鍋焼うどんの探求(32) 栄亀庵@本郷(真砂坂上) 猫舌仕様?
今回も、前回に引き続き本郷界隈で、本郷通りより西側のお店を訪れます。本郷三丁目の交差点を西に、後楽園方向へ少し向かったところの栄亀庵で、「鍋焼うどん」(850円)をいただきます。
お店の外観は、ただ店名の看板が頭上に掲げてあるだけで素っ気なく、蕎麦屋によくあるようなサンプルが並んでいるでもなく、扉も喫茶店みたいな感じで、あまり蕎麦屋らしくありません。中はさほど広くはありませんが、卓はわりと余裕を持って配置され、さほど窮屈な感じはしません。全部で二十数席あったと思います。
お品書きを見ますと、もりかけ400円と安めの設定で、鍋焼うどんも850円というのはこれまでの本郷界隈でも最安値です。天ぷらそばも鍋焼と同じ850円で、天とじ・天ざるが950円、一番高いのが天重で1150円(天丼は850円)です。お手頃価格ですね。
ややあって鍋焼うどんをお婆さんが持ってきてくれました。通例通り、お盆に土鍋とネギの小皿と箸を並べて、そのままお盆もろともテーブルに置かれると思いきや、なんとお婆さんは素手で土鍋を持ってじかにテーブルに置きました。これにはびっくり。上に挙げた写真では分かりづらいですが、土鍋の下には鍋敷も何もありません。
土鍋に触ってみると、確かに温かいそばの丼程度しか熱くない感じです。これはどういうことでしょう。土鍋は熱くなるのに時間がかかるから、別の金属の鍋で調理し、最後に土鍋に移したのでしょうか。中身は普通に熱いので安心ですが、ぐらぐら煮え立っている訳ではさすがにありません。鍋焼マニア的(?)には沸き立っている方が風情がありますが、猫舌の人にはこっちの方がいいかもしれません。もしかすると、お店の人が猫舌だったのでしょうか(笑)。なお猫舌対策済みだからなのか、鍋焼うどんで普通ついてくる、鍋から一時とりわける小鉢はついていませんでした。
食べる前から驚きの展開でしたが、気を取り直して具を確認してみましょう。
・えび天(煮ないで載せている やや小ぶり)
・卵(半熟の落とし卵)
・かまぼこ(飾り切り×2)
・なると
・鶏肉
・しいたけ(甘く煮てある)
・麩
・太ネギ×2
・三ツ葉
・薬味のネギ(別添)
鍋焼うどんの具の方は、まことにオーソドックスな布陣です。三ツ葉がちょっと上品な感じでしょうか。鶏肉が入っているのは小生の好みに適うもので、煮加減も柔らかくいい感じでした。ただそれほど具の一体感を感じなかったのは、天ぷらが載せただけの方式だったことも影響しているかもしれません。
麺は、太さは普通ですが、結構柔らかめに煮られていました。これも小生としては好みのポイントです。つゆは甘めのように思いました。
というわけで、上に挙げた写真だけ見ればごく一般的な鍋焼のようで、確かに具のラインナップはそうでしたが、意外なところで驚くべき個性のあった鍋焼うどんでした。
最後に、例の如くお店の場所と外見を掲げておきます。住所は本郷4丁目になりますが、お店のお品書きなどでは「真砂坂上」と称しているようです。バス停と交差点に残った住居表示前の呼称ですね。
先に述べたように、お店の外見が普通の蕎麦屋とはちょっと毛色の変わった感じがしますが、隣り合った店の様子もなかなか趣深いので、ことのついでに栄亀庵のある一角の写真も掲げておきます(この写真はクリックすると拡大表示します)。
コメントありがとうございます。小生はこの日、真砂中央図書館の前を通って大学に行きましたので、ニアミスしてたかもしれませんね。
お洒落な自転車にはお目にかかれませんでしたが、お客かと思ったらお孫さん(多分)がやってきてたり、昔ながらの街のお店という感じでした。
コメントありがとうございます。
緑色の建物、おそらくは銅板で装飾したいわゆる看板建築の類だと思われますが、やはり由来が気になりますね。本郷は戦災に遭わなかったので古いものもそれなりにあるようですが、小生が通っている間だけでもそれなりに様変わりしてしまってもいます。