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筆不精者の雑彙

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寅さんがあの夏で待ってる~[深夜アニメ一期一会]2008年の懐古園を懐古する

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懐古園@小諸にて(2008年3月撮影)

 三寒四温といいますか、春らしくなりそうでならないような微妙な日が続きますが、皆様如何お過ごしでしょうか。小生の調子も天候同様一進一退めいておりますが、巨視的には暖かくなるにつれ改善されていると思いたいところです。殊に年初から先月半ば頃までの停滞ぶりはひどく、何を読んだり見たりする気力もなく、ネットでも文章を読むことすら碌に叶わず、ただ英語版ウィキペディアのニュルンベルク裁判で処刑されたナチ戦犯の死体写真ばかりぼんやりと見て日を過ごしていたこともありました。何故か日本語版だと、全員分の写真がないんですよね。
 ・・・などという陰鬱な話はさておき、先月末頃から一応回復基調にはあるつもりで、しかしその間に積み上がった用事はなかなか片付いておりませんが、お気楽で明るい話題をば。

 そんなわけで、少し前からぼつぼつものを読んだり書いたりする気力が甦ってきたように思え(その矢先に帯状疱疹になったりしましたが)、久しぶりにアニメなど見たりしています。
 そのアニメとは「あの夏で待ってる」で、長野県の小諸を舞台にした青春ラブコメです。あんまり小生はそういうのを見る方ではないし、最近はそもそもテレビ自体ほとんど見ていなかったのですが、ナヲコ先生夏コミで「夏待ち」本を出す(リンク先はpixiv)など、好意的な評価が周囲で二三聞こえたので、何となく見てみました。
 で、こういうものの鑑賞眼が自分にあるとは思っておりませんが、なんというか、丁寧に作られた作品だなあというような感じを受けました。まことに気持ちよく見ることが出来る作品で、第1話から遡って見直し、その後も続きを楽しみにしていましたが、なにせ1クールなもので残念ながら来週で終わりのようです。こういうものを見られるくらいには精神状況が良くなったのか、はたまた事態は深刻化したのか。





 さてさて、「あの夏で待ってる」は、先に書いたように小諸はじめ長野の佐久平近辺が主な舞台で、登場人物の高校生たちが夏休みに8ミリ映画を撮ろうとするのですが、その主な撮影場所に使われているのが、小諸城址の懐古園です。
 で、最近はアニメとかの舞台になった場所をオタクが訪ねる「聖地巡礼」というのがすっかり定着し、観光資源として注目されるようになりましたが、そもそもこの流れを辿ればやはり、今から十年ばかり前のアニメ『おねがい☆ティーチャー』で、舞台となった長野県の木崎湖へ行くのがオタク業界で流行ったことが、そのきっかけではないかと思います。ちなみに『あの夏で待ってる』のメインスタッフは、『おねがい☆ティーチャー』のスタッフと同じだそうで。
 余談ですが、小生のイメージでは、最初は「田舎の木崎湖まで行く」という「馬鹿げた」行動を「わざわざ」やってみせる、という衒いが多少あったような気がしますが、そのうち木崎湖がほんとに良いところだったのか、「聖地巡礼」がだんだんその筋では「普通」のことになっていった、そんな印象があります。
 そんなわけで「聖地巡礼」の定着により、『あの夏で待ってる』では「小諸舞台のアニメ通して地域活性化を ファンと意見交換会」なんてこともあるくらいで、最初から地域とタイアップしているようです。「なつまちおもてなしプロジェクト」というのがあって、しなの鉄道も「アニメ『あの夏で待ってる』の画像を利用した記念きっぷ開発」をもくろんでるんだとか。

