爆発!? する中国製「燕京ビール」を池袋で愛飲してた話
ですが、今回は当ブログには珍しく時事的な話題にかこつけて、白酒ではなく中国のビールの話。
小生は先刻、エキサイトのニュースページでこんな記事を見つけ、驚きました。
・相次ぐ瓶爆発…名門・燕京ビール「発展途上国、やむなし」=中国
いやまあ、普通爆発しない物が何故か爆発してしまう話自体は、中国関係では時折耳にしますが、今回の爆発物は自分が知っているものだったのでへへえと思った次第。
元の記事はサーチナの記事ですが、同サイトには類似の記事が幾つもあるようです。
・瓶ビール3万本が「手榴弾」に…大型トラック走行中に炎上=中国
・消費者協会「ビール瓶危険、人の近くに置くな」=中国で事故多発
・ビール瓶爆発…大手製品、規則無視し16年前の容器使用=中国
うーむ。何で前世紀の瓶なんか未だに使っているのだ、というところで、まめにリサイクルしてて物を大事にしているといえば言えなくもないですが、いくらなんでもやりすぎですね。人の近くに置けなかったら呑めないじゃないか。
さて、爆発するのは中国のいろんなメーカーのビール瓶のようですが、もっとも最近に問題になったらしい燕京ビール、これはその名の通り北京(昔は北京のあたりを燕といった)周辺の華北で最も売れているビールだそうで、中国全体で見ても有力ブランドの一つだそうです。こちらのサイトから瓶の姿を拝借。

以前にも紹介した気もしますが、池袋駅北西に数多く存在する中国人経営の中華料理店の中でも、とりわけ雰囲気が怪しく料理が辛く酒が安いことで知られる知音食堂では、昨夏こんなキャンペーンをやってました。

