坂本龍馬ブーム? にふと浮かぶ妄念「せんたくいたし申候」
一昨日は四月も半ば過ぎというに降雪を見、一体どうなっているのかと寒さに震え上がっておりましたが、昨日の午後から今日にかけては漸く天候も春らしくなってきたようです。寒さもあってか、或いは花粉デビューによる目の疲れなのか? 何事も能率が上がらず片付かずブログも間が空く状況が続いておりますが、これから気候が良くなりそうなので、それに合わせて物事を済ませていきたいと思っております。
ところで、最近NHKの大河ドラマで坂本龍馬を取り上げているせいか、龍馬関係の話題が何だか矢鱈と目に付き、先日の鳩山邦夫離党の際にも自分を龍馬に準えたとかで、しかしそれを批判した前原国交相も龍馬の「ファン」だとかで、小生は基本的にはどんな形であれ多くの人が歴史に関心を持つことは結構と思いますが、歴史上の人物に勝手に自分の願望を託して悦に入らないで欲しいとつくづく思うわけです。以前にも西尾先生トバしすぎの一件とか、割と最近では「愛国心」がらみでそんなことを当ブログで書いた覚えがあります。
しかし大河ドラマ効果か、書店の店頭などを見ても、もちろんネット上でも、龍馬関係の言説はあふれかえっており、特に個人的に目について気になるのは、坂本龍馬の書簡の一節だという、「日本を今一度せんたく(洗濯)いたし申候」というフレーズで、これを振り回して改革を待望する的な心情があっちこっちで見られ、あまつさえこのフレーズが幸福実現党のポスターにまで書いてあったので、ますます以てげんなりしました。
で、げんなりした小生の、寒さや何やでくたびれきった脳裏に、突然次のような電波が降りてきました。
"cleansing"の訳として「せんたく」は、許容の範囲だと思います。
流石に原史料が気になって、「日本を今一度せんたくいたし申候」でぐぐってみると、有り難いことに元の書簡をアップしてくれている方がおられました。・・・をを、前後にのばしても行けそうだな。「右アルバニアの邪教徒を一事に軍(いくさ)いたし打殺、コソボを今一度せんたくいたし申候事ニいたすべくとの神願ニて候」てなとこで。他にもいろいろ応用が利きますな。「ルワンダを今一度せんたくいたし申候」とか。
一応念のために、かかる軽口を不謹慎と思われるような方のために蛇足を承知で一筆添えておきますと、史料をその文脈から切り離して、更に史料内の文脈からも切り離したフレーズだけ振り回しても、それは如上の電波の如きものであろうということです。
小生は維新史には全く疎いですが、しかしこの書簡を一瞥しても、例えばその後の大政奉還や船中八策に通じる観点から見れば、この「せんたく」云々の一節と比して、より意義のありそうな箇所を見つけ出すことは出来そうです。それでもなお多くの人が「せんたく」を引っ張りたがるのは、社会改革は「姦吏」のごとき悪者を一掃すれば足ると考えがちだからなのでしょうか。しかし、それこそエスニック・クレンジングへと繋がる道のようにも思われるのです。そして、エスニックをクレンジングしてしまうような時には、文脈から切り離された歴史上のフレーズが使われることもまた、ままあるようにも思われます。
・・・てな風に真面目ぶってみたけど、案外、元の書簡で一番わかりやすいフレーズが「せんたくいたし申候」だったから目に付いた、だけかも知れませんね。玉音放送の「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」みたいなもんで。
by bokukoui | 2010-04-18 20:33 | 歴史雑談 | Comments(7)

まあ、どちらかというとBrain Washという感じじゃあないですかね。石原閣下は。ヨットスクール好きだし。
それにしても、今年竜馬ネタで広告作った奴は金輪際「クリエイター」とは呼ばない。

http://www.amazon.co.jp/龍馬降臨―幸福実現党・応援団長龍馬が語る「日本再生ビジョン」-大川-隆法/dp/4863950241
しかし金正日の守護霊まで呼び出せるエル・カンターレまじパネェっす。



某帰還兵に話を振ったら食いついてきそうな気が・・・。
貴殿に不謹慎ぶりを心配されるとは・・・我ながら愕然としております。
龍馬関連の広告もえらく多いですね。便乗もいいとこですが、斯界の「クリエイター」とは多くそういうものなのでしょう。
>某後輩氏
歴史上の人物に勝手に仮託した極地ですね。それを信じる人がいるというところに何とも言えぬうんざりさを感じます。
小生も原武史の著作を粉砕すべく日々研究・・・の前に雑事が多くてどうにも。
非モテ界隈の洗濯も宜しくお願いします。もっともG氏とのいくさは内ゲバじゃないかと(笑)
>無名さま
司馬遼太郎の影響か、「竜馬」表記が多いようですね。
某帰還兵は既に受験のことを忘れたのでしょうか・・・