タグ:『月刊COMICリュウ』関係 ( 33 ) タグの人気記事

近況報告・放出本のご案内

 かなりの長期にわたりブログを休止しておりましたが、それは今夏の猛暑にやられたということのほか、身辺に諸事多忙を極め、それでいて心身の意気がひどく沈滞し、ようやっとこさ目の前のことの、それも一部をこなすのが精一杯という状況に落ち込んでいたからでありました。今なおその状況が改善されたとはいえませんが、気候はひとまず良くなったこともあり、物事の処理スピードを少しでも上げねばと思っております。

 で、そんな身辺のごたごたの一つがようやく片付いたので、ちょっとだけブログを更新。
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 とまあ、蔵書の移転・整理を急遽する羽目になりました。諸事情により家を改築することとなり、小生の魔窟も九龍城のごとくついに退去せざるを得なくなりまして、分散配置していた蔵書を空いていた部屋に集中配備し、寝る所と本を分離することと相成った次第なのです。その移転がようやっとこさ一区切りついて蔵書の整理がついた、というのが如上の状況であります。論文作業中の移転は困難ではありますが、自分自身資料のコピーや参考文献が散乱して探し物に狂奔することが少なくなく、また健康上の理由からも本の置き場と寝るところを別にした方がよいのは自明で、むしろ早くに片付けてしまうべきと、引越しと蔵書整理に急いでおりました。
 で、蔵書整理の結果、重複する本や雑誌がいくつか発見されましたので、ご要望の方がおられましたら差し上げたいと思いたく、以下に挙げておきます。

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by bokukoui | 2013-09-19 23:59 | 身辺些事 | Trackback | Comments(6)

速水螺旋人『靴ずれ戦線 1』略感~「螺子の囁き」完全収録を祝して「火箭図」も

 なかなか物事が思うように進まないのは相変わらずで、発売日から随分経ってしまいましたが、表題の漫画の簡単な感想など。

速水螺旋人

 当ブログで以前、毎号でもありませんがしばしばレポを載せていた、現在休刊中なるも来年3月復刊予定の『月刊COMICリュウ』に連載の、速水螺旋人先生の漫画『靴ずれ戦線』が、めでたくこのたび単行本にまとまりました。おまけに、『靴ずれ戦線』以前に『リュウ』で連載していたイラストコラム「螺子の囁き」も完全収録という、嬉しいおまけ付きです。


 『靴ずれ戦線』の概要を、速水先生のブログの告知記事から引用させていただけば、
(前略)第二次大戦の東部戦線を舞台にソ連の魔女ワーシェンカとお目付けナージャのコンビがあっちこっちの戦場に行ったりきたり。そこにロシアのお化けたちが絡んでくるというお話。面白いので是非是非。「靴ずれ戦線」の前に連載していたメカコラム「螺子の囁き」も全部載っています。お得! ・・・・・・でも字がチマチマしすぎていて読みづらいというご意見も頂いてまして、リュウコミックの中だと大きめのA5版にしてもらったのだけど、ううん。でもじっくり見れば大丈夫ですよ!(後略)


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by bokukoui | 2011-12-21 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(5)

ナヲコ『なずなのねいろ』のウェブ上感想リスト 完結記念篇

 本来先月にやろうと思っていて、階段から落っこちたり地震が起こったりでお流れになっていた企画です。そしてこの企画こそ、小生がツイッターのアカウントを取得した、最大の理由だったりします。

 今年2月12日に3巻が発売されて完結したナヲコ『なずなのねいろ』(リュウコミックス)ですが、小生は購入後所用に追われたり階段から落っこちたりとの諸事情により、なかなかゆっくり読めていません。感想は書きたいけれど当分先になりそうです。もっとも、仮に時間があった所で、ナヲコ先生の漫画の感想をなかなかどうして難しいもので、自分でもいつになるか判りません。
 そんなわけで自分の感想を書くのはちょっと先延ばしにして、以前2巻が出た時に当ブログで「ナヲコ『なずなのねいろ』各巻のウェブ上感想リスト」なるものを作成しましたので、今回も完結記念ということで新たなまとめを作成してみることにしました。しかしまず先行研究をまとめるところから始めようとするのは、院生の性というべきか・・・。

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by bokukoui | 2011-04-08 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

先週末のことなど(『なずなのねいろ』完結・バレンタイン粉砕デモ等)

 最近いろいろ用事をこなそうと努力はしているのですが、どうにも疲れがちで、睡眠を幾ら取っても眠気が覚めないようなそんな感じです。それでいて夜は寝付かれないし、一番寝やすいのが電車のような気がしますが、すると帰りに寝過ごしたり、まあそんな感じです。
 然しそんな繰り言ばかりも何なので、もうちょっとそうでない近況を。前回3回前の記事の補遺です。


 一つ目は先週末発売のナヲコ『なずなのねいろ』3巻をようやっと買い込んだことです。何でもペーパーがおまけにつくというので、秋葉原に足を伸ばして COMIC ZIN で買い込んだ次第。すると、『なずなのねいろ』は1階新刊コーナーのレジ至近一等地に、4面だったか6面だったかずらりと平積みで並べられている丁重な扱いぶりに、いささか嬉しくなりました。で、それだけ山積みにしている全てにペーパーが添付されているらしいので、おそらく今から行っても大丈夫だろうと思います。何せ、ついでに他のフロアを見て回ったら、結構前に出たマンガでもペーパー付きの在庫が結構あったので(苦笑)
 COMIC ZIN はペーパー付きの商品が多いのが特徴ですが、裏表紙にペーパーを重ねてシュリンクしているので、『なずな』もそうなのですが、裏表紙にあらすじが書いてある場合、それが読めなくなるのが痛し痒し。まあ、あらすじなんか先刻承知で買いに来るのが主要顧客層なのでしょう。

