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池袋の「中華街」で白酒(中国焼酎)を呑み犬を食う話など

 昨日今日と、暑さと湿度にすっかりやられてへたり込んでおりましたら、今日は午後になって急に雹と雷雨になり、あまつさえ落雷で停電まで起こる始末でした。そんなこんなで論文も仕事も進まず、引き籠もって他の方との連絡も途絶状態で、いろいろと申し訳ない限りです。
 しかしへたり込んでいるばかりなのも芸がないので、なにがしか精の付きそうな話でも一席。

 小生はそんなにしょっちゅう人と呑んだりはしませんが、ここ1年くらいは、呑むなら極力池袋の“中華街”に出掛けています。前にもちょっと怪しい中華料理店の話を当ブログでもしました(「注文の少ない料理店・岩男潤子さん篇」他)ように、元々中華料理は好きで、辛いものも好みでしたが、そんなB級グルメ愛好者にとって、池袋駅の北西に集まっている中華料理店はまことに魅力的な店と料理が揃っています。これははじめ、物好きな友人にたまたま紹介されて行ったのですが、すっかり小生も魅せられ、今では人と飲み食いする話になるたびに池袋で呑むように仕向けて、同好の士をせっせと増やしています。
 池袋の“中華街”の店は、横浜の中華街が戦前の華僑によって形作られ、その出身者が華南中心だったので広東なんかの料理が多いのと比べ、近年(90年代以降くらいらしい)形成され、また華北や東北(昔で言う「満洲」)や四川なんかの料理が多いところに特徴があります。で、一世紀かけていわば日本化された横浜のと違い、池袋のそれは中国現地仕様に近いので、香辛料(唐辛子とか山椒とか香菜〔シャンツァイ、コリアンダー〕)をしこたま投入した強烈な味わいが売りです。これは日本では、人によって好き嫌いが分かれるところと思いますが、物食いの良い友人に恵まれて我ながら幸いです(笑)

 てなわけで、考えてみれば年中へばっている小生を誘ってくれる有り難い友人諸氏と、時間と体調の許す折は池袋で飲み食いしております(といっても精々月1回くらいか)。
 で、しばらく前にその中の一軒・大宝(池袋北口店)で食したメニューが実に旨く、忘れられないので以下に紹介します。精も付きそうだし。
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大宝 池袋北口店の犬のスープ

 というわけで表題の如く犬です。
 当ブログではずいぶん前に、石毛直道先生の本を紹介し、中国で犬猫の類を食う話などしましたが、池袋の中華料理店では、犬を出す店が結構あるようです。さぞアクが強い味であろうと期待しつつ箸を延ばすと、これが意外なくらい上品で、程よい辛さと相俟って実に美味でした。牛豚鶏よりは多少癖がありましたが、羊(羊料理が質量とも豊富なのも池袋の特徴)よりは癖が少ない気がします。料理法も良かったのかも知れませんが。
 というわけで、小生はとても「犬が好き」です。中華料理は一人で行っては楽しめないので、同道の愛犬家(意味違う)の方を募集しております。もっとも、店員のみならず客もあらかた中国人で、店内公用語が中国語状態というさしもの池袋でも、犬肉の在庫はさほどないのか、注文したら無かったこともありました。日本では仕入れが難しいのかな。

 さて、池袋の“中華街”に小生がはまっている理由にはもう一つ、白酒(中国焼酎)を小生がすっかり気に入っているという事情があります。これについてもことのついでに一筆。

 概して、紹興酒は嗜むという方は多くても、白酒を好んで呑む物好きな日本人は少なかろうと思います。大体その存在すらろくすっぽ認知されていないでしょう。小生もやはりそうでした。それが呑むようになったきっかけは全くの勘違いだったのです。
 それは昨年某日、渋谷の台湾料理の名店・麗郷で食事をしておりました時、同道者が紹興酒を注文しようとして、間違えてメニューの「中国輸入酒」の一番上(確か)にあった「高粱酒」を注文してしまったのでした。間違えたと気付いた時には後の祭りでしたが、もったいない精神を発揮して呑んでみたのです。

