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マスコミに批判され抗議を受けて回収・絶版になったゲームの話

 昨日の記事に記したような、性的な表現やオタク文化と表現規制の問題が最近盛り上がっているのは、もちろん直接には「児童ポルノ法」の改正について国会で審議が行われるからですが、その少し前に日本の18禁のゲームが何故かイギリスの議会で糾弾されるという事件があり、それを日本の新聞が報道して、話題になったというのがありました。この件について小生は、ちょうど籠もっていた時期でしたので碌々知らないので、それについてどうこう評論することは出来ませんし今さら意味もありません。
 ですので、真剣な議論よりも混ぜっ返しの雑談ですが、今日の日付を見て思い出したことがあったので、ちょいと一筆。基本的に聞いた話を記憶に頼って書いているので、正確さはあまり保証できません。その程度のものとお考え下さい。

(どうでもいい話なので以下に)
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by bokukoui | 2009-06-25 23:59 | 思い付き | Comments(2)

オタクと公務員 カマヤン氏のご意見に関連して&書記長向け新デモ案

 咳が止まらないわ頭は痛いわそれでも締切は来るわと、小生がじたばたと日々を送っております間、世間ではいろいろなことが話題に上っていたようであります。

 さて、論文とお仕事を一区切りして昨日今日と見ていたネットの記事で、大変興味深いものがありましたので以下にそれについて一筆。
 それは、マンガ家にして運動家のご存じカマヤン先生のブログの、ちょっと遡りますが19日付の記事です。

 「我々に足りないものは・・・」

 この記事は、いわゆる「児童ポルノ法」の改訂が、本来の趣旨である児童の人権保護から、関係の乏しいマンガなど実写でないものの表現規制へ逸脱することへの反対運動について、カマヤン先生がそのご経験について振り返ったもので、全部で12項目の箇条書きからなっています。
 そのうち前半の7までは、運動の経験について語られていますが、8以降はそれらの経験に徴して「オタクを官僚として官庁に送り込むべき」という主張をされています。幾つかの項目を引用します。強調は原文の通り。
8;官庁に入省入庁できる能力のあるオタクも一定数いる。だがオタクは、とくに有能優秀なオタクは自滅願望がたいがい強く、入省入庁の能力を持っていてもわざわざ権威のないライターなどになりたがる傾向がある。だから我々はここから先、「運動」を継続発展させるために、入省入庁能力のあるオタクをそそのかし、省庁へオタクを送り込むべきである。省庁内にオタク同志が一定数増えなくてはここから先のマンガ規制反対活動・表現規制反対活動は展開が難しい。たとえば文化庁、経済産業省などに同志を送り込みたいところだ。

9;有能優秀なオタクは自滅願望が強く、自滅願望が強いがゆえにオタクである。よって、我々は有能優秀なオタクを、「省庁に入省入庁し、オタク業界全体のために犠牲になってほしい」と、彼のマゾヒズムを最大限に煽るべきである。たとえば東大生であるオタクは一定数実在する。有名大学の法学部のオタクは一定数存在する。彼らに入省入庁を「オタク界全体の捨石となってくれ」と薦めるべきである。「内部から変えると言って成功した例はない、単に自分ひとりの生活の安定と栄誉のためにオタクを裏切りやがったんだ」という陰口悪口を彼らは必ず言われる、だがオタク界全体のためにそこをどうにか耐えてほしい、と、彼らのマゾヒズムを煽るべきである。また実際に我々の敵並びやっかみ以外の何もできないバカ野郎がそう誹謗するだろうが、誹謗した時には我らのために身を挺して入省入庁した同志を程よく擁護するべきである。同志のナルシシズムを刺激するために。

10;官庁においてオタクの数は少ない。よって入省入庁が無事できれば、オタク関係の行政はそのオタク同志がほぼ一手に扱うことができる。このオタク同志はオタク同志としてのアイデンティティが強く、「官僚なんかよりもライターに本当はなりたかった」という自滅願望を抱えている限り、官僚的出世よりもオタク界全体のための行政に身を粉にして奮闘してくださるはずである。ついでに言うと、日本においては、日本以外でもそうなのだが、官僚が同時にライターをなしている例は多く、歴史に名を残している文筆家の多くは官僚を兼業している。官僚であることはライターであることにプラスこそあれ、実は何の妨げにもならない。また文筆家として大成したいことがその願望の最たるところである場合、いつでも官僚を辞職し、文筆一本で立つこともできる。あからさまに言われることはほとんどないが、日本においては、官僚出身である文筆家と、非官僚出身文筆家との間には、出版業界ならびに社会からの扱いにおいて、物凄い開きがある。文筆家として後世名を残すために官僚となることは実はたいへんに有効有益だ。
 なるほど、なるほど。
 さて、このようなお題であれば当然発言を期待されるであろう、そしてカマヤン先生も期待していたであろうネット上の著名人といえば東大アニ研出身のオタク評論家・イラストレーターの有村悠氏に他ならないでしょうが、有村氏はご多忙なのかご関心があまりないのか、カマヤン先生の呼びかけに「はてなブックマーク」で短く答えられたのみですので、呼ばれてもいないのに小生が勝手に一筆。

 「オタク」の勢力を増したい時には数に算入され、そうでないときは無視される鉄道趣味者の世界では、鉄道が大好きで、運輸省に入って、文筆家としても名をなした、といえば私鉄史研究の大御所である和久田康雄氏のお名前が浮かぶわけで、「先例」がないわけではありません。しかし、官僚とは組織で仕事をすることが他の仕事に較べても重要ですから、官僚個人が政策に大きな影響を及ぼせるわけではないでしょう。
 和久田氏の場合でも、九州赴任時に西鉄の福岡市内線廃止と地下鉄建設が都市交通審議会で答申され、欧州のように折角の路面電車を改良して生かす方法(最近話題のLRTの先駆的手法)を取ればいいのに、と個人では思いつつも、市民集会で答申の内容を弁護することになってしまって「あまり楽しいことではなかった」(『私鉄史探訪60年』マイロネBOOKS p.178)ということもあったそうです。

 途中まで書いて数年間ほったらかしの「東京大学オタク物語」に記した如く、官僚を輩出するような学校は元々オタクが比較的多いところと思います。ですから既に、それなりの人数のオタクが各官庁に浸透しているものと思われます。今も活動されているのか存じませんが、90年代にはNHK狂育というサークルが『霞ヶ関グルグル』なんて官僚内幕同人誌なんぞ作っていたことがあったくらいで。※追記:検索したところ、今でも活動されているようです。
 小生の知っている範囲でも、官舎で「ふにふに抱き枕」の類と同衾している国家一種官僚が複数いましたし、またお役所からいただいたボーナスを、コミケで『マリみて』同人誌に大部分突っ込んでいた人とかも知っていますが、既にブックマークでも指摘されている通り、別段それが政策に結びつくわけではないですし、趣味をおおっぴらにしているよりも、仕事と趣味の区別はうまくつけているのだろうと思います。何より官僚組織とはチームプレイで仕事をするところでしょうし。

 「有能優秀なオタク」に自滅願望が強いのかどうかは小生には判断しかねますが、そうなのであればカマヤン先生の仰るような展開もある程度望めるかも知れません。しかし、むしろ逆に、オタクとして自分は抑圧されてきたという意識が強すぎる場合、反動として出世願望というか権威主義というか、そういうのに取り付かれて役所という権威を目指すという事例もあります。そのような場合は、有村氏の指摘されるが如く「ネット右翼」的というか、少なくとも表現規制反対といった考えとは距離のありそうな、そのような役人になってしまうかも知れません。
 急いで付言しておけば、お役所もさすがに、そのような抑圧の反動としての権威主義に取り付かれたような人物は、大概面接でふるいにかけているようです。小生の高校の同窓生で官僚になられた方々を思い浮かべても、やはり優秀な方が多いと思います。そりゃ中には、同窓生が集まると「あいつはまだ汚職で捕まってないのか」といわれる人もいますが。

 ですので、役所に人材を送り込んでも、直接的な効果を過大に見積もることは出来ません。しかし組織で仕事をする役所ですから、組織の一系統に浸透するほど、上から下までオタク文化に理解のある人が一通り配置されれば、組織として理解ある方向に動きうるかも知れません。
 そして、実はこれまで着実に、オタク的素養を持つ人材は送り込まれてきているのです。ですからいつかその日が・・・? でもそうなったらなったで、省庁間の縄張り争いになったりして。
 とまれ、そうなるとますます日本のオタクの未来は、官僚とオタクの揺籃の地としての灘と開成のアニ研・漫研などが握っていることになりそうな・・・大学は大きすぎて、同じ大学を同じ年に出た程度ではなかなか人的ネットワークになりづらいところがありますので(慶應は違うのか?)。

 さて、そんなカマヤン先生のブログの22日付の記事「「人権」対「表現の自由」という偽の図式」では、「革命的非モテ同盟」古澤克大書記長に対し以下のような呼びかけがされています。
古澤克大書記長にはそのスキルを恃み、「国会前コスプレなんちゃってデモ」開催を期待したいところであります。「オタク=犯罪者」という宣伝戦が規制派から議員に対し繰り返し行われています。この宣伝戦を腰砕けにするための示威活動はあってしかるべきだと私は考えます。議事堂前・議員会館前の歩道は、慣例的に政治主張する場として黙認されています。そこにおいて、20人程度の、もっと多くても当然かまいませんが、「笑える」「ユーモアを非オタクにも感じさせる」コスプレ集団が「表現規制反対」「アニメーターの生活向上を」と、数日、アニソンなどを歌いつつ(つまり存在として無害であることを暗に示しつつ)議員関係者の目に触れることは政治的にたいへん有意義であります。ぜひ検討を願いたいところであります。公安やらが発狂すること請け合いですが、これは意義があります。
 この呼びかけについて「月よお前が悪いから」のartane氏が同日付「一年早かったのかもしれない」「(無題)」「d:id:furukatsu氏への公開の呼びかけ」の一連の記事で共同の用意がある旨を発言しておられます。

