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筆不精者の雑彙

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田母神俊雄出演の「笑っていいとも」を見てしまった

 今日は雨なので自宅でいろいろ作業をしていて、昼になったので何ぞ食さんと食卓についてテレビをつけたところ、表題の如き事態になっておりました。ブログ更新なんかしてる場合じゃないんですけど、流石に田母神氏関連の記事をいくつか書いてきた者としては無視しがたく、一筆。
 ちなみに当ブログの、田母神関連の主要記事は以下の通り。

 ・アパグループ『謀略に!翻弄された近現代 誇れる国、日本。』瞥見
 ・『諸君!』秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」
 ・秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 続き」
 ・『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 蛇足的まとめ

 まあそのうち、「いいとも」の画像は youtube やニコニコ動画にアップする連中が出るでしょうから、見逃した方はそちらに。といっても、別に大したことはありませんでしたが。

 田母神氏は芸能人的に場をわきまえているのか、スタジオの観衆が大部分若い女性であることを踏まえて、自分を「人の良いおじさん」として売り込んでいる、という感じでした。「サービス精神旺盛」と自分で言っていたし、それは小生も実際そうだと思います。多分、国防と歴史に全く関わらなければ、本当に「人の良いおじさん」で済んだかも知れませんな。世間では自分を「危険人物」と言っているが、違うんだというイメージ戦略なのでしょう。小生もまた思うに、危険なのは田母神氏に託される幻想およびそれを託す人々の心境であって、田母神氏自体は、まあその、論文を書くような思考・言論の形態におよそ向いていない、ということだと思います。
 注目すべきはスタジオに贈られた花輪の多かったことで、本を出したとかいう出版社のとか、いろいろありました。アパグループからもあったのは勿論です。

 いいとものテレフォンショッキングといえば、何かお題を出して、スタジオの観客100人中1人だけ当てはまったら、出演したゲストが携帯電話ストラップをもらえるという企画がありますが、今回そのお題は、田母神氏の「論文」である「日本は侵略国家ではない」を読んだ人、というものでした。
 で、結果が2名。・・・新聞の全面広告とかで載せてたからでしょうかね。田母神「論文」については、上掲拙ブログの過去記事もご参照下さい。
 田母神氏が問題となった持説に触れたのはこの企画の所だけで、「『日本は良い国だ』と書いたら首にされちゃったけど、おかしい」みたいなことをちょっと言ってました。しかし、小生思うに、考えようでは日本は既に充分良い国でしょう。田母神氏がお昼にバラエティー番組に出ていられる、ある種のいい加減さがあるというところに。そのいい加減さの運用方向が問題ではありますが。

※追記:この田母神氏の発言にも関連して、以下の記事を書きました。
 直接的に問題になりそうな話はなかったのですが、何というか、「人の良いおじさん」の言説という“軽い”形で、田母神氏が売り込まれてゆくことに、危うさというよりむしろ膝から力が抜けるような感じがします。田母神氏をもてはやす(氏は今、月に20回も講演をしている由です)人々も、自分は決して「危険」な思想を抱いているのではなく、「人のよい」「サービス精神旺盛」な「普通」の人間であると自己規定しながら、「日本は侵略国家ではない」「良い国」と唱えているのでしょう。
 その、無反省に自分は「普通」で「正しい」と思い込まれることこそが、問題だと小生は思っています。それが無自覚に人を傷つけることがあるからです。あまり「普通」ではない、それになじめないような(大部分「普通」の人でも、どこかにそのような一面は持っている蓋然性は極めて高いでしょう。例えば「モテない」とか)、そのような人々を。

 とまれ、田母神氏の今回の出演がどのような効果が期待されていたにせよ、さすがにそれほど影響はないだろうとは思います。テレフォンショッキングでは、司会のタモリが「では、(今日のゲストのトークは終わりにして、次回の)お友達を紹介して下さい」というと、スタジオの観衆が「えーっ!!」と叫ぶのがお約束だったと思いますが、まあこれは「もう終わり?」の含意で、いわば礼砲みたいなものでしょうが、流石に今日は「えーっ!!」がなかったのでした。
 まあ、あんまり人の批判ばかり書いているのは、書いている当人の精神にも良くないので、今日の所は、田母神氏に危険なことを何も言わせないで間を持たせたタモリの司会が良かったということにしておきます。そういえば今週の「ブラタモリ」は本郷らしいですね。録画予約しておきました。
Commented by 日本人 at 2009-12-03 14:16 x
田母神氏は過去なにかあぶない発言をされたのでしょうか?反日左翼、朝鮮人にとって都合の悪い発言て事でしょうか?(笑)
Commented by めかちゅーん at 2009-12-03 14:51 x
と学会の例ではありますが、論がトンデモでも筆者の人格は円満である、という例は列挙に暇が無いそうです。
「植物は警告する」の三上氏の円満な性格、武田円了氏の折り目正しい返答文などが過去にあったそうです。
田母神氏も単なる隣人であれば特段騒がれる人でもないのでしょうが。