 で、そんなご時世ですから、もうとっくに懐古園はじめ「あの夏で待ってる」の舞台となった場所の「聖地巡礼」報告がネット上に幾つもあります(「あの夏で待ってる 聖地巡礼」で検索すると幾つも出てきます)。小生も懐古園は何度か行ったことがあり、アニメを見ていてもすぐそれと知れたので些かの感慨を抱きましたが、その後ふと思い立って過去の写真データを調べると、今からちょうど4年前の2008年3月に懐古園などを探訪した際のものが出てきました(この探訪については、過去にも碓氷峠の落書きの話などを紹介したことがあります)。それが我ながら、妙なものばかり撮っていたので、お笑いかたがたご紹介します。「聖地巡礼」される方のご参考・・・にはならなさそうですが。

 そんなわけで冒頭の写真。実に味わいのある書体の看板ですね。おまけに行の並び順が逆です。昔は横書きにする時右書きにしてたけど、こういう書き方は見たことがありません。ちなみにこの看板の背後は、
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懐古園の閉鎖中の階段(2008年3月撮影)

 という状況になっておりましたので、確かに警告は必要でした。今では多分、補修されていることでしょう。実際この時は、園内各地が修理中でした。

 もう一つ、懐古園はもちろん城址ではありますが、古くから公園化されていたためか、どこかしら「昭和レトロ」的観光地の風合いをとどめておりました。確か園内にはミニ動物園的なものが併設されていて、その関係からか、「昭和レトロ」的観光地には欠かせない、記念写真用「顔出し」がありました。
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懐古園のペンギン顔出しと動物豆知識看板
(2008年3月撮影、この写真はクリックすると拡大表示します)

 ベニヤ板を加工した手作り感がたまりません。今でもあるのかな。
 もし懐古園が「あの夏で待ってる」と協賛するのならば、登場キャラクターの謎の宇宙生物? りのんの顔出しを作って、このペンギンの横に並べておくのも一案かと存じます。
 ちなみに個人的には、「夏待ち」のキャラクターでは、りのんが一番かわいいと思います。頭の双葉?を突っついたら「なっ♪」と喋る、ぬいぐるみとかグッズで出そうですね。ちょっと欲しいかも。しかし冷静に考えると、こいつがいろいろやらかしたから、事件が次々起こったわけで、実はキーパーソンなんじゃないかとも思ったり。あ、もちろん、どのキャラクターもいいと思いますよ。

 で、懐古園の隣には、更なる「昭和レトロ」感が横溢したハコモノがありまして(平成の開館だそうですが)。

 その名も 渥美清こもろ寅さん会館 であります。
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懐古園に隣接した「渥美清こもろ寅さん会館」
(2008年3月撮影)

 何でこんな施設が小諸にあるのかといえば、「男はつらいよ」の第40作、「寅次郎サラダ記念日」(1988)の舞台が小諸だったからだそうですが、それにしたって微妙なタイトルだな・・・。
 で、もちろん入らなかったのですが(苦笑・入館料が要ったし)、入らなくても充分衝撃的でした。というのも、上掲写真の左側にも見えているのですが、建物正面だけで充分お腹いっぱいだったのです。
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「渥美清こもろ寅さん会館」正面の寅さん像と山田洋次監督・渥美清の看板
(2008年3月撮影、この写真はクリックすると拡大表示します)

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なぜか全身金色の車寅次郎像

 柴又ならばともかく、50作に近いシリーズ中の一作の舞台になっただけで、ここまでやってしまったのは、さすがにやりすぎのような気も・・・渥美清が小諸をよく訪れていたという縁はあったそうですが、ただそれにしても、寅さんの像のセンスは、何というか・・・うーん。
 そして今回、この記事を書くためにネット検索をかけて、驚愕したことがあります。公式サイトくらい今時あるだろうと「渥美清こもろ寅さん会館」で検索したら、グーグルではトップに公式らしいサイトが表示されます。しかしクリックすると「HTTP 404 File Not Found」です。それではと二番目の、小諸市観光協会のページを見ると・・・小さな字で「2010.12より休館中」とあります。嗚呼・・・やはり・・・と思いましたが、念のために更なる検索を続けたところ、翌年2月から再開したという情報を見つけました。冬はお客が少ないせいか、休んでいただけだったようです。ふう。で、この情報を紹介してるのは地元の人かな・・・ん、「信州こもろ・小諸市観光協会」がやってるブログみたいですね・・・って、それなら協会のサイトの「休館」の文字を消さんかい!
 というわけで、なかなかネット時代には対応していなさそうですね・・・そりゃまあ、「寅さん」ファンは概してネットと縁がなさそうですが。