 カマヤン先生に認められるとは、書記長も出世したなあと羨ましく思うことしきりですが、これらの呼びかけに対する書記長の返答はあまり明確ではありません。22日付「我々は断固として表現を守り抜く」は、時系列的には呼びかけへの直接の返答ではないでしょうが、具体性に欠けるといわざるを得ませんし、23日付「id:artane氏へ」の内容も共同に前向きとは思われません。もちろん、当ブログでも詳細に報じた「アキハバラ解放デモ」関係(「革非同・古澤克大(フルカツ=furukatsu)書記長観察記」のタグをクリックされたし)の事後処理問題は尚意味あることですが、それだけに簡単にはできないことかも知れませんが。
 ですが、コスプレ大好きなはずの古澤書記長(コスプレキャバクラに通い詰めて借金作ったほど)が、カマヤン先生の呼びかけに対し反応が鈍い最大の要因は、うまうまと地方公務員になりおおせた書記長自身の本質的に有する「小役人」根性だろうと思います。

 とはいえ、カマヤン先生のご提案された「国会前コスプレなんちゃってデモ」ですが、面白そうとは思いましたが、どんな形であれアニメやマンガのコスプレであった場合、公安や多くの議員の方にとっては理解不能な、訳が分からず気持ちの悪いものとしてスルーされてしまう懸念もまた大きいと思われます。うまくやれば一般人に「無害」をアピールすることは出来そうですが。
 で、ここで小生がハタと思いついた一案は、少なくとも公安や「お堅い」保守的な人に対して一定の効果が期待できそうな、そして書記長の人脈が生かせそうな、そんなコスプレ? 的なデモの方法です。

 それは、自衛官を集めてデモをするというものです。

 現職の場合は法的な問題が懸念されますが、元自衛官・予備自衛官であれば問題はないものと思われます。予備自とデモに関しては、「アキハバラ解放デモ」後に元自衛官である書記長がクリスマス粉砕デモを打った際、「予備自衛官がそんなことをするとはけしからん、自衛隊内の然るべき筋に通告する」と主張した、これは現職の自衛官の方がいたというような話があり、その際に書記長周辺が調べた範囲では法的な問題はないはずという結論になっていました。小生も今、法律の専門家に電話して聞いてみましたが、よほどのことがない限り問題にならないと思われる旨でした。ちなみにその現職自衛官の方々は書記長デモを監視に来たそうで、その監視姿を怪しんだ公安に職質されたとか何とか。
 公的セクターの中で、自衛隊はオタクの浸透率の高さでは恐らく最高ではないかと思います。元自衛官のさる方に聞いた話では、自衛隊員は体育会系・オタク・その他に分類されるくらい、オタクが目に付くです。このブログでも以前、隊内で美少女ゲームが流行した結果「うぐぅ小隊」なる渾名が付いた部隊があったという話を書きましたし、別な筋から聞いた話では、砲兵隊の演習時に観測将校が、弾着が大幅にずれている旨を砲兵に電話で連絡したら(註:用語が旧軍ですが、自衛隊用語はよく知らんので、そのようなものと解釈して下さい)、電話口の返事が

 「え~、ぶっちゃけありえな~い!」

 だったとか。これだけプリティでキュアキュアな自衛隊の関係者であれば、デモの趣旨に賛同してくれる人もいるでしょう。現職の場合は確かに政治的行動は困難ですが、元ならば問題はないでしょうし、うまいことに自衛隊は組織の性格上、年齢の若い「元」が大勢いるわけです。
 で、作業服を着て分列行進でもやればいいのではないでしょうか。「保守的」な人に対して、より大きな効果を上げるものと思われます。そして次の日には、全然違う格好で現れると、公安もますます混乱することでしょう。左寄りの人たちは困惑するかも知れませんが。

 ちなみに、日本の政治的街頭行動の歴史を振り返りますと、大正年間の確か川崎造船所の労働争議だったかと思いますが、鎮圧に憲兵隊が出動したところ、それに憤慨した労働者たちが軍服を着用し(戦前ですから徴兵経験者が大勢います)、憲兵隊に対し自分たちも国家の一員なのだと主張して立ち向かったという話があります。これは確か、竹村民郎『大正文化帝国のユートピア』に書いてあったと思いますが、現物を図書館に返却してしまったので細かいデータを確認できていません。
 とまれ、市民の運動を考える上では、案外この方法はオーソドックスともいえるのであります。

 読み返すと、我ながら例によってまとまりのない文ではありますが、一応まとめてみるとこんな感じでしょうか。
・カマヤン先生ご提案の、オタクの官僚化はある程度進んでおり、将来オタクへのシンパシーが生まれる可能性はあるが、過大な期待はすべきでない。
・現在の公的機関中、構成員に占めるオタクの比率が最も高いのは恐らく自衛隊であり、手っ取り早くアクションするなら「元」の人は誘えるかも知れない。

※追記(2009.6.25.):一つ書き忘れていましたが、もし(元)自衛隊員表現規制反対デモをするならば、そのスローガンとしては以下のようなものが考えられます。
「自衛隊は災害救助に際し、思想信条で区別などしないし、してはならない。万一の有事の際も同様である。脳内の思想嗜好がどうあれ、差別をしないことが我々の死守すべき原則である。それに反するような法制度には賛同しがたい」
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by bokukoui | 2009-06-24 23:15 | 思い付き | Comments(10)

永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント 私的感想

 もうすっかり肝心のイベントから時間が経ってしまい、その間に栗本薫氏が亡くなるという衝撃的な出来事まで起こってしまいましたが、本記事は「『マンガ論争勃発2』発売記念!! 昼間たかし東大入学お祝いイベント 永山薫vs昼間たかし これが現実だ!と、言われても・・・」のレポート記事、

・永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(1)
・永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(2)

 のまとめ、個人的感想です。

 レポとは速報性をもって価値とすべきなのに、今さらあんまり意味はない気もしますが、ただ今から感想を書くとすると一ついいことがあって、それは既に出た感想や意見を参照することが可能だということです。この記事では、このイベントに関する批判的な意見を手がかりに、このイベントから読み取れるであろうこと、昼間たかし氏の東大進学の展望などについて、雑駁ながら多少の感想を述べたいと思います。

 ではまず、このイベントに関するネット上の意見で、特に注目すべきと小生が考えたものを以下にご紹介します。

・マガジンひとり
 「イベント『マンガ論争勃発 - 永山薫vs昼間たかし これが現実だ!と、言われても…』」


 こちらはレポの方で既に紹介したもので、イベントに実際に来られた方のご意見です。

・Economics Lovers Live
 「近刊:『マンガ論争勃発2』とぬるさ」
 「いかなくてよかった」


 こちらは、『マンガ論争勃発2』でインタビューを受けた、田中秀臣氏(上武大学教授)のブログです。「近刊~」はイベントの前、本が出る時の記事で、「いかなくて~」はイベントについての指摘(来られたわけではない)です。このイベントに登場された塩山芳明氏が、『マンガ論争勃発2』を読んだ感想を「日刊漫画屋無駄話」の「其の2669」(2009.5.18.付)に書かれていますが、その中で「圧巻は田中秀臣(上武大学教授)。この人だけで30ページは読みたかった」と評していた、その田中氏です。

 これらの批判を要約すれば、このイベントが「ぬるく」て内輪向けで、議論を積極的に戦わせるようなものではなかった、田中氏はそれ以前に、『マンガ論争勃発2』自体
 なんか、ぬるいね。やはり論争本というよりも、事実上、論争の骨抜きというかどく抜きになってしまってないか? マンガ業界の縁辺のインサイダーだけでぬるくやりたいんなら論争本の体裁はいらないでしょう。簡単にいうと時間の無駄。昼間さんは勉強会の必要性をブログで書いてもいるけれどもそういう話題につながるようなものにも思えない。昼間さんのこの書き方もなんか「勉強会やる意義あるけどいろいろ問題もありましょうからごにょごにょ」と書いているように思える。
 と批判されております。

 確かにこのイベントは、前半は特におもしろ話的な内容であって論争ではないし、またその話自体もマンガ好き向けの「内部」向けであったといえるでしょう。小生としては、イベントの最後で永山氏の発言の趣旨、表現が面白くなくては何も始まらない、その指摘に鑑みれば「おもしろ」な時間を設けること自体はむしろ良いのではないかと思いますが、しかし昼間氏がそこまで考えてこのイベントのプログラムを定められたのかどうかは存じません。
 田中氏は、『マンガ論争勃発』とか表題に書いておきながら論争になってない、そこが「ぬるい」と感じておられるのではないかと推察します。実際『マンガ論争勃発』シリーズは(小生は『2』をまだちゃんと読んでいないんですが)、「いろんな人の意見を聞く」と謳っていても、聞いた意見やどのように聞くかについて、論争の軸をきちんと設定しているわけではないですね。
 小生思うに、「マンガ論争」といった場合、表現規制の問題(これはマンガ←→マンガの「外部」という対比が大きいでしょう)と、マンガという産業というか文化行為というか、それ自体の直面している問題(これはマンガの「インサイダー」のことが中心になるでしょう)と、二つの大きな軸があるのに、『マンガ論争勃発』ではその区分があまり意識されていないところがあるのではないでしょうか。もともとは表現規制問題(「児童ポルノ法」問題)という、「外部」へ対抗するために「インサイダー」みんなでどうしようか、というのが「マンガ論争」の発端だったという印象があります。扱うべき対象を広げていったのに、対象を扱う意識がそれに応じて広がってきてはいない、という問題があるのだろうと思います。

