鉄道の節電状況点景 及び多少の余談
一月も負傷して引き籠もっていると、流石になすべきことが溜まって、痛む体に鞭打って出かけねばならなくなっているのですが(自業自得)、そんな折に見かけたものを幾つか。
上に挙げた写真は、ごく最近に東急の駅の改札に掲げられるようになった、プラスチックの板に文字を印刷してマグネットで留める、節電による使用停止のお知らせです。計画停電当初は、如何にも駅員さんがワープロで打ち出したようなお知らせの紙をテープで留めていましたが、事態の長期化を睨んで専用のグッズをこしらえたようです。他の会社もこのようなものを製作したのでしょうか。
地震の影響で大学のいつも使っている図書館が休館してしまったので、急ぎの用事で社史類を見るべく、いつぞやもちょっと触れた神奈川県立図書館の川崎分館に行きました。JR南武線に乗っていったのですが、川崎駅で下車してふとホームの時刻表を見ると、こうなっていました。
そのダイヤ改正の日付は地震の翌日
(この写真はクリックすると拡大表示します)
そうか、そういえばこの3月のダイヤ改正から南武線に快速が登場(復活)するんでしたっけ・・・でもこの状況では、当分の間南武線快速電車はお蔵入りになりそうです。
川崎の図書館で目的の資料を閲覧し、さらに慌ただしく国会図書館に向かいます。で、川崎からならJRで行った方が一般論としては便利なのですが、図書館から見るとJRより手前に京浜急行の高架橋がありまして、その上を走っていく赤い電車を見ると急に乗りたくなったので、少しばかり電車賃を奮発して2100形快特に品川まで乗りました。
来た快特に乗ってみると、本来、ノルウェー仕込みの青地に赤い水玉という派手な模様のシートが目を打つはずの筈の車内が、暗く沈んでいます。見れば、節電のために昼間は車内の明かりを消していたのでした。
デジカメがお節介に補正してるのでそこそこ明るく見えるが実際はもっと暗い
全部消すとは思い切った節電をするなあ、と小生は感心しました。普段小生が使っている東急電鉄の場合は、車内の蛍光灯を所々間引きするという節電手法でしたので、すぐには気づかないのです。
と、小生はここでやっと気がつきました。京急2100形は蛍光灯をカバーで覆っているから、間引きするのが面倒なだけだったんでしょうね。蛍光灯がむき出しの場合、ちょっと間引きするのは造作もないことですが、いちいちカバーを外して、となると大事です。
2100形は泉岳寺まで乗り入れますので、地下を走る場合は電灯を点けざるを得ません。夜もまた同様です。ということは、最も問題になるピークロードの時間、今ならば夕方暗くなってきた頃の節電、という意味では、実は2100形の車内灯消灯というのは、あんまり意味がないのでは・・・?
そんな観察をしながらあっちこっち資料を見て回りましたが、さすがにくたびれました。首や肩や背中の痛みはなかなか引かず、膝に至っては悪化してる気もしますが・・・湯治とか行ってる暇もカネもありません。自爆事故ですからどうしようもないですが。
なお、前回ブログ記事の鍋焼うどん探求「神保町満留賀めぐり」シリーズ完結篇に、少し加筆しました。満留賀一門の由来について資料が偶然見つかりましたので。
更に以下は全くどうでもいい余談です。
当ブログのアクセス解析をふと見た所、先日のある時間帯、検索フレーズに妙に長文の、普通そんな言葉で検索に使わなさそうなフレーズが矢鱈とランクインしてました。
・・・うん、この検索ワードはあり得ないですね。
ちょっと調べてみたら、「小生と不幸にして直接の関係を持ってしまった方々向けの報告」と書いてあった記事を、速水螺旋人先生がツイッターで「某ブログ」としてリンクせずに引用されたためと判りました。個人的な内容のものを速水先生に読まれたとは何とも赤面ものですが、蒸留酒で泥酔して階段落ち、というのはロシア的には「らしい」最期なのでしょうか。もっとも小生が呑んでたのはウオトカではなく白酒でしたけど。
一言弁解しておけば、「悪質クラスタ」の連中は人の心が判らない社会不適格者ばかりですので、「友情」など成立しそうにありません。かといって利害打算の付き合いでもありません(合理性の基準がずれています)。ただ「面白そうだから」以上のものではありません。小生含めて。
