引っ張りますが、折角コメントをいただいたので、ブログの双方向性(というのが有るかどうかよく知りませんが)を生かすべく当方も一筆させていただきます。
 なお、本稿は「新春メイドさん放談2006」に関するものではありますが、鼎談の他の話者、酒井シズエ翁北庭さんとは全く関係なく、墨東公安委員会が独断で執筆しており、本稿が酒井・北庭両氏のご意見をなんらかの形で代弁しているものではありません。

 いただいたコメントですが、まず昨日の記事でトラックバックだけさせていただいたLuv-Paradeさん2月27日付記事では、
あンたらがクダ巻いてどうすンのよ――ッ!!
あンたらのような証人が、もっと率先して発奮していかないと、どンどンダメな方向に流れて行っちゃうでしょ――ッ!! わぁぁぁ――ッ!!
 というコメントをいただき、一方MaIDERiA掲示板2月28日付書き込みでは小手鞠萌さんから、
何かもう、ものすごい勢いでグダまいてますねw
 というコメントを戴きました。
 つまり「くだを巻いている」放談である、という感想を複数の方から寄せられたわけなのですが、うーんそんなふうに見られてしまったのか、というのが率直な感想です。
 まあ入っていた酒の影響もあって多少は管巻いているのは事実ですが(苦笑)、言っていること自体は以前と継続しているつもりですし、その上で現状にどう対応するか、全くの懐古趣味には陥らないような視点も一応は盛り込んだつもりでした。つまり小生なりに(そしておそらく他のお二方も)「発奮」はしているのです。ただそれを分かりやすい形で語ってはおらず、断片的であったため分かりにくかった点は反省すべきですね。小生の考えている範囲の詳細は、今後自分のサイトでおいおい論じていく予定です。あくまで予定。

 先日少し書きましたが、『電波男』を読もうとしてどうにもひっかかって読みきれず、近代家族やらコンクリートやら大塚英志やらの本を折々読んで気力を回復させては、続きを読もうと努力しつつもまだ道半ば、です。結局のところ、「考えるな、萌えるんだ」とか言われても、趣味的活動が考えることと常に一体であった人間からすればそのような「萌え」は思考停止以外の何者でもなく、思考停止してしまってはもはや趣味の楽しみが深まることは無いように思われてなりません。
 しかし「メイドさん」ブームが「萌え」と分かちがたく結びついた以上、「考える」ということに拘泥していると、それ自体がくだを巻いているように見られてしまうのかもしれませんね。でも考え続けますけど。それ以外の方法を知らないので。

 というわけで、管巻き以上のことはこれからも考えていく所存です。近代家族や世紀末文化論とかに関連づけて思うところを述べていく予定ですので、気長にお待ちください、と結局はいつもと同じオチなのでした。
 コメントありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。
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by bokukoui | 2006-02-28 23:58 | 制服・メイド

トラックバックなるものをしてみる

 このブログが漸くメイド・制服系サイトMaIDERiA出版局の活動報告として機能したように思われることを祝して、トラックバックの実験。

  Luv-Paradeさんの2月27日付記事

 これでいいのかな?
 トラックバックありがとうございました。

 ・・・で、学会発表のレジュメ作成に煮詰まっているので、詳しい話はまた後程。
 ああ、今日も他人の褌で相撲を取るようなブログでした。

 追記:「後程」の話を書きました。一つ上の記事です。
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by bokukoui | 2006-02-27 23:58 | 制服・メイド

酒井翁遂に立つ・完結編

 1月10日および翌11日に書いた、酒井シズエ翁(米寿)・北庭さんとの鼎談ですが、録音からの起こし・編集という大変な作業を営々と酒井翁がこなされた結果、遂に公開の運びとなりました。
 酒井さんのサイト「旦那様と呼んでくれ」へのリンクを張っておきます。件の鼎談「新春メイドさん放談2006」はトップページからすぐに分かるところにありますので、記事への直接リンクは致しません。
 それにしても、読み返してみると・・・えらく一人で喋くってましたな。なんだかイタイ人みたいだ(え、今更気付いたのかって?)。