 もっとも、小生は更にそれ以前の問題があるのだろう、とも思います。上のブログの引用で、田中氏は『マンガ論争勃発2』のようなスタイルでは論争にならない、昼間氏も「勉強会やろう」と書いてはいるようだけど、なんだか「ごにょごにょ」だし、と指摘されています。
 で、ここで勝手に昼間氏の「ごにょごにょ」を忖度するに、『マンガ論争勃発2』の「転換期に来た児ポ法改定反対運動 2008年の運動を総括する」で昼間氏が書かれている、「規制反対運動は非常に敷居の高い趣味の一ジャンルに変貌している」というあたりにその理由があるのだろうと思います。もっと有り体にいえば、人生いろいろと悩んでいるような、自らの性格に悩んでいるような、そんな人が"生き甲斐"を求めて来てしまい、運動自体が自己目的化してしまって、勉強も議論も成立しない状況に陥る場合があり得るということです。これは社会問題全般にありがちなことではあると思いますが(規制推進派も同様でしょう)。

 実際、規制反対運動の中で運動が半ば自己目的化したような運動参加者の行動によって、本来話を聞いて力を貸してもらうはずの一般の"マンガ好き"の一部の人に大変な不快感をもたらすような事態が生じてしまい、その事態の発生そのものには何ら責任のなかった昼間氏が、事態解決のため運動の真意について説明する羽目になっている、そんな状況を小生は一度目の当たりにしたことがあります。
 その際の昼間氏の説明は見事なものだったと思いますが(一応は事態を収められたし)、しかしこのような事態がまま発生しているのであれば、これまでのやり方では「手詰まり感」が出るのも当然でしょう。
 昼間氏は「マンガ論争勃発」のブログで、
・・・オタク分野は1970年代の勃興期以来、これまでジャーナリズムが存在しないまま成長してきた。ゆえに、表現の自由に関する問題でも理論が構築されていないことは、否めない。
 やはり、もっと大勢の人が精力的に学習し知識を貯えていくことは必要だろう。

 で、ここからは宣伝なのだが、先日、私が通っている東京大学大学院情報学環教育部の懇談会で、先生が話していたのだが、もっと東大生以外、他大生や社会人にも入学してもらいたいらしい。
 少々の出費と、時間を融通する気がある人は、ぜひ入学を。たぶん、東京大学の名を冠した教育機関の中では、かなり入学し易いはず。
 と書かれています。
 結局、ちゃんとした議論になっていないと田中氏に突っ込まれるも道理、議論以前の段階にとどまっているのではないか、と思われます。
 小生は最初、『マンガ論争勃発2』という題を聞いて奇異な感を少し受けました。「勃発」というのは、「戦争が勃発した」というように、起こっていない状態から起こった状態への変化を表す言葉なので、「勃発」が継続するのは何だかなあ、前巻で「勃発」したんだから今回は「炎上」とか(「泥沼化」?)にしたらと咄嗟に思ったのです。しかし以上のように考えてみるに、そもそも「論争」の段階に至っているかどうかが先ず怪しく、「マンガ論争勃発」が継続しているということは、とりもなおさず現在もなお「マンガ論争」は夜明け前なのかも知れません。
 そして、議論の土台作りには、インサイダーにとどまらない、広く訴えかける言葉が大事でしょう。その点は、『マンガ論争勃発』に続きがあるなら、改善すべき余地は相当に大きいと思います。もちろんそれは言うは易く行うは難きことで、田中氏の著書にだって、「同じ経済学観や、あるいは面識のある論者間の内向きに書かれた印象」「潜在的な賛同者にしか通じない書き方」という声もあるように。

 以上を踏まえるに、昼間氏の東大進学というのも、上に引用したブログのコメントにあるように、その辺の問題点への対処法の開拓ということなのかな、と思います。『マンガ論争勃発』の続巻がどうなるかは存じませんが、進学によって知見とネットワークを広げ、手詰まりを打開する方法が見出されればと思います。
 昼間氏が「成り上がり者」的で、うまいこと名のある人に取り入ってここまで来たんだ、という趣旨のことを増田監督がイベント中の昼間氏黒歴史暴露大会にて指摘されていたかと思いますが、むしろかかる状況では、「東大」なんて権威も巧みに利用した者勝ちだろうと思います。昼間氏がこれによって、更なる飛躍を遂げることを願ってやみません。

 で、その成果を大ならしむるためにも、引用ブログ記事後段で昼間さんが語っているように、同じ道に進む人を増やすことにも意味があろうと思います。
 先年の『ドラゴン桜』の売れぶりから察するに、「東大」というのはブランド的な価値が一定あるようですので、昼間さんもこれをとことん活用するため、「昼間塾」を作って「わたくし昼間と勉強すれば東大に入れます」との売り文句で人材を集め、勢力拡大を図られるのも一案かと思います。
 昼間さんの指導によって東大に入れるのかどうか、怪しいんじゃね?と疑念を持たれる向きもあろうかと思いますが、きっと大丈夫でしょう。
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 と、那珂川湊先生も太鼓判を押していることですし(玄鉄絢「星川銀座四丁目」(『つぼみ Vol.2』芳文社所収)より)。

 ・・・強引な締めくくりですが、マンガの話なんだから、最後はこんなところで。


※追記:昼間たかし氏が、以上の拙文に関しブログで以下のような記事を書かれております。
「論争以前の問題が山積しているような気が」
「初学者にはなにを教えるべきか」
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by bokukoui | 2009-05-29 23:59 | 漫画 | Comments(14)

永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(2)

 諸般の事情により一週間も間が開きました。論文書いたり、寝込んだり、引き籠もったり(インフルエンザとは無関係です)していた関係上、続きを書く余力がありませんでした。で、今更感満載ですが、「永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(1)」に引き続き、以下のイベント


 のレポの後半です。

○増田監督のお話

 毎度お馴染み(?)増田俊樹監督の登場。昼間氏は増田監督の映画『おやすみアンモナイト  貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』の脚本を執筆され、その映画が夕張市の映画祭に招待されたとのこと。で、出演された大塚麻恵さんともども壇上に。
 ですが増田監督、「今日は永山さんの出版記念」ということで、昼間氏に対して文句付けモードに。まあそれも無理はないことで、前回のレポで紹介した『マンガ論争勃発2』の奥付の昼間氏の略歴、昼間氏の東大での所属以外にも妙な箇所があるのです。前回のレポに添えた、「マンガ論争勃発2」奥付の画像をよく見て下さい(青い印)。『おやすみアンモナイト  貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』が好評だったのか、『貧乏人一揆編』も製作されるようです(笑・今気がついたけど、「篇」と「編」も誤植ですね)。それだけ、遅れた日程を取り戻して発行すべく急いだ証でもあります。

 で、それから、増田監督が昼間氏と初めての出会い(昼間氏の左翼時代)に遡って、昼間氏の秘話・・・というか黒歴史の数々が暴露され、会場湧きます。昼間氏「この物語はフィクションです」
 壇上の大塚さん、「昼間さんは脚本を書いて下さったり、ジャーナリストの活動をされたり、"昼間先生"だと思ってたのに・・・イメージ崩れました」
 もっとも、大塚さんが以前の古澤克大書記長のイベントのような「汚いものを見るような」恐い目つきではなかったのが幸い。そこら辺から、話の内容の違いを察して下さい。

○市川孝一氏・武田“コックローチ”圭史氏・三崎尚人氏のお話

 ここで再び壇上のメンバーが入れ替わって、同人誌即売会に詳しい方々が登場されます『マンガ論争勃発2』の趣旨から行けば、これこそ真打ち的な内容とも言えます。しかしこのセクションも、実に話が濃密で、特に市川さんと三崎さんがマシンガントークを展開され、ミートチョッパーに撃たれている気分でありました。おまけに時刻が遅くなってきて途中で帰られる来場者の方もおられ、物販を担当している小生はそちらも対応せねばならず、メモが行き届かなかったことを予めお詫びしておきます。

昼間氏
「皆さんには、理念的なことは『マンガ論争勃発2』で語ってもらったので、ここではそれ以外の話を。同人誌即売会の問題について」

市川氏
「随分前に取材を受けたのに、なんでこんなに出版が遅れたの」

永山氏
「それは色々あって・・・」

 しばし言い訳と事情説明から、どういった人にこの本を読んでもらいたいのか、広く読んでもらうため、ひいては売れるための工夫で大変だったというような話に。

市川氏
「分かってくれる人だけこのような本を買ってくれてもしょうがない、それが問題」

永山氏
「なぜゲストが話を戻してくれるのか(笑)、興味を持っている人が買ってくれるのはある意味当たり前。99%の、『表現規制』と聞いても『ナンじゃそれ』という人に知られないと、そのためには売れないといけない」

昼間氏
「女性向けの同人について規制がどうなるか、関心を持っている人はいるのか。武田さんが書かれた『R18の隣』(註:同人誌の性的な表現と規制について解説した同人誌)は売れているのか」

武田氏
「2500ほど」

永山氏
「評論同人としては大したもの」

昼間氏
「やはり同人のやり方もマニュアルがいる時代ですか」

市川氏
「デジタル入稿の普及で、同人誌に関する情報が伝わりにくくなった。デジタルで描いて、印刷のための入稿法を知らない同人サークルが増えた。サークルと即売会、印刷所の関係が遠くなっている。その間をつなぐ方法を、ワープする方法を考えないといけない」

永山氏
「地道にじゃないんだ、ワープなんだ」

 以下ちょっとメモ不整。市川氏と三崎氏がこもごも猛烈な勢いで話されていて、その区別が付いていません。ので、まとめて書きます。市川氏が話された部分が多かったと思いますが・・・

 2年前に「同人誌と表現を考えるシンポジウム」をやったところ、800人集まった。あれで勉強になったという人が多かったが、今まで伝えて来なかったということの裏返し。またやりたいがなかなか暇がない。