 と思ったら、ツイッター上にかかるコメントを発見。
うわーん!わざわざCOMIC ZINまで来たのに…「なずなのねいろ」売り切れ?店員さんは調べてもくれなかったよー!冷たい!><
6:55 PM Feb 16th ついっぷる/twippleから
010yumika
ゆみ
 あれ? まさかあの山全部売り切れ? だったら快挙ですが・・・
 この3巻で完結した以上、感想はいつか必ず書きたいと思いますが、現状ではなかなかすぐにというわけにはいかなさそうです。というか最大の問題は、諸作業に追われて未だに読んでいないというところにありまして・・・年度内には記事にしたいのですが。
 とりあえず表紙だけ見て思うのは、各巻ごとに雰囲気が結構違っているなー、ということです。それはそれぞれ良いところがあるのですが、或いは著者のナヲコ先生の、連載しながらの心境の変化をなにがしか反映しているのかも知れません。

 もう一つは、当ブログでも告知に協力した革命的非モテ同盟のデモの顛末です。
 といっても小生は心身の不調に鑑み今回は行ってませんので、レポはありません。この写真はデモ当局から拝借したものです。
 後で知ったのですが、この日は古澤克大終身名誉書記長も引っ越しで忙しいと称して来なかったそうです。何でも新居に備え付ける家具を買いに IKEA に行ったところ、家族連れとカップルばかりなので意気消沈してきたそうで。

 デモの方は悪天候に災いされてやや動員に精彩を欠いた印象は否めなかったそうですが、それでも定番のコースで果敢に雪中行軍してバレンタインを粉砕した由。今回は新兵器として、如上の写真に見るような「革命的非モテ同盟」の名前入り幟が投入されたそうで、これはご覧の通りなかなかいい感じに「革命的」雰囲気に仕上がってますね。
 ホワイトデー粉砕は3月12日に池袋で予定しているそうです。ご関心のある方は革非同公式サイトおよび公式ツイッターをご注視下さい。

 さて、『なずなのねいろ』が完結してこの世界で心残りなことが半減しましたし、また最近、小生の周辺でも特に悪質なクラスタの友人諸氏から、「墨公委氏が一番狂ってる」「一杯飲んだ帰りに秋葉原で『魔法少女リリカルなのは』のBDを待つ列に出くわした時『なのは厨は程度が低い』と放言して並んでいたなのはコスの女の子を泣かせた(註:当人は全く覚えていない)」「1945年にベルリンの国会議事堂を守備させる隊長のようだ」「死んだ魚のような目をしている」などと忠言を受けてつらつら思い返すに、リアルの世界で小生と知り合って人生によいことがあった人は多分いなさそうだという気がしてきましたので、今後は極力世界との関わりを減らし、人と会わない・会っても話さないという目標を掲げてやっていきたい、というか何もやらないようにしていきたいと思います。そう思えばこの懈くて疲れが取れない状況も、辛いことでも困ったことでもなく、あるべきことなのだと納得がいきます。

※諸事情により本記事の一部記述を削除しました。可能であれば後日事情を説明します。
 
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by bokukoui | 2011-02-17 23:59 | 身辺些事 | Trackback | Comments(2)

「なずなのねいろ」連載終了を記念して『COMICリュウ』2月号感想

 『月刊COMICリュウ』の感想を書く当ブログの記事の企画も長らく中断しておりましたが、それというのも万事不調でそんな余裕がなかったからでして、というか記事を書く以前に、買った漫画や本をを読む気力すらない有様で、更にいえば本を買う以前で既に気力が尽きて買いもしていないような、そんな状況が続いていたためでした。

  その状況が大して良くなったわけでもないのですが、それでも今回何とか久しぶりに『リュウ』の感想を書かねばと思い立ったのは、それは小生が同誌を読むきっかけとなったナヲコ先生の連載作品「なずなのねいろ」が、12月発売号で最終回を迎えることとなったためです。ちなみに如上の状況だった小生は11月発売号を積んだままにしていたので、ナヲコ先生のブログを読んで最終回のことを知り、それ以降ますます沈滞していたのはブログ更新が途絶えていたことからもお察しいただけようかと思います(もちろんそれだけが理由じゃないんですが)。

 ところで、「なずなのねいろ」連載が終わってしまったら、今後『リュウ』の購読を続けるか、正直迷っているのですが・・・最近は如上の事情で斜め読みしかしていなかったので、今月発売号を読んで考えてみます。そんなわけで久しぶりのこの企画として、『月刊COMICリュウ』2010年2月号の感想をなるべく簡潔に(長々書く気力もまだ回復してなさそうなので)、以下述べていきたいと思います。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 というわけで、三味線を弾く少女・なずなと、彼女の音に惹かれて三味線部を立ち上げようとする高校生・伊賀君と、彼らを取り巻く人々の物語も、連載32回目にして完結となりました。
 最終回は、三味線部がいよいよ文化祭でお披露目! ちょっと最後が駆け足だったともいえなくはないですが、開かれた場で演奏することの出来なかったなずなのねいろが聞く人々を得ると同時に、なずなの周りの人々のつながりもまた回復されていくという、しみじみとした終わりでした。『voiceful』と通じるものもありますね。連載お疲れ様でした。
 単行本は来年2月発売だそうで、全体をまた読み直してその時に感想が書ければ・・・と思います。「なずな」は後半、一回のページ数が少なくて、ちょっと話のつながりが分かりにくいような気がしたので、単行本で読み直すことを楽しみに、2月を待つことにします。今更ではありますが、毎月12頁よりも、隔月24頁で掲載する方が良かったのかも知れません(『リュウ』にはそういう形で載っている漫画が幾つもあります)。ナヲコ先生もブログやツイッターで述べられているように、原稿が「白い」のが最終回の玉に瑕・・・ですが、それだけまとめるのが大変だったのでしょうね。これも単行本に期待です(ついでに加筆があるともっと嬉しいですが・・・)。
 ところで、しかしこの最終回にはちゃんとトーンの張ってある頁が1頁だけありまして、今や学園を舞台とした漫画ではお約束ではありますが、文化祭の模擬店で「メイド喫茶」やってるのでなずなが「メイド服」
 今号の『リュウ』、なずなは「メイド服」だし「木造迷宮」のヤイさんは巫女さんだったりで、個人的にはもうこれで今号は「元取った」気分です。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 上で書いてしまいましたが、今回は年末に出た号ということで? 本来、三文小説家のダンナさんと一つ屋根の下で暮らす健気な女中さんのヤイさんの物語・・・のはずが、今月はヤイさんが巫女さんです。人手の足りない神社のために、サエコさんがヤイさんを引っ張っていくのですが・・・あとサエコさんもですね、まあその。取り残されたダンナさんの鼻水顔が哀れにも可笑しいですね。
 『木造迷宮』には1巻にヤイさん「メイド服」着用があって、4巻ではセーラー服着用のお話もありましたが、この分で行くと来年は・・・ヤイさんナース服? 流石にキャビンアテンダント(スッチー)はないとしても、時代設定的にはバス車掌なんていかがでしょうか。

