レイモンド・ローウィーと村田蓮爾、ペンシルヴェニア鉄道と『SoltyRei』
つまり、本書は表題にあるとおり確かに「世界鉄道外史」なのですが、「正史」が分からないと「外史」の面白さは分からないし、読者にそれを期待するのは日本の現状では無理(日本の鉄道趣味者に国粋主義者が多いのか、日本語による世界の鉄道史の概説書というものは存在しない)である以上、個々のトピックを大きな歴史の流れにどう位置づけるかという記述は一定必要であろうと思うのです。
そして、アマゾンのレビューにもありますが、文章は上手いとはいえないし、記述に曖昧であやふや箇所も少なからずあります。そりゃ知ったかぶりで書かれるより、「よく分からない」と正直に書くだけマシなのかもしれませんが・・・せめて日本関係の箇所だけでも、もうちょっと何とかできなかったのかな。そうしないと、他の箇所の信憑性にも疑義を挟みたくなってしまいます。実際、読んでて「?」な箇所も散見されましたし。
文句はつけましたが、それでも世界の鉄道史に関する本が少しでも増えることは、大いに歓迎したいところです。
さて。
鉄道趣味者ですら関心を持つか怪しい本の話を書いても、当ブログ読者の大半の方には全く関心が湧かないでしょう。そこで、「オタク」方面の方々の目を惹くべく、無謀なタイトルをぶち上げてみました。
レイモンド・ローウィーといえば、インダストリアルデザイナーの草分けであり、美しくシンプルなデザインで「口紅から機関車まで」手がけた人です。日本ではタバコのピースのデザインで知られていますが、他にもシェル石油のマークだとか、不二家のロゴなんかを創ったそうです。
一方、村田蓮爾氏はその筋では有名なイラストレーターですね。雑誌の表紙なんかで見覚えのある方も多いのではないかと思います。
ペンシルヴェニア鉄道とは、かつてアメリカを代表した鉄道会社です。ニューヨーク~シカゴを結び、看板列車のブロードウェイ・リミテッドは世界中にその名を知られた豪華特急列車でした。
『SoltyRei』は現在木曜深夜にテレビ朝日で絶賛放映中のアニメ。「美少女SFミッドセンチュリーアクション」だそうです(どういう意味だ)。
以上の四つのトピックで、三題噺ならぬ四題噺をやろうというのですが、まずは一番分かりやすそうな『SoltyRei』から入りますか。
小生がこのアニメを見ているのは、そもそも園田健一先生(以下ソノケンと呼称)がメカデザインで参加していると聞いたからでした。『GUN SMITH CATS』で人生の方向がどっか間違った人間としては、これは見てみたいところです。そして、ソノケン同様村田蓮爾氏も「コンセプトデザイン」とやらで名を連ねていたのでした。
で、村田蓮爾氏がデザインしていたのが、登場キャラクターの一人・女盗賊のローズが乗っているバイクなのです。氏のネームバリューゆえか、コスパがこのバイクをモチーフにTシャツを作っていて、それを見ていただくのが一番わかりやすいでしょう。
※追記:リンク先消滅に付きローズバイクフィギュアのアマゾンのページにリンクを修正。
さて、アニメの中でこのバイクを見た小生、なんとなく似たような乗り物を見たことがあるような気がしてならなかったのです。そして思いついたのが、レイモンド・ローウィーのデザインしたペンシルヴェニア鉄道の流線形機関車たちでした。「口紅から機関車まで」の機関車たちです。
幾つか紹介していきましょう。まず、1914年試作、1917年から1928年までに400両以上も量産され、第2次大戦後まで一線で活躍していた名機K4形を1936年に流線形化したのがこちら。
ニューヨーク~ワシントンの電化区間で活躍し、ペンシルヴェニア鉄道(の後身の会社)が経営破綻して旅客列車がアムトラックに移管されても走り続けた、傑作電気機関車GG-1はこちら。
そして、K4の後継機として蒸気機関車の限界に挑戦すべく開発されたものの、ディーゼル機関車の普及で短命に終わった悲劇の機関車S1とT1。
どことなく似てませんか?
『SoltyRei』に出てくる自動車は、半世紀ばかり前のアメ車そのままのイメージで(ソノケンの影響と思いますが、或いは村田蓮爾氏のせいなのかは分かりませんが)、一般的なSFらしいデザインとは趣を異にしています。となれば、ローズのバイクだって四分の三世紀前のアメリカの機関車を元にしていることも、ありえないことではないように思われるのです。
・・・でまあ、この推測が正しいかはともかく、せっかく村田蓮爾氏にデザインしてもらったローズバイクなんですが、あんまり活躍の舞台がなかったような。いや、まだ数回放映があるので分かりませんが、どうなのかなあ?
現在『SoltyRei』は、ソノケンデザインのパワードスーツ着用四人娘のうち二人があぼーんし、物語はいよいよ緊迫の度を加えておりますが、そんなことそっちのけでローズバイクの再登場を毎週祈念しているバカ視聴者がここに一人。
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