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史実の『大正野球娘。』 大正14年に実在した少女野球チーム

 なんか忙しさに目が回りそうで、それでいて眠気も取れず、いろいろ鬱積しております。
 ので反動で、以下にどうでも良さそうな歴史ネタを見つけたので一つご紹介。

 小生が唯一定期購読している雑誌は『月刊COMICリュウ』ですが、同誌でコミカライズ作品が連載中の『大正野球娘。』が、今夏アニメ化されてそれなりに話題になっておりました。当ブログでも何度か取り上げましたが、大正14(1925)年に女学生が野球をしようと奮闘する物語ですが、設定以外は漫画とアニメはほとんど違っておりました(笑)。原作は小生は未読ですが、どっちに近いんでしょうね。

●小説版

神楽坂淳(挿絵:小池定路)『大正野球娘。』
 小説版は現在3巻まで出ていますが、3巻は何故か『帝都たこ焼き娘。』という表題になっております。
●コミック版

伊藤伸平(原作:神楽坂淳)『大正野球娘。 1』
 こっちは2巻まで出てます。






 ところで、大正14年といえば、前年に阪神甲子園球場もできているし、野球人気はすっかり定着した時期ではありますが、女子野球チームなんてあったのでしょうか。小生はスポーツ史や教育史にはあまり関心がないので存じませんが(電鉄会社の兼業と沿線開発には多大の関心を寄せていますが)、ウィキペディアに「女子野球」なる項目があって、「1924年には福岡県立直方高等女学校(現・福岡県立直方高等学校)野球部と熊本県立第一高等女学校(現・熊本県立第一高等学校)野球部とが日本初の女子野球試合を予定していたが、前者が県当局の命令で解散させられ実現しなかったという記事が『福岡日日新聞』に掲載されている」なんて記述があります。無いわけではなかったんですね。

 で、最近小生、仕事で『山梨県史』の資料編をひたすらめくっておりましたところ、上の小説や漫画やアニメの舞台である、まさに1925(大正14)年に、少女野球チームが存在したという記事を見つけましたので、以下にご紹介します。
 それは、『山梨県史 資料編19 近現代6 教育・文化』に収められている、『山梨日日新聞』の大正14年11月3日付の「大正十四年度山梨県下運動年鑑」という記事(資料番号315、p.915~)で、この年正月から10月末までの山梨県でのスポーツ関係情報総まとめ、のような記事です。ここから野球に関する記述を引用してみましょう。なお仮名遣いを読みやすく直しています。
 野球界
 春の大会に聯隊が優勝した後のシーズンはホット一息いれた貌であったが、法政対オール甲府軍の一戦に煽られたファンの熱は次第に高まって爾後の筍の□(注:欠損)に生まれ出た市内各町チームや村の青年団チームの対抗戦などが其処此処で行われて百花爛漫の賑いを見せた。
 (中略)
 「女子の野球は」と文部省あたりの役人が兎や角問題にしている間に本県には早くも少女チームさえ生まれて郡内の球界を賑わせ、遠く本場のアメリカからは花秘かしい女子の野球団が来朝してお転婆振りを発揮して皮肉り廻る。
 更に天高肥馬秋の県下大会は二ヶ月に亘って回を重ねる毎に人気を博したが(一)対法政戦に初めて入場料を徴したこと(二)三十歳以上の天狗クラブの出現や(三)少女チームの活躍振りなど二十年前の素手素足からサシコのズボンの野球時代と比較すれば甲州の野球も全く隔世の感があるといえよう。
 この後、山梨でこの年行われた野球の試合結果が延々と続きます。県史の資料編にして10ページくらいあります。他にもテニスだの武道だのの話もあり、この日の山梨日日新聞はスポーツ特集で埋まっていたのでしょうか。
 その試合の中には、実は少女野球チームの話はなかなか出てこず、はっきり書いてあったのは以下の一つしか見つかりませんでした。この年9月27日のことです。
郡内少年野球戦 谷村小学校に挙行、参加チーム八、評判の少女チームは尋五チームに惜敗し尋五城下竜門ハート一勝す
 郡内とは山梨県東部の都留郡あたりのことですね。谷村は現在の都留市です。
 で、少年野球の中に少女チームもいた模様。8チームで4戦して、勝ったのが尋五・城下・竜門・ハート(ハイカラな名前だ)の各チームだった、ということなのでしょう。少女チームのチーム名が不詳なのは残念。
 対戦相手がチーム呼称から尋常小学校5年生と推測されますので、彼女らも小学生でしょうか。もっとも小学生でも、男子相手に多少のハンデとして、高等小学校の生徒でチームを作れば、年齢は14歳も含むことになって、まさにアニメ版『大正野球娘。』でやっていた、桜花会vs近所の小学生の試合状態だったかも知れない、と妄想は膨らみます(笑)。
 本件の詳細に関し、地元の方などからの情報提供をお待ちしております。旧谷村町の町史でも調べれば載ってるかな? 『大正野球娘。』ファンの山梨県民の方は、一つ原資料でもあたっては如何。