・蒼崎直「官能小説家 烏賊川遙のかなしみ」
 祝単行本化。この道20年以上のベテラン官能小説家・烏賊川遙先生と、「エロ」を巡って先生と出会う人々の織りなすコメディ(時にほろり)の快作です。
 単行本が出てからも、先月号・今月号と順調に連載されており、2巻もやがて出ることでしょう。今号は「単行本化記念」として、普段と体裁を変えて4コマ(風)になっています。今回のでは、「その時、歴史が呻いた」が特にお気に入りですが、どれも軽妙で面白いです。「超合金の処女(おとめ)」こと御所瓦清美(37)さん(超堅物の編集者、でも編集してるのは官能小説の雑誌・・・)も再登場して喜ばしい限り。
 ちなみに先月号(単行本未収録)は、デブ専に生涯を捧げてしまった作家の話でしたが、一言で要約すれば「その嗜好はわからんけど、情熱のすごさには感動した」という、大変よいお話であると同時に、ノリが良くて楽しいお話でした。両頁見開き一面の夜景を背景に、「この世界で / 本当の自分を貫けずに / 苦しんでいるのは / お前だけじゃないんだぜ・・・!」と絶叫するという、『リュウ』買った人がたまたまこの頁を開いたら「XENON」と間違えそうな展開でした。

 余談ですが、本作も単行本が出たのでネット上に感想が幾つも上がっておりますが、小生がざっと目を通した範囲では、ほとんどの方が本作について、烏賊川先生とその挿絵を担当することになった新人イラストレーターこと「萌え」エロ同人の人気作家・MOMOZIくんとの凸凹コンビの面白さを挙げておられます。もちろんこの、エロを描いていながら世代も分野も違う二人のギャップは、本作の面白さの大きなところですが、それだけじゃないんです。例えば単行本にも載っている、烏賊川先生とそのお母さんとの切ない話など、エロと人のドタバタを、上から下から斜めから、様々に描いているところが楽しいのです。その幅の広さは、声を大にして宣伝しておきたいと思います。

・速水螺旋人「靴ずれ戦記 ―魔女ワーシェンカの戦争―
 これまでのイラストコラム「螺子の囁き」(当ブログの過去記事でも蒸機ネタを中心に度々紹介してきました)の発展的解消として? 連載の始まった速水螺旋人先生の漫画。本来、この連載開始ということも小生的には大ニュースで、当ブログで記事を立てるべき話題だったのですが、ここ数ヶ月の不調でご覧の有様でした。
 そんなうちにも連載は順調に進んで早3話。大祖国戦争中のロシアを舞台に、なぜか赤軍所属の魔女ワーシェンカ(メドヴェージェワ軍曹)と、政治委員(かな?)のめがねっこナージャ(ノルシュテイナ中尉)の冒険? を描く、舞台といい設定といい速水先生でなくては出来ない一篇です。
 今回は12月発売号というわけでサンタクロース・・・ではなくて、ジェド・マロースの登場。正直なところ、神話とかに疎い小生は、ロシアにおけるサンタクロース的存在のジェド・マロースを初めて知りました。で、武装SSの捕虜になったジェド・マロースを救出すべくワーシェンカ大活躍だの雪娘スネグーラチカだのプロペラ推進そりだの対戦車銃だのてんこもりで、可愛くてかっこよくて可笑しくてスタハノフに面白いです。微妙に読者を選ぶかも知れませんが。
 第1話はともかく、第2話・第3話と結局最後はウオトカ呑めて万歳、というロシア的結末を迎えているのもいい感じです。ズブロッカ呑みたい(最近の内臓の調子ではやめておいた方が良いか・・・)。

 ちなみに今号、夢乃むえ「さえもえな日常」シリーズの最新作「チハたん走る!」(毎回タイトルが変わっている)はなぜか女子高生が97式戦車を走らせるお話で、この話の続きに「靴ずれ戦線」が続けて掲載されているため、頁の左右でチハ車とドイツ兵が並んでいるというシュールな展開になっております。狙った訳じゃないでしょうが。
 どっちも女の子と兵器の出てくる漫画ですが、どちらも所謂戦闘美少女モノ的というかイロモノ架空戦記的というか『MCあくしず』的というか、そういう臭味を感じさせない作品なのは全く素晴らしいことと思います。いやほんと。