 50度を超えるアルコール分の強烈な刺激が、舌を焼き、喉を焦がし、胃に沁み込んでいくと同時に、独特の香りが鼻から抜けていきます。そして胃から沁み込んだ熱さが、体の中全体にじんわりと広がっていきました。
 その時、小生は「火酒」という言葉の意味を初めて理解できた気分になりました。そして、寒冷なロシアの住民がウォトカを愛飲する理由も、なんだか腑に落ちたのです。なるほど、これは効く。

 以降、小生は白酒を呑む機会を窺うようになったのですが、日本では中華料理屋こそ多々あれど、紹興酒はあっても白酒を出す店は決して多くありません。まあ、注文する人が少ないでしょうから無理もありませんが。その点、池袋はどこの店でも常備しているし、料理も羊肉を使ったり香辛料が多かったりと、白酒との相性もばっちりです(その点、麗郷は台湾料理なので紹興酒向きではないかと思います。白酒の銘酒として名高い汾酒を置いているのは有り難いのですが)。
 もっとも池袋の店でも、品揃えはさほど多いようではなく、また銘酒となると結構なお値段です。大体どこの店にでもある主力品種で、値段がお手頃なのは、北京の「二鍋頭」と山東省の「孔府家酒」みたいです。
 二鍋頭は、ウィキペディアの「白酒」のページに「紅星二鍋頭」の100mlの小瓶が掲載されているようなメジャーな存在らしく、その「紅星」ブランドが有名なようです。もっとも、ちょいと検索してみたところでは、有名というのは別に高級なのではなく、安くて広く売られている、ということのようです。日本で言えば「大五郎」みたいなもんでしょうか。安くて強い、まさに「人民の酒」ってとこじゃないかと。香りは少し癖があるかも知れませんが、気になる程じゃない・・・と思います。
 孔府家酒の方はそれと比べるともうちょっとブランドものらしく、池袋の怪しい中華料理店の中でも特に怪しいと衆目の一致する「知音食堂」で「白酒はどれがおすすめ?」と聞いたら、店員さんはこれを勧めてくれました。一番安い二鍋頭(紅星ブランド)よりは高いですが、二番目のお手頃価格でした。これは香りが結構良く、日本人にも呑みやすいんじゃないかと思いますが、ただ池袋で提供される孔府家酒はアルコール度数が39度と低めのものらしく、舌を焦がし喉を焼く強烈さに乏しい憾みがあります。
 その他の酒は値段が上がるので気楽には呑みにくいのですが・・・ま、機会があれば今後とも挑戦していきたいと思います。

 で、ブログにこんな記事を書いているのは、無論同道者を求めるためです(笑)。白酒は大体一瓶500mlで供されますが、これを一人で飲むのはどうも危ないし(苦笑)、グラスで出す店もありますが割高ですし。
 小生を池袋に誘ってくれた友人は二人おりますが、一人は呑まない人で、もう一人は逆に酒好きなのものの、日本酒や焼酎やウイスキーはいくらでも呑むくせに、白酒には今ひとつ付き合ってくれないのが残念です。どうも相性というのは仕方ありません。小生は日本酒呑めないしね・・・(←またぞろ小生の「在日」疑惑が再燃しそうです)
 その点、憑かれた大学隠棲氏と、同氏の高校の先輩の方と3人で呑んだ時は、ご両人とも結構気に入って下さったのか、大いに盛り上がったのは幸いでした。流石、酒屋が作った学校の卒業生だけのことはあると感心した次第。きっと家庭科の時間に樽酒でも振る舞われていたのでしょう。

 さて、いつの間にかえらく長い記事になってしまいました。池袋について書きたいことはまだまだあるのですが、未だにくたびれ感が取れずに身動きが思うに任せない状況なので、ここで一旦切って続きは後日に。