 どうやってこのようなことを教えていくか、考えなければいけない。分かりやすくしないといけない、難しいことを言っても分からない。
 コミケでは「コミケットアピール」を出しているが、その書き方が以前と変わっている。以前は「米澤語」とよばれた、"もにょっとした"言葉で書かれていたが、これは行間を読まねばならない。でもそれでは分かってもらえない。そういう時代ではない。みんなに分かってもらえないと、50万人も来るイベントは、やっていけない。
 実際、今まであり得なかったことが起こっている。コミケカタログの、Dr.モローのマンガのネタに事欠かない。

昼間氏
「武田さんのイベントでは、女性参加者が多いが、トラブルはどうか」

武田氏
「時々はある。孫に頼まれて買いに来たようなお婆さんとか」

永山氏
「昔コミケに来ていた、片言のイラン人集団がいた。転売目的だったのか」

市川氏(?)
「体力とかを考えない参加者が昔より増えた。徹夜とかも体力を考えないでするから。この世界自体、全体として変わっている。コミケットは白黒つけない、グレーとしているが、白黒に二極化しているのかも知れない。

 コミケには、昔は先輩に連れられて初めて来たような人が多かったが、今はネットで見ていきなり来る。
 『げんしけん』とか『らき☆すた』とかが良くない。あれを見てコミケが面白いと思うらしい。普通の人が来ても楽しくないですよ。暑いか寒い中で何時間も人混みに並んで、本一冊買って帰るなんて。何か目的がないと楽しめない、辛い。
 イベントは体調を整えて来て。体調が万全じゃないと遊べない。『げんしけん』の斑目(註:コミケ会場で転倒して腕を折り、それを隠してイベントに参加し続けるも、ついにぶっ倒れて救急車で搬送されたキャラクター)は、一刻も早く病院に行ってくれ」

 同人誌即売会のトラブルについての話から、最近の大阪のイベントであった、主催者側の釣り銭が足りないので百円玉を持ってきて下さい、という告知を直前にした話に。混乱はなかったそうですが、なんでもそれは担当者が銀行に一桁間違えて釣り銭を注文したのを、誰も気がつかなかったのだとか。

三崎氏
「武田さんが『マンガ論争勃発2』の中で、かつての幕張メッセでの同人誌即売会中止事件を、『あれは反面教師』というのはどんなものか。自分たちがやったイベントについてそれはどうかと」

武田氏
「インタビューの時はそういう話ではなくて。前後に文脈があっただろ」

 ちょっと昔の話。幕張事件の経緯を知らない若年層もいたので。

三崎氏
「警察は『注意しただけだったのに』とか称していたが、それが新聞に出て中止に追いこまれた」

武田氏
「出しやがった(註:警察がマスコミにリークした、の意か)」

市川氏
「昨夏のコミケで爆破予告があって手荷物確認をした。会場や警察から中止したら、と何度も言われたが、ただ『しません』とだけ言った。いろいろ言うと突っ込まれる」

三崎氏
「コミケなら個人情報が流出しても中止しないでしょ(註:昨年、ある即売会でサークルの個人情報が流出し、中止になった)」

市川氏
「しないね」

昼間氏
「豚インフルエンザが流行ったら」

市川氏
「やります。場は開くから覚悟して来て、と」

永山氏
「それこそさっきの話の通り、体調万全にすればいい」

三崎氏
「mixiを見ていたら馬鹿なやりとりがあった。『インフルエンザが近所で流行っているので、私は即売会に行っていいでしょうか?』 これに答えを書いた奴はもっとひどくて、『主催者様に聞いてみてはいかがでしょうか』 主催者にそんなことまで尻を持ち込むな、自分で判断しろ」

市川氏
「同人も自分の生き方なんだから、自分で決めて欲しい。遊びに来るんだから、遊んで欲しい。そういうことを、いいことも悪いことも、最近は教わってきていないのか」

(ちょっと抜けてるかも)

永山氏
「正論を言いたがり、白黒つけたがる傾向があるのではないか」

市川氏
「錦の御旗が欲しいのだろう。だから『規制して下さい』とかいう。そんなの作ったら守らなきゃいけないじゃないか。そんなことできるのか」

昼間氏
「昨年は同人誌図書館も話題になったが」

市川氏
「コミック1ではあらかじめ同意を得て回収した見本誌を、明治大学に寄贈することにしている。9割は同意してくれている。
 コミケットでも図書館についてアンケートした。条件付きながら一応の賛成を75%から得たので、その条件をどうするか、現在考えている。
 同人誌図書館は閉架式を考えている。しかしコミケの見本誌は、会場のサークル配置の島ごとに、ゆうパックの段ボール2~3箱に入れられている状態なので、本を出すのが大変。いつのコミケのどの場所のサークル、という形でしか探せない。閉架式にした場合、閲覧者が多数いたら、本を出すのが間に合わなくなるかも知れない。
 当初、今年の今頃にはオープン予定だったが、以上のようにいろいろ考えているので、実現は先」

 以下もちょっとメモが不整。市川氏と三崎氏のマシンガントークが混在していると思います。

市川氏(?)
「マーケティングとしても、大手出版社がコミケを見ている。どうすればジャンルコードができるのか、と聞かれることもある。ジャンルコードができるということは、その作品を扱った同人サークルがまとまった数ある、つまり、その作品の確実な固い支持層があるということ。高い商品でも売れるといえる。
 いろいろな形でお互いがうまく行けばいい。一番恐いのは、不況なのに同人ばかり売れている、となって攻撃されること」

三崎氏(?)
「大日本印刷がブックオフの株を買収したが、コミケも買収するのか(笑)。あの買収には何か裏がありそうだが、そのように『大人』の商売人がこの世界に入ってくることが恐い。
 音楽系の同人も最近増えているが、これはマンガ以上に難しい。再販制が存在しなくて、同人サークルとインディーズの区別が曖昧。
 コスプレ写真集のDVDとかはもっと怪しい。同人の建前なのに『定価』が付いてたりする」

市川氏
「コミケは、コミケットアピールとカタログしか発表媒体がなかった。参加者にこちらの考えを伝えてこなかった。それが反省点。サイトの運営をどうするか検討中」

三崎氏
「何でもネットに書けばいいのではない。ネットに書いて喜ぶのはブロガーだけ。確かに伝えるにはナマで話す方がいい」

○「児童ポルノ法」についてなど

 ここでちょっと会場からの要望があったのだかどうだか、昼間氏が「児童ポルノ法」の現状などについて簡単な説明などを。

昼間氏
「まず『児童ポルノ法』については、現在国会が動いておらず、動きはない。しかしこれからは動くだろう。自民党と民主党が案を出している。民主案の方がマシだが、大きくは同じこと。規制にあくまで反対している政党は社民党だけで、力がなく、規制強化は避けられない。何より、皆ちゃんと選挙に行かないと。
 海外での動きがあり、フィリピンで"hentai cartoon"(この英語で検索すると情報が出て来る)、イギリスのゲーム『レイプレイ』批判など。日本にも影響。
 『レイプレイ』騒動について、問題のゲームを製作した会社・イリュージョンに取材を申し込んだが、ちょっとねえ、という反応。同社はその後路線変更しており、今はそのようなゲームを出していない。だから騒動で絶版にしても直接は困らなかった。
 日本のアニメDVDの海外市場は減少している。Cool Japan も終わり」

○鈴木邦男氏のお話

 22時20分頃、『マンガ論争勃発2』の中でもっとも評判の良いページ? の語り手・新右翼の鈴木邦男氏登場。鈴木氏は一水会(註:鈴木氏創設の新右翼団体)のフォーラムを途中で抜けてこちらに来られたにも関わらず、「22時頃お願いします」という予定の登場時間が過ぎても出番が来なかったため、まず登壇するやいなや昼間氏の首を絞めます。

昼間氏
「これが右翼の暴力です」

 で、本題の話に。

昼間氏
「鈴木さんのページは、『マンガ論争勃発2』の中でも評判がいい。実際、何度くらい殺されかけたりしたのか」

鈴木氏
「何度もあったよ」

 で、いろいろと危ない話に。
 また、週刊新潮の赤報隊誤報事件にも話が及び、「日本に一番疑り深そうな彼らを欺すとは、よほどうまく話したのだろうか」うまい作り話が、本当の証言より信用されることも。
 死体をどうしたというような話はここでは公開しかねますので、逆にほほえましい一幕をご紹介。

会場からの声
「先日月蝕歌劇団の公演に行ったら、鈴木さんがいらっしゃいましたが・・・」

鈴木氏
「月蝕歌劇団は、僕はもう旗揚げの頃からずっと見に行ってるよ」

昼間氏
「月蝕歌劇団の出し物といえば、よくみんなセーラー服着て踊ってますが、鈴木さんセーラー服好きなんですか?」

 鈴木氏、昼間氏に絡まれ、莞爾と微笑む。(右翼だけに)

 表現の問題についての鈴木氏のご意見は、『マンガ論争勃発2』本文や、「崩壊日記(出張所)」さんのレポをご参照下さい。メモが不整で・・・
 鈴木氏の最近の活動に話が及び、鈴木氏は和歌山の砒素入りカレー事件の林真須美被告の無罪説を唱えておられますが、その関連の話から裁判員制度について。裁判員制度そのものも報道の自由に関する重要な問題を孕んでしますが、そちらは『マンガ論争勃発2』で取り上げられています。

鈴木氏
「裁判員制度については、時には死刑を宣告するかどうか判断せねばならない、という重みが問題とされることが多いが、むしろ人を裁く喜び、人を死刑にする楽しみを覚えてしまったら、そちらの方が恐い。日本でも百何十年か前まで公開処刑をやっていた。そういうDNAがある」