 ここ数日、矢鱈長文ばかり書いておりましたが、今日はこれにて。こんなブログの内容では、なんだか他人のふんどしで相撲を取っているような気もしますが。
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by bokukoui | 2006-02-26 23:15 | 制服・メイド

第三海堡のコンクリート

 2月6日に買い、その時は「いつになったらこの本まで順番が巡ってくることやら」などと書いた『コンクリートの文明誌』を読了しました。「積ん読」本を床に平積みにしており、買った本を上に積んでいくため、後から買った本を先に読んでしまった次第。ああ、一番下の『機密日露戦史』に日の光が当たるのはいつのことやら・・・
 それはともかく、憑かれた大学隠棲氏お勧めのこの本はなかなか面白い本でした。コンクリートの歴史を通じて、コンクリートの研究者である著者のシヴィル・エンジニアへの思いが伝わってきます。扱われている題材が、新幹線の高架橋にコンクリート船、ナチのアウトバーンやフランスのマジノ線と、鉄道・軍事趣味者にとってはそれだけでも充分楽しめます。まあ、トピックがばらばらでやや纏まりがない、「文明誌」というにはちょっと厚みが少ないという嫌いもありますが(この本はどうも普通より厚い紙を使っているようで、見た目の厚さよりは「薄い」本のように思われます)。
 カバーは昭和30年ごろに作られた砂利コンクリートの切断面だそうで、なかなか美しいデザインです。というわけで記念写真を撮ってみました。
f0030574_20453795.jpg
 画像はクリックすると拡大します。
 本の左手にある円筒形のコンクリートは、東京湾に作られた要塞・第三海堡のコンクリートです。背景はCGで再現された第三海堡のイラストを載せた、斯界の権威・原剛先生監修の『日本の要塞』です。
 第三海堡についてはこちらの国土交通省のサイトなどを参照していただければ分かりやすいかと思いますが、明治時代に起工され、約30年かけて大正10(1921)年に完成した、東京湾の開口部に作られた要塞です。なぜ30年もかかったかといえば、海を埋め立てて人工島を作ったためで、そこにコンクリートで砲座や弾薬庫を設けたのです。
 ところが完成直後、関東大震災で人工島が沈下、用をなさなくなってしまいます。かくて第三海堡は要塞としては廃止され、戦後もそのまま放っておかれましたが、東京湾の船舶交通量が増え、また船舶が大型化してきたため、航路上の障害物として問題視されるようになってきました。そこで近年撤去作業が進められており、その際に陸揚げされたコンクリート設備の一部を見学することができます。小生もゼミ合宿の折、指導教官(戦史研創設者)に引率されて見学に行きました。
 実に立派にできていたコンクリートの建造物で、恐るべきことに継ぎ目が殆どなく、昼夜兼行でコンクリートを打ち込み続けたようです。敵艦の砲弾を喰らった際の損害を小さくするためか丸みを帯びた形状をしているものがあるのですが、木を曲げて枠を作ってコンクリートを流し込み、曲面を持った構造物を作っていたことが木枠の跡から分かります。実に丁寧に作られていたわけであり、実際人工島建設時に使われたケーソンはまだまだ使えるということで、どこぞに再利用したとか。

 さて、現在進められている撤去作業は、海に沈んだこれらコンクリートの建造物をクレーン船で吊り上げて回収し、人工島を浚渫するというものです。クレーンで吊るためには、コンクリートの塊に引っ掛けるための金具を取り付ける必要がありますが、その時コンクリートに穴を開け、ボルト(だったかな?)を差し込んで金具を取り付けます。写真の円筒形のコンクリートは、その際に穴を開けてできた削りカスなのです。
 見学時、この削りカスがいくつも転がっているのを引率教官が見つけ貰いうけていたので、小生も一つ記念に頂いてきました。いい土産になったと喜んで帰宅したところ、小生の親は産業廃棄物を拾ってくる馬鹿者と言わんばかりの様子でしたが、某日濃い軍艦趣味者の会合に参加した折この話をしたら、他の人に詰め寄られました――「何で俺の分も拾ってきてくれなかったんだよ?」
 この第三海堡のコンクリート、おそらく大正時代に作られたのでしょうが、断面にとりどりの色や大きさの小石が映え、なかなか綺麗なものです。地質や鉱物の専門家ならば、このコンクリートの骨材の砂利がどこで採取されたものか分かるのかもしれません。専門的なことは小生には分かりませんが、見たところ丸いものばかりなので川砂利らしく、おそらく多摩川あたりで採取されたものかな? と思っています。