 さて、ここで思うに、「寅さん会館」があるということは、小諸は既にコンテンツに依拠した観光振興を行ってきたわけですね。で、それが成功しているのかというと、これは映画に疎い小生には分かりませんが、多少検索してみた印象などでは、やはり柴又と比べるとその知名度は圧倒的に低いままと言わざるを得ないように思われます。観光協会のブログの中の人が「実は小諸にいながら「寅さん会館」を知らず……」というくらいですから・・・記事を読むとコアなファンはいるみたいですが。
 「夏待ち」の観光振興には、この先例がなにがしか参考にされているのでしょうか。思うに、ハコモノ一つで人を呼ぶのは簡単ではないので、街、さらには地域の各地を周遊して回るようにするのが効果的ではないかと。これは、前に鹿児島は知覧の特攻平和祈念館に行った時、年間60万とも70万ともいう多数の入場者がある理由について、祈念館の方が「周辺の指宿温泉などと一体化した観光コースの一環になっているからです」と教えて下さったことを思い出してのことです。

 で、さらに思うに、「懐古園で映画を撮る」という「夏待ち」の内容は、既に「寅さん」がやっていたことだったんですね。だったら「夏待ち」の中で撮る映画も、SF風ではなくて「寅さん」的コメディにすれば良かったのではないでしょうか檸檬先輩。イチカ先輩の寅さんコスプレとか・・・あ、誰も分からないか(苦笑)
 しかし、せっかく「寅さん会館」もあるんだから、ここはいっそ、「夏待ち」と「寅さん」のコラボ企画でもやればどうかと思います(笑)。観客層がまるでかぶっていなさそうですが、これはむしろ相互に新規顧客層開拓と前向きに考えましょう。そして、長野県内では他にも「寅さん」の撮影が行われた地もあるそうで、また「夏待ち」スタッフが以前に製作した『おねがい☆ティーチャー』の舞台も同じ県内(しかも「夏待ち」最終回で登場かも!?)ですから、県内で幅広く巡回してもらうよう仕向ければもっと有効でしょう。
 てなわけで、コラボ企画の目玉はやはり、渥美清没後の今だからこそ、アニメで寅さんを制作しましょう。題して、

「男はつらいよ おねがい☆寅さん~あの夏の祭のテキ屋で待ってる」

 ・・・どうやら小生は陰鬱な停滞から回復したのではなく、むしろ躁転(余計悪化)してるんじゃないかという気が少ししてきました。
 とか何とか思ったら、「アニメ版・寅さん」って既に存在したのか・・・

 最初は「金色の寅さん」の画像を一枚張って小ネタにするだけのつもりでしたが、気がついたら大長篇記事になってました。
 まあとにかく、地域振興や観光誘致にいろいろな取り組みがなされているわけですが、ハコモノ一点豪華主義から、ソフト面での対応による巡回型へ、という変化は確実なものであろうと思います。小諸市がそのような転換の例として成果を上げることを祈っています。
 そして「あの夏で待ってる」の最終回はどうなるのか・・・「寅さん」の舞台とかぶるからにはやはり、主人公はマドンナと別れる・・・いや「夏待ち」の場合はイチカ先輩の方が寅さん的役回りのような気がしますが、期待と不安で待ってる今日この頃です。

 おまけ。
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 左は「夏待ち」2話より。あ、箸とフォークの位置間違えた。ちなみに味噌汁にトマトはそこそこ合います。冷やし中華は好まないので味は見たままですが。
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by bokukoui | 2012-03-23 23:59 | 思い付き | Comments(0)