 余談ですが、記事中に出てくる野球チームで「聯隊」って、これは甲府の第49聯隊のことでしょうね。で、聯隊の野球チームは対外試合もしょっちゅうやり、山梨球界の強豪チームとして名を馳せているようです。
 数えたらこの年10ヶ月間で13戦7勝(新聞社主催の県大会で優勝1回)の戦績を残しておりました。・・・演習そっちのけで練習してたのかなあ、もしかして。聯隊チームが打って勝つと、新聞に「健棒大いに振るって」などと書かれてありましたが、「健棒」という表現は今でもスポーツ新聞で使えばと思います。

 てなわけで、大正14年に、少女野球チームが試合をした史実は存在しました。是非、『大正野球娘。』の今後の展開に、山梨遠征を入れていただきたいと思います。実際、法政や慶応などが遠征に行っているようですね。
 ところで、小生は小説版『大正野球娘。』は読んだことがないのですが、書店で本書に参考文献が載っていないか好奇心で覗いてみたことがあります。すると載っていたのですが、なるほど東洋英和の校史やお馴染み『女學生手帖』などが載っていたのは納得ですが、それにしても食物史関係の本がえらく多かった印象があります。なるほど、主人公・小梅の家が洋食屋だから、そこの描写に必要だとは思いますが、しかし『魯山人味道』とかは別に関係ないような。大体魯山人は和食の人だし、この本に載ってる記事はみんな昭和のだし。
 てなことを書くのは小生も中公文庫の『魯山人味道』は持ってるからで(『陶説』は持ってない。白崎秀雄『北大路魯山人』は持ってるけど読んでない)、「まぐろの茶漬け」とか早速実践してみました。簡単でなかなか美味しく、これはお勧め。
 閑話休題、コミック版が野球を離れて「マッドエンジニア乃枝さん暴走の日々」と化している一方、原作小説の3巻は『帝都たこ焼き娘。』となっていて、これまた野球でなくなっています。もしかすると著者の神楽坂氏は、野球よりも食べ物の歴史にご関心がおありなのでしょうか(そういえば参考文献に、スポーツ史関係の文献が見あたらなかったような記憶が)。
 でしたら、是非次は、本件の史実を取り入れ『山梨ほうとう娘。』でお願いします(笑)

 ところで、『大正野球娘。』歴史ネタといえば、小生の周辺でも「金融恐慌や世界恐慌で、お嬢の家は没落するに違いない。そこでお家再興のため一旗揚げようと満州に渡って・・・」などと妄想を巡らしていた人がおりました。で、今回、この山梨のネタを先にネットで紹介している人がいないか検索した時に、以下のようなブログ記事を発見しました。