※中華料理や犬・白酒などの話の続きはこちら。
 ・爆発!? する中国製「燕京ビール」を池袋で愛飲してた話
 ・池袋で犬を食い白酒を呑んだ話・つづき 白酒飲み比べ談
 ・羊串狗肉 東京で犬を食う話・続き~楽々屋@池袋、故郷味@御徒町
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by bokukoui | 2010-06-28 23:59 | 食物 | Trackback | Comments(14)

「メイドさん放談2010」公開のお知らせ その他ネット関係

 このところ、一日中眠いのにいざ寝ようとするといっかな眠れず、無闇と食いたくなる割に消化器の膨満感も絶えず、ひたすら懈さに丸まっているような日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。そんなこんなで、今週初めには更新しておく筈だった本記事も、週末になってしまいました。

 というわけで、毎年恒例の、


 が先日公開の運びとなりました。ご関心のある方は是非ご覧下さい。
 今年の記事公開は、昨年よりは早かったとはいえ、放談出席者が減った割に遅れたのは、相当部分小生の責であることをお詫び申し上げます。そんなに放談前に呑んだ覚えはないのですが、読み直してみて自分でもハテどういう趣旨の発言なのかしらん? と頭を抱え込むような箇所が少なからずありまして・・・一応直してはみましたが、意味不明の箇所への苦情などありましたら本記事のコメント欄にでもお問い合わせ下さい。あ、酒井翁への絶賛のコメントは、翁のブログのアップ告知記事にお願いします。

 ところで放談中に、酒井翁に『「メイド喫茶の起源はSM倶楽部ではなかろうか」論』という同人誌をご紹介いただき、貸していただいて読みましたが、これは確かに面白い同人誌です。小生が以前ブログに書いて編集の上サイトにアップしておいた記事「メイド徒然話~メイドさん=スパゲティ理論 或いは「メイド喫茶」批判再考~」というのがありましたが、この記事で小生はヴィクトリア朝からアメリカを経て日本にSMなどアングラ文化の形で「メイド」が入ってきたのではないか、と指摘しました。『「メイド喫茶の起源はSM倶楽部ではなかろうか」論』は、SMクラブのイメージプレイから「メイド喫茶」に至る流れを、風俗に関するいろいろな雑誌記事などをもとに説明しておられます。「ロールプレイ」という発想で、SMクラブなんかと「メイド喫茶」を繋いだのは、なかなか説得力があります。機会があれば、タコシェで探してみようと思います。
 本来ならここで、この同人誌の所論について考えたことなど一筆してみたいのですが、なかなか余裕がない以上に、「メイド」方面の感度が鈍ってしまって、どうも思い付きが発展しません。そのうち『倒錯の偶像』を読み直して何か書こうとは思ってるんですけど。この本を読めばまた触発されるところはありそうなんですけどね・・・畢竟、「メイド」方面に関して何か新たな知見を得ていないからだとは分かっているのですが。このカテゴリの更新も去年の放談の告知以来ですね。

 ことのついでで申し訳ないのですが、「メイドさん放談」中でも触れている、資料系メイド同人の雄として著名な、今度商業出版されるという、spqrの久我さまから、上に挙げた拙稿についてメールをいただいたことがあるのですが、久我さまに返事をしないままにしてしまったことがあります。この場で伏してお詫び申し上げます。
 小生はどうも「メール」という媒体が極めて苦手なので、失礼の無いような返事をしようとするあまり、そのまま返信不可能状態に陥ることがあります。返事をしない方が失礼だと理屈では分かっていても、こればかりは治らないままです。社会不適格者ですみません。ブログのコメント欄なら多分返信すると思いますので何卒・・・
 ご無礼の段、重ね重ねお詫び申し上げる次第です。