・田邊剛「ゲニウス・ロキ 異形建築家阿修羅帖控
 今年の9月号(7月発売)に掲載され、面白かったのでまた載ればいいなと思っていた一作。小生同様に感じた人も多かったのか、めでたく2回目が載りました。これは明治~昭和初期の建築家・伊東忠太を主人公とした怪奇ものです。近代史に題材を取った伝奇もの、というのは、しばらく前に一区切りついた「三つ目の夢二」など『リュウ』には結構よく載っている印象がありますね。小生は日本近代史やっているくせに、伊東忠太といえば築地本願寺や今は亡き阪急梅田駅コンコースを作った人、という位の印象しかなかったのですが、何でも実際に妖怪が好きだったのだとか。
 本作はなんといっても絵が素晴らしく、作品の世界とぴったり波長が合っています。相当高密度に描き込んでいながら、全くくどくなく、読みやすい――という言い方は何だか安っぽくなってしまいますが、作品世界に入り込みやすい、こってりしていながらもたれない料理という印象です。
 伊東忠太が妖術使い? として建築物にまつわる悪霊鎮圧に活躍する、荒唐無稽と言えばそれまでの話ですが、しかし素晴らしい絵の語り口に飲み込まれてそんなことは言わせない迫力があります。是非、単行本が出るまで続けてほしい作品です。

 あ、悪い癖でまた文章が長くなってきましたね・・・長くなるから完成しないという悪循環でもあるので、なるべく短く。
 というわけで箇条書きをやめて以下列記していけば、神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」は数ヶ月前からいよいよ野球娘たちと朝香中学野球部との試合が始まりました。いよいよクライマックスで、駆け引きとドタバタとが絶妙に組み合わさって面白いのですが、反面終わりが近づいてきているとも思えばちょっと寂しくもあります。前号でピッチャーのお嬢・小笠原晶子をわざと疲れさせるために出塁させた朝香中学に対し、桜花会側はピッチャー交代! というところで次回へ続く。続きが楽しみ。
 安彦良和「麗島夢譚」も快調に連載中。松浦党水軍の伊織とイギリス人で隠密なミカ・アンジェロが、台湾の支配を巡るスペインとオランダの激しい角逐に巻き込まれたところで、いよいよ17世紀初頭の台湾といえば、の鄭芝龍が登場。今回は激しい戦闘シーンとその残虐さに絶望する天草四郎と、見所がたくさんありましたが、鄭芝龍の登場でこれも続きが気になります。
 そして本誌最大の目玉連載? 安永航一郎「青空にとおく酒浸り」も、MM(マイクロマシン)をお香の力で退治する新キャラクター(ってもう数ヶ月前に登場してましたが)尻神楽さんの話が盛り上がって絶賛連載中。しかし単行本4巻は、というか多分6巻ぐらいまでは出せると思うのですが・・・。ちなみに小ネタも激しい安永作品ですが、今月は背景に以下のようなのが・・・
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「ぐはははは 灰皿にっ テキーラ!!」「死ぬよう」

・・・市川海老蔵の事件は11月25日だったのですが、詳細が報じられたのはもうちょっと後だったと思いますし、よく12月19日発売号に間に合ったなあと。なるほどこう時事ネタを盛り込むような、そんなその時の「気分」で描いているから、安永先生は単行本化に消極的なのでしょうか。

 ベテラン連載陣の話ばかりもなんですので、今回発表のあった『リュウ』の新人賞「龍神賞」入選作品の話も一つ。
 「龍神賞」は金・銀・銅の三段階ありますが、今回銀龍賞に輝いたのが村山慶「セントールの悩み」。翼人やら半獣人やらがいる世界(でも電車で通勤通学してる)で、ケンタウロスの少女が主人公。そのお悩みは「性」に関するもので・・・、と、一歩間違えばただの下ネタになってしまいそうなお話を、絵柄も相俟って可愛らしくまとめています。これはなかなか。「烏賊川遙」もそうでしたが、性についていろんなアプローチの作品があるのは『リュウ』の特徴かも知れず、さてこそこれとかこれのような企画もあったのでしょう。絵も可愛く、しかしありがちな「萌え」絵ではない味わいがあり、選評の吾妻ひでお先生が「かわいい女の子が描ければ この世界食っていけるよ チョロイよ!」と描いておられるのもむべなるかな(『リュウ』の漫画にはそうでないのが結構ある気もしますが・笑)。
 もっとも、個人的感慨を付け加えさせてもらえれば、半人半馬のケンタウロス少女を可愛く描ける人でも、電車をバランスよく描くのは難しいんだなあ・・・ということは痛感しました(今号、星里もちる「ちゃんと描いてますからっ!」に京王線電車が登場しましたが、これは電車をおおむね「ちゃんと描いて」ました。この辺がベテランと新人の差か?)。あと、受賞者コメントがネタなのかマジなのか判断に迷います。

 連載終了といえば、小生がこれも毎号読んではううん、と唸っていた大塚英志/菅野博之「大塚教授の漫画講座」も今回で終了でした。上の「龍神賞」で編集部が、この賞の受賞者は多くが単行本出すまで漕ぎ着けています、と強調している一方、巻末で大塚教授が「持ち込みや投稿をして新人賞をとって担当付いてアシスタントやりつつ連載、コミックス、アニメ化・・・(中略)みたいな「紙の雑誌」を想定したまんが家のサクセスストーリーがこの後は多分、成立しにくくなります」と述べている、その混沌が誌風なのでしょうか。また新たな形で、大塚氏の記事は載せていただければと思います。

 さて、他にもコメントしたい作品は幾つもあるのですが、そして最近、「なずな」のみならず終了作品と新連載とが交錯していて書くべきこのと多い『リュウ』ではあるのですが、流石に現在の調子ではここまで書くのがやっとです。
 というわけで今号の感想はここまでとさせていただきますが、こうして読んでみれば、やはり『リュウ』は小生と波長が合う雑誌のようです。安永先生の単行本は出るか分からないし、速水先生もページ数少なめだからこれまたいつになるか分からないし、それに一応ナヲコ先生も「次回作もお楽しみに!!」ということを信じて(打ち合わせしてるらしいし)、当面は読み続けようかなと思います。
 あ、でも、波長が合いそうといっても、流石に今号附録の「コスプレ&イラスト はやぶさカレンダー」は意味不明でした。もちろんブルートレインでも新幹線でも戦闘機でもない方の「はやぶさ」ですが、イラストはいいとして「コスプレ」って・・・?