・落書きノート2冊目 ヽ(゚∀。)ノ さん「【アニメ・政治・社会】大正野球娘。」

 やはり考えることは皆同じ、ですね。
 このブログの執筆者の方は、三郎さんが日中戦争勃発時点で32歳だから召集されないかと心配されていますが、それはまさに危険で、1937年8月に東京第1師団管区から召集した中年の兵士で特設師団・第101師団を編成し、上海戦に投入しています。これが上海周辺のクリーク地帯攻略で苦戦を強いられ、相当の損害を出しました。現役部隊でも手強いところ、特設師団ですから一層の苦戦になりました。詳しくは当ブログでも昔紹介した『第百一師団長日誌 伊東政喜中将の日中戦争』をご参照下さい。
 更に、アニメ版で野球娘たちの練習試合の相手になっていた小学生たちの将来も、上掲ブログ執筆者の方は心配されてますが、確かに心配です。麻布周辺に住む彼らの多くはおそらく麻布第1聯隊に入営するでしょうが、年から行くと、2.26事件で反乱軍になってしまう可能性もありますな。それをやり過ごしても、第1聯隊は第1師団所属部隊として太平洋戦争に臨み(ちなみに甲府49聯隊も第1師団です)、そして第1師団は、フィリピンのレイテ島で玉砕します。
 アマゾンは、『大正野球娘。』関連商品に、大岡昇平『レイテ戦記』を入れるべきかも知れません。
 
 何だか暗い落ちになってきたので、最後は明るめのネタで締めましょう。
 本記事のおまけに、大正時代の女学生の体操服姿の写真を載せておきます。昔作った同人誌『大正でも暮らし』の使い回しですが。当時の女学生の体操着の一例です。
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『女学世界』1921(大正10)年3月号
「改良服を着用して運動中の福岡県立嘉穂高女の女学生」

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by bokukoui | 2009-10-28 23:59 | 歴史雑談

「革命的非モテ同盟」古澤書記長、辞任する 起業時代の終焉

 表題の件に付きまして、発表があってから一週間経ちましたが、ネット上の反応があまりに薄いのでさすがに可哀想で、というか「革非同・古澤克大(フルカツ=furukatsu)書記長観察記」なるタグまで拵えて、書記長とその活動についてはネット上で最も詳細な情報を伝えてきたと自負する当ブログとしましては、やはり看過するわけにも参りませんで、なるべく簡潔に一筆。

 まずことの経緯ですが、先週書記長は以下の記事をブログに上げられ、同時にブログ名を「革命的非モテ同盟跡地」に改称されました。

革非同の支持者とかの反応

俺(酒酔)「でさー、書記長辞めること決めたから」

支持者「あ、そう、好きにすれば?」

--

誰か止めろよ!! 誰にも止められなかったよ!!
 これは書記長が辞任を決意した日の夜の話で、小生はその席にはおりませんでした。
 ところがそれよりも少し前、小生はたまたまこの件に関し酔っぱらう前の書記長から辞意を打ち明けられておりましたので、その節の会話を記憶に頼って以下に記録しておきます。

書記長「俺さあ、辞めようと思うんだけど」

墨公委「え? 書記長もう公務員辞めるの? まあ最近の公務員の労働環境は悪化していると聞くし、書記長も最近お疲れのようですし」

書記長「違う違う! 革非同の書記長をだよ」

墨公委「あ、そっち? 書記長が書記長辞めたら、ただの木っ端役人じゃん」

 ・・・さすがの小生も、取り巻きがこんな連中ばっかりだったから辞めちゃったのかな? と、全く自省しなかったわけではありません。

 で、本件に対するネット上の反応は極めて薄く、せいぜい書記長の辞意表明記事に付いた「はてなブックマーク」のコメントくらいなものでしょうか。有村悠氏の「書記長退任しても「普通の」男の子には戻らない希ガス」というコメントには思わず笑ってしまいましたが、ありそうなことです。烏蛇氏が「「非モテ言説」の後始末はきっちりやっておきます」と述べておられますが、氏のブログも半年以上停滞しているようで、どうなるのでしょうか。
 コメントでは、書記長に彼女ができたのではないか? という疑問が複数寄せられていますが、それは違います。それどころか書記長、上に掲げたやりとりを小生とした後、「合コンしたいっすね。墨公委さん、セッティングして下さいよ」などと発言しており、一応は「非モテ」の旗の下に集まったことになっている者に対しその発言はないだろうと呆れましたが、気を取り直して小生「書記長、今の勤め先で交際相手探したらどうですか? 職場結婚は一番多いパターンでしょう」と無難に切り返したところ、そこで書記長の返答は
 ・・・いや、いくら何でもこれは流石に書くにしのびない。

