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筆不精者の雑彙

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東大の巨大ブロッコリー? 的なものについて

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 当ブログの通例通り、時事的な話題としては周回以上の遅れですが。




 何の話かと申しますと、今月上旬にこんなイタズラ事件がネット上に話題になっておりまして。

ブロッコリー
東大で自転車のサドルが次々とブロッコリーに変えられる事件が発生 (画像あり)
東大でサドルがブロッコリーに変わる驚愕事件が発生!その真相は…
自転車のサドルをブロッコリーにしたイタズラ東大生3人立件見送りのワケ


 まあちょっとしたイタズラというところで、それはそれで目くじら立てるほどでもないと思いますけど、あんまり仰々しく取り上げるとかえって興ざめな感もなきにしもあらずです。ただ実行犯が東大生なのかそうでないのかがよく分かりません。

 で、事件現場は小生が日常的に通っているところなので、上に挙げた諸サイトに掲げられた写真を見てどこのことかすぐ分かりました。総合図書館の前ですね。いつも自転車が駐まっているところです。
 その場所に気がついた時、小生はこのイタズラが些か詰めが甘いというか、もう少し写真の構図を工夫すればもっと面白くなったのになあ、と残念に思いました。それがどういうことか、本記事冒頭に掲げた写真と、次の写真をご覧下さい。
東大の巨大ブロッコリー? 的なものについて_f0030574_2265160.jpg
 こちらの写真はクリックすると拡大表示しますが、そうするとこちらの写真で自転車が並んでいる列の、右側がだいたいイタズラ現場として掲げられている写真の場所とお分かり戴けようかと思います。
 つまり、この現場を見下ろす大きな木の形が、ブロッコリーみたいに見えるというわけで、これとうまく組み合わせればおもしろみが増したのになあ、と残念に思ったというわけです。

 さて、この大きな木はクスノキだそうですが、実は以前はもっと「ふつうの」木の形をしていまして、こんなブロッコリーだかカリフラワーだかみたいな妙ちくりんな形に刈り込まれてしまったのは、最近のことなのです。以前は枝がもっと茂った、うっそうというか亭々としたというか、とにかくもっと立派な木だったもので。
 写真を見ていただければ、木の下を囲むように丸くベンチがしつらえられているのがお分かりいただけようかと思います。ここはクスノキの木陰で、以前はお昼時にここでお弁当を広げる女子大生の姿なぞも見受けられました。しかしここでお昼が出来るのはリア充の中のリア充に限られ、うっかりオタク学生が迷い込もうものなら三四郎池に沈められ・・・とかそういうことは全然ありませんのでご安心下さい。午後になると教職員でも学生でもなさそうなおじさんが昼寝してたりしたこともあったと思いますし。その頃は枝の陰が、このベンチのあたりまで伸びていた訳なのです。

 というわけで、折角の緑の憩いのスポットだったのに、なんで巨大ブロッコリーにされちゃったのでしょうか。聞いた話では、何でもこの木は工事のため、一旦移設するのだそうです。その準備で、枝打ちされてこんな姿になっちゃったんですね。
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 反対側からこの木を望みます。背景の立派な建物は東大の総合図書館です。すると反対側にももう一本、これと似たような気があることがお分かり戴けようかと思います。で、ちょっと分かりにくくて恐縮なのですが、この二本のクスノキの間、赤で印をした植え込みが、噴水になっています。つまり総合図書館正面には噴水が据えられ、左右に亭々たるクスノキがそびえているという、なかなか結構な風景だったのです。
 で、折角の風格あるこの景色を何故工事しちゃうのかというと、背景の総合図書館が、本が多すぎてしまう場所がないので、噴水を潰してその下に地下書庫を拡張する、そういう計画なのだそうです。確か総合図書館だけで120万冊はあるとかいう話なので、収納場所は確かに問題ですね。地下書庫というのは景観を考えれば妥当な案で、樹木も伐採ではなく一時移転であれば、まずは結構な話と思われます。

 が、一つ問題があるそうです。噴水を潰すことです。というか、地下書庫の上に噴水があっては駄目なのかというと、この噴水、実はとんでもなく深いのです。底が見えません。
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 あんまり深いので、人が転落した時溺れないように、水中に格子がはめてあるのが分かります。普通噴水って、こんなに深いもんじゃないですよね。一体これは何なのでしょう。

 関東大震災の時、本郷の街自体は下町のような火災に遭わずに済んだのですが、東京帝大(当時)では不運にも薬学部の薬品棚が倒れて火がつき、キャンパスが丸焼けになってしまいます。この風格ある総合図書館や、有名な安田講堂など(訂正:安田講堂は震災前の設計で、当時工事中でした。震災後の建築は図書館ほか法文1・2号館などです。お詫びして訂正します。N, Tさんのご指摘に御礼申し上げます)は、その反省にたって大正末年から昭和初期に建てられたものですから、それはもう壁が厚く、もう一度震災が来てもびくともしなさそうな建物です。
 それに加え、火災の対策も必要です。大震災となると水道に頼るわけにはいかない可能性が高いでしょうかから、防火用水をどこかに溜めておくのが良さそうです。で、どうもそういうわけで、この無闇と深い謎の噴水が出来たらしいのです。
 結局図書館改築とこの噴水をどうするのか、結論を小生は知らないのですが、やはり建築当時の狙いというものも、80年以上も経てば忘れられてしまうのかな、とは残念ながら思われます。しかし震災対策の重要性が改めてクローズアップされたからには、水を溜めておくという超古典的対策も、むげにはされなくなるでしょうし、そうあるべきと思います。同時に、災害教訓を語り継ぐというのも最初から念を入れておかないと、結構忘れてしまうということは、今現在でもただちに全国民が銘記するに値する教訓であろうかと思います。

 というわけで、本日の記事でいいたかったことは、「視野を広く持ちましょう」ということでした。あとこのネタはもっぱらツイッターで知ったことで、このたいがい怪しからんメディアも時には役に立つことがあるということでもあります。

※追記:本件について「地下書庫は人が入れぬ自動倉庫だそうで、それならいっそ一般的な重複本の開架書棚とあわせて東北に新図書館作れば、とその筋に建言して一蹴されました」と、その筋からツイッター経由で情報が入りました。また噴水については、赤門から入った突き当たりの、医学部の建物の前の広場に移設する案もあるそうです。
 噴水=消防用水説についてですが、震災でキャンパス丸焼け後の再建計画に際し、防災構想は当然あって然るべき筈のところ、現在明確な文書は見つかっていないそうです。三四郎池の水を消防用にも使えるようにしていたのではないか、と見える節もあるそうですが・・・とまれ、災害教訓を語り伝えるのは難しいということは、改めて強調されるべきですね。

※更に追記:東大総合図書館の新図書館構想についてはこちらを参照
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by bokukoui | 2011-09-27 23:59 | 時事漫言 | Comments(0)