 話を『コンクリートの文化誌』に戻すと、この本はシヴィル・エンジニア=土木技術者が日本では「土建屋」と批判的なニュアンスを含んだ言葉で呼称されていることを嘆き、それは土木業界自体の体質、政官財の癒着に問題があると論じています。このことを考える上では、新藤宗幸『技術官僚 その権力と病理』が非常に良い参考になると思います。官僚論は色々ありますが、技術官僚の問題について触れたものは他にあまりありません。ただ、この本の技術官僚の歴史についての記述では昔の鉄道に従事した技術官僚は余り触れられていないので、そこは発掘の余地があるかと密かに考えています(けど、全然手をつけていない)。他に大淀昇一『技術官僚の政治参画―日本の科学技術行政の幕開き』という本もありますが、この本は宮本武之輔という特定の技術官僚に傾斜している部分が多く、また技術官僚への批判的視点が弱く、技術者の参画が問題を解決するという考えのようで、「科学技術」という言葉の成り立ちなど興味深い点も勿論ありますが、総合的な視野という点で『技術官僚 その権力と病理』の方がお勧めかと思います・・・って品切れなんですね。とほほ。

 長々書いてきましたが、良い本というのは一冊読むとさらに他の本が読みたくなるような本なのでしょう、多分。
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by bokukoui | 2006-02-25 23:43 | 歴史雑談

ここ何日かの買物

 昨日一昨日の拙文に複数の方から様々なコメントをいただき誠にありがとうございます。
 アメリカのインタアーバンとの比較論は、洋書を読んで(一冊定本らしいのを買った)また色々検討してみたいと思います。おそらく、路面電車の公営化というファクターが、経営面のみならず技術面にも影響を与えたのではないかと考えているのですが・・・まあ、この辺は思い付きです。

 先日、畏友仙地面太郎氏ご推薦の漫画・山名沢湖『レモネードBOOKS』を購入しました。本好きな(作中では「オタク」呼ばわりされています)男の子と普通の女の子の、絵柄も相俟ってほんわかな気分にさせてくれる恋愛模様を描いた作品。本を巡る様々な事柄をテーマに、のんびりとお話は進んでいきます。

 絵柄は、小生としてはなかなか好みのタイプです。お話も時にはこういうのを読むのも結構なものです。本好きならば作中のエピソードに思い当たることも多いでしょう。だから本が好きな人には結構お勧めではないでしょうか、ちょうど仙地氏が小生に薦めてくださったように・・・

 といった感じの『レモネードBOOKS』の書評は、ネット上でも既に見つけることができました。いや、基本的にはその感想に異存はないのですが、ただ一つだけひっかかってしまうことがありまして。
 「本が好き」「読書が趣味」という時の「本」って、なんだか小説を指すことが圧倒的に多いんじゃないだろうか、ということです。しかし小生はあんまり、いや全くといっていいほど小説を読みません(漫画は読みますが)。現在の蔵書に占める小説の比率は3%くらいです。本は好き、読書は趣味、のつもりなんですけど・・・。そこに微妙な疎外感を感じてしまったりもするのでした。
 本を良く買うといっても、小説以外の本、例えば歴史に関する本を集めていると、「本好き」ではなく「歴史好き」に分類されてしまうように思います。まあそれはそれで正しいのですが、小説以外の本を好きだといっても本好きに入れてもらえない、というのは、そこまで小説が特権的存在でなくったっていいだろう、という気も少しはするのです。