 さて、本記事表題の「起業時代の終焉」とは、古澤書記長についてもっとも鋭い批評を展開されていた労働収容所組合氏のブログ記事「きっかけは公安」に由来します。以下にその一節を引用。
【書記長の肖像】
 とにかく非官僚的。特に、非組織的で、非文書主義的。
 自分に無いものを求めた結果としてプロイセンに行き着いたのだとしたら、あるいは非モテも「無いもの」なのかもしれない。

 起業家精神に溢れている。
 起業家と経営者はかなり違う人種だ。起業家というのは厚顔無恥で、学も無く、アイディアも月並み、計算の概念も知らない。経営者はその対極にあり、人格、理想、勤勉、その他あらゆる美徳を含め、起業家とは比べ物にならない。それにも関わらず起業家が経営(適格)者より遥かに貴重であるのは、彼らが中核たる事業を持っているからである。
 起業家と経営者は、家柄だけが取り柄のイギリスの士官とドイツ人が合理的に磨き上げた組織の歯車としての参謀ぐらい違う。つまり双方が必要とされる場所も、それゆえ要求される技術もまったく異なる。参謀を銃弾の嵐の中に突撃させたり、突撃馬鹿を参謀会議に出席させたりしてはいけない。

 書記長を松下幸之助と称したのは冗談ではなく、最大の賞賛と侮蔑を以てそうしたのである。大起業家としての松下幸之助、そして無能極まる経営者としての松下幸之助を念頭に。
 書記長はこれまで、類い稀なる行動力で、一定の成果(少なくとも知名度)を上げておられました。その行動力については心より敬意を表するものです。だからこそ、それなりに築き上げた成果、小生はその最たるものは結局人的なネットワークであると思いますが、それをこれ以上活用せず某市に引っ込まれるとしたら、勿論仕事などの事情があるにせよ、もったいないなあとは思います。そのへん、書記長は何かを無から生み出す起業家ではあっても、経営者として資産を有効に運用・発展させる点には欠けているのかも知れません。
 となれば、これはこれで妥当な判断かもしれません。また書記長自身、ご自分の事績が消え失せることを望んではおられないようですので、まあ「名誉会長」的に、今後もマイペースにやって行かれればと思います。

 二三余計な感想を付け加えれば、さすがのネット狂いの書記長も、仕事の方に生き甲斐を見いだそうとしているような節が最近はあり、なるほど結局そういうものかと割と納得しました。書記長の自衛隊時代の戦友で、当ブログのコメント欄にもしばしば登場される「無名」氏はかねてから、「現業公務員を350万人採用すれば、赤木智弘氏のような文句を言い出す連中はいなくなり、政治的運動として消滅する」と主張されていましたが、かなりそれは正しそうです。いかがでしょうか鳩山総理。
 また、小生思うに、端で見ていれば書記長は結構なものをネットとデモで獲得したと思うのですが、それは書記長ご自身の欲したものとは別だったのかも知れません。書記長の理想に近いのは、軍事ブログ「週刊オブィエクト」のJSF氏のようなネット上の地位だったのではないかと思います。つまり、書記長を尊崇する信徒が大勢コメント欄に集い、書記長の批判者を寄せ付けないような。もっともそれは、芸の方向性からいってそもそもできなかったろうとは思います。

 そして最後に蛇足。
 書記長辞意表明の記事のコメント欄に、早速書き込んだのが、文字通り“粘着”だった「とろろ芋」氏だったとは・・・書記長周辺では、割と冷静にこの辞任は受け止められましたが、心底から憤慨してくれたのは、「とろろ芋」氏のみであったのかも知れませぬ。

 とまれ、書記長閣下、お疲れ様でした。働き過ぎにご用心。


※追伸:合コンの手配は一応進めてます。

※追記(2009.12.2.)
 後継体制についての情報はこちら
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by bokukoui | 2009-10-27 23:59 | 出来事

