今日の東急デハ5001号の状況(58) 絶対領域vs.国民新党
まずは全景を。いつもはクリックすると拡大表示する写真を掲げますが、今日は中途半端な時間だろうと思ったにもかかわらずえらく人出が多く、電車の全景をそもそも上手く捉えられませんでしたので、今日は小型のサイズにしておきます。
車輌を前から順番に見ていきましょう。
ついでこのドアの戸袋窓を見ます。ここはもともと傷みの大きいところですが・・・
で、この戸袋窓の下の車体側面に小さな傷があったのですが、それは以下のようになっています。
車体側面の傷といえば、運転台から3枚目の窓の下辺りに大きな傷が出来ています。
拡大してみるとこんな感じです。
更に右隣の窓の下の車体側面はこんな状況です。
車体の上の方も見てみましょう。
次いで、これは毎度のドア附近を。こちらは車端部寄りのドアです。
そしてこれも毎度、傷みが目立ちやすい戸袋窓も見てみましょう。
この戸袋窓の下の車体も傷の多いところです。
最後に、このところ注目している、表からは見えないよう衝立で隠されている、車体の正面から見て左側面側を、衝立の隙間から覗いてみましょう。
車内の展示は、相も変わらず渋谷の観光写真コンテストのままでした。今年度のコンテストをやるまで同じなのではあるまいかと懸念されます。渋谷区や地元の商店街関係者は、もはやデハ5001への関心を失ってしまったのでしょうか。
といって、区や地元関係者は、デハ5001に飽きたのかもしれませんが、この渋谷駅頭の場でなにがしかの宣伝行動を行うということには熱心なようで、昨年にも「渋谷芸術祭」なるイベントを行っていたことは当ブログ既報の通りです。そしてこの日も、「渋谷パラダイス」なるイベントが行われていたそうです。今回で36回目らしいですが、小生は渋谷近隣の学校に通うこと計8年、渋谷を経由して通学した時間は数えるのもいい加減嫌になるほどであるにもかかわらず、このようなイベントが存在することをこの日まで知りませんでした。
で、このイベントの一環として、この日デハ5001の車端部あたりで、ミニライブが行われていました。
そして、この時のミニライブもまた、ちぐはぐなこの街の状況の犠牲となっていたことは明らかでした。この時は、AZUKIさんという若い女性の歌手の方が、ギターを抱いて熱唱しておられたのですが、なんと間の悪いことか、ハチ公前交差点で政治団体が大音声で演説をしていたため、デハ5001の周囲をうろうろしていた小生にさえ、折角の歌はほとんど届かなかったのです。物理的な距離なら、政治団体よりAZUKIさんの方が近かったくらいの場所だと思うんですけどね・・・。
その政治団体とは。
それはともかく、小生思うに、ハチ公前のこの場所は、左右も与野党問わず政治的主張を行う定番の場所ですから、このような事態が起こることは容易に推測されたわけで、その際に「渋谷パラダイス」イベントが鉢合わせして不幸な結果にならないよう、イベント主催者側、ひいては行政などが配慮を怠ったことは甚だ遺憾であり、本気で「芸術の街」で売り込む気があるのかとさえ思われます。
しかもなんと皮肉なことか、この時大音声でもっぱらAZUKIさんの歌をかき消していたのは、歌手や作曲家などの芸能人だったという事実があります。国民新党の演説といっても、この日の渋谷には亀井静香大臣が来たわけではなく、来る参院選に国民新党から出馬予定という、歌手で作曲家の敏いとう氏の顔見せが主で、更にその応援演説に駆けつけたという芸能人(確かジェリー藤尾氏はいたと思う)諸氏も敏氏と一緒に車輌の上から声を張り上げていたのでした。
「渋谷パラダイス」イベント関係者の中に、「芸の道の先達として、同じ道を歩む若者の晴れの舞台に一掬のご配慮を」と国民新党に頭を下げに行く人はいなかったのでしょうか。
ところで、敏いとう氏やその応援演説をしていた方々、或いは顧問としてこれら諸氏を紹介していた中村慶一郎氏のどなたの発言だったか正確に把握はしていないのですが(多分立候補者紹介という趣旨からして敏氏と思いますが)、小生が聞くとも無しに聞いていた国民新党の演説内容は、なんともがっくりするような内容でした。
