近況・資料本購入状況&【捜してます】大和田悌二『神性の発掘』
これら悪条件が今になって緩和されたかというと疑問で、健康上の問題には消化器の不調と目の腫れを加え、さらに寝ぼけていたのか食事中に舌を思いっきり噛み、ところが所用は相変わらず重なっているし睡眠は変だし、などの悪条件のせいか傷がいっかな治りません。そのため飲食には差し障るし喋りにくいし矢鱈と唾液を分泌して気持ち悪いしとQOLの低下が著しい今日この頃です。
ですがまあ、今月に入って少しは復調したのも事実で、論文の作業などを進めておりました。で、以前の仕事で多少金が入ったので、資料となる本をいろいろと買い込みましたが、これは研究の一助であると同時に、幾分か以上に買い物による楽しみ、ストレス発散の側面があったことは否定できません。そんなこんなでここしばらくに買った本はこんな感じです。
ですが、今回買った中で一番の収穫は、上掲写真右端の吉田啓『電力管理案の側面史』交通経済社出版部(1938)でした。この本は1938年の第1次電力国家管理実現に至る過程を詳細に書いており、小生が史料と付き合わせてみた感想では、当事者によく取材しているようで、面白いし資料としても有り難い一冊です。ただ、小生が買ったこの本は背表紙が本体から外れかかっていて、古本としては問題ありなのですが、その代わり表見返しにこんなタグが張ってありました。
というわけで、当ブログの京成百周年企画などでも紹介しました逓信官僚・大和田悌二のことなどを現在調べているもので、関係する書籍を集めています。
上に挙げた写真の本のうち、清水啓『アルミニウム外史』カロス出版(2002)は、ネットで「大和田悌二」で検索して引っかかったものです。どうもその名を冠した節があるらしい。アルミは電気と関係深いですからね。そこで一応確認しておこうと思い、まあうちの大学の工学部なら、どっかでアルミの冶金を研究してる研究室くらいあるだろうから所蔵があるだろう、と思ったらなし。では、と国会図書館を探してもなし。どうも版元のカロス出版は、アルミニウム関係に特化した出版社らしく(鉄のアグネ出版と同じようなものでしょうか)、おまけに流通ルートも特殊らしいです。
では仕方ない、というわけで買ってしまいました。まあ2500円くらいなら・・・え、上下二巻なの? まあ片一方だけ買うという法はないわな。揃えて注文。かくて5000円散財となりまして・・・一読・・・読みづらい。専門性が高すぎて判らないというより、全体の構成が可成り錯綜しているからです。やはり、「アルミニウム正史」を知ってから読むべき本ではあったようで。ちなみに大和田の話はあんまりありませんでした。
で、やっとこさ表題の後半の話になります。
大和田本人の著作も小生は勿論集められればと考えておりまして、戦前には『電力国家管理論集』、戦後には『電力国管の裏話し』などがあります。これらは図書館で既に閲覧しましたし、ネットの古書店のキャッシュにもあったので、手に入れる機会もありそうです。
ところで、大和田の日記を読んでいると、講演など行ったことを記した日の記述に、あとから「神性の発掘〇〇頁に収む」などと書き足している箇所がいくつも見つかります。どうやら、大和田は『神性の発掘』という本を出しているものと考えられます。ページ数からするとそれなりの厚みのあるもののようです。
しかし、この『神性の発掘』、どこの図書館にも所蔵が見当たりません。ネットで検索しても何も出てきません。もしかすると私家版で身内にしか配らなかったのでしょうか。現時点のところでは不明です。
どなたか発見された方がおられましたら、是非とも小生までご一報下さいますようお願い申し上げます。何卒。
ちなみに「神性の発掘」とは、大和田曰く、神国である日本ではあらゆるものに神性があり、その神性を発掘活用することが日本人の務めである、ということのようです。これが、水の神性を発揮しなければならない→そのためには大規模な水力発電を行わなければならない→だから電力事業は国家管理すべきである、という論理に繋がっていくようです。
小生些か思うのは、神性が宿るというのは八百万の神の国として自然な発想といえばいえますが、だからそれを活用しなければならない、となるのは日本の伝統的な自然観よりむしろ西洋的価値観に近いんじゃないかな、という気がします。もっとも、日本神話と西洋思想のこのようなアマルガムこそが、明治生まれの統制官僚らしい思想形成ではないか、とも思え、思想的一貫性で批判するのは必ずしも建設的ではないと思う次第です。
大抵は大学や自治体の図書館にも収蔵されていませんし。
私は少しでも興味がありそうなことが書いてあったり、名前を知っている人物の話が出てきたりしたら、買っていますが。売り物にならないということで、捨て値ですし。
「見つけたら買う」と出来ればいいのですが、場所と予算が中々・・・おまけにしまいこんだ本はいざというときに見つからない(苦笑)。まあ、最近書架をまとまって入手したので(この話は今度書きます)、いろいろ整理して本を買いやすくしようと思います。
というわけで、『神性の発掘』もし発見されましたら確保しておいて下さい。必ず相応の値段で引き取らせていただきます。
特に、7N材という可溶材はNの文字が日本という意味でありそれこそ日本の「誇り」というべきと思われます(笑)。
今更ですみません。実は先日、お返しするために持参したのに、お渡しするのを忘れてしまいました。5日に必ず。