ナヲコ『なずなのねいろ』各巻のウェブ上感想リスト

 今月発売のナヲコ先生の『なずなのねいろ 2』の紹介記事を先日当ブログでも書きましたが、あんまり自分でもいい出来とも思えないので、そこで自分で書いてダメなら人のを読めばいい(?)ということで、ネットでの同書の感想をいろいろ集めてみました。まあこれまでも、何かの折に触れ検索して見つけたのをブックマークしたりしていたので、その成果の放出ということで。
 あるお題について、検索して発見したものを網羅的にリストを作って片端から読んでいくという作業は個人的には嫌いではないし、日常的にやっていることでもあるのですが、最近革新官僚のことをにわか勉強していて、奥村喜和男の著作リストなぞこしらえて片端から読んでいくと、さすがに脳みそが多少くらくらしてきた感もありまして(苦笑)、心安らぐリストでも見たい気になったかなと。

 徳間のサイトに出たのでリンクしときます。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2009-10-24 23:59 | 漫画

復刊:中西健一『日本私有鉄道史研究 増補版』(ミネルヴァ書房)

 ここ何ヶ月も、忙しかったりくたばっていたりでろくろく書店にも足を運ばず、時に資料の必要があって本を探す時は往々ネットで注文していたもので、最近の出版事情にはとんと疎くなっておりました。
 そんな先日、久方ぶりに探している本があったので大学生協書籍部に赴きました。すると吉川弘文館とミネルヴァ書房の割引セールを来月12日までやっているとのこと。これはいいものに出くわした、と、当初予定の本が空振りだったのでいろいろ眺めていると、表題の本を発見、感動してその場で購入しました。
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 スキャナが現在使えないので、書影が不出来なのはお詫びします。

中西健一
『日本私有鉄道史研究 増補版 都市交通の発展とその構造
ミネルヴァ・アーカイヴズ(ミネルヴァ書房)

 本書は元々、1963年に初版が出され、1979年に増補版が出た(初版で削除された2節を足した)、日本の私設鉄道史に関する古典的研究です。本書は1906年の鉄道国有法以前の幹線系私鉄と、それ以後の電鉄を中心とする私鉄、さらに公営の路面電車なども含めた、包括的な日本の私鉄の歴史研究になっています。個別のトピックに関しては、初版以後半世紀近くに様々な研究が送り出されてきましたが、「私鉄」というテーマに関して総合的にここまで広く目配りした研究書は、今に至るまでないと言っていいと思います。
 というわけで古典として交通史の分野では知られた本書、小生も修論で先行研究の代表的なもの(大規模なもの?)として取り上げたものですが、それだけに自分の手元に置いておきたく、古書店を探したこともありました。しかしこのようなものだけに、2万とか相当なお値段が付いていてあきらめていたものでした。

 それがなんと、今年復刊されていたのです。7月に復刊されていたのですが、小生はまったく存じませんでした。我ながら自分のアンテナの低さに憮然としますが、更に意外だったのが「中西健一 日本私有鉄道史研究 復刊」でネット検索しても、全然これを話題にしている鉄道趣味者のブログなどが引っかからず、唯一発見できたのが「suchitooの独り言」さんの記事でした。こちらのブログの筆者の方は、中西先生にその昔学ばれた方のようです。
 にしても、私鉄の歴史に関心のあるマニアなら、手元に置いて然るべきと思いますが・・・むしろ院生の場合は、古典だけに大体図書館に所蔵があるし、扱う内容が幅広いのでかえって全面的に使うことは少ないし、値も張るし、借りて済ます選択肢が現実的かも知れませんが(苦笑)。

 というわけで、歴史系鉄道趣味者必携・学生は必読という類の本だけに、復刻は当然としても喜ばしいことです。ただ妙なことに、版元のミネルヴァ書房のサイトを検索してもヒットせず、よっぽどちょっとしか刷らなかったのでしょうか。※追記:ありました。「中西健一」で引っかからなくて、「中西 健一」でないと引っかからなかった・・・。アマゾンには本記事執筆時点でまだ3冊在庫があるようです。また、東大の本郷の書籍部の書棚には、小生が抜いたあとにもまだ2冊ありましたので、その筋の方は15%引きセールのうちにどうぞ。
 お値段は10000円+税、とやはりそれなりに張りますので、手に取る人は限られようとは思いますが、我こそはと思う方はこの機会に揃えるべきと思います。古書相場を思えば妥当ですし。

 それにしても、初版・増補版・復刻と、半世紀近くも読み継がれているということには、ひたすら頭が下がります。
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by bokukoui | 2009-10-21 23:59 | 鉄道(歴史方面)