そもそも「いいとも」でガチに論争をされてもタモリ氏も困ったでしょう。
Commented by 箕輪伝蔵 at 2009-12-03 20:29 x
田母神氏の主張はともかく、公務員としてなしてはならないことをし、それでもなお職にとどまりました。この一点において、氏は非難されるに値します。人としてはまともな人ですが、だからと言って、氏の主張が正しいとするものでもなく、行動が正しいわけでもないということを理解すべきです。
Commented by 鈴木光太郎 at 2009-12-05 06:52 x
極悪人が家庭内や友人間では掛け値なしに温厚だった例は無数にあります。
優れたな学説を書く人が世間では唯の痴漢オヤジだった場合でも、その学説に何の差しさわりもないわけです。
逆に折り目正しい紳士や世間でやさしげなオッサンでも、書いた学説が正しいとは限らないわけです。
「その人を評価してはいけない。その人の言葉のみを評価せよ。」
に尽きると思います。
Commented by 憑かれた大学隠棲 at 2009-12-05 20:09 x
たかじんなんか見てるとメディア慣れしてるなあ、と感心することしきり。「いい人っぷり」もある種計算尽くのような気がしますね。このスキルは事業仕分けに対抗できるスキルですねw

変態紳士といえばジャン=ジャック・ルソー(ry
Commented by bokukoui at 2009-12-06 23:52
>「日本人」さま
「危険」の内容に関しましては記事中のリンク先の当ブログ過去記事をご参照下さい。その「危険」の内容はいくつかありますが、一つには貴殿のコメントの如く、自己の気に入らないものに「反日」のレッテルを貼りたがるような所にあると思います。日本人の有する多様性の価値を認められないことは、それこそ「日本」の価値を毀損するものと思います。

>めかちゅーん様
考えてみれば、立派な学説を打ち立てたけれど人格が、という逆の例も多そうですね。先ず何よりもこの例では(以下自粛)
トンデモでもある程度の支持を集められるというのは、まず先に著者の円満な人格があるのかも知れませんね。

>箕輪伝蔵さま
大きな権限を握る者は相応の責任がある、ということは当然のはずなのですが、田母神氏はそこで自分の権利を主張されるのに熱心だったようですね。「自分は悪くない」と居直る点では、書いたこととやってることに一貫性があるとも言えますが・・・
Commented by bokukoui at 2009-12-06 23:52
>鈴木光太郎さま
お久しぶりにコメントありがとうございます。
ご指摘の点は全くごもっともだと思います。そしてこの問題に引きつけて考えると、発言者の人格で発言を正当化するわけに行かないように、目的によっても正当化は出来るものではないですね。

>憑かれた大学隠棲氏
田母神氏がデビュー(?)以前に東大の五月祭で講演した時は、「何このデムパ」と悪評紛々だったことを思いますと、今の氏には優秀なプロデューサーでも付いてるんでしょうかね。
Commented by 中立 at 2010-04-30 02:35 x
著者が左よりだということは良く分かった
Commented by bokukoui at 2010-04-30 23:42
>「中立」氏
コメント頂戴して置いてこう申し上げるのも何ですが、コメントのご主旨が理解できず困惑するよりありません。有り体に言えば "So what?" というところです。

なおご参考までに、当ブログにたまにコメントを下さるラーゲリ氏のツイッターの発言をご紹介しておきます。

「なるほど、「自称中道派」に抱いてた違和感がわかった。中道派に求められる統合・調整機能を果たせないのに、俺は偏ってないから偉いみたいな意味不明なことを言ってれば、そりゃ死ぬしかないわ。ヴァイマル共和国先生は実に勉強になるなあ。」
Commented by bokukoui at 2010-04-30 23:53
URLは以下の通り。
http://twitter.com/Im_Weltkriege/status/13079247330
Commented by 憑かれた大学隠棲 at 2010-05-01 20:10 x
中立は立って見てるだけですからねw
中道のつとめを果たしていないのは当たり前w
Commented by bokukoui at 2010-05-09 00:07
>憑かれた大学隠棲氏
この場合、なにがしかの務めを果たさない言い訳が「中立」なのかも知れませんね。
Commented by とっちゃん at 2014-02-01 20:58 x
人間は議論の前に既に自分の価値観は定まっている。
色眼鏡で相手を見るのは避けられない。
斜に構えるのが、左巻きのかっこよさでしょうが、私にはアホとしか思えない。人それぞれでしょう。
Commented by bokukoui at 2014-02-21 00:07
>とっちゃん様
はじめまして。コメントありがとうございます。
返信が遅くなりましてすみません。

さて、コメントのご主旨が今ひとつ明確に読み取れないのですが、なるほど一般論として「色眼鏡」でモノを見てしまうのは避けられないでしょう。
ですが、だからといって「人さまざま」で済ませていいことにはなりません。「色眼鏡」にはまってしまう度合いを少しでも減らすよう、論拠を集めて吟味し、論理の運びを丁寧にすることで、よりよりものにすることはできます。
当ブログでは、本記事にリンクしてある田母神氏関係の記事について上記の手続きに一定の手数をかけていることは、小生の自負するところであります。

なお、「斜に構える」とのお言葉は、ご主旨を解しかねます。先に述べたように、証拠を集め論理を磨く作業を積み重ねたものは、「斜に構え」たかっこよさなるものとは、全く別であります。
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by bokukoui | 2009-12-03 13:04 | 時事漫言 | Comments(14)