 鈴木氏のご意見の前段については、小生も全く同意するところです。人を裁く喜び、死刑にする楽しみをもたらす心理は、ここまでの表現に関する議論で指摘された、「錦の御旗」を求め「白黒つけたがる」ものと通底しているでしょう。もっとも後段については、公開処刑は所謂先進国でも日本より廃止が遅かった例もあり(例:フランスは1939年廃止。お祭り騒ぎになったので政府が困って廃止した)、人間に普遍的な問題だろうと思います。
 閑話休題、その他血盟団のような直接行動の話とか、議会制へのロビイングは規制強化側の方が強くなりがちなので、そこでどうするかといった話もありましたが、メモが整っておりませんで申し訳ありません。

○質問のお時間

 最後に、会場からの声に応えるというひとときとなりました。この時間になりますと、ますますメモがいい加減になっているので、内容の至らない点をご寛恕下さい。

 最初は確か、当ブログでもロフトのイベントレポを書いた際にしばしばご登場の赤木智弘氏が飛び入り。その内容は最近話題を蒔いた、煙草が個人の趣味なら子育ても個人の趣味に過ぎない、という議論の件に関するものでしたので、各人適宜検索してご確認下さい。

 ついで声を上げたのは、これもお馴染み山本夜羽音先生

夜羽音氏
「昼間氏は東大に行って何がしたいのか」

昼間氏
「ただ単に『ジャーナリスト』というのでは箔がない、単なるライターでは先が見えない。名を挙げるため。東大の情報学環の研究生は、安価で期間も短いので入った」

夜羽音氏
「表現規制の活動については手詰まり感があるが」

永山氏
「署名活動やロビイングは、金があって有名人がいる方には勝てない。アグネス・チャンが出てきたら叶わない。同じことをやっても駄目。
 ではどうするか、昼間の言うように一人一人が有名になるか、夜羽音のようにマンガ家なら、自分で描け。あんたが自分で描いた政治のマンガはエンタテインメントになってない。面白くないといけない」

昼間氏
「だから自分は、『女性化連合赤軍ゲーム』を提案した(註:詳しくは『マンガ論争勃発2』の、鈴木邦男氏のページを参照)」

永山氏
「だからみんな商売を考えないと。日銭に困っている人には表現の自由の大切さを説いても伝わらない。相手に届くように、表現者が工夫していく必要がある」

 この永山氏が夜羽音氏を叱った言葉こそ、今日の核心となる言葉であったと小生は思います。

会場の声
「コミケのカタログの、Dr.モローのマンガが減ったのが残念。あれはコミケ参加者に、同人のことを『面白く伝える』役割があると思う」

市川氏
「減ったのはページの都合。元々余白に書いてもらうものなので、そのためにページを取るのは難しいが、これからもやっていきたい。今コミケカタログの注意書きは三十数ページもあるが、そんなに長いと誰も読まないので、工夫は必要と考えている」

会場の声
「携帯電話配信コンテンツのマンガは、規制が紙媒体と較べ非常に厳しい。しかしそのことがあまり知られていない」

昼間氏
「コンビニの雑誌の扱いのような、民間企業の自主規制のガイドラインは重要な問題だが、非公開。『マンガ論争勃発』で調べようと思ったが、見せてくれない。困る。
 アマゾンなどでは、売上が小さければ業績に響かないので規制してしまう。そういった規制をすり抜ける方法を考えても良いと思う」

会場の声
「そういった規制を作る場に、表現者も編集者もいないのが問題では」

会場の声(?)
「今の世の中はブログなどの表現者が増えている。表現の問題を自分の問題として考えられるようになれば」

壇上のどなたか(?)
「表現の自由を入り口に、社会のいろいろな問題が見えてくる」

 更に会場の声は幾つかあったのですが、もはや気力が尽きてメモがありません。申し訳ありません。
 ですが、多分最後の質問者の方が、ご自身のブログで経緯を語って下さってますので、そちらを紹介させていただきます。

・Gamer's Blog
「ちょっと真面目な表現規制のはなし」


 以上、概ね満員の盛況で、23時過ぎまで時間いっぱいに行われたイベントの概要でした。物販も結構好調で、『エロ漫画の黄金時代』の売上ぶりには塩山芳明氏も笑顔でした。小生ももちろん一冊購入し、サインをいただきました。実はこれが、この日最大の収穫だったかも。
 このイベントに関する小生の感想などは、別記事にて。

※追記:「別記事」はこちら
「永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント 私的感想」

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by bokukoui | 2009-05-27 23:50 | 漫画 | Comments(7)

永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(1)

 いろいろお世話になっている、というか小生としてはお願いしたい筋があるので逆らえない、昼間たかし氏から要請があったもので、こちらのイベントに行って物販のお手伝いをして参りました。

『マンガ論争勃発2』発売記念!! 昼間たかし東大入学お祝いイベント

 タイトル長いですね。
 出演者は以下の通りです(上掲ブログより引用+一部加筆)。
市川孝一(コミックマーケット準備会共同代表)
金田淳子(社会学者)
塩山芳明(エロ漫画編集者・文筆家)
武田“コックローチ”圭史(赤ブーブー通信社)
中田雅喜(漫画家)
三崎尚人(同人誌研究家)

増田俊樹(映画監督)
大塚麻恵(女優)

鈴木邦男

永山薫(批評家)
昼間たかし
(ジャーナリスト/東京大学大学院情報学環教育部研究生)


 今回のイベントは、『マンガ論争勃発2』発売を機会に行われたものです。永山薫・昼間たかし両氏は、一昨年末『2007-2008 マンガ論争勃発』を出版されまして、ご存じの方も多いと思いますが、同書はマンガなどの表現の置かれた状況について、さまざまな立場の人の話をとにかく「聞く」ことによって、混沌としたこの状況の羅針盤を掴む手がかりを与える一冊でした(直接「答え」を与えるわけではないのがミソです)。それから一年(の筈が4ヵ月長くなりましたが)、マンガを巡る状況の厳しさは麻生首相になっても変わらず、不景気のためだけではなく更に厳しさを増今日、同書は更にパワーアップして帰ってきました。これは決して修辞ではなく、並べてみると分かりますが、『マンガ論争勃発2』は前巻より厚くなっています。それでいてお値段は据え置きというところが、本書発行への熱意の一端を感じさせます。

 本書の内容についてはリンク先の出版社サイトをご参照いただければと思いますが、著者の方々のブログに参考文献一覧が上がっていますので、リンクしておきます。取材した方々のお名前もネット上に載せればと思うのですが(前巻は載ってるのに)。
 さて、当ブログでは前巻出版時のイベント「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」のレポを以前掲載しましたが、その因縁で関係者より今回もレポを書けという圧力をかけられております。しかし今回、小生は多事多端につき余裕がありませんので、ごく雑駁なものしか書く余裕がないことをご諒承下さい。くたびれている上に、忙しくて「マンガ論叢勃発2」自体買っていなかったので(この日、物販の仕事ついでに自分で買いました)、いわば予習不足であるため、メモの精度自体下がっています。
 ですので、今検索したところ以下のレポが既に公開されておりましたので、そちらもご参照下さい。

・マガジンひとり
 「イベント『マンガ論争勃発 - 永山薫vs昼間たかし これが現実だ!と、言われても…』」


・崩壊日記(出張所)
 「『マンガ論争勃発2』発売記念!! 昼間たかし東大入学お祝いイベント 永山薫vs昼間たかし これが現実だ!と、言われても・・・」


・ムキンポの忍者ブログ
「『マンガ論争勃発2』発売記念!! 昼間たかし東大入学お祝いイベント 永山薫vs昼間たかし これが現実だ!と、言われても・・・ 」
(写真中心)

※追記:その後発見したレポを以下に追加します。
・よた話
「『マンガ論争勃発2』発売記念イベント」


・Gamer's Blog
「ちょっと真面目な表現規制のはなし」
追記ここまで
 ではイベントの模様について。

 18時開場19時開始でしたが、開場と同時に10名程度の方が来場、18時半頃で50人程度に達し、19時には80人くらいになっていたのではないかと思います。聞いた話では事前予約が60人を超え、来場者は最終的に100人くらいになったのではないでしょうか。立ち見も出ていましたので。
 19時を少し廻ってイベント開始、まず永山氏登場、「今回のイベントは『漫画論争勃発2』発売記念と、あとなんか昼間が「東大入った」とかうわごとを言ってるので」
 昼間氏はこの四月から東大の研究生になられまして、その所属は「東京大学大学院情報学環境学部」なるところと『マンガ論争勃発2』巻末の著者紹介のところに書かれております。
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『マンガ論争勃発2』奥付より

 へー、情報学環が「情報学環境学部」の略称だったなんて初めて知ったなあ、と思って検索したら引っかかりません。やはり「東京大学大学院情報学環」が正式名称です。「情報学環境学部」なんてのは存在しません。
 ・・・昼間氏は学歴詐称? ニセ学生? 疑惑が深まるばかりです。

 ちなみに壇上には、昼間氏の東大入学を祝して花束が届けられていましたが、送り主は、首ちょんぱで兎角話題になったゲームの製作会社・オーバーフローのメイザーズぬまきち社長でした。

○塩山芳明氏のお話

 閑話休題、まず最初のゲスト・下請けエロマンガ編集者の塩山芳明氏の登場です。氏の最新刊『出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代』の編集者・奥山さんが、葬式のアナウンスそっくりの調子でナレーションを読み上げて、塩山氏登壇。
 で、メモが不整なので、以下の内容は話された内容のごく一部、とびとびです。

塩山氏
「昔は幾つもエロマンガ下請けの編集プロダクションがあったが、今はほとんどない。編集者も、55歳で現役なのは自分だけ。月刊誌はなくなり、隔月の雑誌をやっている。

