鍋焼うどんの探求(33) ほていや@本郷(壱岐坂上)
そんなわけで、本郷界隈の本郷通りより西側に入ったお店を、北の方から順次見てきましたが、3軒目は壱岐坂上交差点を西に折れてしばらく行ったところにある、 ほていやで、「なべ焼うどん」(1200円)をいただきます。

このお店は、探求の(30)で取り上げた「蕎麦切 森の」の並びにあります。やはりビルの1階で(といってもこちらは蕎麦屋専用の小さなビルですが)、すりガラスの引き戸に賑々しくメニューの紙が貼られています。
中に入ってみると小さなお店で、テーブルがちょっと変わっており、会議室などでよくある長机のような形をしていて、蕎麦屋らしからぬ感じです。その長机に一応向かい合わせに椅子が配されていますが、実際向かい合わせに座ったらちょっと狭かろうと思います。その長机が4つだけと、ごくこじんまりとしたお店でした。
お品書きを見れば、もりかけ500円と安めの所から始まり、なべ焼うどん1200円に対して天ぷらそばは1150円と少し安いですが、天せいろ1250円・天ざる1300円・天とじ1350円といったあたりが麺類の最高値を占めています。ご飯ものでは天とじ丼の1300円が最高でした。
ややあって、なべ焼うどんを土鍋に蓋をした状態でめがねのおじさんが運んできます。こういう時、お店の人が蓋を取って、持って戻るお店が多い気がしますが、このお店ではそのままでした。
ので、自分で蓋を取って、具を確認しましょう。
・えび天(煮てある)
・ししとう天
・ピーマン天
・かまぼこ×2(厚い)
・なると
・伊達巻き
・鶏肉(少し甘く煮てある)
・豚肉薄切り少々(甘く煮てある)
・玉ねぎ(甘く煮てある)
・しいたけ×2(大きいのを二つに切ってある 甘く煮てある)
・油揚げ×2
・さやいんげん(けっこうたくさん)
・薬味の白ネギ(別添)
質量共に盛りだくさんです。まず天ぷらが3種類入っているのは、今まででも最高記録ではないかと思います(ししとう天が入っていたお店はありました)。卵が入っていない代わりに伊達巻きが加わっています。青味がさやいんげんなのもちょっと変わっています。
この具の特徴はやはり、肉類が鳥と豚と二種類あることでしょう。どちらもちょっと甘く煮られていて、かつ玉ねぎが一緒です。わざわざ鍋焼のために煮るのも手間ですから、これは他のメニューで使うものの転用なのでしょう。といって、鶏南蛮や肉南蛮なら、玉ねぎでなく普通の太ネギと合わせるはず・・・となれば、鳥+玉ねぎは親子丼の転用なのでしょうか。そういえばこのお店のメニューには「開化丼」というのがあり、小生にはあまり耳慣れない名前でしたが、これは他人丼同様のもので、親子丼の鳥を別の肉に差し替えたものです。小生の家庭は関西系なので、他人丼=牛肉ですが、肉といえば豚肉が主流の関東では豚肉の場合も多いようで、このお店の「開化丼」も同様と思われます。
油揚げも味がついていて、きつねの転用のように思われます。そもそも、かまぼこやしいたけはおかめそばの具でしたし、こうしてみるとこのお店の鍋焼うどんの具は、他のメニューのものをうまく利用して、賑やかなものになったわけですね。結構な工夫です。
麺は固さ太さとも普通でしたが、麺の断面がやや平べったい感じで、小生は鍋焼にはこのタイプの方が合っていると思います。つゆは、関東風としてはあっさりとしていて色も濃くない感じで、鳥・豚のおかげで油が入ったためか、つゆに具をまとめる一体感が出た感じで、これも好感でした。具を煮た甘みも溶け出したのか、程よい甘さがつゆに感じられます。
余談ですが、関西のうどんつゆはかえしを使わないので甘みが少ないのですが、肉うどんにすると甘く煮た肉の甘みが混ざって、甘さと塩のバランスが良くなります。ので、小生は関西のうどんでは、肉うどんやきつねが好きだったりします。
お店はこじんまりとしていましたが、鍋焼うどんの中身はなかなか盛りだくさんなお店でした。
最後に、場所と外観を示しておきます。