「守る」に関しとりとめなく(「外国人参政権・夫婦別姓反対デモ」続き)

 前回の記事「外国人参政権・夫婦別姓反対デモに出くわす その他沈鬱な近況」で一緒に書こうかと思ったものの、あまりに長くなりそうだし時間もないし面倒だし、と見送った内容を補足しておきます。補足というより余談という方が正しそうですが。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2009-10-20 23:51 | 思い付き

外国人参政権・夫婦別姓反対デモに出くわす その他沈鬱な近況

 心身ともにくたびれた感じがぬぐえませんが、といって休んでいる暇もなく、今日も今日とて国会図書館に出かけました。17時の閉館ぎりぎりまで粘って、最後に雑誌カウンターに返却に行きましたら、隣に並んでいたお姉さんが膨大な雑誌の山をカウンターに返却していました。かさばった雑誌の大きさから少女漫画かな? と思って見れば、その表題は『Dear+』・・・やおい雑誌でした。国会図書館は、エロ漫画の収集率は概して低いのですが(例外が旧『ホットミルク』というあたりが面白い)、やおいはそうではないのでしょうか。

 そんな次第でくたびれた体を引きずって、永田町の駅めざして坂を上っておりましたら、なにやらデモをやっています。ずいぶん遅い時間だなあ、もう暗いのにと思いつつ見ていると、どうも近頃話題の? ネット右翼系のデモじゃないかと気がつきました。矢鱈と掲げる日の丸、主張は「外国人参政権反対」がメインのようです。
 以下に写真を、といってもデジカメを持っていなくて携帯電話のそれなので、辺りも暗かったし、画質はお話になりません。まあ気分だけ。

(写真があるので続きは以下に)
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by bokukoui | 2009-10-17 22:53 | 出来事

ナヲコ『なずなのねいろ 2』(リュウコミックス)発売

 多忙でくたばっているうちに、めでたかるべきこの発売日も、鉄道記念日も過ぎ去ってしまっておりました。
 というわけで、やや出遅れましたが、ナヲコ先生の新刊を手に入れました。

ナヲコ『なずなのねいろ 2』
 前巻が出てから一年と三ヶ月、めでたく2巻が出ました。
 今回は特に特典などの情報がありませんでしたので、大学の近所の某書店で購入。いかにも「街の本屋さん」な規模の店なのに、『なずなのねいろ』2巻を平積みにしていて感心。1巻も並べてあるし。少しでも多くの人に手にとってもらえればと思います。

 ところでふと冷静になって思うに、小生は『なずなのねいろ』1巻の感想をこのブログでちゃんと書いていません。それどころか『からだのきもち』も、いやいや遡れば『voiceful』だって書いたかどうか。『なずなのねいろ』1巻&『からだのきもち』発売の時は、記事が変な方に逸れていったし(それが当ブログの仕様といえばそれまでですが)、『voiceful』の時もあんまり大したことは書いてませんね。あ、最近も『つぼみ vol.3』掲載の「プライベートレッスン」の事を書いてませんな。
 言い訳になりますが、自分の好きなもの、それも特にこのような、自分の心の奥深くにしみこんでくるような作品について語ることは、とても難しいことです。下手に分かったように分析してしまうと、自分の受けた感興を自ら制約してしまうことにもなりますし。むしろ自分でも分からないことにこそ価値があるのかも知れません。
 ですが言い訳ばかりなのも何なので、内容紹介がてら簡単に。

 1巻でギター少年・伊賀君が、三味線少女のなずなに出会ってその音に惹かれ、三味線部を作ろうと伊賀君が言い出します。それをきっかけにふたりの周りの人々が動き出して・・・てなところで2巻に入り、なずなの過去が語られ、それを知った伊賀君やなずな本人とその周りの人々が・・・と書いてみると、つまり「お話」としては1巻からそれほど「進んで」いるわけではないんですね。まだ正式に三味線部発足してないし。
 ですがこの巻では、伊賀君によって「文化祭に出る」という、学園ものらしいといえばらしいような目標が掲げられました(もっとも、『voiceful』の最終話が、公開録画に出て始めて人前で歌うことだったのと同じなのかも知れません)。で、思うにこれは、この作品自体にとっても「進むべき目標」として設定された様なものだなあ、などと思います。本巻では動き始めた人々の心を丁寧に描写していて、それはとても丁寧なのですが、そのためお話としてはなかなか先に進んではいきません。それはおそらく、ナヲコ先生がこの作品をどう進めていくか試行錯誤しておられるのだろうと思うのです。で、最初「文化祭」なんてありきたりの学園ものみたいだな~と一瞬でも思わなかったと言えば嘘になりますが(苦笑)、考え直せば目標を定めるということにはそれなり以上に意味があるのだろうな、と思うに至りました。だからますます、続きが気になるのですが。