 この十年はマンガが没落する十年だった。そんな中で、ティーアイネットは先日創業十周年記念パーティーをやった。今時十周年を祝える会社なんてない。
 ティーアイネットの高橋大編集長様は、週刊少年ジャンプ方式を採っている。連載した漫画家が単行本を出して、売れなかったら即刻切ってもう使わない。ハードボイルドな人。『BUSTER COMIC』のマンガを一部担当させてもらっているが、最初は7、8本やっていたのが今では2、3本に。
 でも十周年パーティーなんてやると駄目になる、潰れる。○周年パーティーやってすぐ潰れたのは多い」

昼間氏
「塩山さんの本(『出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代』)には、いろいろな人の生きざまが描かれていますが・・・」

塩山氏
「おメェ、『生きざま』って、よくそんな恥語が使えんな」

昼間氏
「・・・えー、その、塩山さんがどうやって娘さんを大学にやったのかとか」

永山氏
「エロマンガバブルの頃は儲かった?」

塩山氏
「儲かった。『体験的在日韓国人損得論』書いてる吉田のバアさんとプロダクションやってたが、毎月『こんなことが続くのかねえ』と言い合っていたのが、十年続いた。
 バブルで、それまで1万だった初版が2万とかになった。それが今では6000とか。印税はこの業界8%だが、6%なんてこともあるのでは。元々久保書店が印税率低かった代わりに単行本を出してくれたが、総久保書店化している。印税が消費税率と同じだとか、最近は改訂前の税率だなんて噂も。
 久保書店はストリッパーが流れ着く場末の小屋みたいなところ」

(メモ欠落)

塩山氏
「田母神さんの娘さんがウチでバイトしてた。最初エロマンガを持ち込んできて、再録本の『キャンディクラブ』に一度載せたが、その後マンガが進歩しないので、バイトの方をやらないかと言った。
 お父さんよりよっぽどしっかりした娘さんだった。
『お父さんと塩山さんは考えが違いますね』なんて言ってた」

※田母神氏の「論文」については、過去に当ブログでも取り上げましたので是非そちらもどうぞ(宣伝)
「アパグループ『謀略に!翻弄された近現代 誇れる国、日本。』瞥見」
「『諸君!』秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊夫=真贋論争』を決着する」


永山氏
「最近、都の青少年健全の指定の方はどうか」

塩山氏
「最近はひどい。昔はあまり呼ばれなかったが、最近は規制が公共事業化している。役人が偉そうになった。昔は都の人は、『こんな恥ずかしい仕事やだなあ』という、伏し目がちな感じだった。
 この間都に呼ばれて行ったら、ニシムラというクソ野郎、体育教師の脳味噌筋肉みたいのが出てきた。名刺を見て、『キミ、(註:出版社の)社長じゃないの~』とか抜かす。『出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代』には間に合わなかったが、もし間に合う時期だったら必ず実名で書いてやった。
 一緒に行った一水社の野郎がペコペコしてた。都の規制はあくまで自主規制なのに、そこまでペコペコすることはない。

 警察は恐い。警察にはペコペコする。ペコペコしないのは末井昭だけだった」

永山氏
「塩山さんは暴力や権力に弱いですからね」

塩山氏
「学生時代デモに行って、殴られるのが恐いから集団の真ん中の方にいたら、一緒にいた女の子に『何隠れてんの! 外に行きなさいよ!』と怒られた。それで左翼やめた。

 都の話に戻ると、石原都政がもう三期目で、石原のような偉そうな規制ぶりが下にまで浸透してしまっている。(註:この辺メモ不整につき言葉が違っているかも)
 ニシムラに『あんた内務省の役人みたいだね、これは自主規制の問題だろ、審議会で決めることだろ』と言ったら、『イエ、審議会は参考にするだけです、
石原慎太郎が決めるんです!』と言った」

永山氏
「語るに落ちましたな」

塩山氏
「空手でもやってたら、こいつ殴りつけてやろうかと思った。
 警視庁は、最近は滅多なことでは呼ばない。今は天下りの利権にもならないのに余計な仕事をしない。80年代の警察はしょっちゅう呼び出していたが、利権もないのによく仕事をしていたと思う。ある意味感心する。

 コンビニは都庁のシマになってる。子供が行くから、と理屈をつけて規制をかけている。コンビニを支配することで出版の支配をしている。そのうちコンビニに都庁の役人が天下りするんだろう。

 聞いた話では、ニシムラという馬鹿は、レディース系雑誌のタイトルの『Secret』が読めなかったとか」

昼間氏
「規制以前に、マンガ自体売れなくなっているのでは」

塩山氏
「その話は松文館の貴志社長に聞いたら。何でも、ネット配信したのを本にしたら全く売れなかったらしい」

 その他、永山氏が「塩山さんは最近文化人ぶってる」と突っ込んだり、塩山氏が『出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代』の特大帯のイラストを描いた、いがらしみきお氏との交友を語ったりされ、また会場からの質問にも答えます。

質問
「劇画から美少女マンガへの流れはどうだったのか」

塩山氏
「これはすごかった。劇画が80年代末、いきなり売れなくなった。
 これまで7~8万部から10万部刷ってたのが売れなくなった。だからといって、ロリコンマンガにはツテがないし、勝手が分からないから台割も引けない。
 その頃、桜桃書房が朝日新聞に『編集者・マンガ家募集』の広告を出した。劇画の大手の桜桃でもロリコンマンガのやり方が分からなくて、広告で編集者やマンガ家を集めようとしていた。

 しかし自分は、桜桃のような広告費はなくても、ロリコンマンガを書くような連中は群れたがる、ということを知っていた。千葉の方の・・・(メモ不整)あたりで連中がたむろしているところがあって、一人見つけて後は芋づる。上総志摩とか、中総ももとか。
 ロリコンマンガ家は群れたがる。まったく日本人的な連中。劇画家はもっと孤高。ロリコンマンガ家は逃げる。劇画家は締切守らなくても約束は守る。

 ロリコン漫画誌で一番売れてたのは『ロリポップ』、ではよし、と『ロリタッチ』にした。こういう模倣コピーライトは遠山企画(註:塩山氏が当時いた編プロ)が最初かも」

 その他、いがらしみきお氏の作品についてや、「杉作J太郎はバイトとしては使えない」なんて話が出てました。

永山氏
「印象に残っているマンガ家は」

塩山氏
「最近、鹿とレースクィーンの獣姦漫画描かした、やまだのら・・・」

永山氏(?)
「鹿!?」

塩山氏
「あと阿宮美亜」

永山氏(会場に向かって)
「諷刺というもおこがましい、薄っぺらな国労や日教組の批判を漫画に描いてた人です。ですが塩山さんとは思想が違いますよね」

塩山氏
「右翼にしては芸がある。
 劇画からロリコン漫画に移行する頃は、ああいう中間的な絵の人はよく売れた。阿宮美亜には、麻原彰晃が空中浮遊する漫画があって、よく売れた。でも、日教組にいじめられた右翼の女教師が日の丸に脱糞するコマは、さすがに白くしてしまった」

永山氏
「麻原は刷ったんですか」

塩山氏
「全体に網かけたけどな。
 でも、エロマンガ弾圧の後、劇画は全く売れなくなった」

 塩山氏のお話は大体以上だったと思います。塩山氏、最後に昼間氏に
「おメェ、司会下手だな。おまけに『生きざま』だの『コラボレーション』だの恥語連発しやがって」
 と突っ込んだところに、永山氏が
「昼間はお客の入りが多いとあがるんですよ」
 と、フォローだか追い打ちだかを。

○中田雅喜・金田淳子両氏のお話

 次いで登場したのが、ベテランのマンガ家・中田雅喜氏と、BL評論で有名な金田淳子氏です。永山氏だったか昼間氏だったか、「既に楽屋で、おふたりBL話でものすごく盛り上がってらした」と言ってたかと思いますが、この第2部はお二人がものすごい勢いで喋りまくり、おまけに小生はBLに全く疎いので、メモが更に一層怪しくなっております。中田氏の台詞と金田氏の台詞を混同している恐れも大。いやもうすごいマシンガントークでした。タイフーンとヴィルベルヴィントが撃ちあってるみたいな。

昼間氏
「楽しいお客さんをお迎えしました。マンガ家の中田さんとBL研究者の金田さん。中田さんはロリコン漫画の元祖の『漫画ブリッコ』に描かれ、『ペンギンクラブ』にも創刊号から書かれていました。女性のエッセイコミックの先駆け、というかエッセイコミック自体の先駆け」
と、創刊号の『ペンギンクラブ』なんかを持参して会場に示す昼間氏。

永山氏
「今日はBLというものがどんなに危険で、エロマンガと一緒にしっかり弾圧して貰いましょう、という話を(笑)」

昼間氏
「BLについては、去年堺市の図書館で騒ぎがありました」

金田氏
「図書館から撤去したというBL本のリストが変だった。スニーカー文庫が入っていて変という声もあったが、スニーカーにはルビー文庫に近いものもあるのでこれは必ずしも変ではない。しかし逆に、古典的な大物が入っていない、栗本薫先生の『翼あるもの』とか。中学の頃、私はこれで60回ぐらい抜いたというのに」

昼間氏(?)
「撤去の基準は抜けるかどうかなのか・・・?」

中田氏
「『伊賀の影丸』の拷問シーンがエロい。ああいうので目覚めた。手塚もエロい。意識してエロをやっているのか分からないが、傍若無人」

金田氏
「『七色いんこ』なんて、あれこそ図書館に置いていいのか」

中田氏
「歳取ると、オナニーするとエクスタシーで足がつってしまいイケなくなる」

金田氏
「自分は中学の頃からつってた。運動不足で。でも足がつるのが恐くてオナニーできるか

金子氏(?)
「図書館問題でBL撤去派が、『BLなんて低俗なものが、私たちの敬愛する司馬遼太郎先生の隣にあるのはけしからん』と言っていて、もうおかしいといったら。新撰組が腐女子に人気なのは、司馬遼太郎の『燃えよ剣』のせいなのに(笑)。戦国ものでも、島左近と石田三成とか、『関ヶ原』の影響」