 なお、自分でも久しぶりに上掲サイト記事を閲覧してみたところ、半年以上MaIDERiA出版局サイトを放っておいたために、ページの先頭に広告が勝手に掲載されていました。いつの間にやらそんな仕様になっていた模様です。おまけにアクセス解析がサービス終了だとかで、取り敢えず半年放置はまずかろうと「よりぬき『筆不精者の雑彙』」を半年ぶりに更新し、アクセス解析を外しておきました。もっともまだ広告が消えていないようなのですが・・・
 サイト内広告といえば、エキサイトブログが来月から無料サービスのブログに広告を表示させるそうです(→「7月からの記事内広告表示に関するお知らせ」)。世知辛い世の中ではありますが、無料サービスのユーザーとしては文句を言うのもなかなか難しいところです。ただ、実施の半月前になって、メールではなく、ブログサイトのトップやブログ投稿画面の「お知らせ」コーナーにひっそりリンクされているだけという、こそこそした告知方法はまずかっただろうと思います。しばらく放っている(小生も半月くらいログインしなかったことは過去にあります)ユーザーにとって不意打ちになりますので。
 なんか「引っ越してやるー!」的な声が上掲リンク先に多いのは宜なるかなではありますが、当ブログについては、過去の記事にリンクして下さっている方も多いことを鑑み、移転はしないつもりです。というか、面倒なので(苦笑) ですが、当面は来月からブログに広告が入るらしいので、その旨ご承知下さい。
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by bokukoui | 2010-06-25 22:33 | 制服・メイド | Trackback | Comments(2)

さよなら交通博物館 建物の解体状況(9) 建物が消滅

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建物が撤去された交通博物館跡地を見下ろして走る中央線201系電車
(2010.6.19.撮影)

 昨年から折々報告してきた旧交通博物館の解体撤去状況ですが、いよいよ建物がその姿をほぼ消すに至りました。その模様をお届けします。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-21 18:20 | [特設]さよなら交通博物館 | Trackback | Comments(0)

鍋焼うどんの探求(12) 本むら庵@上荻 支店もあるよ!?

 (11)の「まつや」に引き続き、名の通ったお店で今シーズンの「鍋焼うどん探求」カテゴリを締めくくりたいと思います。といっても「真夏の鍋焼うどん」という企画が突発するかも知れませんが(笑)
 というわけで、今回はシーズン終了記念としまして、上荻の本むら庵で豪勢に「鍋焼きうどん」(1890円)をいただきます。お値段は本企画の最高価格を更新しました。
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(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-19 23:59 | [特設]鍋焼うどん探求 | Trackback | Comments(2)

鍋焼うどんの探求(11) まつや@須田町

 すっかり間が空いているうちに気候も暑くなってきて、時季を過ぎてしまったこの企画ですが、4月中に取材したネタがまだ残っておりますので、お蔵入りも何なので放出しておきます。あんまりブログが鍋焼うどんで埋まるのもなあ、と思って先送りにしているうちに、「非実在青少年」の都条例改正問題など時事的話題に更新時間を取られ、今になってしまった次第です。

 というわけで、シーズン終了の記事くらいは名の知れた名店を取り上げようと、今回は蕎麦の名店・神田須田町のまつやを訪れ、しかし蕎麦ではなく「鍋焼うどん」(1000円)を誂えます。
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 相変わらず写真の腕が下手で旨そうに見えにくいのはご寛恕ください。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-19 22:28 | [特設]鍋焼うどん探求 | Trackback | Comments(0)

さよなら交通博物館 建物の解体状況(8) 5月下旬~6月上旬篇

 引き続き、先月下旬から今月上旬の旧交通博物館の撤去状況を報告します。工事も終わりにさしかかってきたことを感じさせられます。
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建物の撤去が進み、背後を走る中央線の電車が見える(2010.6.11.撮影)


(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-16 23:59 | [特設]さよなら交通博物館 | Trackback | Comments(0)

