ワンマンバス・電車の降車押しボタン展示(@渋谷東急ハンズ)を見る
(この写真はクリックすると拡大表示します)
昨日のことですが、ちょっと買いたいものがあって渋谷で東急ハンズに立ち寄ったのですが、その時に全く偶然に、上の写真の展示に出会い、思わず足を止めました。
写真を見ればお分かりの通り、バスでおなじみの、降車したい停留所が次に来る時に押す、ボタンですね。古今東西(といっても、日本以外の国では珍しいそうです)の様々なボタンが一堂に集められているのは壮観です。
しかも感心するのは、集めただけではなく、稼働状態にあるということです。自由に押してよいという太っ腹な展示で、押すと電灯が点き音が鳴ります。もう子供なんか大喜びでしたが、最近見なくなったちょっと懐かしい形や音のボタンも、また初めて見るような古式ゆかしいのもあり、老若男女問わず、通りがかった人たちが見入っていました。
さてこの展示、東急ハンズではこのような押しボタンも扱っていて、在庫一斉お蔵出し・・・というわけではもちろんなくて、個人の趣味者の方のコレクションです。で、そういえばボタンを集めている人の話を以前聞いたような気もして、捜してみたらやはりサイトをお持ちでした。
・つぎとまります
というわけで、展示物の詳細はそちらをご参照いただければと思います。ちなみにその場の話では、コレクターはこの方含め二人しかおられないそうです。
それにしても、実に面白いところに目をつけたコレクションですね。しかも背景を調べれば、決して好事家の遊びに留まるものではなく、けっこう交通機関の労働問題なんかの歴史を、側面から照射する材料にもなるのではないかと思います。
この展示の場には、このボタンの数々を集められた方がおられましたので、少しお話を伺いました。この降車ボタン、基本的にはワンマン運転のために取り付けられたわけですが、それではいつが発祥かというとなかなか分からないようです。ただ、バスよりは電車の方が早そうな印象のようです。とはいえ、輸送力重視で3ドアの電車なんかだと、車掌を乗せながら降車ボタン導入ということも考えられそうですね。
そういえば、女性バス車掌の話は以前、サイトに書いていましたが、現在消滅して読めないので、近く復活できればと思います。
ワンマン化という合理化には、労働者からの反発もありそうですが、一方でこの押しボタンは、車掌を乗せていても労働軽減という意義もありそうです。労働問題でこの押しボタン装置が問題になったりしたことはないのかとお伺いしたところ、そのような事例はなさそうで、結局高度成長期の人手不足の中、ワンマン化が進行していったということだそうです。
また、この展示ではバスだけでなく路面電車のボタンも集められており、むしろ発祥はそちららしいのですが、路面電車とバスを同じ事業者が経営するというのはよくあることでも、それでは電車部門とバス部門とで歩調をそろえて、同じメーカーからボタンをまとめ買いしてコスト削減、ということはあまりなかったそうです。やはりそのへんは別々だったのですね。
そして、路面電車を廃止したからといってそのボタンをはがしてバスに転用、みたいなこともやはりなく、またボタンは結構耐久性があるらしく、バスが廃車になっても稼働していることはよくあるそうですが、だからといってそれをはがして新車に転用、ということもないそうです。はがしてつけ直す方が面倒だろうとのことでした。
逆に、バスが別な会社に中古で転売された場合、内装なんかと一緒に、ボタンを更新する例はそこそこあるようです。
とまあ、展示のみならず面白い話をいくつも伺うことが出来、偶然にもこんな展示に出会えて幸いなゴールデンウィークでした。
そして何より感心したのは、コレクションしたりそれを稼働状態にレストアしたり、ということに加え、このような展示活動を行っている、ということでした。一般的にマニアですと、自分のコレクションをもったいぶって見せない人も珍しくないですし、公開したとしても、子供まで自由に触らせてくれる、なんてことは珍しいと思います。それだけ展示に際してはいろいろ大変だろうとは思いますが、やはりもともと乗客が触る機械なのですし、触れるということが老若男女の関心をより広く深く惹いていたことは、この日の展示からも明らかでした。これは、こういった現物資料の保存展示の実例として、広く範とされるに足るものと思います。
このような意義のあるご活動を、今後も続けて下さるよう、強く祈念する次第です。
アメリカのバスに乗車した限り,当地での降車サインは,(1)窓の桟に縦横に張り巡らせたコードを引っ張る,(2)同様の黄色いテープ状のユニットを押す,(3)上記と押しボタン(一切文字表記等のないシンプルなもの)の併用,というのが一般的なようです。おそらく,(1),(2)とも,運転席近くに設置されたベルを車内に張り巡らせたひもを引っ張って鳴らす,という初期システムを,「そのままの形態で」電子化したのではないかと思われます。機会があれば写真を撮影してお送りしますね。
あと,1830は無事入手しました。予想より重くて大きかったですが・・・。
ご興味を持っていただけましたらありがたく存じます。
アメリカの降車サインのご紹介ありがとうございます。
なるほど、いわゆる「チンチン電車」のシステムを色濃く受け継いでいるのですね。
むしろ発想としてはその方が自然ですし、写真では分かりにくいのですが、日本のも一番最初くらいのは紐を引っ張る形だったそうです。となると、むしろ日本でこのような形に進化したきっかけが何だか、そこがポイントになりそうです。
是非、彼の地のそれの写真がありましたらお願いします。
『1830』代理購入ありがとうございます。メイフェアがゲームを改訂すると、大体前よりでっかくなってしまうもののようで・・・まだお手数をおかけしますが、何卒宜しくお願い申し上げます。