中田氏(?)
「司馬自身は“そういう”人だったのか」

金子氏(?)
「元軍人とかなら、海軍とかでは」

中田氏(?)
「海軍ならね。軍艦だし、海の上で女いないし」

 暴走とどまるところを知らぬお二人のトークに呆気にとられていた会場からやっと手が上がり、「司馬は陸軍ですよ。陸軍の戦車兵」
 それを聞いた中田氏と金子氏、「戦車か」「戦車もいいよね」「戦車でカーセックス」「で、イクと同時に大砲発射して」
 更に金子氏が鉄道擬人化BL同人誌を持ち出して力説されていたかと思いますが、小生も呆気にとられていたのかこの辺メモが欠けてます。もっとも擬人化の必要すら感じない鉄道趣味者の方が変質者なのかも知れません。個人的な話で恐縮ですが、小生はハダカの女の子の写真集や二次元美少女の画集など見ていてもすぐに飽きてしまいますが、電車や軍艦の写真集や図面集は何年経っても飽きることがなく、十数年来眺めて楽しんでいる蔵書も少なくありません。
 気を取り直して次の話題。

中田氏
「自分の若い頃の漫画には、BLというか男と女を変化するメタモルフォーズなのが多かった。
 自分は1954年生まれだが、その頃は女性がもっと抑圧されていた。だから女性が男性のヌイグルミの中に入って自由に恋愛する、というスタイルだったのではないか。そんなに即物的ではなく、シチュエーションにこだわった。即物的なものにドキドキするのは中高生頃。
 自分も即物的な描写(潮吹きとか)はほかの人が一生懸命描いていると、自分は別にいい、特異なところで描こうと思う」

 その後、フィルムセンターで現在やっている怪獣・SF映画特集の話に。これまで低級なものとして、東京国立近代美術館の一部であるフィルムセンターから無視されていたSFやC級時代劇も、やっと扱われるようになった。それは世代交代により、SFなどに詳しい学芸員が着任したから。

金子氏
「自分も大学でBLを研究する時、教授を説得するのが大変。エネルギーの8割は説得、2割で研究」

中田氏
「マンガ家と編集者みたい」

 ここでマンガ家と編集者の話から、中田氏のところに大塚英志がやってきて、ロリコンマンガを描かせた時の話に。何故ロリコンマンガかといえば、

 毛を描いてはいけない
 →毛を描かないで裸を描いたらなんか変
 →ではもともと生えてない幼女にすれば


 という理由だったそうです。ヘアヌード撮ると捕まるから少女の写真集を作ったという、そっちの世界と同じ話ですね。

 中田・金子両氏のトークについてのメモはここまでです。どうもこの辺の話の面白さというか、猛烈な勢いをうまく伝えることができず、申し訳ない限りです。
 で、さすがに一つの記事としては長いし、時間的にもちょうど中間点まで来ましたので、ここで一端切ります。続きはしばしお待ちを。

追記:本記事の続篇はこちら→「永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発2』発売記念イベント概略(2)」
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by bokukoui | 2009-05-20 23:58 | 漫画 | Comments(4)

自民党総裁選雑感~政権交代を知らずに僕等は育った

 あまりこういうことは普段書かないのですが、昨晩所用で某後輩氏に電話した際話題が表題のことに及び、一夜明けてあらかた忘れてますが(苦笑)備忘がてら以下に略記。

 自民党総裁に麻生氏が選出され、それ自体は当初の予想通りでしたのでどうということはないのですが、総裁選で「漫画を読んでいる」ということが売りになるという当今の世相に思うことしばし。テレビ報道(NHKしか見てませんが)でもその点がかなり報じられておりました。思うにこのような麻生評が確立したのは、一つにはネットで広まって後に事実らしいと言われた、「麻生太郎が『Rosen Maiden』を読んでいた」という一件に拠るところが大きいでしょう。別に『ゴルゴ13』を愛読していただけでは秋葉原方面的な層の支持を得る要因にはあまりならなかったでしょうから。やはりオタク界隈で評価の高いローゼンだったからこそですね(確かに、お年の割にはなかなか広く読まれていることには小生も感心します)。
 ですが、麻生氏にはこういった過去の実績? もあることは一応指摘しておくべきことでしょう。

 【オタクと政治】ポスト福田康夫の最有力候補、麻生太郎氏はオタクの味方か?
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、「児童ポルノ法」)の改正が議論されています。今回の改正における最大の争点は、単純所持規制の導入とマンガ、アニメ、ゲーム等、実在の児童を被写体としない創作物について、将来における規制を見越した調査研究規定の導入の2点です。自民党、公明党による法案は単純所持規制(「自己の性的好奇心を満たす目的」という限定付ではあるが)、創作物規制に関する調査研究規定導入のいずれについても「是」としています。

 麻生太郎氏は、表現の自由を重視するという観点から、自民党、公明党による与党案について反対の意思を表明してはいません。
 麻生太郎氏は、1989年に起きた「有害コミック」騒動では、「有害コミック」を規制する立場から1991年に「子供向けポルノコミック等対策議員懇話会」を結成し、会長に就任していますが、この点について、現在に至るまで何らの弁明も説明もしていません。
 かいつまんでいえば、漫画が好きといっても、表現の自由などの問題についてはあまり認識していないようだということです。
 ま、少なくとも、過大な期待を勝手に抱くのは、政治的な常識(この問題自体が、決定的な政治課題とは見なされない)やめた方がいいとは思います。
 ・・・てなことを小生が書いてしまうのは、自民党や麻生氏支持不支持云々以前に、自分の周囲のある一部のローゼン厨に対して抱いている何かが、大きなバイアスをかけているのだろうなあとは自分でも思いますが。だから「ローゼン閣下」などと持ち上げる連中をどうも懸念してしまうわけで・・・超個人的身辺内輪話で済みません。作品自体駄目だというつもりは更にありません(好きでもないですが)。

※以下やや話が逸れるので小さな字で補足的に若干。
 上掲リンク先の山口弁護士ブログ記事のコメント欄では、この記事を批判する声が少なくないようで、「敵味方に分けるのは不適切な行動」と指摘する声が複数あります。ただ、山口弁護士は、「麻生氏はオタクの味方か?」と指摘されたものの、「敵」という表現は使っていません。味方でなければ即「敵」と考えているのだ、と即断することは、やはり好ましくないことでしょう。
 署名運動については、当ブログでも過去に触れました以上、小生もその成功を願ってやまないのですが、勿論その内部でも様々な意見があり、それらの意見や立場の違いを踏まえつつ、最適の方針を打ち出していかねばならないと思います。で、単純に運動の手法でいうならば、署名活動代表世話人の言動に問題意識を持った活動参加者の行動としては、山口氏にメールを送ることの方が適切だったと思います。内部の意見の対立の存在自体を押し隠すべきではありませんが、それを外部に晒して拡大しかねないような、コメント欄での言動の方が、得るものが少ないと考えるのです。
 他にも小生には本件に関し思うところや情報もありますが、話題が逸れますし一般的なことでもないので、ここで打ち切ります。


 ま、以上はともかく、今回の総裁選のニュースを見ていて、映されていた各候補の演説中、小生がどうにも気になってしまったのは、石破氏のそれでした。
 今記憶に頼って述べれば、「『民主党に政権を一度任せても良いじゃないか』という声もあるが、国家観の違う政党に任せることは、断じて許されない」という言葉でした(細部には異同があると思います)。この「国家観」とは何なのでしょう。
 どうにもおどろおどろしい言葉です。なんだかその昔の「国体」(運動会ではない方)なんて言葉も連想されそうな。乱暴を承知で言えば、現在の議会に存在する諸政党は(例え共産党であっても)、議会制民主主義と資本主義経済という根本的な体制は変わらないわけで。

 今回の総裁選における石破氏の主張は、これまでのキャリアからすれば当然とも言えますが、専ら防衛問題について論じていたことが多く、特にインド洋における給油についての論がその中心だったように思います(余談ですが、最近地下鉄の駅にインド洋の給油の重要性を訴える防衛省のポスターが張り出されていますね)。
 とは畢竟、これも安全保障政策(の一論点)の相違に過ぎない話ではないでしょうか。それは政策上重要な点であっても、「『国家観』が違う」というのは、ずいぶんな言い方に思われたのです。「民主党の政策は間違っているから支持すべきではない」というのは、それは政策について議論することを前提とした言い方ですが、「『国家観』が違う」というのは議論を排斥する感さえ受けるのです。

 そんなことを某後輩氏に話したところ、「国家観」という言葉は読売新聞などでは結構よく使われているとのこと。ナベツネか。
 氏曰く、このような大仰な割に何を指しているのかよく分からない言葉として、氏が気になっているのは「政権担当能力」だとか。確かに、何を以てすれば政権を担当する能力なのか、具体的に示してないですね。

 で、何で「国家観」みたいな言葉が出てくるのか、多少考えてみました。
 これも某後輩氏の指摘ですが、戦後長らく政権に自民党があったため、自民党の一党優位体制そのものが社会のシステムの一環となってしまっている、というのです。だから自民党が政権に居続けることが常態になってしまっていて、政権交代ということが実感できない、そのような通念が薄いのが日本の社会なのかも知れません。
 細川政権の時、一時自民党が政権を離れましたが、比較第一党だったことは変わらず、結局細川首相が政権を投げ出してしまったため、以上の観念を変えるには至らなかったのかも知れません。以前取り上げた『歴代首相物語』の中で、これも今現物が見つからないのでうろ覚えですが、「細川政権の最大の功績は政権に就いたことであり、最大の失敗は政権を投げ出したことである」との指摘がありましたが、政権交代の可能性と限界をこもごも示したということかも知れません。
 思えば、選挙によって政権が交代するということがありふれていたのは、戦前の1920年代の「憲政の常道」の頃と、戦後の55年体制成立前と・・・あわせて20年ありませんな。団塊の世代が多少は世間のことが分かるような年になった頃には、もう選挙による政権交代の時代は終わっていたわけです。「戦争を知らない子供たち」は、「政権交代を知らない子供たち」でもあったのかも知れません。