(以下備忘の資料)
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by bokukoui | 2010-12-21 23:58 | 漫画 | Trackback | Comments(0)

渡道顛末記拾遺の補遺(川部駅と黒石駅の古レール)及び近況など

 今月前半の空元気はやはり空元気だったようで、早くも沈滞しつつあります。寒さのために順調に風邪を引き、発熱して何事も思うに任せず。すぐ気力が萎えるところ、ボイラー容量の小さな蒸気機関みたいですね。むしろ無火機関車というべきかもしれません。で、年々蒸気の漏れが酷くなっている、と。

 ところで、前回の記事「渡道顛末記拾遺 川部駅の跨線橋は19世紀生まれの古レール」は存外反響があったようで、ここ一週間ブログを放置しているにもかかわらず来訪者がさほど減っていないのはそれも一因のようです。アクセス解析を見直したところ、速水螺旋人先生のツイッターに捕捉されていたようで、ありがたい限りです。古レールは対戦車障害物にも使えそうですし。

 で、速水螺旋人先生といえば今月発売の『月刊COMICリュウ』で漫画「靴ずれ戦線 魔女ワーシェンカの戦争」の連載が始まるそうで(「螺子の囁き」は発展的解消)、あまつさえ表紙に速水先生がT34/76を描いているという始末で、元々どっか「特異」な戦記漫画を複数掲載している雑誌でしたが、まさに魔女の大釜状態です。しかし気力が萎えていると漫画すら読む気力が起こらず、表紙だけ見て未だ読んでいないのは情けない限り。ちなみに、速水先生が表紙について「鎌とハンマーはロゴで隠れちゃってるぞ」と仰ってますが、アマゾンの画像でも分かるように、ロゴが半透明になっていて、一応鎌トンカチが分かるように配慮はされています。もっとも過去の号を調べると、表紙イラストがロゴと干渉する場合、ロゴを枠だけにした例(今年7月号など)もあり、また半透明にした場合はもっと透過率が高い(昨年3月号など)事例が多いようで、この中途半端な鎌トンカチの隠蔽ぶりに『リュウ』編集部の反動的日和見主義が露呈しているなどと、批判キャンペーンをする気力はもとよりあろう筈もありません。
 冗談の分からない人がいると困るので念のために書いておきますが、以上の文章は速水螺旋人新連載万歳記事を書こうとしたものの、心身の不調により挫折しただけで、もとより赤旗でも振って喜ぶべき事態であります。

 閑話休題、「川部駅の跨線橋」記事について、あとで写真を見返していて補足すべきことがあることに気がつきましたので、以下に補遺を書いておきます。
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再掲・川部駅の跨線橋
(この写真はクリックすると拡大表示します)


(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-10-30 20:54 | 鉄道(歴史方面) | Trackback | Comments(0)

アサミ・マート『木造迷宮』4巻・別館 略感


←アサミ・マート


 1巻(正確には巻数表記がありませんが)そして2巻と当ブログで過去に感想を書いて(おそらくは他の誰もが考えないような茶々を入れつつ)参りました、一軒家で「三文作家」の独り者のおっさん(ダンナさん)と割烹着姿の女中さん(ヤイさん)とが暮らす日常を描いた、アサミ・マート『木造迷宮』シリーズですが、順調に読者を増やしていったのか、4巻に加えて別巻ならぬ「別館」まで発売になりました。・・・ん、そういえば3巻は今年の3月に出ていたんですね。小生も買ってはいたけれど、秋葉原で統一協会に出くわした一件とかにブログの内容が取られていたりして、感想を書くのを逸したと思われます。
 もっとも感想を書かなかったのは、3巻はヤイさんの過去篇という大きな山はありましたが、シリーズとしては順調に前からのコースを進んでいる感でした(決してマンネリって意味ではなく、読んでほっと出来るということです)ので、新たに何か書こうと強く思わなかったからかもしれません。その点、今回は2冊出ているし、傾向としてもイレギュラーなところがあるので、簡単に一筆しておきたいと思います。

 今回2冊同時発売になったうち、4巻の大部分は『月刊COMICリュウ』連載分ですが、4巻には『木造迷宮』のプロトタイプになったという掌編「ネコとコロッケ」が収録されています。2000年の作品だそうで、絵のタッチが今と結構違っていますが、ダンナさんとヤイさんの基本的な設定は本編と共通しているようです。で、プロトタイプとしてもっとも大きな本編との違いは、ヤイさんの大きな「訳あり」設定です。
 それが何かは本書をお読みいただくとして、僅か8ページの短編ですからその「訳あり」については何も説明はなく、しかしそれがじっくり余韻をもたらす、なかなかの一篇です。でもアサミ・マート氏は、この「訳あり」設定を当初本編に盛り込もうとされていたそうで・・・結果的にはそうでなくて良かったといえそうですが、当初アサミ・マート氏が考えていたことと、『リュウ』で『木造迷宮』を読んだ読者の求めていた世界との間に、微妙な差があったところが面白くもあります。