 そんな小生、今日も今日とて町田に研修で呼び出され、そのついでに近くに高原書店という古書店を発見、訪問しました。今月一杯20%引きという宣伝に惹かれたのです。
 行ってみると、小さなビルとはいえ1階から4階まで全館本に埋もれているという、なかなかいい感じ。みすず書房や法政大学出版局だけ集めた棚があるという辺り、本好きのスノビッシュな心をくすぐります。職場が変わってジュンク堂に行けなくなってしまった代わりに、今度はここに通うことになりそうです。価格はあんまり安くないような気がするけど・・・
 で、二割引きにつられて、財布の中身あるだけはたいて購入。

・松村金助『鉄道功罪物語』大阪屋号書店
 1929年発行、時事新報の鉄道記者が書いた鉄道に関する解説・評論本。この頃から強く唱えられる交通統制の世論形成にも影響した(と思う)。これが箱付きで手に入ったんですから結構嬉しい買物。あとは清水啓次郎の『私鉄物語』が欲しいなあ・・・あれはアテネ書房から復刻が出てるけど。
・A.J.P.テイラー『目で見る戦史 第一次世界大戦』新評論
 訳がアレだという噂もあったような気もしますが、定番ということで。安かったし。リデル・ハートよりこっちが先かな。
・武知京三『近代日本と地域交通(日本資本主義叢書)』臨川書店
 鉄道史の著名な研究者による本。武知氏は特に西日本の私鉄研究の著作が多い方で、本書も実は大阪電気軌道・参宮急行電鉄と、伊勢電気鉄道という、現在の近鉄に繋がる鉄道の研究書(日本全国扱ったわけではありません)。氏の本は何冊か持っており、図書館で借りて読んだものもありましたが、これは読んだことがなかったので。

 残念ながら財布の都合上、『ハルツームのゴードン』は断念しました(笑)。まあこの本はちょくちょく見かけるしね。
 ・・・って、結局読むより買うペースの方が速いではないか。ああ、「積ん読」山がまた高くなる・・・
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by bokukoui | 2006-02-24 23:59 | 書物

近代家族幻想と電鉄会社との日本的関係性

 下の記事の続きです。

 『もうあなたは幻想の女しか抱けない』は女子高生の援助交際に多くの紙数を割いていますが、援助交際を生む温床は家庭で父親が娘に「清く正しく美しい」聖なる少女像を押し付けるという抑圧にあり、しかも皮肉なことにその男どもが、聖少女幻想に浸りたいために女子高生を買うのであると説明しています。この少女像は近代家族幻想の一翼を担うものといえますが、それにしがみつく男の幻想が援助交際を生む一因となっているわけですね。
 同書にこんな一節があります。(p.85)
 コギャルが演じる「女子高生の原型は、明治時代に生まれた。社会学者の宮台真司は共著『サブカルチャー解体神話』(パルコ出版)の中で、「近代日本に初めて成立したこの少女の、非性的で『清く正しく美しく』という<理想>が、明治末から大日本帝国へと続く<秩序>に一体化していた」と記述している。
 さらに戦後、日本の近代化、経済大国化のために掲げられた、「健全で文化的な家庭」という国家目標にとって、この「清純無垢な少女」の幻想は非常に好都合だった。
以上の箇所です。元の『サブカルチャー解体神話』を読んでいないので、この宮台氏の指摘がどういう文脈なのか小生は存じませんが、速水氏(あ、そういえば速水由紀子氏は確か宮台氏の事実上の結婚相手であったような)の本を読んでいる時にこの一節を読んで思いついたことを以下に述べておきます。

 時代の変わり目にあるべきライフスタイル像を求めて人々が彷徨う、というのは間々あることです。
 フランスの場合、19世紀に台頭してきたブルジョワジーが、経済力はつけたものの、そして数度の革命で政治力も拡大したけれど、ライフスタイルの点では貴族とどう対抗していいか分からない。そこへ現われたのが世界初のデパートであるボン・マルシェであり、ここへ行ってお勧めの品を買い揃えればたちまち立派な文化っぽい生活が手に入ってしまう、そのような巧みな売込みを行ったのでありました。詳しくは鹿島茂『デパートを発明した夫婦』、高山宏『世紀末異貌』あたりをご参照ください。前者は良く売れたので多分今でも簡単に手に入るでしょう。後者は小生も探しているものの手に入らず、遂に禁断の最終奥義を使ってしまった記憶が・・・
 まあとにかく、ボン・マルシェの経営者ブーシコーは一時代を画したライフスタイル、貴族のそれを巧みに取り入れたブルジョワジーのライフスタイルを作り上げた立役者の一人だったわけです。そして、このブルジョワジーのライフスタイルこそ、今日の我々のライフスタイルの源流に他なりません。近代家族という像も、この中に含まれます。