 つまり、ここ半世紀続いていると言えそうな「戦後レジーム」といいますか、その時代の日本国のありようには、政権に居続ける自民党というものが牢固として組み込まれているため、政権交代の可能性を「『国家観』の違い」などと考えてしまう傾向が存在するのかも知れない、などと思うに至ったわけです。
 それを思えば、安倍晋三政権は、「戦後レジームからの脱却」という些か曖昧なスローガンを、半分は実現したというべきかも知れません。何となれば、「戦後レジーム」の構成要素として、自民党は日本国憲法に勝るとも劣らぬ重要な構成要素として政権にあり続けたのですから、そのレジームを解体するには自民党が政権から下野することも含まれると考えられます。参議院では実現しましたね、ええ。

 話が例によってとっちらかりましたが、この辺で。
 選挙はやってみなければ分かりませんが、政権交代が起これば将来、小生も安心して自民党に一票を投じることが出来るというものです・・・いや、やっぱ自民も民主も与党的なものとして、社民党にでも・・・もっともその頃、社民党が幸いにして生き残っていれば、ですけど。
 その社民党の福島瑞穂党首が、「麻生氏は憲政史上最短の首相になる」と発言していましたが、9月24日に就任して東久邇宮首相の在任期間を越えるためには、・・・11月16日まで頑張ればいいのかな?
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by bokukoui | 2008-09-23 23:40 | 時事漫言 | Comments(16)

ドイツ軍「暗黒の日」90周年に寄せて速水螺旋人氏の話など

このいくさ 負けだとエーリヒが言ったから 8月8日は暗黒の日
ウィリー

 時は今から90年前の1918年8月8日。折りしも4年目に突入した第1次世界大戦の西部戦線はアミアン南方で、連合軍(協商軍)はドイツ軍に対し戦車を押し立てて攻撃を開始しました。ドイツ軍は大損害を被って退却しましたが、連合軍側も当時の戦車の信頼性がすこぶる低かったために攻勢はすぐ鈍り、ドイツ軍は戦線を再建します。しかし、ドイツを事実上仕切っていた参謀次長のエーリヒ・ルーデンドルフの精神が参ってしまい、以後ドイツ軍は連合軍に主導権を奪われて押される一方となり、そのまま11月の休戦に至ります。
 第1次大戦に詳しいT.S.レイサー氏の記すところによると、
 戦後、ルーデンドルフは書いている。「八月八日はドイツ軍にとって暗黒の日であった」。この日、ドイツ軍は大損害を被ったが、回復可能な程度の損害だった。しかしルーデンドルフは回復しなかった。逆境にあって性格の最悪の部分が出、ヒステリー性の麻痺に襲われた。部分的勝利に満足できなかったルーデンドルフだが、部分的敗北を補う行動を、何一つ考えることはできなかった。以後終戦までドイツ軍は行動指針を失い、単に起こったことに対応するしかできなくなった。
(訳:桂令夫・斎藤通彦)
 「ドイツ軍暗黒の日」というのは、戦後ルーデンドルフらが主張した「ドイツ軍は戦場では敗れなかったが、国内の自由主義者とユダヤ人による、背後からの匕首に刺された」という神話の一環をなすものではあるようですが、これ以後ドイツ軍の前線でも厭戦気分が広く蔓延した、ということは何かの本で読んだ覚えがあります(レン・デイトンだっけかな?)。

 さて、上記のT.S.レイサーの記事は、『コマンドマガジン日本版』というボードゲーム雑誌の1996年4月発行の通巻8号から引用したものです。第1次大戦の本なら拙宅にリデル・ハートもA.J.P.テイラーもありますが、敢えてこんな趣味的雑誌から引用したのは、部屋がカオスでハートとテイラーが行方不明・・・ということもないではないですが、この雑誌は、今年出した初単行本『速水螺旋人の馬車馬大作戦』が大好評な(当ブログでも記事書きましたが)速水螺旋人先生の、多分商業誌初出誌じゃないかと思うんですよね。
 『速水螺旋人の馬車馬大作戦』173ページの年表によると、1996年の項に「速水青年、ウォーゲーム誌『コマンドマガジン(日本語版)』(国債通信社)においてコラムの執筆を開始。同誌付録ウォーゲーム『1918 Storm in the West』に出会い、本作は最も愛するウォーゲームの一つとなる」とあり、それまでは投稿しかしていないようなので、この号で始まったイラストコラム「弾丸通信」が、おそらくそうなんじゃないかと。
 ちなみに描かれているのは、ドイツ軍戦車・A7Vと、当時の軍服姿の女の子と、隅っこにイギリス軍鉄兜姿の自画像? と、そして余白を埋め尽くす薀蓄と趣味の文字。基本形は変わってないですね。ただ絵の感じについては、概して線の細い気がします。
 この「弾丸通信」は『速水螺旋人の馬車馬大作戦』には収録されていないので、一つスキャンして・・・とも思いましたが、まあ速水氏が載せたくなかったのにはそれなりの理由もあろうし、著作権の問題も考え、速水氏の自画像部分だけちょこっと引用。
f0030574_2336479.jpg
 「NHKの映像の世紀が面白かったぞ」というあたりに時代を感じます。この番組では、第2次大戦の回より、1次大戦の回の方が衝撃的で面白かったのを覚えています。シェル・ショックで飛び跳ねる人、そしてラストシーンが見渡す限りの兵士の墓標で、戦争のむなしさを痛感させられました(ことに『機関銃の社会史』を読んでいたので)。

 さて、この雑誌の付録で速水螺旋人氏も愛するというゲーム『1918』の話は、ずいぶん前にこのブログで取り上げました。プレイした者は誰もが認める傑作でありながら、お題が1次大戦というだけで売れ残り、噂では編集者が追われたという曰くつき。
 で、この噂の真偽については小生それ以上の根拠を持ちませんが(編集者が変わっているのは事実)、その元編集者氏の出したウォーゲームの同人誌を、小生持っております。何でそれを持っているのかというと、これは今から十年近く前のコミケで、当時問題になっていた、いわゆる「児童ポルノ法」の制定と表現の規制を巡って、積極的に活動しておられたカマヤン先生のブースにそれに関する同人誌を買いに行ったら、一緒に並んでいたので買った次第。つまり、元編集者氏とカマヤン先生は、当時ともに児ポ法反対運動に関わっておられたのです。今は知りませんが。

 そして十年近い時が過ぎ、カマヤン先生は漫画界から距離を置かれ、速水螺旋人氏の活躍は広がり、『1918』は再評価され、そして児ポ法改正の季節がまたやってきました。「改正」にかこつけて表現規制をするという政治勢力が蠢動していることは、このブログでも既に報じました。今も無体な表現規制に反対する運動は続けられており、この夏ではコミケはじめいくつもの即売会で、また専門書店などでも、反対署名の用紙配布が行われます(即売会では受付も)。
 詳細はこちらのサイトをご参照ください。

 創作物の規制/単純所持規制に反対する請願署名市民有志

 カマヤン先生は今も尚このような運動に関わっておられる由ですが、十年以上前からずっと運動している人は有体に言って少ないようです。それはこの運動が労多くして益少ないものであること、しばしば誤解や中傷があり、更には運動の内紛を招いてきたこと、また同じことが繰り返されるのでうんざりしてしまうこと(知識人の発言が今回少ないのはそのためもあるようです)、そういった困難があるようです。
 しかし、そもそも性格からいって困難の多いこのような運動で大事なことは、それこそルーデンドルフのように全面的勝利が得られないからといって精神的に挫折するのではなく、あきらめずに起こった出来事に対処し、イニシアティヴを失わないことであろうと思います。

 話が例によってとっ散らかりましたが、何とか元に戻ってきたということで。
 末筆ながら、署名へのご協力をお願い申し上げます。
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by bokukoui | 2008-08-08 23:59 | 思い付き | Comments(2)

「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」感想

 (1)(2)(3)(4)とレポが長きにわたった、「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」の個人的感想を簡単に。

 その前に、他の方のレポをご紹介。簡にして要を得ておられるので、当ブログのむやみと長いレポを読むより効率的かと(苦笑)。第2部の飛び入りゲスト紹介の充実振りは他の方のレポよりできがいいと思いますが、そこは枝葉ですしね。

・崩壊日記(出張所) さん「昼間たかしプロデュース「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う-」in阿佐ヶ谷ロフトA」
・実物日記さん「今さらな愚痴。されど。」

 なお、この一連の記事、実際には2日から5日にかけて断続的にアップされております。同じ日のことなので日付をそろえてみたのですが、かえってわかりにくかったかも。

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by bokukoui | 2008-05-01 23:59 | 漫画 | Comments(13)

「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」レポ(4)

 (1)(2)(3)に引き続き、「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」のレポをお届けします。諸般の事情により遅くなってしまい申し訳ありません(この記事に書いてある時間は実際にアップされた時間ではありません)。レポはこの(4)で完結です。こんなに長くなるとは・・・。

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by bokukoui | 2008-05-01 23:58 | 漫画 | Comments(2)

「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」レポ(3)

 (1)(2)に引き続き、「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」のレポをお届けします。諸般の事情により遅くなってしまい申し訳ありません(この記事に書いてある時間は実際にアップされた時間ではありません)。

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by bokukoui | 2008-05-01 23:57 | 漫画 | Comments(0)