 『別館』ですが、こっちはアサミ・マート氏が同人誌で発表していた方の『木造迷宮』です。同人まで手を出すことが滅多にない小生も、アサミ・マート氏の同人誌は数点入手していましたが、さすがに全部集めるのはいろいろ大変なので、このような形でまとめられたことは大変嬉しく思います。
 で、こっちの主人公の女中さん・百目さんは、表紙の絵の通りヤイさんとはいろいろ対照的です。家事の手腕に独り者のダンナさん(こっちはロボット研究所の所長らしい)こそ共通していても、見た目の違いに加えて、ダンナさんをダンナさんとも思わぬ尻への敷っぷり(そして嬉々として敷かれまくっているダンナさん)、一升瓶を抱え込む酒豪(ダンナさんは飲めません)、街の流通の七割を支配する闇の勢力?も震え上がる戦闘力などなど。でもいつも無愛想なようでいて、時折見せる異なった表情が可愛らしいのです。あ、でも、激怒した時の表情は怖いですね、歯がサメみたいになってます(笑)。
 日常のほんわかした情景を描く「ヤイさん」の方と比べると、こっちは結構ドタバタコメディ色もあって、本編とはまた違った楽しさがあります。そして『リュウ』に掲載された、百目さんとヤイさんの夢の(二重の意味で)共演の一話も『別館』に収録されています。両者の対照的なところと共通したところとが同時に味わえる一篇ですが、今後もこういうお話は描かれるのかな?

 まとめて考えると、「訳あり」ヤイさんとか百目さんのような割と変化球なキャラクターではなく、ど直球というべき(本編の)ヤイさんで『木造迷宮』が『リュウ』誌上に掲載されはじめたことは、読者を広げる上でやはり良かったのではないかと思います。ま、女中はともかく「メイド」方面じゃあらゆる意味で「変化球」が「本流」ということになっておりますが(笑)、女中さんの世界は本作のお陰でそうならなかったことは慶賀の至り・・・といっていいのか、まあ個人的感興ではそう思います。
 で、今回4巻では、ページのざっと三分の一が、ヤイさんが学校に迷い込んで(?)セーラー服姿で大活躍(ブルマもあるよ! ちょうちんだけど)、という、ダンナさんがろくすっぽ登場しない、いわば「色物」に割かれていますが、今まで直球で積み重ねてきたものがあるからこそ、ありがちな「萌え」でない味わいがあるのだと思います。そうなると、むしろここで百目さんが登場したりプロトタイプが公開されることは、作品の世界をより豊かにしても、しっちゃかめっちゃかにする心配はないわけですね。
 4巻と別館の巻末を見ると、気の早いことに5巻が「来春発売」などと告知されてますが、この調子で本道を着々、でも時々道草しながら、今後もお話が続くことを期待します。アニメ化もあるかも?

 と、ここまでアサミ・マート氏と『リュウ』編集部が展開してきた作品群を賞賛して参りましたが、それだけで終わる当ブログではありません。スッポンのように執念深く、例の疑問点をも追求し続けます。
 その疑問点とは何か。
 それは当ブログの1巻(当時は巻数表記はなかったんですが)の感想記事「アサミ・マート『木造迷宮』~建築学的にこれってあるの???」の中で述べた、ダンナさんとヤイさんが暮らす家の間取り図の矛盾です。1階と2階で通し柱が立てられそうにもない謎の構造、あり得ないほど広い廊下や階段。大体漫画本編とも矛盾してるんじゃないかと。
 そのことを小生、当ブログ上で1巻発売時に指摘しましたが、2巻になってもなお改善は見られませんでした。ところがそれが、多少の変化が見られたのです。
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『木造迷宮』4巻目次ページの間取り図

 1巻の間取り図とご比較下さい。共にスキャナを使っていないのでお見苦しい点はご容赦を。
 で、どこが変わったかといいますと、図に赤で示した箇所ですが、まず2階の無駄な廊下が廃止され、その分部屋が広くなりました(この廊下については該記事コメント欄でも「やたら不自然に見える」との声がありましたが、さすがに編集部も同様に思ったようです)。ヤイさんが日曜大工で広げたのか(百目さんならやりそう)、不動産屋のサエコさんが業者を入れたのか?
 もう一つは1階の玄関周りで、「ゲタ箱」だった箇所が多少仕切り幅を変化させて「納戸」になっています。確かにあんな奥行きの深い(畳の大きさから見て1.5mはある)下駄箱はなさそうですね。

 しかし、しかし。肝腎の1階と2階の柱の位置がずれているとか、縁側が家の中にあるとか、廊下・階段の幅などの点は今なお変わっておりません。これは5巻発売までに、あるべき間取り図を作成して編集部に送りつけるしかないのか。
 なお一つ補足しておくと、この2点の変化は、実は3巻の時に既に起こっています。3巻の間取り図と4巻の間取り図は基本的に同じですが、4巻の間取り図では階段の途中に小さな字で(上の図では潰れて読めません。すみません)「家事百景」とありますが、意味はよく分かりません。おまけイラストの「家事百景」とも特に関係なさそうだし・・・?
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by bokukoui | 2010-10-14 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(3)

『COMICリュウ』附録『リュウH』雑感及び性的表現に関し思いつき

※本記事は7月末日掲載予定で書き始められたものが、7月後半よりの心身ともの不調で延引し、それでも何とか8月末の時点(こちらの記事を完成させた直後)でほぼ完成するところまで書き進められておりましたのが、あと少しというところでまたダウンしてしまい、その後さらに一月以上を経て多少の加筆修正を施し、漸くアップするに至りました。しかし8月末現在として書いた部分を直すのも面倒ですし、そもそも時事的な流れにはすっかり取り残されてしまっている記事を今更10月の日付で掲載するのも何なので、この日付の記事ということにしてあります。この間の経緯はこちら及びこちらの記事にあるとおりです。何卒ご諒承下さい。


