伝説のサイト「うえのはるきのほめぱげ」ツイッターで復活!?~レッツビギンやで! ポジティブや!!
今日も前回同様、ネット上の小ネタであります。
といっても、最新ほやほやだった前回のネタと違い、この分野では古典的? な話題です。何というか、どう話を持っていけばいいか・・・分かる人には分かるのですが、分からない人に説明するのは分かりにくいネタです(笑)
前世紀末、小生が始めてネットにつないだ頃、まだ2ちゃんねるもなく、もちろんSNSもツイッターもなかったような頃の話です。個人で「ホームページ」を設けることが、ぼちぼち流行り出していた時期でした。
当時、そのぶっ飛んだ内容で話題になり(一部ででしょうが)、小生も一読三嘆したサイトがありました。それが表題の、「うえのはるきのほめぱげ」でありました。残念ながら現在は存在せず、しばらくは web archives にデータが残っていましたが、これも現存しないようです。
このサイトは名前の通り、「上野春樹」という人物が作った個人サイトという体裁を取っています。当時の個人サイトというのは自己紹介的なものが多かった(サイトを作ること自体が半ば目的だった)のですが、その形を巧みに取った「文学」、という評価をネット上のどこかで見た記憶があります。小生も全くそれに同意します。
その内容は、在日朝鮮人の子で創価学会員で無職の若者・上野春樹が、マルチまがい商法の代名詞・アムウェイに勧誘され、それを真に受けてはまってもうまくいかない、そんな日々を綴った――という形でした。しかも手の込んだことに、彼のアムウェイでの先輩であるディストリビューター(アムウェイの役職)の「哲さん」が作ったサイトという設定の、「哲哉の部屋」というサイトも設けられ、両者が一体となって読む者を何とも心の底のドス黒いところに響くような、そんな世界を見せてくれるという、衝撃的な内容でした。
今回のタイトルの「レッツビギンやで! ポジティブや!!」とは、その哲さんの口癖というかキャッチフレーズのようなもので、ひところは結構ネット界で浸透していたと思います。今でもこれで検索すれば、衝撃を受けた方々の声を拾うことができるでしょう。
そしてこの哲さんは、今のネットスラングでいえば「アッー!」な人という設定になっていて、「うえのはりきのほめぱげ」がその後のネットで流行ったような様々なネタを先駆的にちりばめていたという感を深くします。一見そうとは見えなくても、ネットに残した影響は今でも脈々とあるのかも知れません。
少々大げさな物言いをすれば、近代日本文学における私小説という存在を、ネット時代に対応して組み替えようとした試みであったと言えるかも知れません。
しかし、そんな「うえのはるきのほめぱげ」も、結構近年まで残っていたけれど、遂に消滅してしまった――と思ったら、最近ふと検索した際に、衝撃的なことがわかりました。
上野春樹氏、ツイッターにて復活。
アカウントは @uenoharuki です。ただ、このアカウントは、2010年12月~2011年3月にかけて集中的にツイートされて完結という形のようで、その後は基本的に更新されていないようです。
ですので閲覧に際しては、上掲アカウントのツイログで最初の日から順次読んでいく方が便利です。そして、かつてこのサイトを読んでいた者にとっては懐かしいキャラクター・松村先輩や上野春樹の兄が登場し、そして衝撃の終末に・・・
一読して、往時のネットの妖しい熱気のようなものを少し思い出し、懐かしさを覚えました。
しかし同時に、あの頃は「うえのはるきのほめぱげ」といえばかなり人口に膾炙していたのに、ツイッターでのフォロー数は僅かに65フォロワーに過ぎません。そこにも転た時勢の変遷を感じずにはおられません。
ITの技術も移り変わり、確かにツイッターという形式では、あの当時の妖しさを読者に感じさせるには、あまり適当とは言えない印象も受けざるを得ませんでした。そこにもまた、ネットが進んできた方向の、技術的なあるいはコンテンツとしての性格について、考えさせるものがあるように思われます。
とはいえ、今は上野春樹氏(の中の人)のご健在を言祝ぎ、このインターネット上の文化的記念碑の末永く語り伝えられんことを祈念します。
・余談(追記)
当時のエピソードを思い出したので一筆。もう十年近く昔の話ですから書いてもいいでしょう。
で、十年近く前の某日、学校の先生になった友人から小生に電話が入りました。彼はそのしばらく前に、大学を卒業して先生になり、やはり今のご時世とても大変な仕事のようでしたが、同僚の先生方にも助けられて奮闘していると聞いていました。
で、その彼が電話で小生に聞いてきたこととは。
「ねえ、アムウェイって何?」
「ゑ?」と小生は思いがけない問いに吃驚しました。何でも、「お世話になっている同僚の先生に勧められた」そうで・・・。教育界にアムウェイやっている人がままいて、問題にもなっているという話は聞いたことがありましたが、こんな身近にとは・・・いやまあ、「友達の友達はアルカイダ」なご時世ですから、「友人の同僚がアムウェイ」くらいあったって、あり得ないことではないですね。ちなみに彼はまず別の、小生とも共通の友人に本件を相談したそうですが、「そういうことなら墨公委が詳しいだろう」と言われて電話してきたそうで、小生が他人にどう見られているのか、多少反省させられました。
で、小生が彼にアムウェイについて説明する際、参照すると興味深い、と「うえのはるきのほめぱげ」も紹介しておきました。それが功を奏したのかどうなのか、彼は無事に、鍋や洗剤を買わされることもなく、今も先生として活躍しています。「うえのはるきのほめぱげ」は、確かに一定の社会的貢献をなしたのでありました。
というわけで、同サイトの復刻を切に望む次第です。考えてみれば、小生が思い出せる限り、見られなくなって残念だ、というサイトは、まあ「うえのはるきのほめぱげ」と「大夜逃げ学」ぐらいのような気がします。思い出し笑いのように読み返されるコンテンツというのは、今のネットでは流行らないのかも知れません。
脱会して 大丈夫かなぁ?政治家 警察 医者 教育者~
日蓮正宗系というのは ホウボウというので 普通の人に嫌われるのかなぁ?大石寺と創価学会の戦いは いつまで 続くのかなぁ?創価学会の 子供の名前について 人生が 決められるのかナァ名前の身分制度があるのかなぁ?超能力者は 大幹部なのかなぁ?宗教研究会(名前検討中 政治研究会(名前検討中
やはり、どこかに上野氏みたいな人が足掻きながら生きているんですかね・・・
こちらこそ、コメントありがとうございます。
ご友人がマルチにはまって絶交されてしまったとのこと、そのように人間関係を破壊してしまうのが、マルチの怖く嫌なところです。
といって、一旦はまってしまった人をやめさせるのには、途方もないエネルギーが要り、家族ですら付き合いきれるものでもなく、まったく悲しく腹立たしい存在です。
「うえのはるきのほめぱげ」は、そんな世の嫌で悲しいところを巧みに描き出したコンテンツで、そう考えるとまさしくネット時代の文学だったと思います。
しかし、それを引き継ぐ人が現れなかったのは、SNSだのツイッターだの方向にネットが流れた結果、そういう世の中の嫌で悲しいところがあからさまに露出するようになっていったからかも知れない、そう思います。
「上野氏みたいな人が足掻きながら生きている」状況は、おそらく「うえのはるきのほめぱげ」公開当初と比べてもより深刻になっていると思います。
しかし、ネット上へのその露出があからさま過ぎて、かえってその危うさが見えにくくなって、嫌なことを再生産してしまっている、そんな時代なのでしょうか。