 さて、では日本でブーシコーに当たる人物はいるでしょうか。日比翁助?(注:三越を呉服屋からデパートに作り変えた経営者) うーん、しかし三越がライフスタイルの提供というところまで踏み込んでいたかとなるとちょっとどうかなあ。中産階級向きとは言いにくいですよね。
 小生が日本版ブーシコーに擬したいのは、阪急の経営者である小林一三です。
 彼がデパート経営者であることは勿論ですが、よく知られているように彼は電鉄創業に当たって沿線の土地を買収し、近郊住宅地として売り出しました。そして、その住宅地に住む層(中産市民層)に相応しい娯楽を供し、ひいては運賃収入にも寄与すべく、宝塚に少女歌劇団を創設します。
 そう、「清く正しく美しく」、これは宝塚の理念ですね(あ、「非性的」ってのとも符牒が合ってそう)。実はこの文句ができたのは1933年ごろだったそうで、この頃宝塚は東京進出を図っていました。そしてその時、小林一三は「今までの俳優は花柳界の連中と付き合っていて低俗だ」と放言して物議を醸します。うーん、まさに「不道徳」なものを排除する中産階級的近郊住宅的理念ですな。(阪田寛夫『わが小林一三 清く正しく美しく』による。使ったのは文庫でなく単行本)

 話がちょいと先走りました。
 振り返ってみると、明治維新から20世紀初頭までの日本はある意味単純で、外国=欧米列強に植民地支配されないための富国強兵路線に突き進んでいました。そして産業革命を一応達成し、日露戦争でロシアをへこませるに至ったわけですが、さてそうしてみると次に何をしたらいいのか分からない。「不可解」と叫んで華厳の滝からダイブする青年もおりました(これは1903年ですが)。この日露戦後の閉塞感は大江志乃夫『凩の時』とか読むといいんじゃないでしょうか。
 阪急(の前身の箕面有馬電気軌道)の創業はちょうどその頃でした(1910年開業)。そして阪急は沿線開発を通じ、近代化の中で生まれてきた中産階級にライフスタイルをパッケージングして売ることに成功します。都市の煤煙を離れた環境の良い近郊住宅地に住み、旦那は電車で会社に通い、休日には宝塚のような「健全な」娯楽に家族で出かける。まさにもって中産階級的近代家族のありようを形にしたわけです。家と環境まで売るあたり、ブーシコーより気合が入ってますな。後には周知の通りターミナルデパートを開業し、消費生活も囲い込むことに成功します(住宅開発の当初にも消費組合を作ろうとしていますが、これは失敗していました)。
 交通公社の『旅』という雑誌(今は新潮社に売っちゃいましたが)の、昔の面白い記事を集めた本があります。この中に、関西私鉄の副業について述べた1936年の記事があり、勿論真っ先に阪急が取り上げられているのですが、その文句がいかしてます。

「人生は阪急から阪急へ」

 また話が脱線気味ですね。いつものことですが。
 結局どういうことかというと、日本の現在の社会問題は近代家族が曲がり角に来ていることに起因しているものがいくつもある、その近代家族が如何にして広まったか、近代家族幻想は人々に如何にして刷り込まれたかを探っていくと、日本では電鉄会社の果たした役割が非常に大きいのではないか、ということです。しかもその流れは戦前から高度経済成長以降まで連続しているのです(「アメリカ占領軍の陰謀」ではありません)。電鉄会社は、近代家族の理念――「清く正しく美しく」――を目に見える形で示し、しかも一定の財力があれば手に収めることができるようにしていた訳です。
 阪急が梅田の百貨店を兼ねたターミナルビルを建て直すそうです。もったいない、歴史的価値から保存すべきだという声があり、小生もできれば保存して欲しかったと思いますが、反面これは近代家族像を売りつける電鉄商法が終焉を迎えたということを象徴しているのかもしれませんな。