 とうとう予定の半分も片付かぬまま、8月も終わろうとしております。暑さもあって何もかも億劫になっていた我が身の不徳の致すところではありますが。
 で、ブログの方も予定している記事は幾つもあるのですが、大幅に積み残しております。そのような不良債権的記事中でも最も問題だったのが、先月20日のロフトプラスワンのイベント月刊『創』主催の「マンガの性表現規制問題徹底討論」のレポでした(苦笑)。前篇はともかく、後篇「続レポ・『マンガの性表現規制問題徹底討論』および雑感」はイベント3日後に途中まで書いてアップしたまではまあいいとして、その後1ヶ月以上放置しておりました。
 が、やっとこさ数日前に、今更ですが、完成させておきましたので、奇特な方はどうかご参照下さい。該記事の末尾に書きましたように、動画中継やツイッターなどのある昨今にまとめでもあるまいかと思って途中で書く気力を喪失していたのが直接の理由でしたが(反響もなかったし)、少し時間をおいて考え直すことにも多少の価値はなからんかと思い、レポを纏めておいた次第です。しかし、例によって例の如くというか、時間が経って考え直せば考えは拡散して纏まるはずもなく、結局レポまとめの落ち穂拾いとして本記事を書いておくこととしました。

f0030574_2535158.jpg で、それはそれとして、これまたブログに書くのを積み残して翌月の号まで発売されてしまいましたが、『月刊COMICリュウ』2010年9月号(7月発売)の附録冊子『リュウH』について一筆をば。左の表紙画像の画質がいまいちなのはスキャナがないものでご寛恕ください。公式サイトとかにも表紙が掲載されてないんで・・・

 この附録冊子は、『リュウ』本誌連載作品の中から4作品を選んで、「エッチ度200%アップ」な番外編としたものだそうです。以前に「『リュウ』編集部はえっちな漫画を出してみたかったんじゃないか」だとか『裏・COMICリュウ』とでも題して、今の連載陣でエロマンガ雑誌を出したらどうかなどと半分冗談で書いておりましたが、本当になって嬉しいというか正直びっくりしました(笑)。
 で、連載陣の中から『リュウH』に選ばれた栄えある? 作品は以下の通り(掲載順)。

 ・いけ「ねこむすめ道草日記」
 ・ナヲコ「なずなのねいろ」
 ・天蓬元帥「ちょいあ!」
 ・アサミ・マート「木造迷宮」


 それにしても、今にして後悔しているのは、上に挙げた「マンガの性表現規制問題徹底討論」のイベントの前に、これを読んでいかなかったことです。買ってはいたんですけど、例の如く読んだのは月も改まってだいぶ経ってのことでした。読んでいれば、大野修一『リュウ』編集長にいろいろ問い質したんだけどなあ(笑)。このイベントの日、(あんな質問をしておいて)終了後大野編集長に『非実在青少年読本』にサインして貰いました。そのついでに多少お話をさせて貰ったのですが、『リュウH』を読んでいれば作家のセレクションの理由とか、『リュウ』の今後のH方面の展開構想とか聞けば良かったのに、と後悔している次第です。
 その際のことは、一月以上経っているので、細かいことはあやふやになってしまっていますが、安永航一郎『青空にとおく酒浸り』の単行本がなかなか出ず、今でも3巻までしか出ていない(5巻は出せるはず)のは、安永先生にその気がないから(たまたまそうでもなかった時期に、単行本企画を進めたそうです)であって、雑誌を買わせようという編集部の陰謀ではないそうです。安永先生のさる旧作が最終巻が出ないまま数年経っているのは編集部となにやらあったためらしいですが、『リュウ』編集部はそんなことは現状ないようなので、読者は瀬戸内海の西の方に「単行本だせ~」と電波を送りながら気長に待つとしましょう。
 なお、『非実在青少年読本』について大野編集長がインタビューを受けている記事(の転載)を発見しましたので、以下にご紹介しておきます。
 大野編集長からは、短い時間のお話でしたがいろいろな企画を立てて『リュウ』を盛り上げていこうという熱意が感じられ(押井監督の本は売れたので続篇を出すとか、プラモ関係の企画とか)、最近は長期連載作品がいくつか完結を迎えたりもしていますが、今後ともいろいろ展開していくようです。『リュウH』も、『非実在青少年読本』にとどまらず、実際にマンガで非実在青少年の「H」なものを実践しようという試みなのかも知れません(そういえば、『非実在青少年読本』のアンケートに答えているマンガ家や作家には『リュウ』関係者が十数名もいるのですが、『リュウH』の執筆者とは一人も重なっていないんですよね)。
 あ、そうそう、ナヲコ先生の担当編集者は大野編集長ご自身だそうで、・・・ということは『なずなのねいろ』1巻や『からだのきもち』巻末あとがきマンガに出てくる編集者って、大野編集長だったんですね。ナヲコ先生の描いた大野編集長像を、『とりから往復書簡』での大野編集長の描かれ方と比べると、なかなか楽しめます(笑)