それは、「夫婦別姓は家族制度を破壊する」「この他の家族制度破壊の政策として、非嫡出子に平等な遺産相続の権利を認めるものがあるということを、女性の方々に特に認識して欲しい」「これらの誤った政策や、外国人参政権などを、民主党に実現させないようにする」とか何とかというものでした。まことに乱暴な第一印象を率直に記せば、ネット上にゴマンと見られる「ネット右翼」(宮台真司の言葉を借りれば「ヘタレ保守」)と似てるなあ、ということでした。
これらの件について小生が抱懐する思いは当ブログの過去の記事、たとえばこちらの「外国人参政権・夫婦別姓反対デモに出くわす」などに記しているので繰り返しませんが、非嫡出子云々については、これまた小生は詳しい知識を有しませんけれど、ただ原則として、非嫡出子当人に何ら責任が無く、非嫡出子当人によって改善することがほとんど不可能な事情を理由として、その非嫡出子の権利を法的に制限することに合理性はないと考えます。法的には平等の枠組みを作った上で、個別具体的に判断するべきことでしょう。
それにしても、わが国で(もしかすると世界的)一般に「若者の街」と思われている(いささかの軽薄さも込めて)渋谷の真ん中で、その渋谷の「芸術の街」としてアピールするための歌声が、功成り名遂げた老歌手達のネトウヨと妙に通じた演説にかき消される、その狭間で渋谷を今日の繁栄あらしめた交通インフラの立役者たる名車が静かに朽ちてゆく、この混沌こそが今の「渋谷」なのであろうかと、この状況を目にした小生は妙に考え込んで腹が減ってしまい、その足で喜楽に行ってワンタン麺を食べてきました。小生にとっての渋谷のイメージは、大盛堂書店なき今、麗郷の蜆炒めと喜楽のワンタン麺で9割方尽きてしまっているのです。
(同様の力学は、今度の参院選神奈川選挙区に立つ2人の民主党現職の政策的スタンスにも働いてます。千葉法相と金子洋一氏の最近の発言を追っていくと面白いですよ。)
何より、金融モラトリアム問題や郵政見直し問題を見ていて分かるように、党首の静香ちゃんはドグマではなく腹芸の政治家ですから。参院選後に国民新党が単独で生き残ることは難しいでしょうし、そんなに真面目に受け止める必要はないと政治ウォッチャー的には思います。
以前からお話していますが、渋谷の廃れようはただ事ではないと思います。
同じ「混沌」でもかつての、暴力的でありながらも、受容性が高く、前向きなものと、今日の「秩序」に名を借りた、排他的な「混沌」(センター街に見られるような。)とは全く異なるものであり、ある意味、今の世相を反映していると思います。
ご指摘の内容についてはごもっとも思います。小生も国民新党自体の政策を云々するというほどのつもりはありません。亀井先生の政策も仰るとおりの方向だろうと思われます。
ただ、功成り名遂げた老芸能人が、ほいほい出馬を表明してこんな演説をこんな状況でする、ということには、なにがしか索漠たるものを感じた次第です。
>無名さま
そうですね、ご指摘の「排他的な『混沌』」は、現在の日本でかなり広く見られる現象のようにも思われます。何をすればいいのか、何をしたいのか分からず、ただ「安全・安心」を唱えて目に付いたものをモグラたたき的に排除してしまう、というような。
いくら鳩山政権下とはいえ、「排除の論理」ではなく、プラスの方向で進みたいと思います。
てか上で言及し忘れたのですが、渋谷のワンタン麺kwsk
それはよくあることですが、なるべく、ダメなところよりも良いところを見るようにしたいものと思っています。他人の攻撃性を、攻撃的に自分がつついていてもしょうがないので。「芸がある」ことが大事です(芸なしのネトウヨはどうしようもないですが)。
喜楽は渋谷で長年続いている名店ですので、機会がありましたら是非。値段の割に食いでがあります。