 ところでここまで書いてきて、「近代家族」についての説明を一言もしていないことに気が付きました(苦笑)。皆さん大体はご存知かと思いますが、今から説明するのも面倒なので、できれば落合氏の本とか読んでください。
 近代家族の説明を端折っても随分と長くなってしまいました。まあ、明日は帰宅が遅く日付変更前に更新するのは無理そうだし、今日の更新は本記事ということで。
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by bokukoui | 2006-02-23 02:29 | 鉄道(歴史方面)

男と女を巡る何冊かの本を読む

 2月8日に買ったと書いた『電波男』を読んでいます。同じ日に読んでしまっていた『嫌オタク流』があっさり短時間で読みきってしまえたので、これもすぐだろうと高を括っていたら見当違いでした。どうにもひっかかってしょうがない。いや、端々に「これはネタですよ」と言いたいのであろう記号がちりばめられているので、まあそうなんだろうと思って読み流したいのですが。

 で、時々中休みして、フェミニズム方面の積み本を片付けています。先日は落合恵美子『近代家族とフェミニズム』を読み、大変面白く勉強になりました。
 今日は速水由紀子『もうあなたは幻想の女しか抱けない』(アマゾンの書評はちょっと・・・なので、別な書評を紹介)を読了。なるほど、細かいところに関して突っ込みたいところはいろいろあります。事例は興味深いけれども、そこから結論に飛躍が見られるような、分析がちょっと乱暴でない? という箇所もあります。例えば「ロリコン」を巡る言説とかは。でも全編を通読した時、そこに通底する作者の主張には引き込まれてしまいます。あてがいぶちの幻想に寄りかかって生きるのではなく、己の実存を見つめ直せと。そりゃ、言うは易く行なうは具体的には難しいこと、「本当の自分」とか安易に言うべきではない、綺麗事に過ぎない、と言ってしまえばそれまでですが、でもそう言って片付けてしまえないだけの読後感がありました。

 『もうあなたは幻想の女しか抱けない』で言う「幻想」というのは、端的に言ってしまえば中産階級的近代家族をあるべき理想像として受け入れ、それ以外の自分の生き方を見出せなかった、その枠をはみ出るようなものを芟除してきた、そのような生活を支えた心性を指しているといえます。そして、近代家族というものが曲がり角に来ている時代に、それを認められずしがみつくのが悲喜劇を巻き起こしているが、その幻から自由になればよいのである、そのように纏められましょう。
 最近の世相を見ていると、「道徳教育で家族の崩壊を防ぐ」と主張し、幻想をより強化する方向で対応していこうとする人々がいるようですが、それは結局問題を先送りし余計傷を深くするにしかならないのではないかと思うのです。そして、道徳云々以外の幻想を強化する別ルートが「萌え」のようにも考えられます。そうすれば、近年のオタクと保守思想の親和性を整合的に説明できますね。

 もうちょっと続けます。
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by bokukoui | 2006-02-22 23:50 | 歴史雑談

普通のブログらしいことを書いてみる

村上ファンドの阪神株、野村系が買い取りに名乗り

 結局売り抜けちまうのか。
 しかし私鉄同士で株の持合というなら、戦後の私鉄再編から半世紀余り、国鉄民営化以来20年を経て、いよいよ関西私鉄再編という事態もありうるのかも、とか妄想してしまいます。岩下清周の構想は百年早かったのだ、とか。
 ところで「京阪電気鉄道や南海電気鉄道、近畿日本鉄道など関西の大手私鉄などを中心に出資を呼び掛ける案が浮上」とは、阪急はお声がかからんのでしょうか。1930年代の交通統制の時も、真っ先に合併候補に挙げられながら、結局最後まで合同しなかったもんなあ。社史を読んでもその辺の経緯は良く分かりません。「競争意識が激しかったから」としか書いてないですね。それで国策に逆らえた、というのが興味深いところなんですが。
 ともあれ、今回の出資に阪急がお呼びでないみたいなのは、阪急自身もファンドに買われちゃってるからという方が、妥当な解釈かもしれませんな。