 とはいえ、作品(のキャラクター)と作者を重ねて見てしまうというのは、感想としてはどうなのかな、と我ながら思わないではいられません。長年追いかけている作家さんだけに小生自身がそう思うことはやむを得ないとしても、感想としての普遍性には欠けてますね。そして、音楽という形の表現に悩むキャラクターに、漫画で表現する作家さんの仮託を読み取りたがると言うことは、畢竟その読者自身が作家さんに対して何かを表現することへの想いを仮託したがっているということに過ぎず、自分に跳ね返ってきてしまうことに苦笑するのでした。
 まあ、つまり、小生はこの漫画を大学帰りに買ってその晩に感想を書いているわけですが、何しに大学に行ったかと言えば、編集者・・・もとい指導教官に論文のダメだしされてたからだったのでした。

 結局『voiceful』の時と同じような落ちになってしまいましたね。芸がない。
 まあ、芸なしではありますが、せっかく今月はナヲコ先生の単行本も出たし雑誌連載も再開のようだし、来月はまた『つぼみ』が出るようで次回予告にもお名前があったし、ということで、今月から来月半ばまで勝手に「ナヲコ作品販促月間」とでもして、積み残している感想などを書いていければと思います。

※追記:「販促月間」第2の記事はこちら→
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by bokukoui | 2009-10-15 23:59 | 漫画

今日の東急デハ5001号の状況(53) ガラスが割られる

 なかなか具合がよくならないのですが、そうも言っておられず、連休中も大学の図書館に出かけました。その際、久しぶりに渋谷駅頭のデハ5001を見てきました。たまたま駒場に行ったからですが、普段も通り道なので途中下車すれば済む話とはいえ、その余裕がなかなかなく。
 そういえば大井町線延伸の際に改修された高津駅の様子も見ていませんね。それに現在、たまプラーザ駅が大改修中で、一部施設が今月3日に供用開始されたそうですが、それもただ通り過ぎるばかりです。もうちょっと諸事情が改善されたら。

 ともあれ、久しぶりにデハ5001の報告です。
 なお今回は、大変残念なお知らせがあります。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2009-10-12 23:59 | [特設]東急デハ5001号問題

近況・資料本購入状況&【捜してます】大和田悌二『神性の発掘』

 当ブログもずいぶん間が開きましたが、先月の僅かな記事の中でも愚痴っていたように、不調を極めていたことと所用が重なったこと、さらに機器のトラブルにも見舞われたこと、などの悪条件が重なっておりましたためでした。
 これら悪条件が今になって緩和されたかというと疑問で、健康上の問題には消化器の不調と目の腫れを加え、さらに寝ぼけていたのか食事中に舌を思いっきり噛み、ところが所用は相変わらず重なっているし睡眠は変だし、などの悪条件のせいか傷がいっかな治りません。そのため飲食には差し障るし喋りにくいし矢鱈と唾液を分泌して気持ち悪いしとQOLの低下が著しい今日この頃です。
 ですがまあ、今月に入って少しは復調したのも事実で、論文の作業などを進めておりました。で、以前の仕事で多少金が入ったので、資料となる本をいろいろと買い込みましたが、これは研究の一助であると同時に、幾分か以上に買い物による楽しみ、ストレス発散の側面があったことは否定できません。そんなこんなでここしばらくに買った本はこんな感じです。
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 とまあ、電気事業史関係の本が多いわけですが。大体は、割と値段がお手頃でした。特に『中部地方電気事業史』A4上下巻箱入り美品で3000円といくらかというのはお値打ち。もっとも欲しいのは『関西地方電気事業史』と『関東の電気事業と東京電力』の方であって、中部は個人的には割とどうでもいいのですが(苦笑)、つい買ってしまいました。
 ですが、今回買った中で一番の収穫は、上掲写真右端の吉田啓『電力管理案の側面史』交通経済社出版部(1938)でした。この本は1938年の第1次電力国家管理実現に至る過程を詳細に書いており、小生が史料と付き合わせてみた感想では、当事者によく取材しているようで、面白いし資料としても有り難い一冊です。ただ、小生が買ったこの本は背表紙が本体から外れかかっていて、古本としては問題ありなのですが、その代わり表見返しにこんなタグが張ってありました。
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 なんと、逓信省の蔵書でした。どういう次第で流出したのか、やはり鉄道省と合併した時だったのか? 自分が調べている、電力国家管理を推し進めた逓信官僚の当人たちが手に取ったかも知れないと思うと感慨も一入・・・いや、そういう人たちには「著者献呈」でしょうかね。