で、この格安「瓶ビール280円」の正体こそ、問題の燕京ビールなのでした。
うろ覚えですが、知音食堂のメニューに書いてある価格設定では、日本製のアサヒビール・中国のビールの代名詞である青島ビール・そしてこの燕京ビールが、すべて380円と書かれていました。生中は450円だったかな。それを如上の値段に割り引いている訳ですが、実は瓶ビールの割引対象は燕京ビールだけで、アサヒビールと青島ビールは割引対象外なのです(それでも一般のレストランや居酒屋に比べて安い方だと思いますが)。
で、小生と知音食堂に行くような悪友どもは、食うする方も犬上等な連中ですから、安さにつられてもっぱら燕京ビールを注文していたのでした。もっとも理屈をこねれば、知音食堂は中国東北地方&四川料理ということらしいので、東北地方により近い燕京の方が料理に合うはずだ、とは言えると思います。
しかし、何度も通って燕京を愛飲するうちに、小生は妙なことに気がつきました。知音食堂は店員が皆中国人、店内に流れているテレビもCCTV、客もしばしば過半数が中国人、残りが我々のような物好きな日本人、という店なのですが、どうも卓上の瓶を見ると、明らかに民族別の傾向が存在しているようなのです。
具体的には、中国人らしき人々の卓には、日本人には見慣れた焦茶色の大きなアサヒビールの瓶が並んでいます。一方日本人らしき卓には青島ビールの緑色の小瓶が目だちます。つまり、実は同じ380円でも、アサヒと青島では瓶の大きさが違ったのでした。だから中国人は割安なアサヒを呑み、日本人は「折角本場の中華なんだからビールも中国にしよう」と、名前を知っている青島を頼むようです。
ところで、オレンジ色の燕京ビールの空き瓶が並んでいる卓は・・・あれ? 他のテーブルに見当たらないような・・・?
どうりで知音食堂は、長期にわたって燕京ビールの安売セールをやっているわけだ、とその時得心がいきました。
さて、では不良在庫化の疑いもある? 燕京ビールですが、売れないくらいだからまずいのかというと、小生の個人的感想では、別にそんなことはないと思います。当たり前と言えば当たり前ですが、味は青島ビールに似ています。これをアサヒでもサッポロでもキリンでもいいですが、国産ビールと比べると、味が軽いというかあっさりしているというか、悪く言えば薄いような、そんな傾向があるように感じています。そして敢えていえば、その「薄さ」が、燕京は青島よりもっと「薄い」――ような、そんな気がします。
こう書くと、やっぱりまずいんじゃないかと思われる読者の方が多かろうとは思います。いや、実際、多くの日本人のビールの好みからすると、やはり燕京ビールは「うすまずい」といわれる可能性はあるかな、とは小生も思わなくもありません。ただ、ビール単体だけで呑むならそうであっても、知音食堂のような唐辛子や山椒や香草をこれでもかと入れた中華料理には、不思議とそのうすまずさがマッチしているように思うのです。濃厚な料理により薄いビールが合うというのも変な話ですが、小生の主観ではそうです。
小生自身の酒の飲み方は、「平常な精神状態であれば」、料理を楽しむために酒を飲むというスタイルなので、食欲増進剤としてはこの「薄さ」がちょうどいいのかも知れません。そして小生は近年、人に呼ばれるのではなく自分で店を選んで呑む場合はほとんど、池袋でなくてもこの種の中華屋を巡っていますが、そのような食事の好みの場合はこの酒が合っているのだろうと勝手に思っています。
しかし小生は、そのような呑みスタイルを確立してしまった結果、多くの日本人とは味覚がずれてしまったのではないかと思われます。
というのも、昨年秋でしたか、某学会の懇親会の立食パーティーに出席したところ、よくあることですが出てきたビールがアサヒのスーパードライだったのです。で、小生、「お、久しぶりだなあ。最近は燕京だの青島だのばっかり呑んでたもんなあ」と思って、一杯いただいたきました。
まずい。
なんだこれ。舌に突き刺さるような不快感。
おかしいなあ、昔は別にまずいとも思わずに呑んでたのに、と首をひねりました。日本人には人気の筈の(最近は中国で売れてるんでしたっけ?)スーパードライがなぜこんなにまずく感じるのか、やはりそれは、小生の呑み方が日本人離れしつつあるのかな、と我ながら可笑しく思いました。
さて、まとまらぬ話ではありますが、すっかり燕京や青島の味に馴染んでしまった小生としては、今やっていることが一段落し、涼しくなって体調も落ち着いたら、爆発のリスクを恐れずまたぞろ池袋で燕京の「うすまずさ」を激辛中華料理と共に堪能したいなあと思っております。そして中国と日本の間で独自路線を追求したい同志 / 同務(とか書くと半島の将軍様みたいですが)の方がおられましたら、是非ご同道下されば、嬉しく思う次第です。
白酒呑みすぎて階段から転落死するリスクより、燕京ビールが爆発するリスクが高いとも思えませんし、などと余計なことを書くので結局誰も同道してくれなさそうですが。まあ人徳のしからしむるところではあります。
※中国の酒の話、そして同道者が奇特にも現れたことなど、本件の続篇はこちら。
→「池袋で犬を食い白酒を呑んだ話・つづき 白酒飲み比べ談」
→「池袋で犬を食いそびれて餅を食った話」

ありとあらゆる意味において。
ご一緒できれば。
実は中国のビール好きなんですよね。
中国のビールの「うすまずい」テイストの源泉は、
中国人にビール造りを教えたドイツ人にあるのかと。
むかし「クローネンブルグ」というビールを飲んだあと
「北京睥酒」(というのもあります)を飲んで、
青臭いところが似てると思った記憶が(うろ覚えですが)。
ドイツのビールのフレーバーは千差万別のようで、
特定のブランドを指して「これがドイツのビールだ!」と
いう言い方はできないようなのですが、
少なくとも「日本では一般的ではないがドイツでは普通」と
いうフレーバーのビールが製法ごと中国に輸入されて
それが代々作り続けられているんじゃないかと。
いや「青島」って言うからドイツ人が技術輸出したんだろうと
勝手に思っているだけですが。
ちなみに川崎の中華料理屋で「青島睥酒」の大瓶が飲めます。