さよなら交通博物館 建物の解体状況(7) 5月中旬篇

 しばらく間が空いてしまったこの企画ですが、実は折に触れ写真は撮ってありました。ところが所用に追われたり、調子が悪かったり、時事的な話題を優先したりしているうちに、すっかり機を逸してしまいました(この話題も時事的と言えば時事的なのですが)。
 というわけで、撮りためた写真を、時期遅れになる前にまとめて公開したいと思います。ずいぶん溜まってしまっているので記事を2回に分け、まずは前半として先月中旬に撮影した写真を並べてみたいと思います。
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解体直前の西側階段塔(2010.5.16.撮影)


(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-12 23:59 | [特設]さよなら交通博物館 | Trackback | Comments(0)

秋葉原通り魔事件から2年にふと思う わたしの「ミケロバ」

 ここ数日、心身ともすっかりどうしようもないだるさに苛まれ、ただなぜか腹ばかり減るという有様で、頭脳の方もすっかり麻痺し、『看板娘はさしおさえ』より難しい書物を読むことも出来ないまま引き籠っておりました。ついでに、日々使っているノートパソコンも、液晶画面のひびが日に日に長さを増し、画面が次第に黒く染まるのみならず、ここ数日は「スタンバイ」機能も使えなくなるという怪しさで、すっかりブログ更新から遠ざかっておりました。
 で、ようやく少しましになったので、日を三日ほど過ぎてしまいましたが、表題の件について何か書こうと思います。いよいよ秋葉原では歩行者天国も復活が決定したそうですし。このことに関連して、当ブログを「秋葉原協定」で検索して訪れて下さった方も少なくないようで、周知のお役に立てたとすれば、結構なことと思います。

 とはいえ、これまでにもいろいろ書いてきたので、改まって何事か書くのも案外容易ではないということに、今過去の記事を読み直して気がつきました。特に、昨年事件から一周年に際し物した二つの記事(「秋葉原通り魔事件から1年」「岩手・宮城内陸地震から一年 そして人を悼むことについて若干」)については、今もなおそこに書かれたとおりのことを思っています。
 改めて一部引用しますと。
 とりとめないついでに、全く個人的にこの事件を振り返ることをお許しいただけるなら、小生自身はこの事件で何か人生に於いて重大な影響があったのか、思い出して恐怖に駆られたりするような心的外傷の類があるのか(ごく稀にメールなどで当ブログの本事件記事に関しコンタクトを取って下さる方々は、おしなべてそういった懸念を示されます。社交辞令なのかも知れませんが)、というと、全然ないんですね。(中略)
 ただ、本当に全然何も感じないと(以前、秋葉原事件に関する宮台・東その他諸氏のイベントに行った際、「事件に出会おうと出会わなかろうと、自分は同じようにこの議論を聞いただろう」と思って苦笑したことがありましたが)、かえってそれ自体が「ひとでなし」みたいで、何となく居心地の悪いような、そんな気分もします。或いは、関係者というには辺境で、部外者的立場を取るには直接的経験に富みすぎている、そんな自分の宙ぶらりんさを反映した居心地の悪さなのかも知れません。
 やっぱり今もそんな感じです。かといって、記憶が単に風化した、というわけでもないつもりです。それは、まず事件の記憶を自分で文字化することで再認識し、その後も関連する出来事に一定の注意を払ってきたから、なのかも知れませんが。

 で、加藤被告の裁判が始まっていることは周知のことで、小生も傍聴を志しつつも諸事情によりいまだその機会に恵まれてはいません。裁判については一般的な報道には多少眼を通しましたが、その中で一つ気になったのがありまして、裁判で事件の目撃者が加藤被告に対し「極刑を望む」旨発言していたことです。
 これには小生いささかの違和感を感じまして、その違和感を上手く言語化できる自信がないのですが、つまりそれは"目撃者"の発言として妥当なものかどうなのか、そのようなことをわざわざ述べる意味は何なのか、そこに違和感を感じたということです。もしかすると、それは"目撃者"たる者のある種当然なすべきことと"世論"に期待されたことであり、よき"目撃者"たる者は当然その期待に応えた、ということなのかもしれません。
 であるならば、決してよき"目撃者"たりえない小生は、そのような立場で公的な発言をすることをしなかったことは、まったく"正当"な判断だったのだと、今にして思います。