 というわけで話を戻しまして、『リュウH』の掲載作選びの基準は不明ですが、ナヲコ先生の登板はまずもって順当ですね。他の方の作歴はよく存じませんが、商業誌で成年コミック描いていたのはナヲコ先生だけ・・・でいいよね?
 で、高校生青春三味線マンガがどう「H」になるのか? 三味線とエロといえば小生がまず思いつくのは、中島らも「寝ずの番III」です。「寝ずの番」は映画化されてまして、予告編はネット上で見ることが出来ます(リンク先はいきなり音声が出るので注意)が、この中で堺正章や中井貴一などが演っている、こんなのを三味線部のみんなで歌うってのは・・・違いますかそれ。確かに津軽三味線と今里新地の芸者の三味線はそりゃ違・・・以前の問題ですね、はい。
 閑話休題、「なずなのねいろ」の『リュウH』版とは、花梨さんと眞さんの二人のお話でした。本編で既にただならぬ関係であったことがそれとなく描かれていた二人の関係が、過去に遡って描かれます。親族関係としては姪と叔父が、三味線の弟子としては先輩(兄弟子ならぬ姉弟子?)と後輩、という捻れた関係だった二人が、眞さんが三味線を捨ててギターに持ち替えたことをきっかけに、一線を越えていくのですが・・・花梨さんの表情が素晴らしいですね。
 そして、本作は12ページの短編ですが(最近は「なずな」の連載は毎月12ページなんですが)、この後ろにあと4ページ「然るべき」続きを描き足せば、その昔の『COMICアリス倶楽部』なんかの掲載作同様に・・・と前世紀以来の読者である小生はつい思ってしまいましたが、それだけ誌面に直接描かれていなくても、余白に感じさせるものがあるわけで、それこそはナヲコ先生の特長であると思います。

 他の作品について簡単に触れておくと、いけ「ねこむすめ道草日記」はスケベな河童が盗撮を試みる話ですが、むしろいつもの「道草日記」と同じく楽しいのどかなお話であっても、そんな「H」ってわけでもないと思います。天蓬元帥「ちょいあ!」は・・・こういう即物的なハダカの描写は中学生が好きなんじゃないでしょうか、こういうのは。アサミ・マート「木造迷宮」は4ページの掌編で、ヤイさんが行水中わんこにじゃれつかれてどうこう、というたわいない話ですが、ヤイさんのおみあしの描写に力があり、特に足の裏がなかなか。大谷崎を彷彿・・・ってのは流石に褒めすぎか(この号の『リュウ』本誌の4コマに谷崎が登場してたなあ)。
 というわけで、「H」といっても4作品は異なっていて、そこらへんが大野編集長の狙いでもあったのかなあと思います。とはいえこの4作品を比較すると、ナヲコ先生の作品の「H」さはかなり性格が異なっているように感じられます。先にも書きましたが、直接的に脱いでるとかはだけてるとか、そういう描写は「なずな」にはないんですけど、読者の心の中に想起されるものが圧倒的に「H」だってことです。
 もっともそれだけに、一見してはその意味がわからず、ネット上では『リュウH』のレビューで「なずな」を「エッチじゃない」などと書いている輩もいたりするわけですが・・・まあ本編の文脈にも多少依存している以上、そういう感想が出るのもしょうがない、かな・・・しかし即物的な描写ばかりに目を奪われるのも、ちょっと寂しい気もします。
 で、そんなナヲコ先生の特長(もちろん直接的描写もその気になればすごいことは、『Sweet Sweet Sister』読者ならご存じでしょうが)を発揮した本作について、作者ご自身がツイッターでご感想を述懐しておられましたので、以下に引用紹介しておきます。

つくづくおきらくHが描けないらしい…。←リュウHを見ながら
3:30 PM Jul 20th webから

 決してそうではないと思いますが、そうと仮定したところで、それは作者の個性として特長と捉えればよいものと愚考します。

 さて、以上マンガと「H」、つまり性的描写の話をして参りまして、またこれまでにも東京都条例案の「非実在青少年」問題に関連するなどして、この種の話題を当ブログでいくつも扱ってきましたが、それについて今まで書き漏らしたようなことを少し補足しておきたいと思います(大まかには今まで書いたことと重なっていると思いますが)。この問題に即していえば、ナヲコ先生の作品は、直接的描写は一見おとなしくても、含むものが別個あるところに、性を描写することの面白さや奥深さ、表面的な規制では掴みきれない何かが存在していることを示唆するようにも思います。
 それはともかく、以下は纏まらぬ思いつきの雑彙なのでお暇な方だけどうぞ。

(纏まらぬ思いつきの雑彙なのでお暇な方だけどうぞ)
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by bokukoui | 2010-08-31 23:59 | 漫画 | Trackback | Comments(2)

続レポ・「マンガの性表現規制問題徹底討論」および雑感

 存外に長くなって、更新にも時間がかかっておりますが(追記:完成したのが当初アップしてから1ヶ月以上もかかって済みません)、「レポ・月刊『創』プレゼンツ『マンガの性表現規制問題徹底討論』」の続きです。

 承前の記事で述べたころまでに既に22時を回っており、ここで会場から質問や発言を募ることとなりました。実際の応答では質問の内容が幅広い場合後回しにして他の質問と応答を先にした場合もありましたが、以下のレポでは個々の質問や意見・それへのパネラーの発言を、適宜編集して個別に対応した形で書こうと思います。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-07-23 17:53 | 漫画 | Trackback | Comments(2)

雑感 COMICリュウ編集部編『非実在青少年読本』(徳間書店)


COMICリュウ編集部編
 最近話題になっている東京都青少年健全育成条例の改正問題、「非実在青少年」と称してマンガなどの表現を不当に取り締まる恐れのある条文が提案された件(本件については当ブログの過去記事でもいくつか紹介しました)に関して、先日当ブログでも報じましたが、左のような書物が徳間書店の『月刊COMICリュウ』編集部によって編まれました。小生は以前より『リュウ』誌を愛読しており、また青少年健全育成条例などの問題にも多少の関心を持っている者としては、やはり本書は手元に置かねばと思い、先月31日の発売日に入手しました。
 で、同書を一読しましたので、以下に簡単な感想を述べておきます。なお、今検索した時点では、他に同書の感想はまだ上がっていないようですが、サイト「天使行路」さんが編集部に同書について問い合わせをされた記事「非実在青少年読本の版元に聞いてみました」がアップされております。参考になるところの多い記事ですので、リンクしてご関心のある方の参照を乞う次第です。

(続きは以下に)
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by bokukoui | 2010-06-02 13:50 | 書物 | Trackback | Comments(2)