 上記のどうでもいいような記事を書いてから、しかし岩下清周って小林一三なんかと比べると一般の知名度低いから、適当な情報を載せたサイトを探してリンクをはって置こうと思いぐぐってみました。そうしたらトップにひっかかったサイトがこちら(本題に関係あるページを紹介。)

http://j-net21.smrj.go.jp/venture/column/20031226.html

 ・・・なんか結構事実関係間違っとりゃせんか。岩下は社長辞めてすぐに死んでないぞ、昭和まで生きてるぞ(1928年3月没)。多分専務の七里清介とごっちゃにしたんだろうな。なんか同じサイト内の藤岡市助のコーナーにも微妙な記述が・・・上野の博覧会で走らせた電車は、アメリカはBrill社の電車ではなかったですかい?
 それはともかく、岩下という人は関西私鉄の発展に多大な貢献をし、また大合同の構想も持っていたということです。それも、現在の山陽電鉄や広島電鉄までくっつけて下関まで行くくらいの構想を。

 全然関係ありませんが、妙に忙しくなってきて不思議不思議。同じ塾のチェーンなのに、何でこんなにやり方が違うんでしょうね。
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by bokukoui | 2006-02-21 23:25 | 鉄道(時事関係)

昨日の顛末

 昨日はコスカ16号店に出展してきました。
 最初の一時間はなかなか人出が多く売上も良かったのですが、一時間程経つと人の動きも穏やかになってきました(知り合いのスタッフも同様の観察を述べておりました)。どうも同時にコミティアとワンフェスが有明であったことと関係があるようですね。
 その三イベントを制覇された檸檬児さんにご来訪いただけ、久々にお会いすることができました。
 その他、ランスロット・カフェのなみさん、ゲーム作成中のサークル「むしぱん」の皆さん、いつもの小出鞠さん、そして東大メイド研の笹川会長といった方々とお会いしてお話でき、ついでにイベント終了後浜松町のカフェで歓談。丁々発止と現在の文化状況やオタク論を巡って意見交換を致しました。誠に実りあるひと時でしたが、小生は時間の都合で中座。

 中座してその後向かった先は、大学の先輩の結婚祝賀パーティー(結婚式の二次会ではない)でした。これも楽しい会合で、うっかり呑みすぎて帰れなくなりそうでした。

 と、充実した一日でした。
 コスカで当サークルをご訪問いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
 次こそは新刊を・・・といい続けてはや幾星霜。

 コスカでは大概店番していたので余り買物はしませんでした。一つ悔しかったのが、水星少女歌劇団さんの新刊を買いそびれたことでした。すぐ向かいだったのに・・・天使屋プラスディスクが充実していて楽しかったので、今回はよしとしましょう。
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by bokukoui | 2006-02-20 23:50 | 制服・メイド

MaIDERiA出版局サイト更新・ペーパー完成

 コスカ前に余裕を持って・・・と思っていたサイトの更新ですが、結局所用に追われて(いつものことですが・・・)新コンテンツを先送りにして移転作業を何とか完成させました。幸いにも、移転完了祝いというわけでもないでしょうが、たんび氏から新規のご寄稿をいただけました。
 左の「MaIDERiA出版局」のリンクから、是非是非見に行ってください。内容そのものは見られると恥ずかしいような痛い内容ですが(苦笑)

 そしてペーパーも毎度の徹夜作業で完成。いつも、最初は余白を埋めるのに苦労するのに、筆が滑り出すと(大体午前五時以降)今度は紙幅が足りず、余白を削ったり行間を埋めたり違った苦労をする羽目になるのは不思議です。
 とにもかくにも完成しました。印刷して仮眠を取ることとしましょう。最近徹夜が厳しくなってきて、ああ歳を取ったんだなあと実感させられます。

 本日はイベントの後、大学でお世話になった先輩の結婚前祝パーティーがあるので、帰宅が遅くなることが予想されます。なので、早手回しに今日の更新を本記事で済ませておく次第です。
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by bokukoui | 2006-02-19 06:26 | 制服・メイド