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筆不精者の雑彙

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ナヲコ『なずなのねいろ 2』(リュウコミックス)発売

 多忙でくたばっているうちに、めでたかるべきこの発売日も、鉄道記念日も過ぎ去ってしまっておりました。
 というわけで、やや出遅れましたが、ナヲコ先生の新刊を手に入れました。

ナヲコ『なずなのねいろ 2』
 前巻が出てから一年と三ヶ月、めでたく2巻が出ました。
 今回は特に特典などの情報がありませんでしたので、大学の近所の某書店で購入。いかにも「街の本屋さん」な規模の店なのに、『なずなのねいろ』2巻を平積みにしていて感心。1巻も並べてあるし。少しでも多くの人に手にとってもらえればと思います。

 ところでふと冷静になって思うに、小生は『なずなのねいろ』1巻の感想をこのブログでちゃんと書いていません。それどころか『からだのきもち』も、いやいや遡れば『voiceful』だって書いたかどうか。『なずなのねいろ』1巻&『からだのきもち』発売の時は、記事が変な方に逸れていったし(それが当ブログの仕様といえばそれまでですが)、『voiceful』の時もあんまり大したことは書いてませんね。あ、最近も『つぼみ vol.3』掲載の「プライベートレッスン」の事を書いてませんな。
 言い訳になりますが、自分の好きなもの、それも特にこのような、自分の心の奥深くにしみこんでくるような作品について語ることは、とても難しいことです。下手に分かったように分析してしまうと、自分の受けた感興を自ら制約してしまうことにもなりますし。むしろ自分でも分からないことにこそ価値があるのかも知れません。
 ですが言い訳ばかりなのも何なので、内容紹介がてら簡単に。

 1巻でギター少年・伊賀君が、三味線少女のなずなに出会ってその音に惹かれ、三味線部を作ろうと伊賀君が言い出します。それをきっかけにふたりの周りの人々が動き出して・・・てなところで2巻に入り、なずなの過去が語られ、それを知った伊賀君やなずな本人とその周りの人々が・・・と書いてみると、つまり「お話」としては1巻からそれほど「進んで」いるわけではないんですね。まだ正式に三味線部発足してないし。
 ですがこの巻では、伊賀君によって「文化祭に出る」という、学園ものらしいといえばらしいような目標が掲げられました(もっとも、『voiceful』の最終話が、公開録画に出て始めて人前で歌うことだったのと同じなのかも知れません)。で、思うにこれは、この作品自体にとっても「進むべき目標」として設定された様なものだなあ、などと思います。本巻では動き始めた人々の心を丁寧に描写していて、それはとても丁寧なのですが、そのためお話としてはなかなか先に進んではいきません。それはおそらく、ナヲコ先生がこの作品をどう進めていくか試行錯誤しておられるのだろうと思うのです。で、最初「文化祭」なんてありきたりの学園ものみたいだな~と一瞬でも思わなかったと言えば嘘になりますが(苦笑)、考え直せば目標を定めるということにはそれなり以上に意味があるのだろうな、と思うに至りました。だからますます、続きが気になるのですが。

 とはいえ、作品(のキャラクター)と作者を重ねて見てしまうというのは、感想としてはどうなのかな、と我ながら思わないではいられません。長年追いかけている作家さんだけに小生自身がそう思うことはやむを得ないとしても、感想としての普遍性には欠けてますね。そして、音楽という形の表現に悩むキャラクターに、漫画で表現する作家さんの仮託を読み取りたがると言うことは、畢竟その読者自身が作家さんに対して何かを表現することへの想いを仮託したがっているということに過ぎず、自分に跳ね返ってきてしまうことに苦笑するのでした。
 まあ、つまり、小生はこの漫画を大学帰りに買ってその晩に感想を書いているわけですが、何しに大学に行ったかと言えば、編集者・・・もとい指導教官に論文のダメだしされてたからだったのでした。

 結局『voiceful』の時と同じような落ちになってしまいましたね。芸がない。
 まあ、芸なしではありますが、せっかく今月はナヲコ先生の単行本も出たし雑誌連載も再開のようだし、来月はまた『つぼみ』が出るようで次回予告にもお名前があったし、ということで、今月から来月半ばまで勝手に「ナヲコ作品販促月間」とでもして、積み残している感想などを書いていければと思います。

※追記:「販促月間」第2の記事はこちら→
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by bokukoui | 2009-10-15 23:59 | 漫画 | Comments(0)