で、赤くなったり青くなったりしながら速水先生のツイッターを見ていたら、こんな呟きがありました。
「電力戦」とかいって北朝鮮ライクなポスターが出回ったりせんかなぁ。日本経済史上では、少し前に「電気代と市場経済~計画停電の歴史・続篇」でも書きましたが、「電力戦」というのは1920年代における五大電力会社間の激しい市場競争を指します。東京電灯・東邦電力・宇治川電気・大同電力・日本電力の五社が、関東・中京・関西の三地域で激しい需要家の奪い合いを演じたものです。これはもう、面白いエピソードだらけなので、誰か漫画化すれば売れるんじゃないかと思います。
1:30 PM Mar 25th
RASENJIN
Хаями Расэндзин@東京練馬
ゲーム化もいいですね。最近、ドイツのボードゲームで『電力会社』というのが評判だそうで、この手のゲームとしては結構珍しいことに日本語版も出ましたが、それなら『電力戦』というゲームも作れそうです。
『電力会社』についてはネット上でも紹介があり(こちらとかこちらとか)、小生もコンポーネントとルールブックは見たことがありますが、プレイ経験はありません。実は競りの要素のあるドイツゲームで、小生は勝った試しがありません(苦笑)。まあやってる時間もないのが最近の状況ですが。
で、プレイヤーが五大電力の経営者になって経営する『電力戦』は、多くのドイツゲームより殺伐としたゲームになりそうです。中小会社を乗っ取ったり、政党に献金して水利権と供給権を獲得したり、それが政権交代でパーになったり、赤字覚悟の電力料金で他社に殴り込みをかけたり、その分電灯料金を高めにして稼ごうと思ったら一揆に会社を包囲されたり、漏電で火事になったとこれまた一揆に会社を包囲されたり、アメリカに行って外債を募集したら金輸出再禁止で円相場暴落→円換算での借金が倍額になったり、ダムを造ったら材木会社が筏流しの賠償をしろと因縁を付けてきて大審院までもつれたり、大都市を供給区域に抱えて安心と思ったら市当局が執拗に市営化を迫ったり、最期は革新官僚によって国家管理されてしまったり、その合間に女優と浮き名を流したり、茶道の銘品を収集したり、そんなゲームはないでしょうか。
なにせ「電力戦」という言葉の響きが格好いいので、どこかで陽の目を見させたいものです。ちなみに、「電力戦」という言葉が当時どれくらい使われていたのかは、神戸大学の新聞記事文庫(戦前の新聞を神戸大の前身の神戸高等商業でスクラップしたものをアーカイブ化したもの)で、「電力戦」と入れて検索してみればよく分かります。
当ブログの計画停電や電気料金の歴史の記事は、有り難いことに結構多くの方にお読み戴けたようですが、他にネット上にそんな話がないというのは、つまり経済史って地味だよねということで、せめてこういう形でも知名度が高まればと思うのです。
と、そんなことを書くのも、現実の東京電力があれなもので、もうこんな馬鹿話でもするしかない、ということもないではありません。
コメントありがとうございます。嘘をついているかはひとまず措きますが、乗客の安全のためにも駅などへの電気については配慮されればと思います。
すべての要素をまとめると膨大になりすぎますので、それぞれの要素を分割してそれぞれ別のゲームに仕立て上げることは可能ではないでしょうか?あとはエクスパンションキットで次々に追加要素が加わるとか・・・
でもって、デザイナーもクラマー・クニツィーア、フリーゼ、ムーン(←こいつは鉄道を要素に絡めそうww)などに競作させるとか。
コンピュータならある程度要素が増えても大丈夫かなあ、とも思いましたが、プレイヤーが混乱しそうですね。やはりシミュレーションは、どの要素を取り上げてゲーム化するかはっきり決断することが大事だと思います。
どの要素を取り上げるか、日本の場合でしたら、鉄道でもそうですが、お役所の許認可を如何にして獲得するか、というのを一つ軸にしたら面白そうですね。五島慶太のようなタフ・ネゴシエイターを使うとか、政党に献金する(でも政権交代でパー)とか。
要素の追加はイベントで処理するのが現実的だろうと思います。
これなら今の時代なら売れる・・・いや、やはりそんなややこしい電力会社ゲームでは望み薄か(苦笑)