 なぜ小生が、よき"目撃者"たりえないと自己規定するかというと、それは上に挙げた一年前の記事の箇所に、一つだけ付け加えるべきことがあるからです。
 秋葉原通り魔事件のような事件に遭遇された方の中には、いわゆるトラウマを負って、人ごみに出かけることが怖くてたまらなくなる、という症状に悩まれている方がいると仄聞します。そのような方への何らかの対応や治療が奏功することを祈念してやみませんが、しかし上掲引用文に述べたように、小生はさようなことはまったくありません。その代わり、別な「症状」が起こっているかもしれません。

 それは、小生は人ごみを目にすると、「ここにトラックで突っ込んだら秋葉原事件を越える死傷者を出せるだろうなあ」とついつい考えてしまうのです。

 表題の「ミケロバ」とは、「挫折禁止」で有名な「げんれい工房」の、一コーナー「言霊参上」の中にある、「新日本語表現」の一つです。以下引用させていただきますと、
「ミケロバ」
「トラウマ」とまでは行かないまでも、それなりのダメージを受けた心のかすり傷。漢字で書くと「三毛驢馬」。
というわけで、それなりかどうかは疑問なしとしませんが、「ネコロバ」でなく「ミケロバ」にするところに並々ならぬセンスを感じ、ここで使わせていただいた次第です。

 しかし、かかる不埒なことを考えずにはいられない徒輩がいるにもかかわらず、そして秋葉原の事件後景気は一段と悪化したにもかかわらず、この事件を拡大コピーしたような事件は、幸いにして起こりませんでした。それは、この事件がやはりあまりにも特異すぎたのか、事件の与えた影響がかえって模倣犯を生まなかったのか、この事件に関する諸言説が模倣犯を防いだのか、ただ単に景気が底を打ったのか、そのあたりは今後検討されるべき課題だろうと思います。
 実は先日、大澤真幸編『アキハバラ発 〈00年代〉への問い』を部屋の片づけ中に発掘し、未読のまま一年半以上放っておいたことに気づいて、急遽読了しました。事件に関する諸言説の一つとして、近日中に本書の感想をものし、あわせて思い出したことなど書ければと思いますが、この調子ではいつになるかは分かりません。
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by bokukoui | 2010-06-11 16:41 | 思い付き | Trackback | Comments(4)

今日の東急デハ5001号の状況(59)

 月に一度ペースのこの企画ですが、諸事に追われたり心身の不調により、先月中は実現できませんでした。月も改まった日に、何とか所用のついでに寄ってみてきましたので、アップしておきます(記事の掲載日は取材日よりだいぶ後です)。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-02 23:59 | [特設]東急デハ5001号問題 | Trackback | Comments(0)

雑感 COMICリュウ編集部編『非実在青少年読本』(徳間書店)


COMICリュウ編集部編
 最近話題になっている東京都青少年健全育成条例の改正問題、「非実在青少年」と称してマンガなどの表現を不当に取り締まる恐れのある条文が提案された件(本件については当ブログの過去記事でもいくつか紹介しました)に関して、先日当ブログでも報じましたが、左のような書物が徳間書店の『月刊COMICリュウ』編集部によって編まれました。小生は以前より『リュウ』誌を愛読しており、また青少年健全育成条例などの問題にも多少の関心を持っている者としては、やはり本書は手元に置かねばと思い、先月31日の発売日に入手しました。
 で、同書を一読しましたので、以下に簡単な感想を述べておきます。なお、今検索した時点では、他に同書の感想はまだ上がっていないようですが、サイト「天使行路」さんが編集部に同書について問い合わせをされた記事「非実在青少年読本の版元に聞いてみました」がアップされております。参考になるところの多い記事ですので、リンクしてご関心のある方の参照を乞う次第です。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-02 13:50 | 書物 | Trackback | Comments(2)