 というわけで、当ブログの京成百周年企画などでも紹介しました逓信官僚・大和田悌二のことなどを現在調べているもので、関係する書籍を集めています。
 上に挙げた写真の本のうち、清水啓『アルミニウム外史』カロス出版(2002)は、ネットで「大和田悌二」で検索して引っかかったものです。どうもその名を冠した節があるらしい。アルミは電気と関係深いですからね。そこで一応確認しておこうと思い、まあうちの大学の工学部なら、どっかでアルミの冶金を研究してる研究室くらいあるだろうから所蔵があるだろう、と思ったらなし。では、と国会図書館を探してもなし。どうも版元のカロス出版は、アルミニウム関係に特化した出版社らしく(鉄のアグネ出版と同じようなものでしょうか)、おまけに流通ルートも特殊らしいです。
 では仕方ない、というわけで買ってしまいました。まあ2500円くらいなら・・・え、上下二巻なの? まあ片一方だけ買うという法はないわな。揃えて注文。かくて5000円散財となりまして・・・一読・・・読みづらい。専門性が高すぎて判らないというより、全体の構成が可成り錯綜しているからです。やはり、「アルミニウム正史」を知ってから読むべき本ではあったようで。ちなみに大和田の話はあんまりありませんでした。

 で、やっとこさ表題の後半の話になります。
 大和田本人の著作も小生は勿論集められればと考えておりまして、戦前には『電力国家管理論集』、戦後には『電力国管の裏話し』などがあります。これらは図書館で既に閲覧しましたし、ネットの古書店のキャッシュにもあったので、手に入れる機会もありそうです。
 ところで、大和田の日記を読んでいると、講演など行ったことを記した日の記述に、あとから「神性の発掘〇〇頁に収む」などと書き足している箇所がいくつも見つかります。どうやら、大和田は『神性の発掘』という本を出しているものと考えられます。ページ数からするとそれなりの厚みのあるもののようです。
 しかし、この『神性の発掘』、どこの図書館にも所蔵が見当たりません。ネットで検索しても何も出てきません。もしかすると私家版で身内にしか配らなかったのでしょうか。現時点のところでは不明です。
 どなたか発見された方がおられましたら、是非とも小生までご一報下さいますようお願い申し上げます。何卒。

 ちなみに「神性の発掘」とは、大和田曰く、神国である日本ではあらゆるものに神性があり、その神性を発掘活用することが日本人の務めである、ということのようです。これが、水の神性を発揮しなければならない→そのためには大規模な水力発電を行わなければならない→だから電力事業は国家管理すべきである、という論理に繋がっていくようです。
 小生些か思うのは、神性が宿るというのは八百万の神の国として自然な発想といえばいえますが、だからそれを活用しなければならない、となるのは日本の伝統的な自然観よりむしろ西洋的価値観に近いんじゃないかな、という気がします。もっとも、日本神話と西洋思想のこのようなアマルガムこそが、明治生まれの統制官僚らしい思想形成ではないか、とも思え、思想的一貫性で批判するのは必ずしも建設的ではないと思う次第です。
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by bokukoui | 2009-10-11 23:49 | 書物