あと、ドクターペッパーなど薬くさい味が好みなので、そういう味付けがあればなおさら???
コメントありがとうございます。
もしご都合が合いましたら、来月あたり犬試食ツアーとか如何でしょうか。
ドイツのビールには恥ずかしながら疎いのですが、元々のドイツビールの味に近いというのはありそうなことだなあと小生も思います。むしろ近年のスーパードライ的な行き方の方が、特異なのではないかと思うのです。
青島ビールはもちろん租借地時代にドイツの技術導入で出来たものですが、その後第1次大戦時に日本が同地を占領していた際、日本の大日本麦酒が経営したそうです。だから昔の日本のビールとは、案外近いんじゃないかと勝手に想像しています。
そういえば満州国でも、「国策」として軍需用の重工業以外に、大日本とキリンにそれぞれビール工場を作らせ、それが敗戦後中国に接収されて今でも操業しているそうです。だからご指摘の「ドイツでは普通」の、中国で現在一般的に思われるビールは、案外「昔の日本のビール」と近いのではと思います。
青島に大瓶があったとは初耳です。「北京睥酒」ともどもいつか試してみたいです。
ご教示ありがとうございます。
モルツが「薄い」のですか、あまり今まで意識してませんでしたが、今度試してみます。そして是非燕京も試しに行きましょう。
さすがに輸出もしている大手の青島や燕京は、薬臭いということはないと思いますが、きっと中国を探せば・・・(笑)
>とび様
こんなところで感想を書いてすみません。
「パイカル」というのは「白乾児」と書きまして「白くて強い奴」くらいの一般名詞です。(青木正児「華国風味」による)
それから私は医学関係の仕事をやってますが、「パピローマ」と聞くと直後に連想するのはやっぱり子宮頸部です。女子中学生にパピローマウイルスの予防接種を公費でやろう、という話なんかも想起します。
なにはともあれお大事に。
ありがとうございます。記事拝読しました。いろいろと取り上げていただきまして、嬉しくも面映ゆく思う気持ちで一杯です。
紹興酒楼は前を通ったことは何度もありますが、あのあたりですと三幸苑のタンメンだとか第一亭のモツ炒めだとかにに足が向いて、入ったことがありませんでした。しかし店名に反し白酒を置いているとは、これは。
蕎麦屋のラーメンはなかなか探求の対象にならなさそうのご意見ですが、小生が好きな瀧の家(探求(5))でもインゲンは入っていました。もしかすると蕎麦屋のラーメンでも、具に関して何か店の個性が出てくるかも知れません。
夏のみなrず季節の変わり目にも弱く、昨日今日と風邪で何も出来ずいるていたらくですが、今度こそ機会がありましたら宜しくお願いします。
メールお待ちしております。
そして、その前に手術が無事済みますよう。
最近加速度的に過疎化が進んでおります当ブログですので(苦笑)、貸座敷営業も大いにやっていきたいと思います。
『華国風味』は小生も愛読しております。ただ今同書の「花彫」の呼称を見たところ、青木博士は「白乾(パイカン)」と書いています。
出典が安易ですが、ウィキペディアの「白酒」の項目では、ご指摘の「白乾児」を山東省や中国東北地方などでの言い方だとしています。その他にも日本人の書いたもので「パイカル」の表記は見たことがありまして、全くの憶測ですが、旧満州からの引揚者が「パイカル」の呼称を日本に伝えたんじゃないかと思います。
大名死亡さんも、もしお気が向きましたら、また犬など如何でしょうか。

パイカルありがとうございます。あとパピローマ……。そうですか。で、やっぱり粘膜感染しちゃうものなんでしょうか?
>墨東委様
貸し座敷許可ありがとうございます。日常生活でも思わぬところで筆禍・舌禍を惹き起こす悪い癖があって、なのにブログなんか始めようと思ってしまい、「コメント欄つけたら即炎上だな」と思ってずっとコメント欄なしで通させていただいております。今回はご好意に甘えさせていただきます。
さて、桜木町から野毛の中華屋というと、私は結局「萬里」と「紹興酒楼」だけで終わりましたが、「萬里」はたしか白酒なかったですね。「紹興酒楼」は何と言ってもあの立地ですから普通に商売していれば流行るでしょうが、料理が小盛りでその分他店より安いとか、何よりメニューが豊富とか(お酒も)、やっぱり気が利いているんだと思います。
体調の件、皆様お気遣いいただきありがとうございます。今は入院に先立ち健康保険の切り替え手続きで離職票の到着を待っております。先の見通しが立ちましたらまたご連絡させていただきます。
思わぬところで筆禍舌禍では、決して小生も人後に落ちるつもりはございません(苦笑)。しかしそんな人間が開設した当ブログは開設以来炎上歴皆無です。私見では、記事の長さが一定以上あると炎上しにくくなるのではないかと思っています。
今横浜は、赤レンガ倉庫でオクトーバーフェストとかやってますので、呑みに行くのに都合のいい季節ですね。第一亭の話はそのうち書こうかと思いますが、紹興酒楼も機会があれば試してみようと思います。中華街以外でも中華料理の層が厚いのが横浜のいいところです。
ご連絡をお待ちしております。重ね重ねご自愛の程。